ステラはスバルのワゴン型軽自動車。ステラカスタムはそのスポーティーモデルで、ダイハツ・ムーヴカスタムのOEMモデルである。本稿では3代目のLA150FおよびLA160F型について扱う。
出典:スバル認定中古車
3代目 スバル・ステラとは?
2014年12月にフルモデルチェンジを受け3代目となったステラ。
ベースとなった6代目ムーヴとほぼ同時期の発表でもあった。ステラとういう車種は先代からダイハツのOEM供給を受けて販売されているが、当初はエンブレムのみの変更でそれほど力の入ったモデルではなかった。
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それが2代目後期モデルでバンパーを専用品にする施しを行い、今回のフルモデルチェンジではフロントグリルを専用品とし、スバルらしさを強調。
先代まではダイハツとの違いがよくわからないよくある微妙なOEMモデルであったが、3代目から一目でスバル版とわかるデザインになっている。
3代目ステラのキャッチフレーズは「Next Quality Small」。先進的かつ存在感や質何広さを感じるボディスタイルにクラスを越えた上質感を追求。走行性能も大幅向上させ商品力を向上させた。
外観は先代までのベーシックな外観を踏襲するものの、上質な表面処理を施した専用グリルと開口部にスバル車共通のヘキサゴンモチーフを継承した立体的な造形のバンパーの採用。これによりスバルらしいダイナミック感とソリッド感ある造形で「安心と愉しさ」を表現。
出典:スバル認定中古車
サイドはシャープかつ流れる造形として上質感を追求。シリーズ初となる2トーンカラーもオプションで新設定した。
インテリアでは立体感のあるインパネや先進的なスピードメーターにダークグレー、ホワイト、グレージュの3トーンカラーで上質さと華やかさを演出。オプションでシックで落ち着きのあるブラック×ホワイト×ダークグレーの「ブラックインテリアセレクション」を設定。
スピードメーターは全グレードでタコメーター付きを標準装備とした。
走行性能は軽量高剛性ボディを採用し、アンダーボディへの最適な補強により高剛性化を実現し、操縦安定性と乗り心地を両立。
サスペンションの特性見直しや剛性アップなどのチューニングを施すことで、スムーズなステアリング操作を可能とし、ステアリングにはパワーモードを備え、エコモードなどもワンタッチで操作可能とした。
自動ブレーキのスマートアシストは従来の低速域衝突回避支援ブレーキ、AT誤発進抑制制御、先行車発進お知らせ機能に加え、「AT誤後進抑制制御機能」を新規追加し、前方以外に後方のペダル踏み間違いによる急発進を防げるようにした。
安全装備ではデュアルSRSエアバッグの標準装備に加え、SRSサイドエアバッグ(運転席/助手席)と、SRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)をオプションで設定し、VDC[ビークルダイナミクスコントロール]は全車標準とした。
快適装備は
- スーパーUVカット&IRカットガラス(フロントドア)
- 花粉除去機能、PM2.5に対応したスーパークリーンエアフィルター
- スマートクール
をLとLスマートアシスト以外に標準装備化。
寒冷地で役立つ
- 運転席シートヒーター
- フロントウインドゥトップシェード
- フロントワイパーデアイサー
- ヒーテッドドアミラー
- リヤヒーターダクト
をセットにした「ウォームパック」をオプション設定した。
3代目ステラカスタムとは?標準ステラとの違いなど
そのカスタムモデルとなるのがステラカスタム。
初代から標準ステラに対して専用ヘッドライトや各種エアロパーツ、アルミホイール、ブラックインテリアなどでスポーティかつ上質なデザインとしたモデルである。
2代目以降は自社生産から撤退しダイハツ・ムーヴカスタム(5代目LA100S系)のOEMモデルに切り替わり、3代目でも同じくムーヴカスタム(6代目・LA150S系)のOEMとして販売される
3代目ステラでもムーヴカスタムと同じく専用ヘッドライトや専用バンパー、専用クリアーテールランプなどスポーティな雰囲気が与えられる。
グリルやバンパーは先代と同じくステラカスタム専用品で差別化。さらに3代目ではフォグランプカバーも専用品とするなど、ムーヴカスタムとは顔つきが若干異なる。
そしてシリーズ初となる2トーンカラーのボディ色もカスタムではバリエーションを多く設定。

6代目前期ムーヴのインパネ
インテリアでも標準ステラはベージュ&ブラック内装に対し、ステラカスタムではブラック内装+シルバーやシャインブラック、メッキ加飾、イルミネーション等で差別化される。
※3代目では標準ステラもブラックインテリアがオプションで選択可。
さらにスピードメーターも標準ステラとステラカスタムとではデザインが異なり、カスタムではスポーティな左右対称形2眼式メーター+TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ付きとなる。
3代目前期・ステラカスタムのグレード一覧 カスタムF、カスタムR、カスタムR スマートアシスト、カスタムRS、カスタムRS スマートアシストの違いなど
3代目前期ステラカスタムのグレード展開はエントリー「カスタムF」、自然吸気エンジン上級「カスタムR」、上級・ターボ搭載「カスタムRS」の3種類。
自動ブレーキのスマートアシストはカスタムRとカスタムRSに設定され、「カスタムR スマートアシスト」、「カスタムRS スマートアシスト」となる。エントリーの「カスタムF」には非設定。
ムーヴカスタムに設定の特別仕様車はステラカスタムには無く、基本グレードのみ。
なお上級グレードとしてムーヴには「ハイパー」というグレードが存在するがスバル版には直接設定されず、かわって「プレミアムセレクション」というメーカーオプションで設定される。
プレミアムセレクションでは最初からスポーティな専用サスペンション、切削加工15インチアルミ、グリル下部&フォグランプ部のLEDイルミネーションなど上級な装備がおごられる。
標準ステラについてはこちらから。

カスタムF
3代目前期ステラカスタムのエントリーグレード。ムーヴカスタムの「カスタムXスペシャル」のOEM。
2016年6月に追加されたグレードで、カスタムRよりも内外装や装備を簡略し、価格を抑えたグレード。
エクステリアではLEDターンランプ付き電動格納ミラー(4WDはヒーテッドタイプ)、フロントドアにはUVカットガラス、14インチフルホイールキャップ、フロントスタビライザー(4WDは加えてリアスタビライザー)が標準装備となる。
カスタムRグレードのオート格納式ミラー、スーパーUV&IRカットガラス、アルミホイールは非装備。
インテリアではメッキアコンレジスターノブが非装備。ステアリングはウレタンステアリングにスピードメーターはメッキリングを非装備としてコストダウン。
快適装備はフルオートエアコン、キーフリーシステム&プッシュエンジンスタート、4WDにはリアヒーターダクト(2WDはオプション設定)が標準装備。
装備を厳選しカスタムRよりも5万円ほど安くしていた。
カスタムR
3代目前期ステラカスタムの上級グレード。ムーヴカスタム「カスタムX」のOEMグレード。
エクステリアでは
- メッキフロントグリル
- オート可能式ドアミラー
- 14インチアルミホイール
- トップシェイドガラスフロントウインドウ
- LEDヘッドライト&フォグランプ
- LEDクリアーテールランプ
- リアスポイラー(ハイマウントストップランプ付き)
を標準装備。
インテリアでは
- ブラックインテリア
- ファブリックシート表皮
- メッキメーターリング付き2眼自発光式メーター
- ブラックオーディオパネル
- ヘアライン調のインパネガーニッシュ&ドアオーナメントパネル
快適装備では
チルトステアリング
- 運転席シートリフター
- アジャスタブルショルダーベルトアンカー
- フルオートエアコン
- キーフリーシステム
- プッシュエンジンスタート
- スマートクール
- ワンタッチターンシグナル機能付方向指示スイッチ
などを標準装備する。
カスタムR スマートアシスト
「カスタムR」グレードにスマートアシストを搭載したグレード。
スマートアシストでは「衝突警報機能」、「AT誤発進抑制制御機能(前方+後方)」、「先行車発進お知らせ機能」が加わる。
2015年5月の一部改良以降はスマートアシストの性能が向上し、作動速度域が飛躍的に向上。
プラスして新機能として「車線逸脱警報機能」、衝突警報機能には「対歩行者」も追加された。
カスタムRS
6代目前期ムーヴカスタムの上級ターボ仕様。ムーヴカスタム「カスタムRS」のOEMグレード。
ターボエンジンでパワフルな走りと、上級装備が特徴のグレード。
RSではカスタムRの装備に加えて15インチアルミホイールとスポーツサスペンション、本革巻きステアリングを標準装備する。
カスタムRS スマートアシスト
「カスタムRS」グレードにスマートアシストを搭載したグレード。
スマートアシストでは「衝突警報機能」、「AT誤発進抑制制御機能(前方+後方)」、「先行車発進お知らせ機能」が加わる。
2015年5月の一部改良以降はスマートアシストの性能が向上し、作動速度域が飛躍的に向上。
プラスして新機能として「車線逸脱警報機能」、衝突警報機能には「対歩行者」も追加された。
エクステリア
出典:スバル認定中古車
フロントデザイン。先代では特に後期型でスバル専用のデフォルメが施されたが3代目でもそれは健在。
ダイハツ版のグリルは太いメッキグリルが3本連続し存在感が強いデザインだったが、スバル版ではスズキのワゴンRスティングレーのようなアクリル調のグリルに変更されている。
出典:スバル認定中古車
その他バンパー部にかけてもダイハツ版ではXをモチーフとしたダイナミックなデザインだったがスバル版では先代からのモチーフであるヘキサゴンの開口部に変更されている。
さらにフォグランプガーニッシュもスバル専用品が与えられ、ベースモデルよりもスタイリッシュ感が強くなる。
個人的にはダイハツ版は少しやり過ぎた感じのデザインだったが、スバル版では落ち着きがありデザイン面ではこちらの方がいくぶん万人受けするように思える。
出典:スバル認定中古車
サイドから。このあたりは特に変更はない。程よく出っ張ったボンネットと室内空間を広くとったキャビンとがバランスよくデザインされている。
出典:スバル認定中古車
足元はカスタムRが155/65R14の14インチアルミ。カスタムFはホイールキャップ。
カスタムRSは165/55R15の15インチアルミホイール。
オプションの「プレミアムセレクション」選択時は、ダイハツの「ハイパー」グレードと同じ専用デザインのブラック塗装アルミホイールで差別化される。
出典:スバル認定中古車
リア。コンビランプはクリアータイプを標準装備。外国車にあるような縦長のテープ状LEDを配置し、軽自動車としては個性的なバックランプとなっている。
ちなみにこれはムーヴカスタムと同じもの。空気抵抗を考慮したハイマウントランプ付きリアスポイラーも標準装備。
リア付近はムーヴカスタムとほぼ同じで、エンブレムが変更される程度。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはKF型直列3気筒エンジンの自然吸気とインタークーラー付きターボの2種類。
自然吸気エンジンは最高出力52ps(38kW)/6800rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpm。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは9.4kg・m(92N・m)/3200rpm。先代から続く伝統的なグレード構成でカスタム顔でも自然吸気とターボの2種類を設定する。
トランスミッションは全グレードでCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDだ。これ以外に安全装備のスマートアシストはグレード別の設定。
安全装備は先代よりも進化し、誤発信抑制装置に関しては前方向だけでなく後方に対しても作動するようになった。
2015年4月の一部改良では自動ブレーキが改良され、作動速度域が飛躍的に向上(ダイハツのスマートアシストⅡを適用)。
プラスして新機能として「車線逸脱警報機能」、衝突警報機能には「対歩行者」も追加された。
3代目ステラカスタムLA150FとLA160Fとの違い、LA150SとLA160Sとの違い
3代目ステラカスタムのLA150FとLA160Fとの違いは駆動方式。
FFモデルがLA150Fで、LA160FはFFベースの4WDとなる。ただし、ジムニーなどのクロカン4WDとは異なりビスカスカップリングを用いたオンデマンド式の4WDとなっている。
そのため常時4WDではなく、前輪と後輪の回転差が生じたときのみ4WDとなる生活四躯仕様となる。
なおスバルへOEM供給するにあたりムーヴカスタムの型式末尾がダイハツ版の「S」から富士重工の頭文字をとった「F」が用いられ、2WDモデルは「LA150S」から「LA150F」、4WDでは「LA160S」から「LA160F」へ変更されている。
インテリア
出典:スバル認定中古車
中央部のエッジが特徴的なインパネ。基本的にはエンブレム以外は同じである。
ステアリングにはエコモードとパワーモードを切り替えるD assist切替スイッチが備わる。RSグレードのみ本革巻きステアリングで、RとFはウレタンステアリング。
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スピードメーター。タコメーター付きの2眼式メーターを採用し、中央部に大きな液晶パネル(マルチインフォメーションディスプレイ)が備わっている。
出典:スバル認定中古車
インパネシフト。エアコンは全グレードフルオートエアコンを採用。
出典:スバル認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。カスタムでは伝統のブラック内装を採用し、上質感やスポーティー感を演出する。シートはダイハツ・ムーヴカスタムと共通品。
出典:スバル認定中古車
リアシート。スライド機構付きで使い勝手も良い。
出典:スバル認定中古車
ラゲッジルーム。ベースの6代目ムーヴでは2代目からの伝統だった左右開閉式のリアハッチが跳ね上げ式に変更された。ステラにとっては初代以来の回帰となる。
出典:スバル認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
3代目ステラカスタムは、6代目ムーヴカスタム同様に乗り心地と走り、安全面など正統に進化したモデルで先代よりも全てがよくなっている。
デザインに関してもベースほどコテコテ感が薄いので6代目ムーヴカスタムに少し抵抗を感じる人はこちらのスバル版を見てみると良いだろう(外観以外は中身に関しては同じ)。
初代ユーザーから見るとどうしても4気筒エンジンやスーパーチャージャー、独立懸架式サスペンションなどスバル伝統の装備が無い分、魅力が薄く感じてしまうが少なくともOEM当初のステラカスタムよりは良くなっていることを付け加えたい。
それ以外のマニアユーザーにはムーヴカスタムの兄弟車種としてひと目確認しても良いだろう。
先代の後期あたりからスバル版に専用のデフォルメを施すあたりはライバルを意識してだろうか。買う側にとっては選択肢が増える点で評価したい部分である。
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