ゼストスパークはホンダのワゴン型軽自動車。ゼストのカスタムモデルである。
出典:ホンダ認定中古車
ホンダ ゼストとは?
2006年にデビューしたホンダ・ゼスト。それまで存在したザッツの後継モデルとして、4代目ライフのプラットフォームをベースに派生モデルとして誕生。
街乗りからレジャーまで、個人から家族の用途など「様々なシーンで幅広く使える軽自動車」を目指して開発された。
エクステリアはボリューム感のある台形フォルムに精悍さやスタイリッシュ感のあるヘッドライト、グリル。インテリアはフロントは開放感。
リアは安心感や荷室の使いやすさを追求したデザイン。色や素材を使い分けて前後で異なる空間を表現した。
パッケージングは全高1635mmにおさえつつ、室内幅は1315mmを確保。
ホンダが得意とする独自低床プラットフォーム技術を用い、クラストップレベルの低いテールゲートと最大739Lのラゲッジスペースを実現。これは同年代のステップワゴンと同等の広さである。
出典:ホンダ認定中古車
安全技術としてはサイドカーテンエアバッグをオプション設定し、コンパティビリティ対応ボディの採用で当時の軽自動車としてはトップレベルの高い安全性能を確保。
それまで衝突安全性能試験でトップだった2代目パジェロミニを超える衝突安全性能を誇り、運転席・助手席ともに衝突安全性能総合評価を軽自動車としては初の六つ星(★★★★★★)を獲得したことでも話題となった。
このほか歩行者傷害軽減ボディ、頭部衝撃保護インテリア、頚部衝撃緩和フロントシートを採用し、EBD付きABSを全グレードに標準装備する。
エンジンはライフと同じP07A型3気筒SOHCのi-DSIエンジン&i-DSIターボエンジン。これに電子制御4速ATの組み合わせで中低速からのスムーズな加速と走行性能も実現した。
快適装備としてはHDDインターナビシステム、抗アレルゲン剤をエアコンディショナーのエアコンフィルター、セキュリティアラームやイモビライザーを採用など充実装備とした。
ゼストスパークとは?特徴とゼストとの違い
ゼストはデビュー当初からオーソドックスなノーマルモデルとターボエンジンにスポーツサスペンションを装備したゼストスポーツの二本立てであった。
が、時代はワゴンRやムーブなどこれまでのワゴン型に加えタントやスペーシアなどのトールワゴン型が登場し、軽自動車の競争が激化していた。
出典:ホンダ認定中古車
そこで当時、N-BOXのような新しい軽自動車をすぐには投入できないホンダは既存のゼストの外観をリフレッシュした派生モデルを誕生させる。それが「ゼストスパーク」というモデルだ。
ゼストスパークではオーソドックス感のあったヘッドライトを直線基調とインナーブラック、プロジェクターヘッドライト採用した見た目にもスポーティーな専用品へ変更。
さらに存在感の大きい専用グリルやスポーティーなエアロバンパーを装着することで、ちょっとやんちゃな感じのフロントデザインとした。
ダイハツでいえばムーヴ・カスタム、スズキでいえばワゴンR・スティングレーなどに該当するモデルで、ボディ形状はそのままにフロントデザインをスポーティにデフォルメ。アルミホイールやエアロパーツで全体の迫力をアップさせる点もまったく同じ。
具体的にはエクステリアに
- HIDヘッドライト(インナーブラック仕様)
- フォグランプ&メッキガーニッシュ付き専用バンパー
- 専用メッキグリル
- LEDウィンカー付き電動格納式リモコンドアミラー
- カラードサイドシルガーニッシュ
- 14インチアルミホイール
- 大型テールゲートスポイラー
を。
出典:ホンダ認定中古車
インテリアには「メタル調3本スポークステアリング」、新シート表皮の「ブラック内装」を採用。
ボディカラーではゼストスパーク専用カラーとして「プレミアムディープバイオレット・パール」、「プレミアムナイトデザートゴールド・パール」を設定。
また、Wターボグレード(FFモデル)では専用チューニングのスポーツサスペンションを標準装備とした。
ゼストとゼストスパーク、ゼストスポーツとの違い
ゼストスパークとゼストスポーツとの違いは専用丸目ヘッドライト(プロジェクター式)、専用グリル、専用バンパー、専用サスペンション(FFモデル)、フォグランプ、ターボ、インテリア、アルミホイールの有無などがある。
外観はヘッドライト、グリル、バンパーから全て専用設計でカスタムらしい勇ましい顔つき。ゼストスポーツ時代とは異なり、明確に見分けがつくようになった。LEDターンランプ付きドアミラーも標準装備する。
リアもスパーク専用テールゲートガーニッシュ、スモークテールランプ、大型テールゲートガーニッシュ(※Gグレードはオプション)、専用エンブレムで差別化される。
内装はゼストスポーツと同じブラック内装だが、スパーク専用のより上質なブラック内装となるため、このあたりは大きな違いがある。
さらにスパーク専用ボディカラーとしてホンダのスポーティな紫系「プレミアムディープバイオレット・パール」、濃金系「プレミアムナイトデザートゴールド・パール」が追加設定される。
また、標準ゼストには未設定のターボ仕様もあるため、ゼストターボを購入す場合は必然的にゼストスポーツか、ゼストスパークの2択となる。
ゼストスパークJE1/JE2 前期、中期、後期型の違い
ゼストは2006年2月~2012年10月まで生産された。この間2回のマイナーチェンジや一部改良が行われ内外装が小変更されている。
このうちゼストスパークはこのモデル途中となる2009年6月に追加設定されたカスタムモデル。
標準ゼストは微妙ながら前期、中期、後期で内外装が若干変更されたが、ゼストスパークはほとんど変更が無かった。そのためゼストスパークの前期、後期といった見分けはほとんど付かない。
唯一2009年11月の一部改良でスパークの内装に常時点灯ブルーイルミネーションメーターを採用。インパネにシルバー加飾が追加されている。内装ではこの一部改良を起点にゼストスパーク前期、後期と分けられる。
グレード構成はG、W、Gターボ、Wターボの4種類。ゼストスポーツからの入れ替えでゼストスポーツ時代のグレード名がそのまま踏襲される。
ゼストスパークのグレード G、W、Gターボ、Wターボ、ダイナミックスペシャル、Aスタイルパッケージの違いなど
ゼストスパークのグレード展開はエントリーグレード「G」、上級グレード「W」、エントリーターボ「Gターボ」、上級ターボ「Wターボ」の4種類。
安全装備のEBD付きABS、SRSエアバッグは全グレードに標準装備で、ディスチャージヘッドランプやフォグランプ、ハイマウントストップランプも標準装備する。
快適装備のスマートキーやパワーウィンドウ、パワステ、集中ドアロックは全グレードに標準装備。オーディオはレス仕様。ナビゲーションは全グレードにオプション設定。
タコメーター付き3眼式スピードメーターは全グレードに標準装備する。
これ以外に特別仕様車では「ダイナミックスペシャル」を設定。
オプションのセットパッケージには浜崎あゆみとコラボした「Aスタイルパッケージ」が設定されていた。
G
ゼストスパークの基本グレード。Wグレードに対し装備を一部簡略化し、価格を抑えたグレード。
Wグレード比較してGグレードではエアコンが「マニュアル式エアコン」。「ウレタンステアリング」を採用し、「シートバッグポケット」や「コンビニフック」、「ハーフシェイド・フロントウインドウ」、「ドアサッシュブラックアウト」、「アルミホイール」や非装備となる。
サイドシルガーニッシュや大型テールゲートスポイラーは「スタイリッシュパッケージ」としてオプション設定。そのためノーマル状態ではバンパー以外のエアロパーツが非装備。
3眼式スピードメーターは
Gターボ
上記Gグレードにターボエンジンを搭載したエントリー・ターボ車。
内外装や装備はターボエンジン搭載以外、Gグレードと同じ。
W
ゼストスパークの上級グレード。
エクステリアでは「サイドストーンガード」、「大型テールゲートスポイラー」、「14インチアルミホイール」、「ドアサッシュブラックアウト」を標準装備。
インテリアでは「本革巻きステアリング」、「シートバッグポケット」、「コンビニフック」などを標準装備する。
快適装備ではエアコンがアレルフリー高性能脱臭フィルター搭載の「フルオートエアコン」となり、「ハーフシェイド・フロントウインドウ」やリアスピーカーを追加した4スピーカー仕様となる。
Wターボ
上級Wグレードにターボエンジンを搭載した最上級ターボ仕様車。
Wターボでは専用スポーツサスペンションを採用し、ターボエンジンと合わせてスポーティな走りを実現していた。
特別仕様車 ダイナミックスペシャル
2011年10月設定の特別仕様車。Gグレードをベースにエクステリアでは大型テールゲートスポイラー、カラードサイドシルガーニッシュ、14インチアルミホイール、ドアサッシュをブラックアウト化。
インテリアにはフルーオートエアコン、アレルフリー高性能脱臭フィルター、リア2スピーカー、助手席シートバックポケット、助手席コンビニフック、リア左右席にグラブレールなど上級グレードと同じ装備内容としつつ、価格をお買い得とした特別モデル。
ゼストスパーク Aスタイルパッケージ(浜崎あゆみ仕様)
浜崎あゆみとコラボレーションした特別モデル。AスタイルパッケージのAは浜崎あゆみの「Ayumi」の頭文字から取っている。
Aスタイルパッケージではエクステリアに「モデューロ製スポーツメッキグリル」、「専用サイドデカール」、
「専用リアエンブレム」を
インテリアでは「専用インテリアパネル」が付く。
内外装で浜崎あゆみのトレードマークをあしらい、当時の宣伝CMのイメージのままに特別感を演出したセットパッケージとなっていた。
エクステリア(外装)
出典:ホンダ認定中古車
ゼストスポーツからの大きな変更点はヘッドライトとバンパーの変更だ。ベースのゼストスポーツではノーマルと同じ2灯式のマルチリフレクタータイプだったが、これを鷹の目のような4灯式へと変更。
出典:ホンダ認定中古車
全グレードでヘッドライトはプロジェクター式ヘッドライトにディスチャージヘッドランプを標準装備し、ハイローを独立させた丸目4灯式を採用。バンパー下部のフォグランプも標準装備となる。
ライバルのムーヴカスタムのようにヘッドライト越しに見えるライトがかなりの存在感を出している。ライトはHIDとハロゲンの組み合わせとなり、このデザインに合わせてウィンカー球も丸型へ変更されている。他にはバンパーの開口部もヘッドライトに合わせて変わっている。
出典:ホンダ認定中古車
こちらはベースとなったゼストスポーツ。比較するると、ヘッドライトおよびバンパーが変更されているのがわかる。
出典:ホンダ認定中古車
サイドから。ゼストスパークと同じくサイドアンダースポイラーを標準装備。LEDターンランプは全グレードに標準装備となる。
足元は14インチアルミホイールをWとWターボグレードで標準装備。ゼストスパークJE1/JE2型のタイヤサイズは165/55R14。GとGターボは13インチスチールホイール+ホイールキャップで155/65R13。
なお、FFのターボモデルのゼストスパークのみ専用チューニングのスポーツサスペンションが標準装備となる。
出典:ホンダ認定中古車
リア。コンビランプはスパーク用にスモークテールランプを採用。純正リアスポイラーは少し形状変更され、WとWターボでは大型のダイナミックなデザインとなっている(GとGターボはこの大型タイプをオプション設定)。
リアのコンビランプに手を加えた良い場合は社外品のテールランプも出ている。
エンジン・機能装備・快適装備
エンジンは新開発のP07A型i-DSIエンジン。ショートストローク型で高回転域のフリクションロスを考慮し、燃焼効率が良いi-DSIを採用。1気筒あたり2本の点火プラグでタイミングをずらして点火することで急速燃焼を実現。
ショートストロークでありながら圧縮比を高め低燃費と高出力を両立させた。P07A型水冷直列3気筒SOHC6バルブ自然吸気エンジンの最高出力は52ps(38kW)/6700rpm、最大トルクは6.2kg・m(61N・m)/3800rpm。
ターボエンジンは最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.5kg・m(93N・m)/4000rpm。
基本的には同年代の4代目ライフと同じエンジンとなる。トランスミッションは4ATのみの設定。駆動方式はFFまたは4WDとなる。
安全装備として全グレードに運転者&助手席エアバッグ、EBD付きABSを標準装備する。
ゼスト JE1とJE2型との違い
ゼストのJE1型とJE2型の違いは駆動方式。JE1型は前輪を駆動するFF(2WD)モデルのゼスト。
JE2型はJE1型をベースに全輪を駆動する4WDのゼスト。4WDのシステムにはライフと同じビスカスカップリングが用いられ、普段はFFで走行し悪路や雪道などで前後タイヤに差分が発生すると自動的に4WDに切り替わるタイプ。
ジムニーやパジェロミニ、軽トラなどのパートタイム4WDと比べるとタイトコーナーブレーキング現象がおきずらく、自分で切り替える必要もないため扱いやすく街乗り4WDには多く用いられる。
インテリア(内装)
出典:ホンダ認定中古車
インパネはゼストスポーツとほぼ同じデザインだが、シルバーの塗装部分がチェンジされていたりステアリングのデザインに若干の変更が与えら、よりスポーティ感や上質感がアップ。
出典:ホンダ認定中古車
2009年11月の一部改良でスパークのスピードメーターが、常時点灯ブルーイルミネーションメーターに変更され、インパネ中央にもシルバー加飾が加わった。
出典:ホンダ認定中古車
ステアリングはGとGターボがウレタンステアリング。WとWターボは本革巻きステアリング。
前期型ゼストスパークのスピードメーター。黒を基調に赤のアクセントカラーを加えたスポーティなデザインで、左がタコメーター、真ん中にスピードメーター、右側に液晶ディスプレイの3眼式。
後期型ゼストスパークのスピードメーター。前期の赤&黒から、ブルー系に変更。常時点灯ブルーイルミネーションメーターとなる。
シフトノブはライフとと同じくインパネシフト。エアコンはWとWターボがオートエアコンで、
Gグレードではマニュアル式エアコンとなる。
出典:ホンダ認定中古車
シートは引き続きベンチシート。ゼストスポーツと同じ黒系だが、ゼストスパーク専用のシート表皮を採用し、背中から足元にかけて上質な生地を用いた上級シートとなる。ドアトリムクロスも同様の生地に変更される。
出典:ホンダ認定中古車
ゼストスパークの後部座席。スライド機構は非装備で後部座席の室内高さは1340mm。
同年代の初代タントが1330mm、2代目タントが1350mm。全高はゼストの方が低いのに室内高がほとんど同じなのはホンダ自慢の低床設計によるたわもの。以外と後部座席の空間が広いので開放的かつ快適に感じる。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジルームも広め。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジスペースはリアシートを前側にスライドさせるとフルフラットにできるが、フロントシートも所定の位置まで前に出さないといけないため、運転席側が少々窮屈になる。
バックゲートの開口部は1020mmとこの手の軽自動車にしてはかなり高め。そのため背の高い植木鉢+観葉植物なども軽バンほどではないが載せることが可能だ。
まとめ ゼストの販売低迷&生産終了とNシリーズへの移行
ゼストスパークの総評
出典:ホンダ認定中古車
ゼストスパークはモデル中盤に追加された4灯式のゼストで、ノーマルとは明確な差別化がなされたカスタムモデルである。特に男性ウケを狙った追加グレードだった。
スパークではゼストスポーツ時代では押しの弱かったデザインも改善され、当時のライバルと渡り合える見た目となった。
使い勝手や衝突安全性もアドバンテージではあるが、その分燃費はあまり良くなく、同年代のライバルよりも少し分が悪かった。
個性的な1台という魅力は今でも十分通用するので、燃費よりも所有欲に重点を置く人向けの1台といえよう。
現行ではNシリーズに後継を譲ったためゼストシリーズは絶版車となっている。デビュー当時はCMに浜崎あゆみを起用し、そこそこ宣伝も行っていたが、モデル末期ではタントカスタムなどスーパーハイトワゴンが主流となり旧式のトールワゴンなゼストスポーツでは激しい軽自動車競争に勝てず、2012年10で生産終了。
一から丁寧に開発したNシリーズのN-WGNカスタムへと移行することとなる。
ゼストスパークの中古車は比較的安価で買いやすい
中古市場では年数経過や人気がNシリーズに移行しているため、5代目ライフ同様に安価に買える中古車となっている。
車の出来自体はとても良く、スパークであればデザインも優れいているため、お買い得感がかなりある。街乗りから広い荷室を使ったレジャーまで、中古車は安価ながらポテンシャルはかなり高い。
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