パジェロミニは三菱のSUV(RV)型の軽自動車。本稿では2代目・H58Aの後期型(2008年9月マイナーチェンジ~2013年1月)に設定された最上級グレードの「エクシード」を扱う。
出典:三菱認定中古車
2代目 三菱・パジェロミニとは?
1994年にジムニーに対向する形で登場した初代・パジェロミニ。そのパジェロミニは1998年の軽自動車新規格を受けて同年の10月に2代目へとフルモデルチェンジした。
2代目ではそれまでの特徴だった丸目ヘッドライトを廃止し、オーソドックスな角型ヘッドライトを採用。
新規格に対応したことでボディ形状は全長で100mm、全幅で80mm拡大するもののスタイリング(パジェロスタイル)はほぼ先代を踏襲。顔つき以外は先代とほぼ同じ外観となっている。
また、モノコックボディにプレス加工で造ったラダーフレームを床に溶接した「ビルドインフレーム・モノコック構造」を採用。乗り心地と高剛性を両立している。
さらにクラッシャブルボディ構造とブレーキアシスト機構の採用で、当時の軽自動車としては優れた衝突安全性を誇っていた。
エンジンは新開発となる4A30型4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンと4A30型4気筒DOHC20バルブインタークーラーターボエンジンを搭載。また、先代のオートマは3ATだったが、2代目で電子制御式4ATに置換された。
デビュー当初からパジェロミニはジムニーに対して「シティユース」というキャラクターを出していたがこの2代目ではそれが顕著だった。ベースモデルに対してより個性的な顔をもたせたり(パジェロミニ・デューク)、
初代を彷彿とさせる丸目を2灯式にして発展させた(パジェロミニ・リンクス)、
はたまたレカロシートを装備したスポーティーなモデルを追加したり(パジェロミニ VR-S)とまさにムーヴとムーヴカスタムの関係のようなグレード展開をSUVで行っていた。基本性能は変わらないものの見た目をアレンジし、個性的なモデルを投入することでジムニーに対抗していた。
出典:三菱認定中古車
その2代目パジェロミニは2008年9月にマイナーチェンジを行い後期型(最終型)となった。
最後のマイナーチェンジではフロントのデザインが一新されたほか、リアのコンビランプを前期型までのデザインに変更。内装ではインパネとスピードメーター、シート表皮を刷新。メカニズムでもAT仕様車では減速時のロックアップ機構を追加することで燃費を若干アップさせた。
全体的にはちょうど同時期の親パジェロそっくりの顔つきとなり、パジェロから見ると小さくしたような可愛さを持ち、他の軽自動車から比べるとSUVらしい力強さを併せ持つ良いデザインに仕上がっている。
2代目パジェロミニ(H58A) エクシードとは? 特徴と違い
パジェロミニ・エクシードの特徴と装備
このうち本稿で扱うのは後期型より最上級グレードとして設定された「エクシード」だ。
エクシードでは上級ターボ仕様のVRグレードをベースに特別仕様車で好評だった特徴的な3ウエイ2トーンボディカラーのみを設定し上級感や個性を強調。
ボディカラーはモノトーンや2トーンカラーが非設定で、すべて3way2トーンカラーの
- クールシルバーメタリック/ブラックマイカ/クールシルバーメタリック
- 「クールシルバーメタリック/ダークブルーマイカ/クールシルバーメタリック
- 「クールシルバーメタリック/ラズベリーレッドパール/クールシルバーメタリック
3色のみを設定。
便利機能や快適装備として
- ルーフレール
- 撥水ドアガラス
- 親水ドアミラー
- フォグランプ
- UVカットガラス
- セキュリティアラーム
- 本革巻きステアリング
- 運転席シートヒーター
- スペアタイヤケース(3way2トーンカラー塗装)
を標準装備としノーマルモデルよりも上級な雰囲気と便利機能が与えられている。
ちなみに5MTや2WDモデルは非設定で4AT&4WDのみの設定となっていた。
VRグレードとエクシードとの違い
VRグレードとエクシードでは内外装での装備やボディカラーが異なる。
VRグレードではメッキグリルやアルミホイールを標準装備するのに対し、フォグランプやルーフレールなどはオプション設定。
一方のエクシードではフォグランプやルーフレールが標準装備で豪華で機能的となる。
インテリアでもVRグレードがウレタンステアリングに対し、エクシードでは本革巻きステアリングを標準装備。
機能装備もエクシードには運転席シートヒーターやUVカットガラスが標準装備となるなど、内外装が豪華になる。
ボディカラーもVRではモノトーンと2トーンカラーを設定するが、エクシードでは逆に3way2トーンカラーのみでそれ以外が非設定。このためエクシードでは
- ブラックマイカ
- ホワイトソリッド
- ブラックマイカ/クールシルバーメタリック
- ダークブルーマイカ/クールシルバーメタリック
- レッドソリッド/クールシルバーメタリック
などのVRのボディカラーが選択できなかった。
ちょうど前期や中期までに設定されていた3ウェイツートンカラーを採用した特別仕様車(アニバーサリーリミテッド、スペシャルカラーエディション、リミテッドエディションなど)に近い構成で、カタロググレードの最上位として設定されていた。
エクシードとプレミアムリミテッド、ファイナルアニバーサーリーの違い
後期特別仕様車のプレミアムリミテッドやファイナルアニバーサーリーとは外観はほぼ同じだがインテリアが大きく異る。
出典:三菱認定中古車
エクシードでは他のグレードと同じファブリックシート表皮を採用するが、プレミアムリミテッドやファイナルアニバーサーリーでは専用のブラウン色の本革とスエード調ファブリック表皮を組み合わせた上質なシートを採用。質感がかなり高くなる。
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また機能装備としてエクシードには非装備のバックモニター内装ルームミラーやリアゲートにはバックカメラが標準装備となり、さらに機能性もアップする。


エクステリア(外装)
出典:三菱認定中古車
フロントデザイン。期型ではヘッドライトとグリル。バンパーのデザインを刷新した。ヘッドライトは同年代のパジェロのような異型角型に変更され、グリルもメッキライン2本を太くした大型のものとなった。外観上の専用パーツはなく、形状は他のグレードと同じだ。
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エクシードではVRでオプション設定のフォグランプを標準装備。
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サイド。スタイリングは角ばったデザインがメインで、ボンネットのエリアもかなり広い。エンジンも縦置きされているため、ワゴンRなどの軽自動車と比べるとかなり普通車のように見える。
エクシードではノーマルモデルではオプション設定となる3ウェイ2トーンカラーを標準設定。
カラーは「クールシルバーメタリック/ブラックマイカ/クールシルバーメタリック」、「 クールシルバーメタリック/ダークブルーマイカ/クールシルバーメタリック」、「 クールシルバーメタリック/ラズベリーレッドパール/クールシルバーメタリック」の3種類を設定。
このほかエクシードではルーフレールと撥水ドアガラス、親水ドアミラーが標準装備となる。
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足元は15インチアルミホイール。タイヤサイズはノーマルと同じく175/80R15。セキュリティーアラームとUVカットガラスも標準装備。
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リア。コンビランプは中期型でバンパーに埋め込まれたタイプだったが、このマイナーチェンジで再び元の位置に。
上部のハイマウントストップランプもバックドア上部からリアガラス内側へ移動している。エクシードでは3ウェイ2トーンカラーによりタイヤカバーも3ウェイ2トーンに着色される。
エンジン・機能装備・安全装備など
搭載されるエンジンは、4A30型4気筒SOHCのNAまたはインタークーラー付きターボ仕様。
これをエンジンルームに縦置きで搭載。かつてはミニカダンガンで採用されていたDOHCの4気筒ツインスクロールターボエンジンを搭載したグレードが存在したが、排ガス規制をクリアできず廃止となり、最終モデルでは完全に消滅している。
自然吸気エンジンでは最高出力52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4500rpm。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.0kg・m(88N・m)/4000rpm。
トランスミッションはエクシードグレードでは4ATのみで駆動方式はパートタイム4WDのみとなる。
安全装備として運転席&助手席エアバッグ&EBD付きABSを標準装備する。
パジェロミニの燃費を良くする方法とは?
パジェロミニの実燃費はターボのATモデルで8km/L~12km/Lと軽自動車にしてはかなり悪く、最新モデルと比べるとはるかに劣ってしまう。
これは重たい車重にストップ・アンド・ゴーでは効率の悪いトルコン式AT、燃費に不利な4気筒エンジンなどが要因となっている。
ただし、悪いパジェロミニの燃費を改善する方法もいくつか存在する。ここでは少しでも燃費を良くする方法を列挙する。
点火プラグや点火コイルをリフレッシュする
パジェロミニは高回転型の4気筒エンジンを搭載し、低いギア比も相まって高回転を多用しがちなモデル。年数経過や過走行により個体によってはスパークプラグやイグニッションコイルが寿命を迎え本来の性能を発揮できない場合がある。
スパークプラグはNGKの最高級(プレミアムRX)のものを使い、コイルも新品に交換すると加速が改善され燃費も少し良くなる場合がある。
タイヤはオンロード用と軽量アルミホイールを使い、空気圧は高めに
パジェロミニはタイヤそのものが重たく、純正スチールホイールでも重さがプラスされ燃費に悪影響を与えている。
そこでオンロード用の低燃費タイヤを使用し、アルミホイールも軽量タイプを使うことで1割程度燃費がアップする。
オフロード用のタイヤは見た目は良いが重たく走行抵抗も大きいので燃費重視で街乗りオンリーなら避けたほうが良い。
サーモスタットが劣化していないか
パジェロミニやこの年代のekワゴンやミニキャブバン、ミニキャブトラックあたりではよくサーモスタットが劣化して開放したままになりやすい(オーバークール)。
この状態で走るといつまでもサーモスタット弁がしまらずアイドリング回転数が高くなり余計に燃料を消費してしまう。
冬場にヒーターが使えない上に燃費も1割程度悪くなので、中古で買った場合はサーモスタットが劣化していないか確認したほうが良い。
燃料フィルター&燃料ポンプを交換する
10万キロ以上の過走行なパジェロミニは燃料フィルターが目詰りし、効率的に燃料をエンジン内に送れていない場合がある(経年劣化で汚れいる場合も有り)。
目詰りした燃料フィルターを使うと燃圧低下、アイドリング不安定、エンジン始動悪化、吹け上がりの悪化、加速性能低下、エンストなどの不具合の要因となる。
また汚れた燃料はインジェクターを詰まらせる要因ともなり、目詰りした燃料フィルターのせいで燃料ポンプに負荷がかかり、寿命をはやめ最悪走行中のエンストを招いてしまうケースも。
交換すると綺麗な燃料が効率的にエンジンに送られことで加速が良くなったり、燃費が改善したりする。
10万キロを越えたパジェロミニは上述の点火系に加えて燃料フィルターや燃料ポンプを交換し、燃料ラインをリフレッシュしておくと良い。
インテリア(内装)
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インパネ。後期型ではインパネが刷新されスタイリッシュに変化。インパネの助手席側、運転席側の両方にカップホルダーを。助手席アッパーグローブボックス、センターボックスを新たに装備。
また前期や中期の一部グレードではオーディオが1DINタイプでナビゲーションシステムなどがそのままでは使えなかったが後期では全グレードで2DINタイプに統一。使い勝手を向上させている。
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ステアリングはエクシードでは本革巻ステアリングホイールとなる。エアコンはマニュアル式エアコン。
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スピードメーターは他グレードと同じ。2010年8月マイナーチェンジではECOランプが追加された。
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ATのシフトノブ。このあたりはデザインの変更はない。
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副変速機のレバー。イージーセレクト4WDと呼ばれるシステムが搭載される。
具体的には2駆→4駆(ハイ・ロー)の切り替えスイッチを備え、いざという時は4駆、普段は2駆とユーザーが切り替えることができる。普段は2駆で走れば燃費を稼げるという仕組みだ。
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フロントシートはセパレートタイプ。他モデルと同じくブラウン系のシート表皮とドアトリムクロスを採用。エクシードでは運転席シートヒーターを標準装備する。
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リアシート。
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ラゲッジルーム。
出典:三菱認定中古車
リアシートを倒した状態。左右分割可倒式となる。
まとめ
出典:三菱認定中古車
2代目パジェロミニの後期型に設定された「エクシード」はそれまで特別仕様車などで好評だった3ウェイ2トーンカラーを標準設定し、撥水ドアガラスと親水ドアミラーを標準装備した最上級モデルである。
後期のスタイリッシュな顔に特徴的な3ウェイ2トーンの相性はかなりよく、好きな人にはたまらない仕様。
もし、中古の2代目パジェロミニの後期モデルで3ウェイ2トーンカラーが欲しい場合は、(MT仕様は無いものの)この「エクシード」か「プレミアムセレクション ファイナルアニバサリー」を探すと良い。他のグレードではこのカラーリングはオプション設定となっていたため少し見つけづらい。
中古市場では人気の後期(最終)モデルな点と、豪華装備や独特のカラーリングの上級仕様ということもあり価格は高め。状態が良いとVRやZRグレードよりも高値になりやすいため少し買いづらい部分がネックか。
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