スマートKはドイツ・スマート社のハッチバック型軽自動車。本稿ではヘッドライト形状変更後の2002年6月~2004年5月までの後期型に設定された特別仕様車、「リミテッド」を扱う。
概要
日本の軽自動車史上でも異色なのがこのスマートK。日本の軽規格という独自のカテゴリーに海外から参戦した稀な車である。
元々600CCという小排気量の「スマート・クーペ」をベースに、日本の軽自動車規格に合うようリアフェンダー、トレッド、タイヤサイズを変更。ボディの全幅(横幅)をベースの1515mmから1470mmに縮小したのがスマートKである。
さらに販売価格をベースの「スマート・クーペ」よりも安くするために標準装備だったフォグランプを撤去。ルーフをガラスからスチール製に変更し、内装ではカップホルダーやバニティミラー、ラゲッジカバーなどもメーカーオプション化。パネルカラーは4色としインテリアカラーもグレー系となる。
後期型スマートKの改良点と前期との違い
そのKは2002年6月のマイナーチェンジではフロントデザインの変更を伴い後期型となった。
後期型スマートKではそれまでの横長で楕円形状だったヘッドライトが涙目のような形に変更。内装も一部変更が行われボディカラーも3色増加。
燃料タンク容量も前期の22Lから33Lへアップし、内外装のテコ入れが行われたマイナーチェンジとなっている。
後期型スマートKリミテッドの特徴とノーマルとのち外
そして2002年11月。後期型Kに対しオプション設定となっていたレブカウンター、コックピットクロック、カップホルダー兼小物入れ、6連奏CDオートチェンジャーなどを標準装備とし、台数限定とした特別仕様車が追加された。それがこの「リミテッド」である。
リミテッドは後期型マイナーチェンジから「フォーツー K」への名称変更まで4回にわたり小変更を行いながら販売されたモデルで、ベースに対して上級グレード的な位置づけとなっていた。
後期型スマートKリミテッドのエクステリア(外装)
フロントデザイン。リミテッドでは外装上の専用パーツは特になく、外観はベースと同じだ。
後期型マイナーチェンジでヘッドライトの形状が変更され、それまでのオーソドックスな可愛らしさから少しだけ個性がプラスされた顔つきに変化した。
バンパーは前期と同じく口のようなグリルと開口部を持つバンパーが組み合わされる。ひと目でキュートな顔つきとわかる特徴的なデザインとなっている。前期同様、個性が強すぎるため万人受けは難しいが、逆に気にいれば長く愛せそうなデザインでもある。
サイド。このあたりも変更点は無い。スマートKの全長はたったの2560mm。参考までに8代目アルトが3395mm。スズキの2人軽自動車・ツインでも2735mmのためツインよりもさらに短い全長である。
乗車定員は2名で、後部座席は無し。かわりにちょっとしたラゲッジルームが付いている程度。
スペースを優先とする日本の軽自動車とは真逆のコンセプトである。基本は1人乗車でたまにもう一人乗せるといった使い方だろうか。
なお、リミテッドではボディカラーと生産台数が限定仕様となっており、登場時期により台数やボディカラーが異なる。最初の2002年11月登場のリミテッドではベースモデルのカラーから「ファットレッド」と「ライトホワイト」のみとし、各150台ずつの計300台限定。
次の2003年2月にはリミテッド専用色を2種類設定し、「スパークオレンジ」が80台。
「フレッシュイエロー」を120台の計200台。
2003年5月では専用色ではなく、ノーマルモデルのカラーから1色のみで「スターブルー」を設定。これを180台限定とした。
「フォーツー K」への名称変更を行う前の最後となる2003年11月には再びリミテッド専用色として「フレッシュイエロー」を設定し、300台限定となっていた。
特別仕様車の専用色として設定されたフレッシュイエローとスパークオレンジはスマートKの中でも希少なカラーで、特に80台限定のスパークオレンジは最も希少なカラーとなっている。
足元は標準でフルホイールキャップとなり、オプション設定でアルミホイールが選択できた。
リア。こちらもベースモデルからの変更はなく、外観上の違いは無い。丸型のコンビランプが両サイドに左右対称に並び、ルーフスポイラーとハイマウントストップランプが付く。リアビューは意外とスポーティーな感じで、サイドやフロントの印象とは異なる。
エンジン・機能装備
搭載されたエンジンは、598CCの3気筒SOHCインタークーラー付きターボエンジン。
後期型ではエンジンやトランスミッション関連での改良は無く、前期と同じ内容だ。最大出力55ps(40kW)/5250rpm、最大トルク 8.2kg・m(80N・m)/2000~4500rpm(※オーバーブースト時にはトルクが9.0kgまでアップ)と、出力やトルクだけ見るとスズキのMターボに似ているが、最大トルクが2000回転から4500回転に至るまで最大トルクを出し続ける設定で、街乗りで乗りやすいセッティングとなっている。
トランスミッションはシーケンシャル式の6AT(ソフトタッチ)。一般的なトルコンATとはことなり、機械がクラッチを自動的につないでくれる2ペダルMT。当然ながらマニュアルモードを備え、比較的軽量な750kgの車重と相まって加速は悪くない。駆動方式はRRである。
なお、ガソリンは軽自動車では珍しくハイオク仕様となり、ガソリンタンクは22Lから後期型で33Lにアップ。前期で少し不評だった燃料タンクの小ささが改善された。燃費は10.5モード燃費で19.0km/l。
安全装備としてデュアルエアバッグ、エレクトロニック・トラクション&スタビリティ・コントロール、ABS、フォースリミッター&テンショナー付きシートベルトを標準装備。
2003年8月マイナーチェンジではヒルスタートアシスト、ブレーキアシスト、エレクトロニック・スタビリティ・プログラム(滑りやすい路面状況や危険回避時の車両安定性を飛躍的に高める機能)が標準装備となった。
スマートKリミテッドのインテリア(内装)
インパネ。後期ではインパネのカラーが若干変更さているが、リミテッド仕様のカラーリングは特に与えられてない。カップホルダー兼小物入れと6連奏CDオートチェンジャーは2002年11月登場のリミテッドに。MDプレーヤーセット、8連奏CDチェンジャー、サウンドパッケージは2003年5月モデルのみに標準装備となる。
ステアリングはウレタンステアリングで、シルバーガーニッシュ入り。エアコンはマニュアル式エアコンとなる。
スピードメーターもノーマルと同じ。
リミテッド仕様としてレブカウンターとコックピットクロック(時計)を標準装備。この2つは2003年5月モデル以外を除いたリミテッド共通の装備となる。
ソフトタッチ(シーケンシャル6AT)のシフトノブ。当時としては軽自動車にこれが付いていて画期的だった、が、まだまだ未熟な段階だったので、オートモードのシフトアップ、シフトダウンが少しギクシャクしている。またクリープが無いので、オートマのクリープに慣れている人は注意が必要。
シートはセパレートタイプ。シートはさすが海外メーカーの車とあってかなり出来が良い。
ラゲッジルーム。全長が短く2人のりモデルのためラゲッジルームは極端に狭い。一般的な軽乗用車と比べるとこの部分は劣る。
リア。リアガラスが上に方向に開閉するほか、
リアガラスの下部はこのように下側に倒れる。
スマートKリミテッドのまとめ
スマートKの後期に設定されたリミテッドは、ベースに対してタコメーターやアナログ時計(※一部リミテッドを除く)などを標準装備し、モデル時期によってはリミテッド専用色を設定するなど、ノーマルモデルよりも魅力がアップした特別仕様車となっている。
特に蛍光色のフレッシュイエローとスパークオレンジは個性的な外観を引き立てる鮮やかなカラーリングとなっており、こういったモデルに相応しいボディカラーといえよう。
なお、上述のとおりカラフルかつ個性的なフレッシュイエローとスパークオレンジはこのリミテッドのみの設定だったため、スマートKの蛍光イエロー色や蛍光オレンジ色を探す場合は必然的にこのリミテッドを探すこととなる。
特にオレンジ色は80台限定だったため中古市場では極端にタマ数が少なく、特徴的なカラーも保管状態(青空駐車)によっては色あせしている場合もあるため状態の確認など購入の際には注意されたい。
登場から20近く経過し古いモデルになってきているが、現行モデルでは軽規格ではないため、こういったジャンルにおいては貴重な存在である。
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