テリオスキッドはダイハツのSUV型軽自動車。「テリオスキッド カスタム」はそのカスタムモデルである。本稿では後期型(2006年8月マイナーチェンジ以降)に設定された特別仕様車の「カスタム メモリアルエディション」を扱う。
概要
1998年10月の軽乗用車新規格と共にデビューしたダイハツ・テリオスキッド。
テリオスキッドが登場するまでは軽SUVといえば硬派なクロカン系のスズキ・ジムニー、本格SUVのパジェロスタイルを与えつつ街乗りをメインとした三菱・パジェロミニの2台だったが、その2強に対し「オフロード4WDスタイルに乗用車トレンドを融合させた都会的かつ躍動感あふれるデザイン」をコンセプトに開発されたのがテリオスキッドである。
外観上で最も異なるのは、ジムニーやパジェロミニが3ドアモデルだったのに対し、テリオスキッドは独立した後部座席のドアを持つ5ドアとなっている点。
ターゲット的にはパジェロミニのシティユース路線に近いのだが、テリオスキッドではそれを発展させ、「4人が乗れるシティユースの軽SUV」というより実用性を高めたパッケージとなっていた。
さらに4WDモデルでは軽乗用モデルとしては珍しい「デフロック機構」を備え、万が一スタックした際にもデフロックにより脱出を容易にさせていた。切り替えの必要がないフルタイム4WDは普段使いでは非常に楽なシステムで、まさに街乗り用軽SUVに便利な機能であった。
スズキでいうところの「Kei」に近いパッケージングで、センターデフによるオンロードの走行性能に加えてテリオスキッドでは万が一スタックした際にデフロックで脱出ができるなどKeiとパジェロミニの中間的な位置づけとなっていた。
テリオスキッドのモデル構成はベーシックな外観に60馬力のMターボを搭載したノーマルグレードと、インタークーラー付きの64馬力エンジンを搭載したカスタムグレードの2種類。カスタムではノーマルに対しエアロパーツ+車高調で純正よりも20mmほどダウン。このあたりはムーヴカスタムなどにみられるダイハツおなじみの手法で、ジムニーには無い特徴である(※2代目パジェロミニは似たようなグレード構成がある)。
2000年11月には1回目の大幅なマイナーチェンジを行い、俗にいう中期型となった。ヘッドライトは4灯式マルチリフレクターハロゲンヘッドランプに変更され、前期型とは異なるスタイリッシュ&スポーティーでかつ実用性の高いものに。バンパーもデザインを変更し、フォグランプとコンビランプもマルチリフレクター化。内装も同様に変更されデビュー当初よりも見た目が格段に良くなったのが中期型と呼ばれるテリオスキッドである。
2006年8月には2回目の大幅なマイナーチェンジを行い後期型に。後期型ではそれまでのベーシックなグレード名がCLからLに変更。ちょうど同年代のミラやムーヴと同じグレード名となった。一番の大きな変更点はそれまでカスタムグレードで採用されていたスタイリッシュなグリルをベーシックグレードにも標準装備したことと、ベーシックグレードでは別に用意されていたロープレッシャーターボ(60馬力仕様)を廃止し、カスタムと同じインタークーラー付きの64馬力としたことである。これにより外観がカスタムに近くなりかつエンジンも出力アップするなどベーシックグレードとしてはかなりの改良点が加えられていた。
後期型テリオスキッドカスタム・メモリアルエディションの特徴と違い
そして2007年9月に設定された特別仕様車が本稿で扱う「メモリアルエディション」である。
メモリアルエディションそのものは中期型の2001年5月に1度登場しているが、今回のメモリアルエディションはダイハツの創立100周年を記念するモデルとして設定されたもので、先に発売された「ムーヴ・メモリアルエディション」と「ミラ メモリアルエディション」に続く第2弾の100周年記念モデルである。
ちなみにテリオスキッドのメモリアルエディションと同時にエッセには「エッセ VS メモリアルエディション」、コペンには「コペン アルティメット エディション メモリアル」が同時設定され、100周年記念モデルはテリオスキッド、エッセ、コペンの3車種に設定された。
後期型に設定されたメモリアルエディションでは「カスタムL」をベースグレードとし、専用グレイッシュフロントメッキグリル、ドアミラーターンランプ、MOMO革巻きステアリング、専用ファブリックシート、専用シャンパンメタリック調メーター&センタークラスタを装備し特別感のある専用内外装と上級装備で質感をアップさせたモデルとなっている。
エクステリア
フロントデザイン。メモリアルエディションではベースのカスタムLに対して専用となる「グレイッシュフロントメッキグリル」を装着。
ノーマルでは通常のメッキグリルだったが、メモリアルエディションではグレー系の深みのあるメッキグリルとなっており、ワンポイントなアクセントとして申し分ない顔つきに変化している。
これ以外は後期型のテリオスキッド・カスタム仕様となりブラックメッキのハイロー独立式ヘッドライトと後期型のカスタム用エアロバンパー(フォグランプ付き)を標準装備する。
サイドから。
メモリアルエディションではLEDターンランプ付きドアミラーが標準装備。
足元は15インチアルミホイール。
リア。このあたりはベースモデルと同じ。後期仕様なのでコンビランプはインナーメッキが施されたクリアーコンビランプで、
上部にはハイマウントランプ内蔵のリアスポイラー付き。下部のバンパーも後期型のデザインでタイヤハウス付き。
エンジン・機能
エンジンはEF-DET型の3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンのみ。最大出力は64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは10.9kg・m(107N・m)/3600rpmを発生。
トランスミッションは4ATのみとなり、駆動方式はFRまたはフルタイム4WDとなる。4WD仕様ではデフロックスイッチが備わり、万が一のスタック時に脱出が容易になる。
安全装備として運転席&助手席エアバッグを標準装備。ABSはオプション設定となっていた。
インテリア(内装)
インパネ。メモリアルエディションでは専用シャンパンメタリック調センタークラスターとシャンパンメタリック調のメーターフードが標準装備となる。
スピードメーターのデザインは後期型となる。
ステアリングはモモ製の革巻ステアリングホイール。
フロントシートはセパレートタイプ。メモリアルエディションでは専用のオレンジステッチが施されたフルファブリックシートとなる。
リアシート。足元の広さはデビュー当初と同じでかつスライド機構もないため、昨今のモデルと比べると少し窮屈だ。
ラゲッジルーム。その分ラゲッジルームは広めにとられている。
リアシートを倒した状態。
まとめ
後期型テリオスキッドのメモリアルエディションは専用のダーク系メッキグリルに専用シート、本革のモモステにターンランプ付きドアミラーなどノーマルもカスタムグレードよりも外観と内装がバージョンアップされた特別仕様車である。
後期型のテリオスキッドではこれが最後の特別仕様車となりかつノーマル状態でも外観や内装が上級に仕立てられているため、テリオスキッドの中でも最も魅力的なモデルといえよう。中古で後期型のテリオスキッドを探す場合は間違いなくオススメできる1台だ。
後継として「キャスト・アクティバ」とタフトがあるが燃費や自動ブレーキなど最新技術では勝てないものの、軽自動車には見えない露骨なSUV風な外観とキャストアクティバにはない機械的なデフロックシステム(4WDのみ)を備えるため、こだわりのある人であればコチラという選択肢も悪くはない。
中古価格も手頃であり、特に後期型は内外装がテコ入れされているためまだまだ魅力が色褪せない1台である。
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