S660はホンダのオープンカー型軽自動車である。本稿では2015年4月~2019年12月までを前期型とし、これを扱う。
出典:ホンダ認定中古車
ホンダ S660とは?
2015年4月に登場したS660は、軽自動車の売れ筋モデルである箱型とは一線を画する本格的なスポーツカーとして登場した。
かつてバブル時代に販売してたビートの実質的な後継モデルでありおよそ19年ぶりの本格的軽スポーツカーの復活となった。先代と同じくエンジンはリアに配置、後輪を駆動するMR方式を採用し、完全開放では無いもののオープンカーに近い開放的なルーフ開放部分(ロールトップ)を備えている。
出典:ホンダ認定中古車
S660はスポーティーな外観はもちろんのこと、「曲がる」・「走る」・「操る」の3つを追求したモデルでミッドシップレイアウトによる前後重量配分45:55の実現や、ロールセンター高と重心高の最適化、軽自動車初となる電子制御システムの「アジャイルハンドリングアシスト」の採用などで「曲がり」を追求。
新設定のターボチャージャーや軽自動車初の6MTの採用、吸・排気音、タービン音やブローオフバルブ音をあえて出すことでスポーツカーならではのサウンドや脱着式の「ロールトップ」の採用で「走る」を追求。
ドライバーの着座姿勢やヒップポケット、アクセルやブレーキ位置を最適化してまるでゴーカートに乗っているような独特のドライビングポジションを実現。
ステアリングホイールにはφ350mmの物を採用し、「ミッドモード付フルオート・エアコンディショナー」や昇降式リアセンターガラスを採用し、オープン時でも快適な室内空間の実現で「操る」を追求した。
安全面では直線となめらかな曲線で構成したボディ骨格に万が一の横転対策としてフロントピラーとセンターピラーに補強材を追加し、横転事故での高い乗員保護性能を実現。
このほか「運転席i-SRSエアバッグシステム」「助手席用i-SRSエアバッグシステム」に加え、側面衝突時の衝撃を吸収する「i-サイドエアバッグシステム」を標準装備。
横滑り防止装置のVSAやヒルスタートアシスト機能に加えエマージェンシーストップシグナルも全グレードで標準装備、「シティブレーキアクティブシステム」はグレード別で標準装備とした。
前期型S660のグレード一覧と違い、限定・特別仕様車など
S660のグレード構成はエントリーグレードの「β(ベータ)」と、上級グレードの「α(アルファ)」の2種類。
これ以外に前期には限定モデルが「コンセプトエディション」、「モデューロX」の2種類。無限によるコンプリートカー「無限 RA」が1種類。
特別仕様車は「ブルーノレザーエディション」、「ハッシュタグ コモレビエディション」、「トラッドレザーディション」の3種類がある。
β(ベータ)グレード
S660の基本・エントリーグレード。基本性能はアルファと同じだが内外装の装備がアルファに比べるとエントリー仕様となり、豪華さにかける。
また、ボディカラーも「ナイトホークブラック・パール」、「アラバスターシルバー・メタリック」、「プレミアムスターホワイト・パール」の3色のみ。
快適装備もベータではヒートシーターが非装備で、本革巻きステアリング、シフトノブ、アルミペダルも非装備。シート表皮もファブリックシートで簡素な装備となる。
α(アルファ)グレード
S660の上級グレード。ベータよりも内外装が豪華になる。
エクステリアでは「専用切削加工アルミホイール」、「クリアーフェンダーウィンカー」を採用。
ボディカラーはベータよりも
- 黄色の「カーニバルイエローII」
- 赤系「フレームレッド」
- 青系「プレミアムビーチブルー・パール」
- 黒メタリック系「プレミアムビーチブルー・パール」
の4色が増えた全7色を設定。
内装では
- 本革巻きステアリング
- アルミシフトノブ
- メッキインナーハンドル
- シルバー塗装メーターバイザーリンク
- アルミペダル
LEDルームランプを標準装備し、シート表皮も「レザーシート」で上級な内装となる。
限定660台・特別仕様 コンセプトエディション
S660のデビューと同時(2015年4月2日)に設定された660台の限定モデル。
コンセプトエディションは2013年東京モーターショーの「Honda S660 CONCEPT」をモチーフとし、ルーフ部分のロールトップをボルドーレッド、サイドミラーはツートンカラーなど2013年のコンセプトモデルとほぼおなじ外観と上級思考の内装が特徴。
コンセプトエディションでは外装に
- ボルドーレッド色ロールトップ
- 2トーンカラー塗装サイドミラー
- 内部ブラック塗装エキパイフィニッシャー
- 撥水ボディーコート(ウルトラグラスコーティングNEO)
- ドアガラスに撥水ガラスコート加工
内装では
- 専用レッドステッチ入りアシンメトリーカラースポーツレザーシート(運転席)
- 本革巻ステアリングホイール
- シフトブーツ
- 本革巻MTシフトノブ(シフトパターン刻印:レッド)※6MT車のみ
- シリアルナンバー(1〜660)付アルミプレート
- センターディスプレイ(internavi POCKET連携対応)
安全装備として
- シティブレーキアクティブシステム
(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能 ※CVTのみ)
などを特別装備とし、ノーマルよりも特別感や上級感を高めた限定仕様となっていた。
なお、ボディカラーは1色「プレミアムスターホワイト・パール」のみの設定で、白以外のボディカラーは選択できなかった。
コンプリートカー モデューロX
2018年7月設定の追加グレード。ホンダアクセスがてがけるS660のコンプリートカーで、専用開発のサスペンションや空力特性を活かしたパーツを特別装備したモデル。
モデューロXのエクステリアには
- 専用グリル一体型専用フロントバンパー
- 専用LEDフォグライト
- 専用カラードドアミラー
- ロールトップ
- 専用アクティブスポイラー(ガーニーフラップ付き)
- リアロアバンパー
- 専用リアエンブレム
- フロントにはステルスブラック塗装の15インチアルミホイール
- リアにはフロントと同色塗装の16インチアルミホイール。
- アルミホイール専用ホイールナット
- 専用サスペンション(5段階減衰力調整機能付き)
- ディスクロータードリルドタイプ
- スポーツブレーキパッド
内装では
- 専用スポーツレザーシート
- 専用本革巻ステアリングホイール
- 専用モデューロXロゴ入メーター
- 専用モデューロXロゴ入りアルミ製コンソールプレート
- 6MT車にはチタン製シフトノブ&グレーステッチのシフトブーツ
- CVT車ではボルドーレッド&ブラックの専用セレクトノブ
- ボルドーレッド&ブラックの専用サイドブレーキカバー
- ボルドーレッドの専用インパネソフトパッド
- 専用フロアカーペットマット
を特別装備とし、内外装でモデューロXのコンセプトを適用した特別仕様車となっている。
モデューロXについてはこちらから。
特別仕様 αブルーノレザーエディション
2017年6月2日設定の特別仕様車。専用ボディカラーとブラックカラーの外装品、ジャズブラウンインテリアなどを与えシックな雰囲気とした特別モデル。
ブルーノレザーエディションは2017年のカスタムカーの祭典、「東京オートエアコン2017」に参考出品されていた1台でこれの市販バージョン。
エクステリアでは
- ブラックドアミラー
- オールブラックアルミホイール
内装では
- ジャズブラウンインテリア(専用スポーツレザーシート、専用本革巻ステアリングホイール、インパネソフトパッド)
- 専用アルミ製コンソールプレート
- internavi POCKET連携センターディスプレイ
を特別装備とし、期間限定販売となっていた。
ブルーノレザーエディションについてはこちらから。
特別仕様 β#komorebi edition(コモレビエディション)
2017年10月設定の特別仕様車。専用色とブラウンルーフトップ、ライトタンインテリアなどを特別装備とした期間限定モデル。
出典:ホンダ認定中古車
コモレビエディションでは専用ボディカラーに「ビダマリアイボリー・パール」を設定し、外装では専用のブラウンカラーのルーフトップを。
内装ではライトタンインテリアを採用し専用アルミコンソールプレートも与え、上質かつシックで親しみやすさを強調し特に女性向けを意識した特別仕様車となっていた。
コモレビエディションについてはこちらから。
特別仕様 αトラッドレザーエディション
2018年12月設定の特別仕様。ブラウンルーフトップにトラッドレザーインテリアなどを特別装備としたモデル。
トラッドレザーエディションではエクステリアに「ブラウンロールトップ」、「本体ブラッククリア塗装&ホイールナットブラック塗装の専用アルミホイール」を。
インテリアには
- 専用トラッドレザーのバケットシート
- トラッドレザー本革巻ステアリングホイール
- トラッドレザーインパネソフトパッド
- アルミ製コンソールプレート
を特別装備とし、トラッドレザーによる上質感や洗練された存在感を追求した特別仕様車となっていた。
トラッドレザーディションについてはこちらから。
コンプリートカー 無限 RA
2016年5月設定の無限によるコンプリートカー。
「S660 無限RA」のRAとはレーシングのRとアルファベットの最初の文字であるAを組み合わせ、ユーザーがこここからカスタムを始めるという意味を持たせている。
外装の変更は最小限に抑え、かわりにユーザーがチューニングする際にカスタムしづらいインテリアや足回り、排気系パーツを専用設計。S660の走りの良さを引き出したコンプリートカーとなっている。
エクステリアには無限専用装備としてフロントグリル(カーボンコンポジット& ASAアクリル製)、RAエンブレム(リア)。
機能標準装備としては
- UVカット機能付フロントウインドウガラス
- 高熱線吸収/UVカット機能付ガラス(フロントドアガラス、リアガラス)
- クリアーサイドターンランプ
内装では無限専用装備として
- 本革製専用カラー表皮シート
- 専用カラーステッチ採用本革巻きステアリングホイール
- 無限ロゴ入りメーター
- カーボンシフトノブ(※MT仕様のみ)
- 専用カラーステッチ入りシフトブーツ(MT仕様)or専用カラーステッチ採用本革巻セレクトレバー(※CVT仕様)
- 無限ロゴ入りプッシュエンジンスタート/ストップスイッチ
- シリアルナンバープレート
ボディカラーにはフレームレッド、プレミムスターホワイト・パール、プレミアムスティックナイト・パールの3種類を設定。
ベースに標準装備としては
- 照明付オーディオリモートコントロールスイッチ
- 高輝度シルバー塗装のメーターバイザーリング
- クロームメッキ仕様のパーキングブレーキノブ&エアコンアウトレットノブ&SPORTSスイッチリング(CVT)orSELECTスイッチリング(6MT)&メッキインナーハンドル
- カーボン調×高輝度シルバー塗装ステアリングガーニッシュ
足回りには専用装備として
- BILSTEIN社製車高調整式サスペンション(前後単筒倒立式ダンパー)
- BBS社製鍛造軽量アルミホイール
ベースに標準装備としてはアジャイルハンドリングアシスト、タイヤは前後異径のYOKOHAMA ADVAN NEOVA®AD08R、パドルシフトを。
マフラーは無限RA専用設計のステンレス製サイレンサーマフラーを。
安全装備としては
- 運転席用i-SRSエアバッグシステム&助手席用i-SRSエアバッグシステム
- i-サイドエアバッグシステム
- MT仕様車にクラッチスタートシステム
- CVT仕様にはアイドリングストップシステム
自動ブレーキのシティアクティブブレーキシステムはCVT仕様のみにオプション設定。
快適装備としては
- ミッドモード付きフルオートエアコンにiPod®対応USBプレーヤー/AM・FMチューナー
- internavi POCKET連携対応のセンターディスプレイ
- HDMI®ジャック/USBジャック
- カーボン調Hondaスマートキーシステム(キー2個付)
などを採用した。
S660 無限 RAについてはこちらから。
エクステリア(外装)
S660のフロント
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。ヘッドライトからグリルにかけて横一列に流れるようなデザインが特徴だ。グリルの開口部分はそれに沿うように自然に開き、ダイナミックなバンパーと合わせて非常にスポーティーな印象だ。
先代のビートを知っている人から見ると近代的にカッコよくなった後継モデルにも見えるだろう。なお、ヘッドライトは近年一般的になりつつあるLEDタイプを標準装備している。
S660のサイド
出典:ホンダ認定中古車
サイドから。ボンネットからリアにかけて美しい曲線を描いている。ワゴン型やハイト系ではまず無理なデザインだ。
全長は軽自動車なので全体的にコンパクトだがちゃんとしたスポーツカーに見える。専用のアルミホイールもエアロ感が出ており好印象だ。
S660のタイヤサイズ
出典:ホンダ認定中古車
足元はβグレードでは通常タイプのアルミホイール。フロントが15インチ。リアが16インチのアルミホイールとなる。
出典:ホンダ認定中古車
αグレードでは切削加工&ブラック塗装の専用アルミホイールとなる。タイヤサイズはβもαも同じでフロントは165/55R15。リアは195/45R16。
S660のリア
出典:ホンダ認定中古車
斜め後ろからもデザインが美しい。
出典:Goo-net
リア。デザインスペースに余力が無い実用性重視の軽自動車とは違ってしっかりとデザインされている。コンビランプもフロントデザインに通ずる独特のもので、斬新さを感じる。
出典:Goo-net
コンビランプはLED仕様でこのように点灯する。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:Goo-net
エンジンはS07A型3気筒直列DOHCのターボエンジンのみ。
最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpmを発生する。
エンジンそのものは初代N-BOXと同じエンジンだが、タービンはS660専用品で優れたアクセルレスポンスを実現している。
トランスミッションはCVT(7速マニュアルモード付き)と6MTの2種類。駆動方式はもちろんMR(ミッドシップレイアウト)のみ。
安全装備としてはシティブレーキアクティブシステム(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)はオプション設定(※6MTには非設定。)。
これ以外にエマージェンシーストップシグナル、VSA、ヒルスタートアシストは標準装備する。
前期S660の持病 CVTの不具合について、ガラガラ、ギー、ゴーなど変なうなり音がする原因など
S660のCVT不具合の内容と原因
前期型S660のCVTは、走行距離が増えるとミッション内部の加工片が偶発的にドリブンプーリーベアリング内部に噛み込み、ベアリング内部の軌道面が剥離して異音が発生するケースがある。
これに関してはホンダからCVTの延長保証が出ており、不具合が発生しやすいようだ。
特にCVTフィールドを定期的に交換していないと異音が発生しやすく、一度も交換していないようなS660は発生の可能性が高くなる(S660のCVTフィールドは6万キロごとが交換推奨時期)。本モデル以外でも初代N-BOXや初代N-WGN、初代N-ONEなどのNシリーズで同様のCVT不具合が報告されている。
※ただし定期的な交換をしている場合でも走行距離によっては異音が発生するケースもあり
そのまま放置し続けると加速不良から走行不能にまで発展するため、乗り続ける場合はかならず対処が必要となる。
なお、S660以外に同年代のN-BOXやN-BOXスラッシュ、N-WGNなどNシリーズで同様の不具合が発生している。
保証期間
①初度登録日から経過、6年未満の車両
5年または10万km以内 ⇒ 7年または10万km以内
②初度登録日から経過、6年以上の車両
5年または10万km以内 ⇒ 保証期間延長開始後から1年または10万km以内
CVT不具合に対する修理費用について
万が一この現象が出ているモデルで保証期間がすぎると自己負担による有償修理(ミッション載せ替え)が必要。
新車登録年以外に10万キロ以上の車では保証外なため、過走行車を買う場合は要注意。
ミッション本体と工賃をあわせると約30万円ぐらいの高額修理になる場合がある。
そのため中古で前期S660の初期モデル(平成28年生産ぐらいまでの個体)を買う場合はこの不具合が出ていないか、あるいは交換済みなどかを確認してから購入することを強くオススメする。
インテリア(内装)
S660のインパネ
出典:Goo-net
インパネ。写真はCVTモデル。CVT車ではインパネのスピードメーター左側に「SPORTS」モードスイッチが備わり、スイッチオンでスポーティな走りを楽しめる。
S660のMTシフトノブ
出典:Goo-net
6MTのシフトノブ。革製のシフトブーツがついており質感が高い。
出典:Goo-net
軽自動車で初となる6MT。
S660のATのシフトノブ
ATのシフトノブ。
S660のエアコンパネルまわり
エアコンはフルオートエアコン。
S660のスピードメーター
出典:Goo-net
スピードメーター。中央にデジタルスピードメーター。その外側にアナログのタコメーターが組み合わされた独特なデザイン。
左右にはマルチインフォメーションディスプレイを2種類備え、温度計やブースト計が左側。燃料残量計や走行距離などは右側に表示する。
MTとAT仕様ではレブリミットが異なり、ATは7000rpmまで。MTでは7700rpmがレブリミットとなり、回す楽しさもMTではアップする。
S660のステアリング
出典:Goo-net
ステアリング。ベータはウレタンステアリング、αは本革巻きステアリングとなる。CVTを選択するとステアリングで変速可能なパドルシフトとなる。
S660のレザーシート(αグレード)
出典:Goo-net
シートはセミバケットシートタイプ。運転時のフィット感を追求して開発されている。上級のαグレードでは革製(レザー)の表皮となる。
S660のファブリックシート(βグレード)
出典:Goo-net
ベータのファブリックシート。
シート中央部には電動タイプの小さな窓が設けられ、開放時にはリアのエンジン音をが運転席に入るようになる。とくにあえて出すようにしたというターボチャージャーの加給&開放音(プシュー)がよく聞こえるようになる。
S660のルーフ
出典:Goo-net
ルーフ。これを巻き取るように開くと。。。
出典:Goo-net
このようにタルガトップ風に開口部が生まれる。
S660のエンジン
出典:ホンダ認定中古車
リアのエンジンルーム。エンジンルームのアクセスが簡単になった一方でビートの時にはあったトランクルームは無い。
S660のフロント収納ボックス
出典:ホンダ認定中古車
フロントにはルーフの収納ボックスが設けられている。オープン状態でなければここにちょっとした荷物を収納できるがほとんど積めないと考えたほうが良さそうだ。
前期S660の総評
出典:ホンダ認定中古車
S660は久しぶりに登場したホンダの軽スポーツとして発売前から注目をあびたモデルであった。
メカニズムはスポーツカーそのもので、実用性の高い他の軽自動車とはまったく違う世界観を体験できる1台。
このような個性的なモデルは万人受けするものではないが、昔からのビートファンあるいはビートファン以外にもミニバンで我慢グルマしか持てないお父さんのセカンドカー、あるいは子育でが終わった年配層、独身の若者などごく少数ではあるがほしいと思う人達は居るのである。
ビートが出た当時はバブルだったが現在では新車販売において軽自動車が全体の4割を占めるようになり、かつてバブルに似たような景気もあって売れ行きは(この手の軽自動車としては)好調である。
新車で198万円前後という軽自動車としてはこちらも破格の価格設定だが、ビートが出た当時他の軽自動車が100万円前後のときに150万円で売っていたことを考えると、現在では軽自動車の豪華なモデルが150万円前後するのだから順当な値段ともとれる。
実用一辺倒でなくこのような楽しいモデルは「ホンダ」というブランドのファンを作る役目もになっており、将来のホンダファンを見据えると価値あるモデルだ。直接的なライバルはダイハツのコペンとなるが、デザインや乗り比べて比較するのが順当なとこだろうか。
S660の中古車はMTモデルが高め 今後も下がりづらい
中古市場では唯一無二なキャラクターから高値となりやすく、CVTモデルよりも6MTモデルの方が中古価格が高く、中古需要はAT車よりもMT車の方にある。
軽自動車の中でもターボ付きのスポーツタイプで6MT採用車はこのS660と2代目N-ONE RSぐらいな点と、現行モデルで背の低いターボMTの軽がコペンぐらいのため、そのニーズから価格に反映される結果となっている。
S660自体は既に生産終了となっていて、電動車にシフトしていくことを考えるとS660のようなモデルが今後登場することは考えづらく、年を追うごとにプレミアム価値は高まると思う。投機的なモデルとなるかは不透明だが、MTモデルは維持し続けてみたい豪華な軽自動車である。
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