N-WGNはホンダのワゴン型軽乗用用車。「N-WGN カスタム」はそのカスタムモデルである。本稿では初代JH1およびJH2系のデビュー当初(2013年11月~2016年5月までを前期期型とし、これを扱う。
出典:ホンダ認定中古車
ホンダ 初代・N-WGNとは?
N-BOX、N-ONEに続くNシリーズとして2013年11月にデビューしたN-WGN(エヌワゴン)。
Nシリーズ最後発のこのモデルは、かつて販売されていたゼストの後継モデルとして、売れ筋であるムーヴやワゴンRのライバル車種として投入された。
ライバルと似たようなボディフォルムにホンダらしい直線基調のフロントデザインを与えたことでノーマルモデルでもベーシックでありながら非ファニー(可愛らしい)系の万人向けするデザインとなっている。
モデル構成は他社と同様にノーマルモデルのN-WGN、カスタムモデルのN-WGN カスタムの2種類を設定。
スズキやダイハツと違うのはデビュー当初からノーマルモデルでもターボエンジンモデルを設定する点で、ターボモデルにありがちな極端な価格上昇を抑えている点は良心的だ。
出典:ホンダ認定中古車
エンジンはN-BOXやN-ONEと同じS07A型を採用。これにCVTを組み合わせ、ゼスト時代の4ATは完全廃止された。
S07A型はナトリウム封入バルブやツインインジェクションシステムの採用で優れた低燃費と高出力&高トルクを両立させた。エンジン技術に定評のあるホンダらしいエンジンである。
安全技術としてはN-BOXやN-ONEと同じていたエマージェンシーストップシグナル、VSA、ヒルスタートアシスト機能を全グレードで標準装備。
自動ブレーキのシティブレーキアクティブシステムはサイドカーテンエアバッグシステム・前席用i-サイドエアバッグシステムをセットにした「あんしんパッケージ」としてグレード別にオプション設定または標準装備となる。
初代 N-WGNカスタムとは?
そのN-WGNにスタイリッシュな専用パーツを内外装で採用し、質感やスポーティ感を高めたカスタムモデルがN-WGNカスタム。
エクステリアには
- 専用ヘッドライト(ディスチャージヘッドランプ)
- 専用グリル
- 専用エアロバンパー
- サイドアンダースポイラー
- ルーフエンドスポイラー
- クリアーテールランプ
- アルミホイール
- LEDターンランプ付きドアミラー
などを標準装備し標準モデルと差別化。インテリアでも
- カスタム専用ブラックインテリア
- カスタム専用インパネ
- 革巻きステアリング+ピアノブラック調ステアリングガーニッシュ
- バイオレットイルミネーション照明
など上質な室内空間が特徴のモデル。スズキならワゴンRスティングレー、ダイハツはムーヴカスタムに相当するモデルで、かつての売れ筋モデルのライバル車種となるべく投入された。
初代・前期N-WGNカスタムのグレード G、G・Aパッケージ、G・Lパッケージ、G・スタイルパッケージ・G・ターボパッケージ、SSクールパッケージの違い
初代・前期N-WGNカスタムのグレード構成は自然吸気エンジンはエントリー「G」、上級「G・Aパッケージ」、「G・Lパッケージ」、「G・スタイリッシュパッケージ」、
ターボエンジンは上級ターボ仕様「G・ターボパッケージ」の5種類。
これ以外に特別仕様車で「G・Lパッケージ SSクールパッケージ」と、「G・ターボパッケージ SSクールパッケージ」がある。
Gグレード
初代・N-WGNカスタムのエントリーグレード。
インテリアではピアノブラック調本革巻きステアリングを。
快適装備はフルオートエアコン、プッシュ式エンジンスタート、チルトステアリング、スマートキーが標準装備。
安全装備面は、VSA(車両挙動安定化制御システム)、エマージェンシーストップシグナル、ヒルスタートアシスト機能を標準装備するカスタムのベーシックなグレード。
※「あんしんパッケージ」はオプション設定
G・Aパッケージ
初代・N-WGNカスタムの上級グレード。
Gグレードに追加で自動ブレーキ+サイドカーテンエアバッグの「あんしんパッケージ」、クルーズコントロール、質感の高いプレミアムインテリア(クオリティインテリア)、ピアノブラック調センターパネル&メーターパネル、プラズマクラスター搭載フルオートエアコンを。
エクステリアではIRカット〈遮熱〉/UVカット機能付フロントウインドウガラス、IRカット〈遮熱〉/スーパーUVカットフロントドアガラスを標準装備する。
G・ターボパッケージ
初代・N-WGNカスタムの上級ターボグレード。
G・Aパッケージをベースにターボエンジンを搭載した最上級グレードで、G・Aパッケージの装備に加えて専用デザインの15インチアルミホイールをオプション設定、マニュアルモード付きCVTのパドルシフトを標準装備する。
G・Lパッケージ
2015年4月のマイナーチェンジで「G・Aパッケージ」から改名した上級グレード。
G・LパッケージではG・Aパッケージに加えて新たに「オートリトラミラー」標準装備する。
特別仕様車 SSクールパッケージ
2015年7月に設定された特別仕様車で、上級グレードのG・LパッケージとGターボパッケージがベース。
これに専用クロームメッキフロントグリルやクロームメッキリアライセンスガーニッシュなど外装でワンポイントの特別感を与えたグレード。
SSクールパッケージについてはこちらから。

エクステリア(外装)
フロント
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。ヘッドライトは全グレードでディスチャージタイプ(ロー側)となり、グリルにも水平基調のデザインが与えられシャープな感じを演出している。1本の太いメッキグリルと非メッキタイプの3連グリルで押しの強さを演出している。
この手のデザインはスズキのワゴンRスティングレー、ダイハツの新型タントカスタムに通じるものがあるが、ホンダのエンブレムにより、同社のステップワゴンを連想させ、これはこれでホンダらしく見える。
出典:ホンダ認定中古車
バンパーもカスタム専用で標準でフォグランプ付き。さらに「フロントアクセサリーLED」も標準装備され、ポジション球と連動で独特の雰囲気を演出する。ホンダ曰く「アバンギャルド・エモーション」がテーマとのこと。
サイド
出典:ホンダ認定中古車
サイド。ワゴンタイプでもボンネットの角を立たせてより乗用車らしく見せている。全高はN-BOXより低く、 N-ONEよりも高い。ハーフシェイド・フロントウインドウはGグレードのみオプション設定。それ以外は標準装備。
さらにGグレードではUVカット機能付フロントウインドウガラス、高熱線吸収/スーパーUVカットフロントドアガラスを標準装備。それ以外ではIRカット〈遮熱〉/UVカット機能付フロントウインドウガラス、IRカット〈遮熱〉/スーパーUVカットフロントドアガラスを標準装備。
ワンタッチでキーを解除する「Hondaスマートシステム」は全グレード標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
初代・前期N-WGNカスタムのボディカラー
初代・前期N-WGNカスタムのボディカラーは
- プレミアムホワイト・パール
- カトラリーシルバー・メタリック(新色)
- スマートブラック(新色)
- ポリッシュドメタル・メタリック
- ホライゾンターコイズ・パール
- プレミアムフレイムオレンジ・メタリック(新色)
- プレミアムゴールドパープル・パール
の計7色。
2015年4月マイナーチェンジでは「プレミアムホワイト・パール」を「プレミアムホワイト・パールII」に。「プレミアムホワイト・パール」を「プレミアムホワイト・パールII」に置換。
カスタムでは「ホライゾンターコイズ・パール」と「プレミアムフレイムオレンジ・メタリック(オプションカラー)」を廃止する替わりに「ブリリアントスポーティーブルー」と「ミラノレッド」を追加した。
初代N-WGNのタイヤサイズ、純正アルミホイールなど
出典:ホンダ認定中古車
足元は全グレードで14インチアルミホイール(切削クリア塗装+ピューターグレー塗装)。
出典:ホンダ認定中古車
最上級のG・ターボパッケージにはオプションでスタイリッシュな15インチアルミホイールが設定される。
リア
出典:ホンダ認定中古車
リア周り。コンビランプのストップランプはLED仕様。カスタムではバックドアにメッキガーニッシュが備わる。
出典:ホンダ認定中古車
カスタム専用のコンビランプは、ライト&スモール点灯時に、コの字型に尾灯が点灯する。
エンジン・機能装備・自動ブレーキなど
出典:ホンダ認定中古車
エンジンはS07A型3気筒のNAと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類を設定。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.6kg・m(104N・m)/2600rpmを発生する。
自然吸気エンジンでも最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4700rpmと軽自動車のエンジンにしてはかなりの高出力。
これはツインインジェクションシステムとナトリウム封入排気バルブを採用したためで、スズキの「デュアルジェットエンジン」のような直噴エンジン並の燃焼効率が得られている。
圧縮比も11.8とかなり高め。トランスミッションは全グレードCVTのみで、駆動方式はFFと4WDが用意される。
この他安全装備としてはVSA(ABS+TCS+横すべり抑制)とヒルスタートアシスト機能が全グレードで標準装備。約30km/h以下での前方車両との衝突の回避・被害軽減をサポートする「City-Brake Active System(シティブレーキアクティブシステム)は「あんしんパッケージ」として全グレードにオプション設定。
クルーズコントロールはGグレード以外のG・AパッケージとG・ターボパッケージに設定される。
初代・前期N-WGNカスタムの持病 CVTの不具合について、ガラガラ、ギー、ゴーなど変なうなり音がする原因など
CVT不具合の内容と原因
初代の前期型N-WGNカスタムのCVTは、走行距離が増えるとミッション内部の加工片が偶発的にドリブンプーリーベアリング内部に噛み込み、ベアリング内部の軌道面が剥離して異音が発生するケースがある。
これに関してはホンダからCVTの延長保証が出ており、不具合が発生しやすいようだ。
特にCVTフィールドを定期的に交換していないと異音が発生しやすく、一度も交換していないようなN-WGNカスタムは発生の可能性が高くなる(N-WGNのCVTフィールドは4万キロごとが交換推奨時期)。
※ただし定期的な交換をしている場合でも走行距離によっては異音が発生するケースもあり

そのまま放置し続けると加速不良から走行不能にまで発展するため、乗り続ける場合はかならず対処が必要となる。
なお、N-WGN以外に同年代のN-BOXやN-BOXスラッシュ、N-ONEなどNシリーズとS660の前期モデルの一部で同様の不具合が発生している。
保証期間
①初度登録日から経過、6年未満の車両
5年または10万km以内 ⇒ 7年または10万km以内
②初度登録日から経過、6年以上の車両
5年または10万km以内 ⇒ 保証期間延長開始後から1年または10万km以内
CVT不具合に対する修理費用について
万が一この現象が出ているモデルで保証期間がすぎると自己負担による有償修理(ミッション載せ替え)が必要。不具合の部品だけの交換は難しく、トランスミッション丸ごと(ASSY)交換となる
新車登録年以外に10万キロ以上の車では保証外なため、8年落ち以上の個体や10万キロ超過の過走行車を買う場合は要注意。
購入後に不具合が発覚しても保証外なため自腹修理となり、ミッション本体と工賃をあわせると約30万円ぐらいの高額修理になる場合がある。
そのため中古で初期モデルのN-WGNカスタムを買う場合はこの不具合が出ていないか、あるいは対策済みなどかを確認してから購入することを強くオススメする。
インテリア(内装)
インパネ
出典:ホンダ認定中古車
インパネ。カスタムではブラックとバーガンディ(紫)のツートンカラーで上級感とスポーティー感を演出。さらに「バイオレットイルミネーション」照明でインテリアに独特の雰囲気を与えている。
このほか、ピアノブラック調ガーニッシュ付き本革巻ステアリングホイールを全グレード標準装備。
エアコン
出典:ホンダ認定中古車
Gグレード以外ではピアノブラック調のセンターパネルとメータパネルが付き、エアコン(フルオートエアコンディショナー)にはプラズマクラスターが搭載される。
Gグレードはオートエアコンのみ。ディスプレイオーディオはGグレード以外にオプション設定。
N-WGNカスタムのパドルシフト
出典:ホンダ認定中古車
ターボ仕様ではパドルシフトがステアリングに備わる。エンジンスタートはプッシュスタート式。クルーズコントロールはGグレード以外に標準装備となる。
スピードメーター
出典:ホンダ認定中古車
スピードメーター。タコメーター付きの自発光式メーターで
さらにエコインジケーターが搭載され、エコ運転を視覚的に色で表示する。
2015年4月マイナーチェンジではそれまでオプション設定だった「ナビ装着用スペシャルパッケージ」が標準装備された。
これはワンセグTV対応マイクロアンテナやリアワイドカメラ機能をホンダ純正ナビと連動させて使いやすくするオプションで、リアワイドカメラ、照明付オーディオリモートコントロールスイッチ、リア2スピーカー、マイクロアンテナが標準装備となった。
フロントシート
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。G・AパッケージとG・ターボパッケージでは「クオリティインテリア」となり、プライムスムース&ジァージコンビシート(ダブルステッチ)のシートとなる。
これ以外にもクオリティインテリアではインパネガーニッシュやドアオーナメントパネルがレイヤードクリアパネル(ダークシルバーライン付き)となり、エアコンパネルがピアノブラック調などに変更される。
リアシート
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。スライド幅は200mm。
ラゲッジスペース
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
初代・前期N-WGNのまとめ
N-WGNはN-BOXのようにハイトワゴンではなく、 N-ONEのように個性の強すぎないデザインを求めている、売れ筋タイプの軽自動車を探している人にピッタリな1台だ。
ノーマルでも十分デザインが良いが、カスタムはそれ以上にシャキッとしていて、カスタムの名にふわさしいデザインとなっている。燃費性能ではスズキに比べると見劣りする部分もあるが、そこそこ高いのでそこまでは気にならないかも。
ライバルはワゴンR・スティングレー、ムーブカスタムとなるが、購入の際は試乗してしっくり来る1台を選ぶといいだろう。
中古市場では初代前期モデルは年数経過もあり、以前よりは比較的買いやすい価格帯に落ちてきているものの、割高な個体もあるため価格相応か見極めた上での購入をオススメする。
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