N-ONEはホンダのセミトールワゴン型軽自動車。本稿では2015年7月マイナーチェンジ~2017年11月を後期型とし、これを扱う。
出典:ホンダ認定中古車
ホンダ 初代・N-ONEとは?
2012年11月にデビューしたホンダのN-ONE。
N-ONEは、N-BOX、N-BOX+に続くNシリーズの第3弾となるこの車は、かつてのホンダの軽乗用車、「N360」をモチーフにしたデザイン性の高いモデルとして生まれた。
年配の人には懐かしく、若い人には新しく感じる個性的なデザインは、ライバルのワゴンRやムーヴ、アルトやミラとはデザインの方向性が異なるモデル。
輸入車ではビートルやミニ、フィアットなど往年の名車を現代風にアレンジして復活させている例があるが、ホンダのN-ONEもそれを思わせるものであった。
その個性的な外観に加えインテリアでは大人4人がくつろげる室内空間を実現。
エンジンは新開発となるS07A型エンジン(※Nシリーズで共通)を採用し、ターボモデルにおいてはクラストップレベルの高トルクとなっている。
トランスミッションもCVTを使用し、ライフやゼスト時代よりも燃費を向上させた。
また、軽量化や高剛性を両立させたボディに専用サスペンションの採用で安定した走行性能と優れた静粛性を実現している。
安全技術としては横滑り防止装置のVSAを全グレードで標準装備とし、エマージェンシーストップシグナルとヒルスタートアシストも全グレードで標準装備とした。
モデル構成は「ノーマル」とカスタムモデルに相当する「プレミアム」の2種類。
プレミアムではノーマルモデルよりも上級な内外装により名前通りのプレミアム感を演出。個性的な外観に加えて上級装備により「プレミアムな軽乗用車」としての魅力を高めたグレードだ。
さらにノーマルモデルでもターボエンジンを搭載したグレード(ツアラー)を用意し、自然吸気エンジンのベーシックなモデルからターボエンジンで上級装備の「プレミアム ツアラー」まで多彩なグレード展開となっている。
後期型・初代N-ONEの改良点と前期・中期型との違い
そのN-ONEは2015年7月にデビューから2度めの大きなマイナーチェンジを行い後期型となった。
後期型ではフロントグリルとフロントバンパーに上質感とワイド感をプラスさせるメッキグリルを追加した他、N-ONEプレミアムではサイドにドアサッシュモールと上質な肌触りのコンビシートを採用。
さらにオートリトラミラーとナビ装着用スペシャルパッケージをGグレード以外で標準装備とした。
このほか、かねてから要望のあった立体駐車場に入る高さに全高を落とした「ローダウン」グレードを追加。既存のN-ONEに対し、新デザインのルーフ、スポイラー、ローダウンサスペンションの採用で全高を65mm下げ、1,545mmとすることで多くの立体駐車場に対応。
また、全高がノーマルよりも落ちたことでスポーティーな外観となっている。さらに、このローダウン仕様をベースとしたコンプリートカー「モデューロX」も追加され、後期型では外装のアレンジとローダウン仕様車の追加など、それまでの不満点を払拭させるようなマイナーチェンジとなっている。
後期型・初代N-ONE(JG1/JG2)のグレード G、G・Lパッケージ、G・ローダウン、ツアラー、プレミアム、プレミアム・ツアラー・ローダウンの違い
初代N-ONE・後期モデルのグレード展開はエントリーグレード「G」、Gに快適装備をプラスの「G・Lパッケージ」、ローダウンサスペンションにより全高を落とした「G・ローダウン」。
ターボエンジン搭載「ツアラー」、上級グレード「プレミアム」。
上級ターボ「プレミアム ツアラー」、上級ターボ&ローダウン仕様「プレミアム・ツアラー・ローダウン」などがある。
このほか特別仕様車が3種類と、コンプリートカー「モデューロX」も設定されていた。
Gグレード
後期・初代O-ONEのエントリーグレード。装備が厳選され価格を抑えたベーシックなモデル。
エクステリアではハロゲンヘッドライトにフォグランプが非装備。ホイールキャップでベーシックな外観。インテリアではステアリングガーニッシュがオプション設定。
快適装備のプラズマ搭載フルオートエアコン、スマートキーレス、プッシュエンジンスタート、チルトステアリング、パワーウィンドウ、3眼式メーター、ヘッドライトオートオフ機能、4WDのみ運転席&助手席シートヒーター&親水/ヒーテッドドアミラー+撥水フロントガラスを標準装備する。
自動ブレーキ類をセットにした「あんしんパッケージ(シティブレーキアクティブシステム+前席エアバッグ+サイドカーテンエアバッグ)」はオプション設定。
G・Lパッケージ
Gグレードに快適装備をプラスしたGよりもワンランクアップのグレード。
G・LパッケージではGグレードの装備に追加で「ディスチャージヘッドランプ」、「オートリトラミラー」、「クロームメッキドアハンドル」、「LEDドアミラーウィンカー」、「フロントスタビライザー」、「ドアガーニッシュ(※フロントのみ)」を標準装備。
G・ローダウン
G・Lパッケージにローダウンサスペンションを標準装備し、全高を少し落としたグレード。立体駐車場に入庫可能。
加えて「ブラックカラーの14インチアルミホイール」と「ナビ装着用スペシャルパッケージ+ETC車載器」もつく。
G・ローダウン ベーシック
Gグレードにローダウンサスペンションを適用した低全高グレード。Gグレードに追加でフロントスタビライザーが付く程度だが、G・Lパッケージよりも8万円ほど安い新車価格のグレード。FFのみ&モノトーン4色のみ設定。
ツアラー
G・Lパッケージの快適装備にターボエンジンを搭載した標準ターボ仕様車。G・Lパッケージの装備に加えて「クルーズコントロール+パドルシフト」、「14インチアルミホイール」、「フロントベンチレーテッドディスクブレーキ」を標準装備する。
プレミアム
後期型・初代N-ONEの上級グレード。メッキパーツなどでエクステリアをカスタムし、内装もブラック系で上級感を与えたモデル。
エクステリアではディスチャージヘッドランプにLEDフォグランプ、オートリトラミラー+LEDサイドターンランプ、ドアサイドモール、テールゲートスポイラー、14インチアルミホイールを。
インテリアではブラック×バーガンディの2トーンインパネにブラック基調のコンビシート、バイオレットイルミネーション、ドアガーニッシュが前後に標準装備。
快適装備ではフロントスタビライザー、4WDのみ運転席&助手席シートヒーター&親水/ヒーテッドドアミラー+撥水フロントガラスを標準装備。ディスプレイオーディオはオプション設定。
プレミアム・ツアラー
「プレミアム」グレードにターボエンジンを搭載した上級ターボ仕様車。
プレミアムの装備に加えてクルーズコントロール+パドルシフト、15インチアルミホイール、フロントベンチレーテッドディスクブレーキが標準装備となる。
プレミアム・ツアラー・ローダウン
「プレミアム・ツアラー」にローダウンサスペンションを適用した低全高・上級ターボ仕様車。
N-ONEのスポーツグレード的位置づで、4WDが非設定のFFのみ。
後にRSグレードに移行した。
特別仕様車 SSブラウンスタイルパッケージ
2015年12月設定の特別仕様車。
エクステリアではルーフとドアミラーをブラウンでツートンカラー化。
レトロ感のある専用スチールホイール+カラードディシュホイールに加え専用シートとインテリア、ウッド調パネル等を専用装備するオシャレで落ち着いた雰囲気の特別仕様車。
SSブラウンスタイルパッケージについてはこちらから。
特別仕様車 SSアーバンブラックパッケージ
2016年6月設定の特別仕様車。「プレミアム ツアラー・ローダウン」をベースにブラック基調の内外装と任意に選べるアクセントカラー(オレンジまたはイエローまたはブルーから3種類)をあしらったモデル。
SSアーバンブラックパッケージでは「プレミアム ツアラー・ローダウン」の装備加えて外装ではフロントドアガーニッシュ、ドアミラー、フロントグリル、フロントバンパー、ドアサイドモール、リアバンパーモールにアクセントカラー(オレンジまたはイエローまたはブルー)を。
内装ではエアコンアウトレットリング、メーターリング、本革巻ステアリングホイールにもアクセントカラーを専用装備として採用。
これ以外にオールブラックの15インチアルミホイールとドリンクホルダー、センターロアボックス、足元にホワイトイルミネーションを特別装備とし、内外装でこだわりのカラーリングを与えた特別仕様車。
SSアーバンブラックパッケージについてはこちらから。
特別仕様車 SSネオクラシックレーサー
2016年11月設定の特別仕様車。「Nコロ」の相性で親しまれた「N360」の生誕50周年を記念しN360で大流行したドレスアップをオマージュし、よりプレミアム感をアップさせた特別仕様車。
SSネオクラシックレーサーパッケージはターボ付き上級モデルのプレミアムツアラーをベースに、外装ではボンネットをストライプ塗装。
ドアサイドモール&リアバンパーモール&ルーフサイド&テールゲートスポイラーにチェッカーデカールを貼り付け。
ブラックカラーの15インチアルミホイール、ブラックリアライセンスガーニッシュ、ブラックN-ONEエンブレム、ブラックアウタードアハンドル、ブラックドアサイドモール、ブラックリアバンパーモールでストライプとブラックカラーで個性的な外観に。
内装では専用のタンカラーコンビシートに運転席&助手席シートヒーター、あんしんパッケージ、専用カラードスマートキー(2個)を標準装備とし内外装でクラシカルかつ個性的に仕立てた特別仕様車。
ネオクラシックレーサーについてはこちらから。
コンプリートカー モデューロX
2015年7月マイナーチェンジの後期型に追加設定されたホンダアクセスによるコンプリートカー。
ローダウン仕様の「プレミアム・ツアラー」をベースに専用サスペンションでさらに車高を落とし、安定性と操作性を向上させたモデル。
このほかモデューロX専用エアロバンパーやフロントグリル、サイドシルガーニッシュなどの外装に皇后税バンパービーム、専用デザインマフラー、ブレーキパッド、アルミホイールなどを標準装備とし、プレミアム・ツアラーよりも個性とスポーティーさに磨きをかけている。
N-ONEモデューロXについてはこちらから。
初代・後期型N-ONEのエクステリア(外装)
フロントデザイン。後期型では新たにグリル上部にメッキラインとバンパー内部にも凹型のメッキラインがプラスされ、ちょっとだけ上質な外観に変化した。
さりげないプラスポイントではあるが、デザインを崩さないアレンジがなされている。
ディスチャージヘッドライトはG・Lパッケージ以上に標準装備。
サイド。プレミアムではドアサッシュモールが変更されたが、ノーマルでは特に変更点は無し。後期型では上級グレードにオートリトラミラーが新たに標準装備となった。
後期型で追加となった「ローダウン」のサイドビュー。ルーフやスポイラー、サスペンションの変更によりノーマルよりも65mmもダウン。アルトやミラと同じく立体駐車場に入る高さを実現した。
それまでのN-ONEはボディ形状はセダン型だが、全高はMRワゴン並というちょっと中途半端な設定で立体駐車場にはいらなかったのだが、今回のマイナーチェンジでこれに対応できるローダウン仕様車を追加した。
足元は14インチスチールホイール+フルホイールキャップ。
ターボグレードとG・ローダウンでは14インチアルミホイールを標準装備。
リア。このあたりも特に変更点は無い。シティーエマージェンシーブレーキを全グレードで標準装備。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはS07A型3気筒のNAとターボの2種類を設定。形式こそ同じだが、2014年5月マイナーチェンジ(中期型)でN-WGNと同じ「ツインインジェクションシステム」と「ナトリウム封入排気バルブ」を採用した改良型に置換された。
この改良によりスズキの「デュアルジェットエンジン」のような直噴エンジン並の燃焼効率が得られ、圧縮比も11.8とかなり高めとなっている。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.6kg・m(104N・m)/2600rpmを発生する。
自然吸気エンジンでも最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4700rpmと軽自動車のエンジンにしてはかなりの高出力。
トランスミッションは全グレードCVTのみで、駆動方式はFFと4WDが用意される。
この他アイドリングストップ機構をターボグレードにも拡大し全グレードで備え、安全装備としてはVSA(ABS+TCS+横すべり抑制)とヒルスタートアシスト機能が全グレードで標準装備。
約30km/h以下での前方車両との衝突の回避・被害軽減をサポートする「City-Brake Active System(シティブレーキアクティブシステム)は「あんしんパッケージ」として全グレードにオプション設定。
前期同様ににN-ONEが優れているのはターボ。メーカーも「ダウンサイジング」と謳っているとおりかなりの高性能で、加速でいえばFITの1.3Lと同等かそれ以上に匹敵する。
トルクにいたっては最大10.6kgが2600回転から発生するのだ。一昔前のドッカンターボとは違うのだが、低速からす~とのびるところは1300CCの普通車から乗り換えても不満を感じることはない。
初代N-ONE JG1とJG2型の違い、JG3とJG4との違い
初代N-ONEのJG1とJG2との違いは駆動方式。JG1はボンネットにエンジンを配置し前輪を駆動するFFのN-ONE。JG2はJG1をベースにビスカスカップリングを使って全輪を駆動する4WDのN-ONE。
それぞれにターボ仕様と自然吸気エンジンの2種類があり、駆動方式以外は同じ構成となる。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。日常生活で扱いやすい生活四躯という位置づけ。
なお、JG3型は2代目N-ONEのFFモデル、JG4型は2代目N-ONEの4WDモデルである。2代目にも自然吸気エンジンとターボ仕様とでFF&4WDの両方の設定がある。
初代・後期型N-ONEの.インテリア(内装)
インパネ。ローダウンとツアラー(ターボ仕様)ではブラック系。ツアラーではパドルシフトとクルーズコントロールを標準装備。
GとG・Lパッケージではベージュとモカグレーのインパネカラーとなる。さらに後期型ではG・Lパッケージでナビ装着用スペシャルパッケージが標準装備となった。
スピードメーター。後期型では文字盤背景が明るくなった。
フロントシートはベンチシートタイプ。インパネカラーに合わせてベージュと
ブラック系の2種類。
リアシート。
200mmのスライド幅のほか、跳ね上げ式も引き続き採用。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
初代・後期型N-ONEの総評
初代N-ONEの後期型は、より上級になった顔つきとローダウン仕様が加えられた点が特徴のマイナーチェンジとなった。
特にローダウンではそれまで無理だった立体駐車場に入る高さとなり、はれて背の低い軽乗用車のアルトやミラと同じ戦場で戦えるモデルになった。というのはそれまではこの立体駐車場に入らない微妙な高さから、アルトやミラではなく、N-WGNの高さのカテゴリーにいたため微妙な位置づけとなっていた。
このローダウンではそれに対応させることで、トゥデイとまではいかないが背の低い軽乗用車をラインナップしたことになる。この点は地味だがおおきな変更点といえよう。
さらにローダウンのツアラーをベースとしてカスタマイズされたコンプリートカー、「モデューロX」もこの時に追加となり、N-ONEの個性と走りを極めた1台となっている。手掛けたのはあのドリキンこと土屋圭市なので車好きの人は要チェックである。
初代・後期型N-ONEの中古車は以前よりも安価な買いやすい価格帯へ
N-ONEの中古車で初代モデルは特に前期型が手頃な価格帯であったが、最近ではこの後期モデルでも価格が下落し、購入しやすくなっている。
その理由としては中古車の需要がN-BOXなどのスーパーハイトワゴンにあるためで、N-ONEやN-WGNとった背の低いモデルは需要が低い傾向にある。
N-WGNに比べると個性的な外観ゆえにコアなユーザーはいるのだが、それが価格上昇につながるほどの需要にはつながっておらず、タマ数も豊富なことから初代の後期モデルでもグレードによっては走行距離や年式の割に安価な価格帯が増えている。
例えばターボ仕様でスタイリッシュな仕様のツアラーSSパッケージでも2016年式の4.7万キロが70万円以下など、同年式・同走行距離のN-BOXに比べると割安感がある。
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