N-ONEはホンダのセミトールワゴン型軽自動車。本稿では2代目のJG3およびJG4型に設定された特別仕様車、「スタイルプラスアーバン」を扱う。
出典:ガリバー
2代目 ホンダ・N-ONEとは?
2020年11月に8年ぶりでフルモデルチェンジし、2代目となったホンダ・N-ONE。2代目N-ONEの最大の特徴は見た目が初代とほぼ同じという点。
海外の普通車ではフルモデルチェンジしても見た目がかわらないという例はあるが、日本車としては異例中の異例。
軽自動車でいえば三菱の初代eKワゴンと2代目eKワゴンでほぼ変わらなかったという例があるものの、やはりフルモデルチェンジで外観がほぼ変わらないのは珍しい。
2代目N-ONEのコンセプトは“Nのある豊かな生活”。日々の生活に寄り添いながら長く使え、飽きが来ない末永く愛せるクルマを目指したというもの。
昨今だとかつてのバブル期のようにクルマをどんどん乗り換えることは少なくなり、1台で何年も乗り続けることは珍しくなく、特に地方で生活の足として維持費が安い軽自動車においてその傾向は高い。
また個性の強いモデルは単なる道具ではなく、モノとして愛される傾向がある。そんな昨今の背景をも取り込み、2代目N-ONEは初代のコンセプトを踏襲しNシリーズのでもシンプルかつ個性的でデザイン性が高いモデルとなっている。
出典:ホンダ認定中古車
エクステリアはN360のデザインを継承する初代N-ONEをベースに、走りの楽しさや安全性を感じれるデザインを追求。
ヘッドライトまわりの彫りを深くし、バンパー下部を踏ん張り感のある造形として勢いのあるデザインとした。リアもバンパーコーナーに向かい水平に広がる横長のラインにリフレクターを配置。スポーティな印象と後ろからの安定化のあるデザインとした。
また、FFモデルの全高は初代のローダウングレードと同じく1540mmに統一。立体駐車場に入る高さとなった。さらに4WDモデルでも初代より60mm低くなり、スタイリングとなっている。
インテリアでは「心地よい開放感」をテーマにミニマムな室内空間を追求。運転する楽しさとくつろげる空間を目指した。
エンジンは初代N-ONEのS07A型エンジンから2代目N-BOXでも採用するS07B型エンジンに換装。さらにスポーツグレードのRSでは6MTを新たに採用し、プレミアムなスポーツカーとしての完成度を高めた。
室内空間はN-BOXのプラットフォームに「センタータンクレイアウト」を採用し底床で心地よい室内空間を実現。フロントはセパレートシートを採用し、その間にはコンソールボックスを配置。充電用USBジャックやポケットのユーテリティを配置した。
さらに軽自動車初となる「リアシートリマインダー」を採用。後部ドアの開閉履歴を元に似毛綱殿置き忘れ注意喚起をメーター内に表示するようにした。
自動ブレーキ面では「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備。初代N-ONEから大幅アップデートされた機能で備え万が一の際にも安心の機能とした。
さらに安心を高める機能として「パーキングセンサーシステム」、「オートブレーキホールド」、「電子パーキングブレーキ」を搭載。普通車にも引けを取らない先進的なアップデートが施されたフルモデルチェンジとなった。
特別仕様車 N-ONE スタイルプラスアーバン(STYLE+URBAN)とは?特徴や違いなど
その2代目N-ONEに2022年8月。Nシリーズ誕生10周年を記念した特別仕様車がN-ONEに設定された。それがこの「スタイルプラスアーバン(STYLE+URBAN)」である。
スタイルプラスアーバンはN-BOXのスタイル+ブラックに続く10周年記念モデル第2弾。オリジナルグレードをベースに”URBAN”をコンセプトとし、都会で洗練されたシックなN-ONEを追求した特別仕様車。
エクステリアでは
- URBAN専用クロームメッキ・フロントグリルモール
- ブラック塗装電動格納式リモコンカラードドアミラー
- ブラック塗装アウタードアハンドル
- ブラック・サイドモール
- ブラック・リアライセンスガーニッシュ(クロームメッキ)
- 14インチスチールホイール+ハーフホイールキャップ(グレーメタリック塗装)
ボディカラーはスタイルプラスアーバン専用色として「ガーデングリーン・メタリック」を特別設定。これを含めて
- フレームレッド
- ガーデングリーン・メタリック
- プラチナホワイト・パール ※有料色
- メテオロイドグレー・メタリック ※有料色
- レミアムアイボリー・パールII ※有料色
の計5色を設定。
インテリアでは
- タン×チャコール/グレーステッチ入のプライムスムース&トリコット専用シート表皮
- タンウッド調インパネガーニッシュ
- シルバー塗装ステアリングロアガーニッシュ
- プライムスムース&タンのフロントドアアームレスト
- ブラックスピードメーター
このほかベースモデルと共通で快適装備・機能装備、安全装備(自動ブレーキ等)は
- 前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム〈前席/後席対応〉
- ホンダセンシング
- 充電用USBジャック(急速充電対応×2個)
- 運転席&助手席シートヒーター(※4WDはベースモデルに標準装備)
- プラズマクラスター搭載フルオートエアコン
- 電子制御パーキングブレーキ
- オートブレーキホールド機能
- フルLEDヘッドライト〈デイタイムランニングランプ付〉
- フルLEDリアコンビネーションランプ
- ナビ装着用スペシャルパッケージ
(リアワイドカメラ、リア2スピーカー、照明付オーディオリモートコントロールスイッチ、ハンズフリーテレホンスイッチ、音声認識スイッチ、デジタルTV用プリントアンテナ〈ワンセグ〉) - センターコンソールトレー+ドリンクホルダー
などを標準装備とし、よりオリジナルよりも質感や上質感を追求した特別仕様車となっている。
なお、初代N-ONEにも「セレクト/セレクトターボ」や特別仕様車に「SSブラウンスタイル」があったがスタイルプラスアーバンはその後継モデル的な位置づけとなる。
エクステリア
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。スタイルプラスアーバンは2代目N-ONEの中でも最もベーシックなOrijnal(オリジナル)をベースに専用パーツが備わる。
出典:ホンダ認定中古車
フロントグリルはスタイルプラスアーバン専用のクロームメッキ・フロントグリルモールを特別装備。
ノーマルではメッキ加飾なしのシンプルなブラックグリルだったが、スタイルプラスアーバン仕様ではプレミアムグレードに採用のメッキグリルをベースにクロームメッキ加飾。ワンポイントアクセント的に質感をプラスした。
ヘッドライトのまわり(ヘッドライトエクステンション)もスタイルプラスアーバンではブラック塗装とし、シックな雰囲気に。
ヘッドライト・ポジションランプ(丸形点灯)は標準でLED仕様。ただしフォグランプは付かない。
出典:ガリバー
サイド。スタイルプラスアーバンでは特別装備としてブラック塗装の専用品が加わる。
アウタードアハンドルとドアミラーをブラック塗装とし、サイド下部のサイドドアモールもブラック塗装とすることで、黒によるアクセントプラスした。
足元はスタイルプラスアーバン専用の14インチスチールホイール+フルホイールキャップをグレーメタリック塗装した専用品を採用。タイヤサイズはベースと同じで155/65R14。
出典:ガリバー
リア。スタイルプラスアーバン仕様としてナンバープレート上の「リアライセンスガーニッシュ」をクロームメッキ・モール仕様に変更。前や側面の特別装備とあわせてアーバンな雰囲気とした。
これ以外はベースモデルと同じでテールランプにはLEDテールを採用する。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:ホンダ認定中古車
エンジンはS07B型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。
2代目N-BOXから搭載されたS07A型の改良型で、軽自動車初となるi-VTECを搭載。低回転域での出力そのままに4000回転以上での出力アップがなされた。
最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4800rpmを発生する。
オリジナルグレードがベースのため、ターボ仕様は非設定。トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WDとなる。
自動ブレーキとしては「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備。
ホンダセンシングとは自動ブレーキや誤発進抑制機能などを一つのパッケージとしてまとめたもので初代N-ONEの後期に搭載された「シティブレーキアクティブシステム」にかわる新システムである。
従来はフロントウィンドウ上部のセンサーだけを用いたものだったが、ホンダセンシングでは単眼カメラ、ミリ波レーダー、ソナーセンサーの3つを用いたシステムで初代N-ONEには無かった先進的な安全装備となる。
①衝突軽減ブレーキ<CMBS>
②誤発進抑制機能(※CVT車のみ)
③歩行者事故低減ステアリング
④先行車発進お知らせ機能
⑤標識認識機能
⑥路外逸脱抑制機能
⑦渋滞追従機能付 ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>(※CVT車のみ)
⑧LKAS<車線維持支援システム>
⑨後方誤発進抑制機能(※CVT車のみ)
⑩オートハイビーム
このほか
- エマージェンシーストップシグナル
- ヒルスタートアシスト機能
- VSA(横滑り防止装置)
を標準装備し、「パーキングセンサーシステム」、「オートブレーキホールド」、「電子パーキングブレーキ」も搭載。
特にオートブレーキホールドは軽自動車には珍しい機能で、信号待ちで便利な機能だ。
2代目N-ONE スタイルプラスアーバンのJG3とJG4型との違い
2代目N-ONEスタイルプラスのJG3型とJG4型との違いは駆動方式。
JG3はボンネットにエンジンを配置し前輪を駆動するFFのN-ONE。JG4はJG3をベースにビスカスカップリングを使って全輪を駆動する4WDのN-ONE。
それぞれにターボ仕様と自然吸気エンジンの2種類があり、駆動方式以外は同じ構成となる。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。日常生活で扱いやすい生活四躯という位置づけ。
インテリア
インパネ。スタイルプラスアーバンでは木目調パネルや木目調生地をプラスした専用シート表皮、ドアトリムクロスにより、レトロ感を強調した個性的なインテリアを採用する。
出典:ガリバー
インパネはノーマルではプラチナホワイトだったが、アーバンではタンウッド調の専用パネルとなる。
出典:ガリバー
このほかスピードメーターもノーマルのホワイトに対し、アーバンではブラックタイプを採用。木目調パネルと組み合わせてシックな雰囲気とした。
2代目N-ONEのスピードメーターは、N-BOXやN-WGNとは共通とならず、N-ONE専用品を採用。アナログ感漂うレトロな雰囲気かつシンプルなタコメーター&スピードメーターとなった。
その右側にはマルチインフォメーションディスプレイを備えホンダセンシング等など以下の通知を行う。
2代目N-ONEのマルチインフォメーションディスプレイでは
- タイヤ角度表示
- 燃費
- 標識認識機能
- 先行車お知らせ表示機能
- 外気温低下表示
- キー電池残量低下
- エンジンオイル交換時期表示
- ナビゲーション連動機能
などを表示する。
出典:ガリバー
ステアリングはノーマルと同じウレタンステアリングだが、アーバン仕様としてシルバー塗装のステアリングガーニッシュが付く。
出典:ホンダ認定中古車
エアコンはオリジナルグレードも含め全グレードでオートエアコンとなる。
出典:ガリバー
USB電源はインパネ下部中央に2個設置。すぐ下にはスマホを収納できるスペースもあり、使い勝手はかなり良い。
出典:ホンダ認定中古車
純正ナビの様子。
収納スペースはそこそこあり、ほぼ先代の配置を踏襲している。
出典:ガリバー
フロントシートはセパレートタイプ。初代N-ONEではベンチシートタイプだったが、セパレートタイプに変更された。最近の軽自動車はデザインや個性的な一部車種でセパレートタイプを採用するものが増えてきている。
スタイルプラスアーバンではではタン×チャコールにグレーステッチを入れたプライムスムース&トリコット生地の専用シート表皮を採用。
インパネのウッド調パネルと組み合わせてレトロな雰囲気とした。ベースモデルよりも個性的かつ質感も良くなっている。
このほかドアトリムクロスもタン色のプライムスムースを採用した専用品、運転席&助手席シートヒーターは2WDにも標準標準とした。
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リアシート。こちらはフロントシートは異なりブラックのモノトーンカラー。
出典:ホンダ認定中古車
初代からのリアシート跳ね上げ式収納(チップアップ機能)も健在だ。
出典:ガリバー
ラゲッジルーム。初代と同じくワゴンRやムーヴ、タントやN-BOXといったモアスペース系の軽自動車よりは意外とラゲッジルームが広い。
出典:ガリバー
リアシートを倒した状態。全高はN-BOXに比べるとさすがに低いが、ラゲッジスペースは意外と広さがある。
N-ONEはセンタータンクレイアウトによる底床設計のためラゲッジルームの座面が低く、かつほぼフルフラットな荷室でこの手の軽自動車としてはかなりの広さをほこる。
まとめ
2代目N-ONEに設定された特別仕様車、「スタイルプラスアーバン」はブラック塗装の専用パーツやウッド調パネル、ウッド調シート表皮などを組み合わせ、より都会にマッチする個性的な内外装としたモデルである。
他社メーカーの軽自動車を見てもスタイルプラスアーバンのような個性的なモデルは少なく、スズキのアルトラパンLCがある程度。
売れ筋のN-BOXより室内空間が狭いが、N-ONEにしかない個性的なスタイリングは独特のもの。広さよもデザインや質感を追求する人に嬉しい特別仕様車である。
なお、STYLE+シリーズはその後第3弾として後期型N-WGNにも追加設定。同じく上質かつ特別感をプラスしたモデルとしてスタイル+ビターが販売された。
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