MAXはダイハツのセミトール型軽自動車。MAX・RSはその最上級スポーティーモデルである。本稿ではデビュー当初の2001年11月~2003年7月までを前期型とし、これを扱う。
出典:Goo-net
ダイハツ MAXとは?
2001年11月に登場したダイハツ・MAX。
トールワゴンであるムーブと背の低いハッチバックのミラとの間を埋める車種として開発された。その高さは1550mmに設定され機械式駐車場に入る高さである。
これはスズキのKeiや三菱のekワゴン(初代&2代目)などと同じく程よい高さを持つ軽自動車に分類される。
MAXの外観は愛嬌のある猫目のような大型ヘッドライトにグリルが組み合わされ、同年代のミラに比べるとスタイリッシュな顔つきとなっている。
コンセプトは「新時代を感じさせる、スポーティ&スペーシャスフォルム」となっており、ミラとムーヴのいいとこ取りをしたようなボディフォルムで広さと高さとで程よくバランスのとれたデザインが特徴だ。
MAX RSとは?特徴と他との違い ・コペンで有名な名機JB-DET型4気筒ターボ搭載モデル
そのMAXには大きく分けてベーシックなグレードとスポーティーなグレードの2種類が設定された。
最上級のスポーツグレードとして設定されていたのが、本稿で扱う「RS」グレードである。
RSグレードはダイハツ伝統の初代コペン(L880K)と同じJB-DET型4気筒ターボエンジンを搭載し、5MTの設定はなかったもののマニュアルモード付きの4ATに4WD仕様では「サイバー4WD」を組み合わせたホットなグレードである。
外観も
- RS専用15インチアルミホイール
- RS専用エンブレム
- インナーブラック仕様専用ヘッドライト
- フォグランプ
- フロントリップスポイラー
- リアリップスポイラー
- サイドスカート
などを標準装備しカスタムカーのようなメッシュグリルにRS専用のエンブレムで最上級のスポーツグレードとして差別化がなされていた。
また内装でもブラックインテリアを採用し、ATはゲート式のインパネシフト、4ATにはマニュアルモードを搭載。
4WD仕様ではこの手の軽自動車には珍しい電子制御式4WDを採用し、「スポーツ」「オート」「2WD」のいずれを任意で選択できるようにしていた。
ダイハツMAX RS(L952S/L962S)とMAX R、Ri(L950S/L960S)との違い
ダイハツMAXのターボ仕様車はRS、R、Riと3種類存在する。それぞれエンジンや駆動方式、外観が若干異なる。
JB-DET型4気筒DOHCターボを搭載するのがRSグレードで、型式はL952S型が前輪駆動のFF仕様。L962Sは全輪駆動の4WD(サイバー4WD)となる。
MAX RとRiはEF-DET型3気筒DOHCターボ搭載モデルで、Riには5MTの設定も一時期あった(RSとRには4ATのみ)。型式はL950S型が前輪駆動のFF仕様。L960Sは全輪駆動の4WD(サイバー4WD)となる。
また、外観も前期型RSのみフロントグリル内にRS専用エンブレムが付き、ひと目で「RS」とわかるエクステリアとなる。また、タイヤサイズも異なり、RSは15インチアルミホイール。RとRiは14インチアルミホイールで、それぞれアルミのデザインが異なる。
エクステリア(外装)
フロントデザイン。ヘッドライトはインナーブラック化され、ベースとの違いをひと目で演出し、かつアイラインが強調されたことで勇ましいデザインとなっている。
グリルこそノーマルと同じだが右端に専用の「RS」エンブレムが装着され、粋なカスタム感もただよう。ボンネットのエアインテークもデザインのアクセントとなり、明らかにノーマルモデルとは差別化されている。
ちなみに後期モデルではフロントデザインが変更され、ノーマルモデルとほぼ同じとなった。
出典:ダイハツ認定中古車
もどってサイドから。同年代のミラとムーヴの中間程度に位置する全高は非常にバランスがとれた調度良い高さ。
立体駐車場に入る1550mmをキープしているだけでなく、デザイン的にも高すぎず低すぎずを実現しており、ムーブなどに見られる極端なワゴン感が無くなっている。これなら普通車から乗り換えのユーザーでも拒絶感が薄くなる良いデザインだ。
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足元は15インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは165/50R15。
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リア。アルファロメオのようなコンビランプが最大の特徴で、軽自動車では珍しい尾灯とブレーキランプが独立した2灯式となっている。
ここらへんはもともと高級志向の軽自動車だったことに由来する。なお、画像はクリアータイプだが、外枠が非クリアーのノーマルタイプも存在する。
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再び後期のリア。こちらも前期と比べると明らかに劣化している。マルチリフレクターでキラキラしていたコンビランプは、旧来のレンズカットが入ったものへ変更。
曇ったデザインが古臭さを出しており、ボディデザインは良いのに残念なマイナーチェンジとなっている。ノーマルでもスポーティーなRS(Ri)でもこの劣化変更は同じ。フ
ロントの共通化やコンビランプのマルチリフレクター廃止は明らかなコストカットで、これは4代目のアトレーワゴンカスタムでも見られた現象だ。普通はマイナーチェンジでマルチリフレクター化されるのが一般的なので、謎の仕様変更といえる。
エンジン・機能装備・安全装備など
RSグレードのエンジンは4気筒ターボを設定。
JB-DET型の4気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.2kg・m(100N・m)/3200rpmを発生。トランスミッションはマニュアルモード付きの4ATのみで駆動方式はFFまたは4WD。
RSの4WD仕様では電子制御式4WDの「サイバー4WD」を搭載。普通、軽自動車やコンパクトカーは生活4駆という滑った時だけ働く簡易的な4WDが主流だが、このMAXには豪華にもワンランク上の4WDシステムが備わっている。
フロントのトルク感応型のLSDとリアのプロペラシャフト先端についた電子制御カップリングによる4WDシステムは、モードが3種類あり「スポーツ」「オート」「2WD」のいずれかを選択できるようになっている。
「スポーツ」であれば前後50:50のトルク配分となり常時4WDで走行できる。「オート」ではフロントがスリップした時のみリアに駆動を伝える。「2WD」では常時FFとなるので燃費に貢献できるというシロモノ。軽乗用車でありながら凝った4WDシステムでワンランク上のプレミアム感を与えている。
インテリア(内装)
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インパネ。黒を基調としておりスポーティーなデザイン。RSでは本革巻ステアリングホイールを標準装備。上級思考ゆえにステアリングにはチルト・テレスコ機構が標準装備となる。
MAXは立体駐車場に入る全高でありながら室内空間は室内長1765mm、室内幅1275mm、室内高1270mmを確保。
同年代の3代目ムーヴ(1885×1300×1305mm)よりはひと回り狭いが、それでもそこそこ広い室内空間を確保しておりデザインと室内空間のバランスがとれた設計となっている。
スピードメーター。マニュアルモード選択中は液晶パネル上部にシフトの数字、「1~4」が表示される。
4ATのシフトノブ。この時代の軽乗用車では珍しいゲート式インパネシフトを採用。さらにRSでは4ATのマニュアルモード付きで、ドライバー側で任意にギアを変えることができる。
なお、後期ではスピードメーターがマイナーチェンジを受け白地のものへ変更されている。
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フロントシートは座面はベンチシートに近いが形状はセミバケットシートに似ており見た目にも非常にスポーティー。
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リアシートもフロントに準じた形をしている。スライド機構は非装備で足元はさすがにムーヴやタントと比べると狭い。
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その分ラゲッジルームはそこそこ確保されている。
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リアシートを倒した状態。
まとめ&MAX RSのタマ数が激減し希少車種に
ダイハツの4気筒ターボエンジンとサイバー4WDによりMAXは晴れた日でも、雨の日でも安定して走行できる1台であった。見た目はワゴンチックだが本格的な4WDにより雪道でも(クロカンほどではない)が頼もしい1台だ。
ミラとムーヴの中間程度に位置するほどよい高さから来るデザインは、いかにもワゴン感に抵抗のあるユーザーにも受けが良いもので、当時のパッケージとしてはかなり攻めたモデルであった。ただ、その中間程度の微妙な高さがあざになったのか、結果的に中途半端な車種となり販売は思ったほど伸びなかった。
中古市場でも人気がないのか20年落ちに近いこともあって性能の割に安価に購入できる1台。興味を持った人は程度の良い個体を探してみてほしい。ただし年数経過もあって近年ではタマ数が極端に少なくなり、中古市場ではめったに見かけなくなった。
要整備だったレストア気味で手がかかる年式である点がネックだが、この年代でここまで豪華な4WDは間違いなく希少車種である。ただし4WDモデルはその性質上、雪国で使われていた場合が多く足回りのサビには注意したい。
MAX RSは安価な価格で初代コペンと同じ4気筒エンジンは静粛性や高回転の伸びの良さ、フーリングは3気筒ターボでは決して味わえない魅力的なポイント。MTが選べないのは残念だが4気筒ターボ好きにもオススメな1台である。

なお、このあと2003年8月のマイナーチェンジ(後期型)でデザイン変更を経た後2005年12月に生産終了となり、後継モデルの「ソニカ」がMAXの上級&スポーティー路線を引継ぐこととなる。

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