ステラはスバルが生産するワゴンタイプの軽自動車。ステラカスタムはそのカスタムモデルである。本稿では初代RN1およびRN2型に設定された特別仕様車、「カスタムRS Sエディション」を扱う。
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スバル 初代・ステラとは?
2006年6月にデビューした初代ステラ。
ステラとはイタリア語の「Stella」に由来し、メーカー曰く「使っていただくすべての方々にとって、光り輝く存在になるようにとの思いを込めた。」とのこと。
ステラは「たのしい関係空間」をテーマに子持ちの母親をメインターゲットとし、それまでのスバルには無かった広い室内空間と多彩なシートアレンジ、収納スペースなどのユーティリティが与えられたモデルである。
これにメカニズムではスバル伝統もしくはお家芸ともいうべき4気筒エンジンに4輪独立サスペンション、無段変速機のi-CVT、一部モデルではスーパーチャージャーなどを組み合わせ、ただ室内が広い実用モデルにおさまらず見えないところでスバルのこだわりも感じられるモデルとなっている。
ここまで見ればステラはスバルらしい新ジャンルの軽乗用車にみえるが、実は当初から予定されていたものではなくそれよりも前にデビューしたR2の販売不信を受け、R2をベースに急ごしらえで作られた車である。
そのスピードは設計から販売に至るまでわずか11か月という驚きのはやさで、プラットフォームを流用したとはいえスズキやダイハツもびっくりな短期間で登場。R2の面影は(流用ゆえに)エンジンルームやインパネ、スピードメーターなどの垣間見え、R2ベースのため若干室内が同年代の他社よりも若干狭いなど初代ステラ特有の特徴があった。
そのステラのスポーティなカスタムモデルがステラカスタム。ステラカスタムでは外観上の変更に加えR2やR1にもあったスーパーチャージャーエンジンを設定。フロントスタビライザーを搭載し、変速プログラムを加速寄りに振ったスポーツモードボタンを備える軽トールワゴンである。
ステラカスタムRS Sエディション(RN1/RN2)とは?特徴とノーマルとの違い
そのステラカスタムに2007年7月。個性的な存在感と走りへのこだわりをイメージしたスポーティな特別仕様車が設定された。
それがこの「カスタムRS Sエディション」である。SエディションのSは「STI(スバルテクニカインターナショナル)」の意味で上述のSTIパーツを装着し500台限定で販売された特別仕様車であった。
カスタムRS Sエディションでは外装に
- STI製フロントアンダースポイラー
- ルーフスポイラー
- カーボン調ドアサッシュグラフィック
- ガンメタ塗装14インチアルミホイール
専用ボディカラーとしてWRブルー・マイカメタリックを設定。
内装では
- STIシフトレバー
- 本革巻ステアリングホイール
- アルミスポーツペダル
- ボルドー色の専用シート表皮
などを装備し内外装でよりスポーティに仕立てた特別仕様車となっていた。
ステラカスタムRS Sエディションのエクステリア(外装)
フロントデザイン。ベースをスーパーチャージャー搭載のRSグレードとし、これにSTIフロントアンダースポイラー(※STIロゴプレート入り)を装着。ノーマルモデルにはないスポーティ感と特別感を演出している。
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ヘッドライトはプロジェクター式&HID仕様(ロービーム)。
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サイドから。RS同様にLEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。ドア間のドアサッシュはカーボン調となる。 ボディカラーは専用色のWRブルーマイカのみ。
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足元はガンメタ塗装の14インチアルミ。サスペンションはスバルの軽自動車伝統の四輪独立懸架式サスペンションでその後の2代目ステラよりも地面の食いつきが良く乗り心地も良い。
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リア。ベース同様クリアータイプのコンビランプを装着。
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上部にはルーフスポイラーが備わる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは4気筒DOHCスーパーチャージャーエンジンのみ。最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.5kg・m(93N・m)/4000rpm。
R2スーパーチャージャーの前期モデルではハイオク仕様だったがステラカスタムではレギュラー仕様となっている。トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WD。R2スーパーチャージャーにあるマニュアルモードはステラカスタムでは搭載されない。
安全装備として運転席&助手席エアバッグとABSを標準装備する。
初代ステラカスタムRN1とRN2型の違い
初代ステラカスタムのRN1とRN2型の違いは駆動方式。RN1は前輪を駆動するFFのステラカスタム。
RN2はRN1ベースで全輪を駆動するAWD(4WD)のステラカスタム。4WDシステムにはビスカスカップリングを用いたオンデマンド式が採用され、普段はFFで走行し、悪路や雪道などで後輪との前後差が生じると自動で4WDに切り替わる。
ジムニーやパジェロミニのパートタイム4WDとは異なり、自分で切り替える必要が無くタイトコーナーブレーキング現象も起きないので雪国など積雪地域の街乗り4WDではこの方式がよく採用されている。
ステラカスタムRS Sエディションのインテリア(内装)
インパネ。パネル自体はRSと同じだが
ステアリングはSエディション仕様としてフロントシートと同じツートンカラーの本革巻ステアリングホイールとなる。
シフトノブはSTIロゴ入りのSTI製本革巻シフトレバー。スポーツボタンを押すとCVTの変速が加速寄りに変化し、スポーティな走りを楽しめる。
アクセルとブレーキペダルはSエディション仕様としてアルミパッドタイプを標準装備。
スピードメーターはノーマルと同じ。
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フロントシートはベンチシートタイプ。Sエディション専用ボルドー色シート表皮を採用し、特別感を演出した。
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リア。スライド機構付きで足元の広さを調節可能だ。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。初代ステラカスタムはラゲッジスペースが低く、リアシートが盛り上がるためデフォルト状態ではフルフラットにはならない。
ステラカスタムRS Sエディションの総評
初代ステラカスタムのRS SエディションはSTIの架装パーツでノーマルRSとは一味違う個性を演出した特別仕様車である。
STIによる500台限定でしかもノーマルのRSには設定のなかったWRブルーマイカ色とあって、かつてのプレオRSリミテッドのような雰囲気もあり、スバル好き(スバリスト)には特に人気となったモデルである。

その後は2009年11月のD型マイナーチェンジまでスーパーチャージャーのRSにWRブルーマイカが設定されなかった。そのため「初代ステラカスタム&スーパーチャージャー&WRブルーマイカ」を探そうとすると必然とこのSエディションかD型のRSの2択となるため希少なモデルとなっている。
また鮮やかなWRブルーマイカは2代目や3代目ステラカスタムには存在せず、スーパーチャージャーや4輪独立懸架式サスペンションなどこれまた独特のメカニズムも相まって希少価値の高いモデルである。

実際にその希少性は中古市場で現れており10万キロ走行のSエディションが60万円程度で取引されるなどプレミアム価格も付いている。500台限定販売のため市場に出回りづらくちょっと手頃に買う分には難しいモデルであるが上述のスバルらしさは現行や2代目にない部分でこれを理解できるのであれば所有欲を満たす珍しい軽ワゴンである。
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