ムーヴはダイハツのワゴン型軽自動車。本稿では6代目（L150SおよびL160S型）の後期型(2017年8月マイナーチェンジ以降)に設定された特別仕様車、「XリミテッドSAⅢ」を扱う。
６代目 ダイハツ・ムーヴとは？
2014年12月にフルモデルチェンジし、６代目となったダイハツ・ムーヴ。初代は1995年に登場し、後追いという形となったもののライバルのスズキ・ワゴンRと切磋琢磨しながらフルモデルチェンジを繰り返し２０年以上続く長寿モデルである。
６代目では軽自動車の本質である低燃費と低価格をベースに新開発となる軽量高剛性ボディ骨格構造や足回りの改良で基本性能を大幅向上。加えて軽自動車初の先進装備により軽自動車としての本流を追求。またカスタムには上級感を極めた最上級グレードの「ハイパー」を新設定するなど普通車から軽自動車への乗り換えを意識したグレード展開も充実させている。
外観は先代までのベーシックな外観を踏襲するものの、厚みのある造形や大型ヘッドランプ、平面ラウンドを意識したバンパーを用い全体的に質感を向上。サイドはシャープかつ流れる造形として上質感を追求した。
インテリアではダークグレー、ホワイト、グレージュの３トーンカラーで上質さと華やかさを演出。メーカーオプションではインパネはダークグレーとホワイト。
ブラックシートに本革巻ステアリングホイールを組み合わせたブラックインテリアパックを設定しベーシックグレードにも上級思考の選択肢を与えた。また全グレードでタコメーターを標準装備とした。
エンジンは先代と同じKF型エンジンを採用。ミライースの低燃費技術を取り入れかつ軽量化と空力性能を大幅向上。ベーシックグレードでもフロントアンダースポイラー、リヤタイヤ前スパッツ、スポイラー一体型バックドアを標準装備とし、Cd値を従来モデル比で約10%低減したことでNAのFFモデルで31.0km/L（JC08モード）を達成した。
先進装備としては後方誤発進抑制制御機能を追加したスマートアシストⅡを一部グレードを除いて標準装備。また、LEDヘッドランプをメーカーオプションとし、フォグランプやリヤコンビランプ、ルームランプに設定拡大して省電力化を強化した。
さらに坂道からの発信をサポートするヒルホールドシステムを全グレードで標準装備。バックカメラも機能を強化し、真上から見下ろした視点とステアリング連動ガイド線機能を追加した。
快適装備としては軽量高性能エアコンユニットやスクロールコンプレッサの新開発で性能を維持しつつ消費電力を大幅低減。
またアイドリングストップ中でも冷たい風を維持する「スマートクール」を採用。これによりエアコン使用時の燃費を向上させた。
このほかエアロワイパーブレード、ワンタッチターンシグナル機能付き方向指示スイッチ、ボイスコントローナビゲーションシステム、スーパーUV・IRカットガラス（フロントドア）、スパークリーンエアフィルター、ウォームパックなどグレード別やメーカーオプションなどで設定し軽自動車だからといって妥協しない快適装備を与えた。
後期型・６代目ムーヴとは？
その６代目ムーヴは2017年8月にフロントデザインの変更を伴い後期型となった。
後期型ではフロントメッキグリルのデザインを大幅変更し上級グレードではアルミホイールのデザインも変更して精悍なイメージを与えたほか、それまでの緊急ブレーキシステムのスマートアシストⅡを「スマートアシストⅢ」にバージョンアップ。対歩行者でも緊急ブレーキを対応させた。
また、便利機能ではリヤシートラゲージ側スライドレバーを設定。インテリアではドアトリム表皮の色と柄を変更。
オーディオパネル（ブラック）の幅を左右１cm ずつ縮小しスマート化。上級グレードではエアコンレジスターガーニッシュにシルバーラインによる加飾とプレミアムシャインブラックを新設定しより上級感を高めつつ価格設定を見直してより買いやすい価格帯としたマイナーチェンジとなっている。
特別仕様車 ムーヴXリミテッドSAⅢとは？特別装備とX SAⅢとの違いなど
そ６代目後期ムーヴに2018年8月設定された特別仕様車が「Xリミテッド SAⅢ」である。
「XリミテッドSAⅢ」は自然吸気エンジンの最上位グレード、「X SAⅢ」をベースにブラックインテリアなどの採用でカスタムのような内装としつつ、お買い得とした特別仕様車となっている。
XリミテッドSAⅢは特別装備はインテリアのみで、オプションの「ブラックインテリア」を標準装備。
標準装備のブラックインテリアでは
- 本革巻きステアリングホイール
- メッキインナードアハンドル
- ブラックファブリックシート表皮
- ブラックドアトリム
が採用され、ムーヴカスタムとほぼ同じ内装にアップグレードされる。ベースモデルの内装はベージュとブラックの組み合わせなので、黒系オンリーが好みの人に嬉しい仕様である。
他にリミテッドでは本来オプションの
「純正ナビ装着用アップグレードパック」
も標準装備。アップグレードパックは
- ステアリングスイッチ
- １６ｃｍリヤススピーカー＆ツィーター（４スピーカー化）
- バックカメラ
- プレミアムシャインブラックのオディーオパネル
をセットにしたもので、ブラックインテリアに加えて快適性もアップする。リミテッドではこれら２つのオプションがセットになってわずか１万円アップで買えるお得な特別仕様車となっていた。
エクステリア（外装）
出典：ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。XリミテッドSAⅢでは外装の変更は特になく、ベースのXSAⅢと同じ。６代目後期型のノーマルムーヴは洗練された大型メッキグリルが特徴で、ベーシックでありながらスタイリッシュが顔つきが特徴だ。
出典：ダイハツ認定中古車
最上位グレードのためLEDヘッドライトが標準装備となる。
出典：ダイハツ認定中古車
サイド。こちらも見た目はベースモデルと同じ。最上位グレードのためキーフリーシステムによるドアの施錠が可能。
出典：ダイハツ認定中古車
足元はXSAⅢなので１４インチアルミホイールとなる。デザインは６代目前期型から変更されている。
出典：ダイハツ認定中古車
リア。空力向上のため標準ムーヴでもリアスポイラー(ハイマウントストップランプ付き)が標準装備となっている。このあたりも見た目はベースと同じ。リミテッドを示すエンブレムの装着はなく、省略されている。このため外観からリミテッドであることは判別することは難しい。
なお、純正ナビ装着用アップグレードパックの標準装備によりバックカメラがリアゲートに付く。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはXリミテッドSAⅢではKF型直列３気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力52ps(38kW)/6800rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpm。トランスミッションはCVTのみの設定。駆動方式はFFまたは4WD。安全装置として全グレードでVSC(横滑り防止装置)とTRC(トラクションコントロール)が標準装備となる。
先進装備のスマートアシストは後期型でスマートアシストⅢにバージョンアップ。小型ステレオカメラにコーナーセンサーをプラスした第3段バージョンとなり、初代のスマートアシストと比べて新機能の追加や作動領域の拡大が図られた。
一番の機能は衝突警報機能と衝突回避支援ブレーキ機能。この機能そのものは初代と同じだが、新型では歩行者に対しても動作可能となり、かつ対車両でも作動条件（時速/走行時）が大幅に拡大された。この手の技術ではいちはやくステレオカメラを導入したスズキ(デュアルカメラブレーキサポートなど)が先行していたが、ダイハツもスマートアシスト３でほぼ追いついた形だ。
このほかは車線逸脱警報、誤発進抑制制御機能(前方・後方)、先行車発進お知らせ機能などは他モデルで採用のスマートアシストⅡと同じ機能がプラスされる。さらにスマートアシストⅢではオートハイビーム機能にコーナーセンサーによる接近お知らせ表示機能が備わった。オートハイビームは夜間走行に。コーナーセンサーは街中での縦列駐車などで効果を発揮する。
インテリア（内装）
出典：ダイハツ認定中古車
インパネ。ここからがXリミテッドSAⅢの特別装備となる。純正ナビ装着用アップグレードパックの適用でフロントスピーカー部にはツィーターが装着される。
出典：ダイハツ認定中古車
ステアリングはXリミテッドSAⅢの特別装備としてブラックインテリアを標準装備としたため、ステアリングが本革巻ステアリングホイールにアップグレード。ムーヴカスタムのような上質なステアリングとなる。
出典：ダイハツ認定中古車
ステアリング右側にはDアシストも備わり自然吸気エンジンながら必要に応じて力強い加速も可能だ。なお、ブラックインテリアのオプションが採用されるため、ステアリング左側にはオーディ操作用のステアリングスイッチが備わる。
出典：ダイハツ認定中古車
スピードメーターはベースに同じくタコメーター付き。右側はマルチインフォメーションディスプレイとなる。
出典：ダイハツ認定中古車
オーディオパネルはXリミテッドSAⅢの特別装備、「純正ナビ装着用アップグレードパックの標準装備」によりプレミアムシャインブラック仕様のオーディオパネルとなる。
出典：ダイハツ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。XリミテッドSAⅢで一番わかり易い変更点で、ブラックインテリアのオプションが標準装備となり、ブラックカラーのファブリックシートとなっている。
また、インナードアハンドルも同時にメッキタイプへ変更され、ドアトリムもブラックカラーに。
ノーマルではベージュ系の明るいインテリアのため、XリミテッドSAⅢではムーヴカスタムのような落ち着いた内装色となる。
出典：ダイハツ認定中古車
リアシート。こちらも当然ながらブラックカラー。純正ナビ装着用アップグレードパックの適用によりリアスピーカーが標準装備となる。
出典：ダイハツ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典：ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
出典：ダイハツ認定中古車
６代目後期型ムーヴに設定された特別仕様車、「XリミテッドSAⅢ」はオプション設定のブラックインテリアと純正ナビ装着用アップグレードパックを標準装備としつつ、お買い得とした特別仕様車である。
純正ナビ装着用アップグレードパックだけでも単体で２万円はするところを２つセットにしてベースモデルよりもわずか約１万円アップの価格設定となっており、かなりのお買い得仕様だ。
この手の軽自動車を購入する人の中にはムーヴカスタムのようなギラギラと押しの強い外観よりも標準ムーヴのようなベーシックな方を選ぶ人もいる。
ターボの設定が無いのが残念だが、わずか１万円アップで内装はムーヴカスタムと同じブラック内装になりバックカメラやリアスピーカーが付いてくるため、自然吸気エンジンのムーヴの選択肢のひとつとして有用な特別仕様車といえよう。
この後登場する「XリミテッドⅡ SAⅢ」では追加でLEDヘッドライト(ハイロー独立式４灯タイプ)も標準装備となり、かつ新車価格も下がってさらにお買い得感がアップする。
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