【10代目・後期型 貨物上級グレード】ダイハツ ハイゼットカーゴ クルーズSAⅢ/クルーズターボSAⅢ (S321V/331V型) | シン・軽自動車マニア

【10代目・後期型 貨物上級グレード】ダイハツ ハイゼットカーゴ クルーズSAⅢ/クルーズターボSAⅢ (S321V/331V型)

アトレー・アトレーワゴン

ハイゼットカーゴはダイハツの商用ワンボックス型軽自動車。本稿では10代目の後期(2017年11月マイナーチェンジ以降)S321VおよびS331Vの最上級グレード、クルーズとクルーズターボを扱う。

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10代目 ダイハツ・ハイゼットカーゴとは?

2004年12月登場の10代目ハイゼットカーゴ。

乗用モデルのアトレーワゴンに対し商用モデルとなるハイゼットカーゴはスズキのエブリイと並ぶ歴史の長く、かつモデルサイクルの長い軽商用ワンボックスである。

2007年12月にマイナーチェンジでは新開発のKF-VE型エンジンに換装したことで燃費が向上した。2015年11月にはハイゼットの誕生55週年を記念して設定された特別仕様車、「55th Anniversary ゴールドエディション」も登場している。

ハイゼットカーゴは「クルーズ」、「クルーズターボ」、「デラックス」、「スペシャル」の全4グレードが存在し、本稿で扱うのは最上級となるクルーズとクルーズターボ。

乗用モデルのアトレーワゴンのようなシートに豪華な装備で軽貨物でありながら居住性がよくなっているのが特徴だ。

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10代目・後期型ハイゼットカーゴとは?特徴や中期型、前期との違いなど

後期型マイナーチェンジの改良点

2017年11月には内外装の変更と先進の自動ブレーキを装備するビッグマイナーチェンジが行われた。本稿ではこれ以降を10代目の後期型とする。

10代目・後期型のハイゼットカーゴではそれまでダイハツでは軽乗用車でのみ搭載されていた「スマートアシストⅢ」を軽貨物のハイゼットカーゴに適用。

ステレオカメラによる衝突回避支援システムで、歩行者にも対応。さらにオートハイビームの搭載で軽貨物でも高い安全性を実現した。

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エクステリアはそれまでのオーソドックスな外観からよりスタイリッシュな顔つきとリアコンビランプを変更。新世代に相応しいリフレッシュされた外観となった。

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ボディカラーはそれまでのホワイト系2色とシルバー系、ブラック系に加えて「ミストブルーマイカメタリック」、「ライトローズメタリック」、「ファインミントメタリック」など女性にも嬉しい全7色を設定。

軽貨物でありながら商用車らしくないスタイリッシュなカラーリングも選択可能となった。

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インテリアにおいてもインパネのデザインを変更。収納スペースを増やしつつもデザインをより上品に。商用モデルでありながらそれまでのイメージを払拭するバランスの取れたデザインとなっている。

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また、先進の自動ブレーキである「スマートアシストⅢ」をハイゼットカーゴにも適用。ステレオカメラによる認識システムで歩行者までにも対応した。

さらにオートハイビームも搭載。住宅街を走り、歩行者との接触が多い軽貨物での安全性を向上させた。

2018年12月・一部改良

2018年12月の一部改良では自動ブレーキのスマートアシスト、「スマートアシストIII」をクルーズ以外のMT車グレードに追加設定。

これに伴いグレード名がクルーズが「クルーズ”SAⅢ”」、クルーズターボは「クルーズターボ”SAⅢ”」に変更。クルーズ系グレードのスマートアシスト非搭載モデルを廃止。

また、スマートアシスト搭載モデルではフロントウインドウをトップシェイドガラスに変更し、IRカット機能が追加された。

2019年11月・一部改良

2019年11月の一部改良ではオプション設定の「LEDパック」のみ設定だったLEDヘッドライトを、スマートアシストを標準装備した下記グレードに標準装備化。

  • 「スペシャル”SA III”」
  • 「スペシャルクリーン”SA III”」
  • 「デラックス”SA III”」
  • 「クルーズ”SA III”」
  • 「クルーズターボ”SA III”」
  • 特装車「カーゴ2シーター”SA III”」
  • 特装車 「カーゴ2シータークリーン”SA III”」
  • 特装車 「カーゴセパレート2シーター”SA III”」
  • 特装車 「カーゴ2シーターブラインド仕様”SA III”」

LEDフォグランプは単体のオプション設定に移行した。

2020年8月・一部改良

2020年8月の一部改良ではオートライトを全グレード標準装備化。

環境対応車のスペシャルクリーンとスペシャルクリーン”SAⅢ”では「平成30年排出ガス基準50%低減レベル(☆☆☆☆)」認定を取得した。

10代目後期・ハイゼットカーゴ クルーズとクルーズターボ、SAⅢの違い、ターボ車の見分け方

クルーズとクルーズターボの違いは大きくは自然吸気エンジン仕様かターボ仕様かの違いがある。

これ以外の内外装は同じで、外観からターボ仕様かそうでないかの判別は難しい

また、先進装備のスマートアシストⅢを搭載するクルーズ SAⅢとクルーズターボSAⅢでは

  • 衝突回避支援ブレーキ機能
  • 誤発進抑制制御機能
  • 車線逸脱機能
  • 先行車発進お知らせ機能
  • オートハイビーム

に加えてリアコーナーセンサー、エマージェンシーストップシグナル、VSC&TRCも標準装備となる。

エクステリア

出典:ダイハツ認定中古車

フロントデザイン。10代目ハイゼットカーゴがデビューした当初はライバルのスズキ・エブリイ(9代目)と同じようなオーソドックスな台形のヘッドライトだったのだが、後期型の内外装変更でこれをスタイリッシュ路線へ変更。

上部に斜めの切込みを持たせシャープな目つきとした。これは奇妙にもその後モデルチェンジした乗用モデルのエブリイワゴン(3代目)と同じ路線である。

また、バンパーのデザインも変更され開口部を大きく、形も台形とすることで乗用モデルのようなデザインとなった。

これらヘッドライトとバンパーのデザイン変更により全体のボディ形状は同じもののフルモデルチェンジのような新鮮味が出ている。

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出典:ダイハツ認定中古車

なお、後期型では乗用モデルのアトレーワゴンと同じくLEDヘッドライトが初採用された。

安い一部グレード(スペシャル、デラックス、カーゴ)では非搭載でハロゲン&マルチリフレクターヘッドライトだが、本稿のクルーズとクルーズターボでは標準装備となる。

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出典:ダイハツ認定中古車

フォグランプはオプション設定。

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出典:ダイハツ認定中古車

サイドから。このあたりの見た目はそれ以前と変わらず9代目のデビューした当初と同じ外観となる。スライドドアは非電動で手動式となる。

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出典:ダイハツ認定中古車

足元は自然吸気エンジンのクルーズ、ターボのクルーズターボ共通で12インチのホイールキャップ付きスチールホイールとなる。

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出典:ダイハツ認定中古車

リア。後期型ではコンビランプまわりのデザインが変更された。それまではオーソドックスな軽トラのような廉価なコンビランプだったが、後期型クルーズ/クルーズターボではスタイリッシュなクリアーを組み合わせた横長のクリアーコンビランプへ変更。

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出典:ダイハツ認定中古車

バックランプとウィンカー部にはインナーメッキが使用されキラキラ感もありかなりスタイリッシュ。

ブレーキランプ部はLEDも採用しかなりコストがかかっている。なお、デザインそのものは乗用モデルとデザインがまったく同じになっている(それ以前はハイゼットカーゴとアトレーワゴンで別デザインだった)。

エンジン・機能装備・安全装備など

エンジンはKF型直列3気筒DOHCの自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類。

グレード名のクルーズが自然吸気エンジン。クルーズターボがターボ搭載モデルとなる。

自然吸気エンジンの最高出力は5MTが46ps(34kW)/5700rpm、4ATでは53ps(38kW)/7200rpm、最大トルクは共通で6.1kg・m[60n・m]/4,000rpm。

ターボエンジンの最高出力はMTとAT共通で64ps(47kW)/5700rpm、最大トルクは9.3kg・m[91n・m]/2,800rpm。

自然吸気エンジンではマニュアルかオートマで最高出力に違いがある点に注意。最大トルクはターボのほうが加給により低回転で太いトルクが出るので乗りやすい。

トランスミッションは5MTまたは4ATの2種類で、自然吸気エンジンとターボエンジンの両方に設定される。駆動方式はFRまたはパートタイム4WD(インパネ部のスイッチ式)の2種類。

燃費は一番いい5MTのクルーズターボの二駆でJC08モードで18.8km/L。昨今の軽自動車と比べるとかなり悪いが、車重が1t近く(テリオスキッド級の車重がある)あるためこの点は仕方ない。

安全装備としてはスマートアシストⅢをクルーズとクルーズターボに標準装備。

上述の通りステレオカメラを用いた衝突回避支援システムで、

  • 対歩行者と対車両に機能する衝突回避支援ブレーキ
  • 衝突警報機能
  • 車線逸脱警報機能
  • 誤発進抑制機能(ATのみ)
  • 先行車発進お知らせ
  • オートハイビーム

が備わる。この他にコーナーセンサーも標準装備。

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横滑り防止装置とトラクションコントロールのVSC&TRCは、エマージェンシーストップシグナルとセットでメーカーオプション設定。ヒルホールドコントロールは4AT車のみ搭載する。

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快適装備としては「IR&UVカットガラス」、「トップシェドガラス」をクルーズSAⅢとクルーズターボSAⅢでは標準装備。

他に「ビューティパック」としてオプションを選択すると運転席のバニティミラー付きサンバイザーとスーパークリーンエアフィルター、フロントドアにスーパーUV&I Rカットガラスが付く。

ハイゼットカーゴ クルーズターボとクルーズ、デラックス、スペシャルの最大積載量について

ハイゼットカーゴはいずれも税金が安い軽貨物仕様の4ナンバー車だが、スペシャルやデラックス、クルーズの最大積載量が350kgに対し、クルーズターボのみ最大積載量が200kgとなっている。

そのため最大積載量350kgが条件のひとつである「Amazonフレックス」には条件が適合せずクルーズターボが使えない

また、その他の個人契約の運送業者でも最大積載量が350kgでないと難しい場合もあるためこのあたりは注意が必要だ。

なお、次モデルの11代目ハイゼットカーゴのクルーズターボでは他グレードと同じ最大積載量が350kg化されるので、ターボ付きのダイハツ製・軽バンでAmazonフレックスを使いたい場合は、11代目を選ぶことになる。

【11代目・FR用CVT搭載】ダイハツ ハイゼットカーゴ(S700V/S710V型)
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インテリア

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出典:ダイハツ認定中古車

インパネ。後期型ではインパネデザインが変更された。それまでのは2004年登場モデルの延長にあったため、かなり古臭いデザインだったが、これを刷新。

大きくかつシンプルなメーターパネル部にナビ部分、オーソドックスなエアコン吹出口に使いやすさを追求したシフトノブとエアコン操作部など実用性とデザイン性を兼ね備えたインパネとなっている。

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商用モデルゆえの収納スペースも健在。マイナーチェンジ前と比較するとシフトノブ付近のシフトアッパーポケットとシフトサイドポケットは無くなったが、変わりにインパネセンターポケット、コンソールポケットが追加され使い勝手が良くなっている。

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出典:ダイハツ認定中古車

マニュアルのシフトノブにエアコン操作部。オートエアコンではなく、マニュアルエアコンとなっている。

ステアリングはウレタンステアリングホイールで、上級グレードでは中央のダイハツマークがメッキタイプとなる。

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出典:ダイハツ認定中古車

スピードメーター。商用モデルのためターボ付きでもタコメーターは非搭載。

マイナーチェンジ前はターボ付きのみタコメーターが付いていたが、後期型ではこれが省かれる。シンプルな1眼メーターと右側にマルチインフォメーションディスプレイとなる。

なお、AT車はスピードメーターにエコドライブを促すアシスト照明が備わり、アンバーからグリーンの色変化でエコドライブ状態をドライバーに表示する。

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マルチインフォメーションディスプレイでは燃料計の他、アイドリングストップ時間や平均燃費、航続可能距離、外気温、スマートアシスト警告を表示する。商用モデルらしく簡素な作りだ。

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出典:ダイハツ認定中古車

フロントシートはブラックのセパレートタイプ。

商用モデルというとアルトバンやミラバンのようなヘッドレスト一体型の簡素なシートが一般的だが、クルーズとクルーズターボでは乗用モデルのアトレーワゴンのようなサイトサポートが付いた形状のシートが採用される。

これにより長距離でも疲れにくくなっている。また、シート表皮はファブリックとなり撥水加工が施される。

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出典:ダイハツ認定中古車

リアシート。こちらも乗用モデルと同じようなヘッドレストが付いたシートとなる。軽貨物の後部座席も意外と乗れるのがクルーズとクルーズターボの特徴だ。

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出典:ダイハツ認定中古車

ラゲッジルーム。リアシートを倒さずともラゲッジルームがかなり広い。

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出典:ダイハツ認定中古車

リアシートを倒した状態。軽貨物ならではの奥に長い室内空間でかなりの積載量を誇る。

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荷室長は非クルーズグレードよりも少し短くなり、リアシートを倒さない状態で860mm、リアシート倒して1755mm。荷室幅はそれぞれ1350mmと1270mm。荷室高は1210mmでバックドア開口高は1145mm。

荷室LEDランプもクルーズとクルーズターボでは標準装備となり夜間の荷降ろし時も嬉しい装備が付く。

まとめ

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10代目・後期型のハイゼットカーゴ クルーズおよびクルーズターボはリフレッシュされた内外装に軽貨物でも安心・安全な自動ブレーキのスマートアシストSAⅢの搭載、乗用モデルに近い室内空間など軽貨物でありながらスタイリッシュな内外装と豪華な装備、疲れにくいシートなどが特徴のモデルである。

一般的な軽貨物のワンボックスというとシゴトグルマ全開な部分が多く、決して見た目は良くなかったのだが10代目・後期型では特に見た目が良くなり、内装もそこそこ。これでいて今まで通り荷物が一杯乗るのでかなり魅力的なモデルとなっている。

そしてマニア必見の5MTにターボの組み合わせがあるホットな軽自動車の一つであり、これを軽貨物という税金が安いモデルで実現している。走りを楽しみ経費も抑えつつ、いっぱい荷物も載せいたいなどニッチなニーズに答えられるモデルである。

また、昨今ではウーバーイーツやWoltなどのフードデリバリーやアマゾンの個人配送契約(Amazon Flex)に即対応しやすい、黒ナンバーへの変更も可能な最大積載量200kgの4ナンバー車でもある。

そういったニーズにも答えられるカバー領域の大きいクルーズ&クルーズターボはスズキのエブリイジョインターボの5MTが生産終了となる中、注目の1台と言えよう。

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