【初代・日産のパジェロミニ(OEM)】日産 キックス (H59A型) 概要解説 | シン・軽自動車マニア

【初代・日産のパジェロミニ(OEM)】日産 キックス (H59A型) 概要解説

キックス

キックスは日産のSUV(RV)型軽自動車。三菱の2代目パジェロミニのOEMモデルである。

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日産・キックス(H59A)とは?

2008年10月、三菱・パジェロミニのOEM供給を受けて軽自動車第5弾として登場した「キックス」。商品コンセプトは『Small but reliable partner』とし、日産いわく

あらゆるシーンでドライビングの楽しさを満喫でき、人生のフィールドをアクティブに広げる人たちが、快適で便利に使えるクルマを目指した。

とのこと。

それまでの日産の軽自動車といえばワゴンタイプでベーシックなオッティ(三菱・eKワゴン)。

商用&常用ワンボックスのクリッパーバン(NV100クリッパー)およびクリッパーリオ(三菱・ミニキャブバンタウンボックス)。

セダンタイプのピノ(スズキ・アルト)などがあった(※キックスデビュー後、ハイトワゴンの初代ルークス&ルークスハイウェイスター(スズキ・パレット&パレットSWのOEMモデル)も登場)。

今回OEM供給を受けたのはそのいずれのジャンルにも属さない「SUV」タイプで、新ジャンルのOEMモデルとなった。

三菱からのOEM供給にあたり、ベースとなったのは2代目・後期型のパジェロミニ

2代目パジェロミニは直前の2008年9月にビッグマイナーチェンジを受けて後期型になっており、これをベースとしたものが日産へOEM供給された。

日産のOEM車は伝統的に外観が少しデフォルメされ、日産らしさを出すことが多いのだが、このキックスもフロントグリルに手が入れられ、同年代のエクストレイルを思わせるグリルに変更されている。

また、ベースにあったツートンカラーが存在しない代わりに、写真のようなモノトーン専用色が与えられている。かなりベースと差別化されている感じだ。

メカニズムでも三菱版とは異なりターボエンジンのみの設定で、駆動方式は4WDとシンプルなモデル設定。内装でもインパネカラーを専用色としたり、シートカラーも専用品とすることでパジェロミニとは差別化をはかっている。

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日産キックス(H59A系)と三菱パジェロミニ(H58A系)との違い、RXとRSの違い

日産のキックスと三菱パジェロミニとでは上述のフロントグリルとフロントバンパー、エンブレム、インパネ&シートカラー以外にもカラーリングやグレード構成に違いがある。

H59A日産キックスのフロントグリル

H58A後期パジェロミニのフロントグリル

特徴的なのはフロントグリル。三菱は2本太いメッキラインでパジェロミニのようなSUV風のイメージにしているの対し、日産キックスではエクストレイルのような格子状デザインを採用。人目で日産車とわかるようなデザインとした。

さらにパジェロミニではボディ中央で塗り分ける特徴的な3ウェイツートンカラーや、2トーンカラーの設定があるのに対し、キックスではモノトーンカラーのみとなる。

※日産専用色として「ラズベリーレッドパール」が設定される

これはパジェロミニがオフロード&オンロードであるのに対し、キックスがシティユースを明確にしたモデルとされるためだ。

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日産キックスの内装インテリア H59A

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H58A後期パジェロミニの内装インテリア

さらにインパネカラーやシート色、ドアトリムクロスもパジェロミニのブラウン内装から変更され、キックスではブラックカラー&ブルーのシート表皮やインパネ、ドアトリム表皮に変更となる。

また、グレード構成ではキックスには自然吸気エンジンの設定がなく、かつ2駆(FR)仕様の設定もなし。すべてターボエンジンのみとなる。

さらにパジェロミニには存在する特別仕様車の設定が一切なく、販売終了まで通常グレードのみの展開だった。

なお、型式がH59Aとパジェロミニとは異なるものの、後期型H58A(2008年9月)以降のパジェロミニとパーツに互換性がある。

このためパジェロミニ用パーツをキックス用として使うことも可能で、かつその逆もまたしかり。グリルなど変えてみるのも面白い。

【2代目・後期/最終型】三菱 パジェロミニ(H53A/H58A型) グレード一覧・概要解説

日産キックスのグレード RSとRXの違いなど

H59A型キックスのグレード構成は上級グレードのRXとエントリーグレードのRSの2種類。

パジェロミニに設定の2WD&自然吸気エンジン仕様などの廉価グレード(XRグレード)は非設定で、すべてターボ&4WD仕様のみ。

さらに特別仕様車も未設定で、基本グレードのみの展開だった。

RS

キックスのエントリーグレード。パジェロミニのZRグレードに相当する。

ドアミラーやドアハンドルが未塗装タイプ(樹脂タイプ)となり、手動ミラー、スチールホイールにシートヒーターが未装備など装備が簡略化される(※フォグランプは標準装備)。

快適装備はマニュアル式エアコンにパワステ、パワーウィンドウ、キーレスエントリーなどを標準装備する。オーディオはレス仕様だった。

安全装備は運転席&助手席エアバッグ、EBD付きABSを標準装備する。

RX

キックスの上級グレード。パジェロミニのVRグレードに相当する。RSよりも内外装が豪華になる。

エクステリアではカラード電動格納ミラー、カラードアウタードアハンドル、15インチアルミホイールを標準装備。

インテリアではシートヒーターにシートリフター、オーディオスピーカーが4スピーカー仕様となる(RXも標準はオーディオレス仕様)。

一方でRXグレードでもパジェロミニVRや特別仕様車に設定の2トーンカラーや3Way2トーンカラーが非設定で、RSと同じモノトーンカラーのみとなる

キックスのエクステリア(外装)

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フロントデザイン。日産版ではキックス専用のグリルが与えられパジェロミニとは差別化されている。ちょうど同年代の日産のSUVであるエクストレイルを連想させるグリルで、縦のラインとガンメタリック塗装で精悍さよりもタフさを表現している。

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変更点はこの部分だけなのに不思議と日産風にみえるデザインだ。特に2代目パジェロミニの後期型で採用された新型ヘッドライトと新バンパーがそれまでの2代目パジェロミニとは異なる印象を与えており、これに専用グリルが加わったことでさらなるイメージチェンジを果たしている。なお、パジェロミニではバンパーに縦のラインが黒塗装されたが、キックスでは完全モノトーンとなる。

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サイドも同じ。パジェロミニにはツートン仕様のカラーがあるがキックスではモノトーンオンリーとなっている。

写真のエクストレイルを髣髴とさせる赤系の「ラズベリーレッドパール」はキックス専用色として2010年8月のマイナーチェンジで追加された。

このカラーと専用グリルの組み合わせがパジェロミニには無い一番個性的な外観といえるだろう。この他にデビュー当初からの専用色としてミディアムグレーとホワイトパールを含めた6色展開となっていた。

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足元は上級RXグレードでは15インチアルミホイールを標準装備。センターキャップ以外はパジェロミニ純正と同じデザインでタイヤサイズも同じ175/80R15。RSではスチールホイールとなる。

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リア。タイヤカバーはキックス専用品となり、燃料携行予備タンクをデザインモチーフにしたものとなる。ただし、純正状態ではハーフタイプのハードカバー。

エンブレム類はバックドア左上に日産ロゴエンブレム、左下に車名エンブレムとなっている。後期型モデルのパジェロミニがベースなのでナンバープレートはバックドアからバンバー左下に移動している。

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純正オプションではキックスのロゴ入りスペアタイヤカバー(フルカバー)を設定。

エンジン・機能装備・安全装備など

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搭載されたエンジンはベースと同じく搭載されるエンジンは、4A30型4気筒SOHCのインタークーラー付きターボエンジンのみ。これをエンジンルームに縦置きで搭載。

最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.0kg・m(88N・m)/4000rpm。駆動方式は4WDのみになっている。

トランスミッションは5MTか4AT。ベースでは2駆オンリーのFRモデルも存在したが日産版ではターボエンジンと4WDのみの仕様となっている。

安全装備として運転席&助手席エアバッグとEBD付きABS、盗難防止装置を標準装備する。

キックスのインテリア(内装)

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インパネ。2代目・後期型パジェロミニのデザインが適用され、1998年登場モデルがベースながら内装はリフレッシュ済み。日産仕様としてインパネカラーがブラウンからブラック系に変更されている。

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スピードメーター。パジェロミニと共通品で最終型のデザイン。2010年8月マイナーチェンジではエコランプが追加された。

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5MTのシフトまわり。2代目パジェロミニの後期型マイナーチェンジでもこの部分は変更されず、そのままOEMされたため少しデザイン的に残念な部分。

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シフトノブ下にはベース同様にイージーセレクト4WDを搭載。

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イージーセレクト4WDでは2駆→4駆(高・低)の切り替え機構を備え、いざという時は4駆、普段は2駆とユーザーが切り替えることができる。普段は2駆で走れば燃費を稼げるという仕組みだ。

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フロントシートはセパレートタイプ。日産仕様としてブラックカラーにブルーのアクセントが入っている。また、ドアトリムクロスもシート表皮にあわせてブルー系に変更されている。

快適装備として運転席シートヒーターを標準装備。寒冷地仕様も標準装備となる。

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リアシート。パジェロミニと同じく分割可倒式。もともと3ドア車なのでそこまで作りこまれたシートではない。基本的には2名乗車でたまに4名といった程度の部分である。

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ラゲッジルーム。

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リアシートを倒した状態。使い勝手もパジェロミニと同じ。基本的には2名乗車なのでこのようにリアシートは倒した状態が多いだろう。

キックスの評価

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キックスはメカニカルな部分は2代目パジェロミニの最終モデルと同じだが、外観や内装がちょっと違う個性のあるOEM車である。

外観はフロントグリルやエンブレム、専用ボディカラーの設定程度であったが、日産風の雰囲気はしっかりと表現されており、ブランド力とあわせてスタイリッシュ感も強くなっていた。

パジェロミニを探している人で、人とは違う車が良いという人にススメてみたい1台。2008年にOEMが開始され、パジェロミニの生産終了の2012年まで販売されたが、元々マイナーなRV軽のジャンルということもあってそれほど台数は伸びなかったようだ。

ただしモデル終盤では日産ブランドの強みなのか、三菱版よりも売れたという。

尚、2008年にOEMが開始され、パジェロミニの生産終了の2012年まで販売されたが、元々マイナーなRV軽のジャンルということもあってそれほど台数は伸びなかったようだ。

また、特別仕様車も設定されることもなかった。中古市場でも100台を超える程度しか玉数がなく、少しレアな車といえる。特にキックスの5MTモデルは希少中の希少で、なかなか中古市場に出てこない。

中古市場ではジムニー人気に影響されて2代目最終型パジェロミニの価格が上昇傾向だ。

ほぼ同時期の兄弟モデルとして絶対数が少ないため、個性や希少性などが好みであれば日産のキックスも悪くないと思う。

【2代目・後期/最終型】三菱 パジェロミニ(H53A/H58A型) グレード一覧・概要解説

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