ヴィヴィオ(VIVIO)はスバルのハッチバック型軽自動車。 T-TOPはそのタルガトップモデルである。本稿ではT-TOPのスポーツグレードである「GX-T」について扱う。
出典：スバル認定中古車
スバル ヴィヴィオとは？
1992年3月に登場したスバルのヴィヴィオ。それまで「レックス」の後継としてホイールベースを長くし、室内空間を広くとったり安全性を向上させていた。
それまでのレックスとは異なり、全体的に丸みを帯びたボディフォルムが特徴で、当時の軽自動車としてはボディ剛性も高かった。
アルトやミラ同様に乗用モデルと商用モデル（バンタイプ）を設定し、モデルと途中ではレトロ軽自動車ブームの火付け役となったヴィヴィオ・ビストロを設定するなど、軽バン、女性向けモデル、4WD、スポーツ仕様、オープンカー仕様、ラリー競技ベースなど幅広いラインナップを揃えていた。
エンジンは先代のレックスと同じCLOVER4の直列４気筒エンジンを採用。バンタイプや乗用モデル、スポーツモデル用の過給器付きなど車種ごとに全４種類のバリエーションを用意し、特にモデル終盤のスポーツモデルではDOHCにスーパーチャージャー＋ハイオク仕様という軽自動車にしてはとんでもなくハイスペックなエンジンとなっていた。
足回りもスバルお得意の独立四輪献花式サスペンションを採用。高コスト＆高性能な構成となっていた。また、トランスミッションは5MTのほか、オートマににはECVTを採用するなど他社よりも先進的な技術を採用していた。
ボディも新設定のプラットフォームに低重心化。当時の衝突安全基準の30kmを越える、時速40kmでの衝突安全性を独自に確保。当時の軽自動車としては高い剛性と衝突安全性を誇っていた。
エクステリアでは先代レックスとは異なる曲線を多様化したグラマスなボディラインに、初代インプレッサを連想させるヘッドライト、コンビランプ。歴代のレガシィワゴンの連続ガラスのような「黒いピラーに続くクォーターガラス」など随所にこだわりを散りばめ軽自動車の枠を越えた上質感を演出した。
インテリアでも｢ドライバーズ・ミニ｣をコンセプトに運転席側の空間を広くする設計を採用。そのため助手席は運転席側よりも若干せまい室内空間となっている。
ヴィヴィオ タルガトップ(T-TOP)とは？
そのヴィヴィオに1993年2月。スバルブランドの40周年記念特別仕様車として3000台限定で発売されたのがこの「タルガトップ(T-TOP)」である。
タルガトップはその名前のとおり、ヴィヴィオをベースに外観をタルガトップ仕様としたもので、現在では珍しい軽オープンカーとなっていた。
ヴィヴィオのタルガトップが出る前には軽乗用車ABCトリオと称されるスズキ・カプチーノ。ホンダ・ビート、マツダオートザム・AZ-1が発売され、ダイハツもリーザスパイダーを登場させるなどバブル景気から軽乗用車の世界でもオープン仕様が流行した時代だったが、ヴィヴィオ・タルガトップが他の軽オープンと異なる最大のポイントは、ヴィヴィオベースのため後部座席がある点。
すなわち４シーターの軽オープンなのである。そのコンセプトは「軽自動車で４人乗れるオープンカー」で、今なおこのタイプの軽乗用車はヴィヴィオ・タルガトップが唯一無二の存在となっている。
タルガトップ仕様としては後部座席のルーフやリアゲートあたりを専用品に換装。独特のクーペスタイルとし、着脱可能なタルガトップ機能も持たせて軽自動車でありながらオープンカーのような雰囲気も与えた。
タルガトップの軽自動車といえば、カプチーノがあるがヴィヴィオは４気筒エンジンや独立懸架式サスペンションの採用で、デビュー当初は過給器モデルこそ無かったが凝ったメカニズムからくる独特のフィーリングや走りの楽しさが堪能できたバブル期ならではの軽オープンカーだった。
ヴィヴィオ タルガトップ GX-T(スーパーチャージャー)とは？
そして自然吸気エンジンモデルの発売からおよそ１年後の1994年2月。過給機(スーパーチャージャー)仕様のモデルが追加となった。
それがこの「タルガトップ GX-T」である。
GX-Tはスーパーチャージャー仕様のヴィヴィオ・GX(※CVTモデル)をタルガトップ仕様にしたモデルで、個性的なエクステリアにスーパーチャージャーによる過給器エンジン(SOHCエンジン)で加速力がプラスされていた。
タルガトップGX-Tではエクステリアに
- フォグランプ付きバンパー
- エアダクト付きボンネット
- 13インチアルミホイール
- タルガトップ仕様の専用ルーフ
インテリアでは
- タコメーター付き2眼式スピードメーター
- GX-T用スポーツシート
などを採用し、過給器エンジンとノーマルモデルよりもスポーティな内外装を与えていた。
なお、自然吸気エンジンでは3000台限定生産だったが、GX-Tではさらに少ない1000台限定となっていた。
ヴィヴィオ タルガトップGX-Tのエクステリア（外装）
出典：スバル認定中古車
フロントデザイン。スポーツグレードのGXがベースのため、大型フォグランプ付きバンパーとボンネットにはエアダクトが付きスポーティな顔つきとなっている。
出典：スバル認定中古車
サイド。GXと同じくボディ下部にはアンダースポイラーを備える。自然吸気エンジンと同じく運転席から後ろを専用設計しまったく別のボディ形状としている。
足元は13インチアルミホイールを標準装備。
出典：スバル認定中古車
タルガトップ仕様として
ルーフ部分を「フルオープン」、「Tバールーフ」、「オープントップ」、「リアオープン」の４タイプにアレンジでき、
出典：Goo-net
さらにリアウィンドウは電動昇降式としていた。トランクルームは非常に小さいため「トランクキャリア」を標準装備。
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リアにはセンターにガーニッシュが付いていて、ノーマルのヴィヴィオと雰囲気が違っている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはEN07型直列4気筒SOHCインタークーラー付きスーパーチャージャーエンジン。
最高出力は64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは8.6kg・m(84.3N・m)/4400rpm。
トランスミッションはCVTのみで駆動方式もFFのみの設定。
ヴィヴィオ タルガトップ GX-Tのインテリア（内装）
インパネ。GXがベースのためスピードメーターはタコメーター付き２眼式スピードメーターを採用。このほかはノーマルと同じでレトロ風アナログ時計と、木目調オーディオパネルが付く。
CVTはインパネシフトでスポーツモードは非装備。
電動昇降式リアウィンドウはインパネ右側のスイッチで操作。
出典：Goo-net
フロントシートはセパレートタイプ。GX用のスポーツシートとなる。
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リアシートは補助的な感じ。非常時以外は２名乗車(2+2)と考えたほうが良い。奇しくもその後スバルから登場するR1と同じ構成に近い(※ハッチバックじゃないので荷室は広くならないが)。
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オープン仕様だがそこそこトランクルームはある。
ヴィヴィオ タルガトップ GX-Tの総評
ヴィヴィオ・タルガトップのGX-Tはバブル期にスバルが出した４シーターの軽オープンカーで、自然吸気エンジンに対しスーパーチャージャーにより走りを強化したモデルであった。
ボディの作り方はダイハツのリーザスパイダーに似ているが、あっちはベースを完全にぶった切った後付デザインが特徴だったが、こちらはかなり造形が上手く、以外としっくりくるデザインに仕上がっている。
そして自然吸気エンジンにはない加速力とタルガトップボディは独特のものがあり、唯一無二の存在。軽自動車のオープンモデルを探している人で、珍しい＆個性的なモデルを探している人に良いモデル。
ただし年式がかなり古く(製造から30年以上経過)、当時のCVTには故障の難点があったので、このあたりがネック。さらにコペンやビート、AZ-1よりも圧倒的に少ない1000台・限定生産だったので中古車ではほとんどお目にかからないレアなモデルとなっている。
それを差し引いても「希少性」という点では今の軽自動車には無い大きな魅力な１台である。
その後軽オープンカーは2000年を過ぎてコペンが登場し、2015年にはS660が登場するがいずれも２シーターのみで、ヴィヴィオタルガトップのような４シーターは登場しておらず、今日まで唯一無二の存在となっている。
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