【2代目・中期型】三菱 パジェロミニ(H53A/H58A型)概要解説 | シン・軽自動車マニア

【2代目・中期型】三菱 パジェロミニ(H53A/H58A型)概要解説

パジェロミニ

パジェロミニは三菱のSUV(RV)型の軽自動車。本稿では2代目H53AおよびH58A系の2005年12月マイナーチェンジ~2008年8月までを中期型とし、これを扱う。

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概要

パジェロミニは「パジェロ」と名がつくことから想像できるように、クロカンであるパジェロの弟分としてデビューした。

1994年に初代がデビューし、1994年にジムニーに対向する形で登場した初代・パジェロミニ。そのパジェロミニは1998年の軽自動車新規格を受けて同年の10月に2代目へとフルモデルチェンジした。

2代目ではそれまでの特徴だった丸目ヘッドライトを廃止し、オーソドックスな角型ヘッドライトを採用。新規格に対応したことでボディ形状は全長で100mm、全幅で80mm拡大するもののスタイリング(パジェロスタイル)はほぼ先代を踏襲。顔つき以外は先代とほぼ同じ外観となっている。

また、モノコック高剛性ボディにクラッシャブルボディ構造とブレーキアシスト機構の採用で、当時の軽自動車としては優れた衝突安全性を誇っていた。

エンジンは新開発となる4A30型4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンと4A30型4気筒DOHC20バルブインタークーラーターボエンジンを搭載。また、先代のオートマは3ATだったが、2代目で電子制御式4ATに置換された。

(※ただし排ガス規制に引っかかりこの4気筒DOHC20バルブツインスクロールターボは2002年9月のマイナーチェンジで廃止、代わりに自然吸気エンジンをターボ化した4気筒SOHC16バルブインタークーラーターボに切り替わった。)

デビュー当初からパジェロミニはジムニーに対して「シティユース」というキャラクターを出していたがこの2代目ではそれが顕著だった。

ベースモデルに対してより個性的な顔をもたせたり(パジェロミニ・デューク)、初代を彷彿とさせる丸目を用意したり(パジェロミニ・リンクス)。

はたまたレカロシートを装備したスポーティーなモデルを追加したり(パジェロミニ VR-S)とまさにムーヴムーヴカスタムの関係のようなグレード展開をSUVで行っていた。

さらにジムニーでは珍しい2WDグレードや、自然吸気エンジン仕様などで価格を抑えたグレードを設定したりと、見た目重視のグレードも展開。見た目のアレンジや装備面の厳選で、安さや個性的なモデルでジムニーに対抗していた。

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中期型・2代目パジェロミニの改良点と前期との違い

その2代目パジェロミニは2005年12月に内外装の小変更を行い中期型となった。

中期型ではフロントグリルを新デザインとしたほか、

2代目中期パジェロミニのフロントグリル

内装ではニット素材とファブリック素材を組み合わせたハイブリッドシートを新規採用し、

2代目中期パジェロミニのインパネ

インパネにシルバー塗装をプラス。

2代目中期パジェロミニのエアコンパネル

エアコンパネル付近のデザインも変更し、上質で洗練された室内空間を創出した。

2代目中期パジェロミニのリアとライトブルーメタリック/クールシルバーメタリック

画像参照元:三菱認定中古車

加えてリアのコンビランプをバンパーに組み込んだデザインとし、精悍さとアクティブな外観を際立たせた(※リアのコンビランプ変更は中期型パジェロミニの大きな特徴)。

さらにボディカラーでは新色の「ライトブルーメタリック」と2トーンの「ライトブルーメタリック/クールシルバーメタリック」「レッドソリッド/クールシルバーメタリック」(オプション設定)を追加。

内外装とカラーリングで前期よりも魅力をアップさせたマイナーチェンジとなっている。

2代目パジェロミニ・中期型のグレード XR,VR,VR-S,特別仕様車の違いなど

2代目中期型パジェロミニのグレード展開は下から順に「XR」、「VR」、「VR-S」の3種類。

これ以外に特別仕様車で「リミテッドエディション」、「アクティブフィールドエディション」の2種類が設定されていた。

XR

2代目中期パジェロミニのエントリーグレード。自然吸気エンジンのみを搭載しターボ車よりも価格を抑えたグレード。4WD機構を持たない2WD仕様も設定し、見た目重視のライトユーザーも取り込んだグレード。

エクステリアでは電動格納ミラー、カラードアウタードアハンドル、15インチアルミホイールを標準装備。

フォグランプ、ルーフレール、リアスポイラーはオプション設定。

インテリアではマニュアル式エアコン、パワステ、パワーウィンドウ、キーレス、CDプレイヤー、4スピーカーなどを標準装備。ボディカラーも2トーンカラーがオプションで選択可能。

前期型・Xグレードの後継だが、装備は拡充されている。

VR

2代目中期パジェロミニの上級グレード。ターボエンジンを搭載しパワフルな走りが特徴のグレード。

XRの装備に加えてABSが標準装備となる。ただし、本革巻きステアリングは非装備。

VR-S

2代目中期型パジェロミニの最上級グレード。VRグレードをベースに純正でレカロシートやエアロパーツを採用し、スポーティな雰囲気を与えたグレード。

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エクステリアでは専用のバンパーエクステンション、サイドシルガーニッシュ、ルーフレール、スペアタイヤケース、フォグランプを標準装備。

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インテリアでは純正レカロシートにダークグレー内装で実用性や質感を向上させている。

VR-Sについてはこちらから。

【2代目・レカロシート装備】パジェロミニ VR-S(H58A型)概要解説

特別仕様車 リミテッドエディションXR

XRグレードをベースに専用3ウェイ2トーンボディカラーと充実装備を与えつつ、価格を抑えたお買い得グレード。

ボディカラーは下記2色のみ

  • ・ミディアムグレーメタリック/ブラックマイカ/ミディアムグレーメタリック、
  • ・ミディアムシルバーメタリック/ホワイトソリッド/ミディアムシルバーメタリック

エクステリアではフロントフォグランプ、メッキ電動格納リモコンドアミラーー、切削光輝アルミホイール、ボディ同色3ウェイ2トーンカラーのスペアタイヤケース、シルバー塗装のルーフレールを

インテリアではAM/FMラジオ付MD/CDプレーヤー(クラリオン製)を標準装備。また、シート、ドアトリムなどダークグレー表皮を採用し内外装をスタイリッシュに。

快適装備ではキーレスエントリーキーを標準1個に対し、2個として利便性を向上した特別仕様車。

MTや2WDが非設定で、AT&4WDの組み合わせのみ。

特別仕様車 リミテッドエディションVR

上記リミテッドエディションXRのターボ仕様。VRグレードがベースで特別装備の中身は同じ。

特別仕様車 アクティブフィールドエディション

「VR」をベースにHDDナビゲーション、UV&ヒートプロテクトガラス、電動格納式ドアミラーや専用シート、合皮革巻ステアリングホイールなどを標準装備とした特別仕様車

これ以外にエクステリアではフォグランプ、専用スペアタイヤケース、専用光輝アルミホイールなども標準装備。

内装では専用ブラックインテリアにキーレスエントリーキーを2本を標準装備した最上級グレード。

【2代目・中期型 特別仕様】三菱 パジェロミニ アクティブフィールドエディション(H53A/H58A型)
パジェロミニは三菱のSUV(RV)型の軽自動車。本稿では2代目H53AおよびH58A系の中期型(2005年12月~2008年8月まで)に設定された特別仕様車、「アクティブフィールドエディション」を扱う。画像参照元:ガリバー2代目 三菱・パジ...

エクステリア

フロント

フロントデザイン。中期型ではヘッドライトはそのままにフロントグリルを新デザインとした。

それまでの前期型ではヘッドライト内側両サイドに左右対称のL字のようなメッキパーツが付いてたが、中期型ではこれをシンプルに2本のメッキラインとした。

ちょうど同年代の親パジェロ(4代目・パジェロ)のようなメッキグリルでシンプルなデザインだが前期よりも精悍さがアップしている。

サイド

サイド。このあたりは変更点はなし。ボディカラーは新色の「ライトブルーメタリック」と

2トーンの「ライトブルーメタリック/クールシルバーメタリック」

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「レッドソリッド/クールシルバーメタリック」(オプション設定)を追加。

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さらに前期のモノトーンカラー選択時ではバンパーが無着色となっていたが、中期型ではバンパーも着色され完全モノトーンとなった。

純正アルミホイール&タイヤサイズ

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足元は全グレードで15インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは175/80R15。

これとは別に特別仕様車では鏡面仕上げを施した光輝タイプのアルミホイールも設定していた。

【2代目・中期型 特別仕様】三菱 パジェロミニ アクティブフィールドエディション(H53A/H58A型)
パジェロミニは三菱のSUV(RV)型の軽自動車。本稿では2代目H53AおよびH58A系の中期型(2005年12月~2008年8月まで)に設定された特別仕様車、「アクティブフィールドエディション」を扱う。画像参照元:ガリバー2代目 三菱・パジ...

リア

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リア。中期型では数あるパジェロミニの中でも珍しいバンパー埋込み型テールランプ&ウィンカーを採用。

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それまでのコンビランプは形状だけ流用し、バックランプ以外をダミー化。加えてウィンカーとブレーキランプをバンパー部に移動させて新規コンビランプとし、ワイド感を演出した。

普通車のSUVでもたまに見られるデザインだが、これを中期型パジェロミニで取り入れている。

エンジン・機能装備・安全装備など

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エンジンは4気筒のNAとターボの2種類。これをエンジンルームに縦置きで搭載する。

自然吸気エンジンでは4A30型4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンを採用し、最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(61.8N・m)/4500rpmを発生。

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ターボエンジンは4A30型4気筒SOHC16バルブインタークーラーターボ。

前期初代に設定されていた4気筒DOHCツインスクロールターボは排ガス規制をクリアできず、2002年9月マイナーチェンジ時に廃止。

最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.0kg・m(88N・m)/4000rpmに変更されている。

トランスミッションは4ATまたは5MTのいずれか。先代ではATに3ATの設定があったが、2代目パジェロミニでは全AT車で4ATになった。

駆動方式はFRまたは4WDで、4WDグレードでは「イージーセレクト4WD」と呼ばれる切り替え式のパートタイム4WDとなる。

運転席&助手席エアバッグは全グレードに標準装備。ABSはXRグレード以外で標準装備。

パジェロミニ ターボ車とターボ無し(自然吸気エンジン)の見分け方

パジェロミニにはターボ車と自然吸気エンジンの2種類が存在するが、その見分け方は簡単。

画像参照元:ガリバー

ボンネット中央部にインタークーラー冷却用の穴(エアダクト)がある方がターボ車、

無いほうが自然吸気エンジン車となる。

ちなみに初代H51/H56型と2代目のH53/H58型のどちらもターボ車はボンネットに穴が空いているので、初代と2代目共に「パジェロミニのボンネットに穴がある=ターボ車」、「ボンネットに穴がない=ターボ車じゃない」と覚えるといい。

パジェロミニの弱点 故障しやすいポイントなど

パジェロのブランド名から頑丈で壊れづらいイメージがあるパジェロミニ。だが、実際は壊れやすい部分がいくつかあり、パジェロミニの弱点ともなっている。

弱点① サーモスタットの故障

パジェロミニに限らずこの年代の三菱製軽自動車(eKワゴン、アイ、ミニキャブ)などでは年数経過や過走行でサーモスタットが劣化しやすく、真冬でもヒーターが効かなくなるオーバークール現象を起こす場合がある。

パジェロミニの中古車はどれも10年以上経過し、安い中古車は走行距離も10万キロを越える個体も多い。経年劣化によりこのサーモスタットがよく故障する。

弱点② 点火プラグ&イグニッションコイルが劣化しやすい

パジェロミニは軽自動車でも珍しい4気筒エンジンを搭載している。

そのエンジン特性やギア比ゆえに高回転を多用しがちなのだが、そのイグニッションコイルは4つの燃焼室に4個を使用する「ダイレクトイグニッションコイル方式」でなく、2個で1個を併用する「セミダイレクトイグニッションコイル方式」を採用している。

セミダイレクトイグニッションコイル方式ではイグニッションコイルの数が気筒数に対して半分になるため、メーカー側は部品コストを抑えられるメリットがあるのだが、逆に2個で1個を併用する分、イグニッションコイルに対する負荷が2倍になり、劣化しやすい特徴もある。

(※そのため現在の自動車メーカーではセミダイレクト方式を採用せず、1気筒に対して1個のイグニッションコイルを使用するダイレクト方式を採用するのが主流となった)

特に高回転を多用しがちなパジェロミニの4気筒エンジン。点火プラグも劣化しやすく、イグニッションコイルにも負荷がかかって高速道路や峠道、林道など高回転を使うシチュエーションが多かった個体は点火プラグはもとよりイグニッションコイルも劣化している個体が多い。

点火プラグは交換せずに放置するとプラグ先端が燃焼室に焼け落ち、燃焼室を破損させ最悪エンジンブローの原因ともなるため注意が必要である。

弱点③ ATトランスミッションの不具合

H53/H58A型2代目パジェロミニで有名なトランスミッションの不具合。特に1998年8月~2002年8月までの前期型で不具合が起こりやすく、最悪ミッションブローで載せ替え交換に至るケースも。

これはトランスミッション内のソレノイドバルブにあるストッパープラグが欠陥品で、高回転を多用するとその負荷に耐えきれなくなりストッパープラグが破断。変速が上手く行われなくなるもの。

特に高速道路や山登りなど常時高回転を多用する運転をしていると負荷が蓄積して発生しやすい。

2002年9月以降のモデルではこのソレノイドバルブが対策品となり、以降は前期型よりも不具合が起きづらくなった。

インテリア

インパネ

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インパネ。デザインは前期と同じだが、カラーが変更された。

前期ではブラックとグレーの組み合わせだったが、後期ではブラックを基本にセンタークラスターパネルとエアコン吹き出し口上部シルバー塗装され若干スタイリッシュに変化した。

スピードメーター

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スピードメーターのデザインは変更なし。

ATシフトノブ

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ATのシフトノブ。

5MTシフトノブ

5MTのシフトノブ。シフトブーツの蛇腹が古臭いが、SUVなのでこれはこれで味がある。社外の革ブーツでカスタムすると面白いかも。

副変速機

副変速機のレバー。「パートタイム4WD(イージーセレクト4WD)」は引き続きこのノブで操作する。

イージーセレクト4WDと呼ばれるこのシステムは、2駆→4駆(高・低)の切り替え機構を備え、いざという時は4駆の4H、負荷のかかる悪路では強力な4Lモード。

普段は2駆とユーザーが切り替えることができる。普段は2駆で走れば燃費を稼げるという仕組みだ。

なお、パートタイム4WDでLSDが非装備なため、タイヤが対角で空転すると「対角スタック」が発生し、身動きが取れなくなる。

なので常に3輪以上タイヤが地面に接地するような運転テクニックが必要である。

フロントシート

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フロントシートはセパレートタイプ。中期型では新たにニット素材とファブリック素材を組み合わせたハイブリッドシートを採用。

リアシートの

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リアシート。他のパジェロミニと同じく補助的なタイプ。

ラゲッジスペース

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ラゲッジルーム。

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リアシートを倒した状態。

まとめ

2代目・パジェロミニの中期型はグリルとコンビランプデザインの変更により前期よりもスタイリッシュになった外観と、ニット&ファブリックシートと新カラーのインパネで上質感がアップしたマイナーチェンジとなっている。

残念なことに高出力な4気筒DOHCターボが廃止になってしまったが、それ以外では順当なバージョンアップとなっており前期よりも魅力がアップしている。

なお、後期型ではヘッドライトとバンパーのデザインがリニューアルされより上質感がアップする。さらにコンビランプも元のデザインに戻るため、リアが気に入れない場合は2代目・後期型を検討すると良いだろう。

パジェロミニは安い?その理由

最後にパジェロミニの中古車がなぜ安いのか考察する。安いといっても2代目後期モデル(2008年9月以降モデル)はジムニーの影響をうけて価格が以前よりも上昇。ここでは本稿の中期以前を扱う。

中古車は一般的に生産終了から10年以上経過すると中古価格が下る傾向にある。その理由は以下のとおりで、

  • 走行距離が増えて10万キロに近い
  • 消耗品や交換部品の寿命を迎え、常態が悪くなる
  • モデルチェンジし人気がなくなるorライバルが人気モデルを発売する
  • 燃費が最新モデルより悪い

ただし、これに当てはまらないモデルも存在する。たとえば雪国で重宝される4WD車は10年落ちでも2WDの車より需要があるため、一定の値段が付く(※逆に10年落ち2WDの車は需要がないため安い)。

また、昔から根強いファンがいる人気モデルは古くなってもその人気が衰えず需要が常にあり、10年落ちでも中古価格がさがらないケースもある。

1世代前のJB23型ジムニー・ランドベンチャー

パジェロミニのライバルだったジムニーは雪国での需要もさることながら、軽自動車で唯一無二の本格クロカンとして人気を誇るモデル。

社外のカスタムパーツも豊富にあり、購入後はドレスアップの楽しみもある。そのため10年落ちであっても中古価格が高い傾向にある。

一方でパジェロミニの方は根強いファンがいるもののジムニーに比べれば少なく、カスタムパーツもかなり少ない。中古車のタマ数は比較的豊富で、市場ではその需要が価格に反映されるほどとはなっていない。

2代目後期モデルのみジムニーの影響を受けて価格が上昇したが、それ以前の中期モデルよりも前であれば年数経過もあって一般的な中古車と同じく安価な価格となっている。

そのため2代目中期型以前のパジェロミニは比較的買いやすいモデルでもある。

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