アルトC2はスズキのハッチバック型軽自動車。5代目後期型アルトに設定されていたクラシカル(レトロ)モデルである。
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スズキ 5代目アルトとは?
キャリィやジムニーの次ぐらいに歴史の長いスズキのベーシックな軽自動車「アルト」。初登場の1979年から数えて5回目となるフルモデルチェンジは、軽自動車新規格にあわせて1998年10月に登場した。
5代目アルトはそれまでの角張ったフォルムから曲線を意識したデザインに変更され、1998年の軽乗用車新規格にあわせて新開発の「軽量衝撃吸収ボディー」を採用。クラッシャブル構造や骨格構造も取り入れ安全性と軽量設計を両立させた。
ボディサイズは先代よりも全長は100mm、全幅は80mm拡大。これにあわせて重量増を抑えるために小さな部品にまで軽量化を徹底。全体での軽量設計が追求されている。
メカニズムでは上級グレードに新技術となるDOHCリーンバーンエンジンや、SOHCターボ、CVT、電子制御スロットルの採用で低燃費を追求。特にリーンバーンエンジン仕様車(FF・5MT)では10・5モード燃費で29.0km/リットルの低燃費を実現した。
また、ホイールベースの延長やトレッドの拡大により乗り心地をアップ。ボディ剛性の向上で静粛性を高めるなど先代よりも快適性が向上した。また、一部グレードを除いてブレーキアシスト付4輪ABSをオプション設定するなど安全機能も向上させている。
アルトC2とは?特徴やアルトとの違いなど
今でこそスズキのクラシカル(レトロ)な軽自動車といえば「アルトラパン」が代名詞となっているが、そのラパンが出る前にもクラシカルなモデルが存在した。
それがこの2001年2月登場のアルトC2である。
アルトC2は5代目アルトの後期型をベースとし、外装の一部をレトロ調にデフォルメして作られた軽自動車である。
この手の軽自動車の先駆者としてスバルのサンバークラシック、その後に出たヴィヴィオビストロなどがあるがこのアルトC2は先駆者にならって既存モデルの一部をパーツごと変更して外装を整えている。
アルトC2のエクステリアには
- レトロ調の専用グリル
- 専用フロントバンパー
- 縁取りの丸形ヘッドランプ
- 丸形リアコンビネーションランプ
- バックドアにはレトロ調のSUZIKIエンブレム
- シルバー塗装のサイドドアハンドル
- ホワイト塗装のスチールホイール
インテリアでは
- 専用デザインのスピードメーター
- シルバー塗装のインパネガーニッシュ
- ホワイトモールを縁取りした専用ファブリックシート
- 蓋付きバニティミラー付き運転席サンバイザー
快適装備としては
- マニュアル式エアコン
- AM/FMラジオ付カセットステレオ
- 電動パワステ
- パワーウインドー
- パワードアロック
- キーレスエントリー
- 運転席シートヒーター&ヒーテッドドアミラー(4WD車)
- UVカットガラス(フロントドア)
- チャイルドシート固定機構付リヤシートベルト
- スライド式カップホルダー
- 後席ヘッドレスト付き
とし内外装をレトロ調にあしらい、快適装備をプラスした上級なアルトとなっていた。
アルトCとアルトC2との違い
アルトCとアルトC2は同じクラシカルな雰囲気のモデルだが、外観は大きく異なる。
特にフロントデザインはC2ではヘッドライトとグリル、バンパー、ウィンカーが一体型となった完全専用設計の部品が用いられれ、より個性が強くなっている。リアもこれに準じてテールランプは専用品となり、エンブレムも筆記体のSUZUKIを用いてよりレトロ調の雰囲気を強めている。
内装に置いてもそれぞれインパネやシート表皮を専用品とし、ベースモデルと差別化がなされている。アルトCでは木目調インパネとベージュ系シート表皮。アルトC2ではシルバー塗装のインパネにブルーカラーのシート表皮などの違いがある。
また、エンジンもアルトCではマイルドターボ仕様だったが、アルトC2では自然吸気エンジンに変更。よりクラシックモデルらしい大人しい仕様になっている。

アルトC2のエクステリア(外装)
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フロントデザイン。ボンネットから下、バンパーからグリルにかけてをごっそりと専用部品へ交換。丸目のヘッドライトとレトロ感のあるグリルまわりでイメージをクラシック調へと変化させている。
さらにエンブレムのSマークを使わずあえて筆記体にしている点も目新しい。グリルにかけての変更のみだが、レトロ感が上手く出ている。
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サイドから。標準でメッキドアハンドルカバーを装備している。バンパー部やコンビランプ部分が専用品になっているので、サイドからの見た目も若干違う。
ただ、元々はレトロモデルに設計されたボディスタイルではないので後付感がかなりある。
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リア。コンビランプを専用品に変更。よくあるレトロモデルで用いられる、外形をそのままでデザインのみ新しくしたタイプだ。
既存のボディにポン付けでデザインを大幅変更できるが、一方で後付感が残るデザインとなっている。バンパーも専用品で、バックランプを内蔵したタイプ。全体的な印象としてはフロントと同じく丸目を貴重とすることでレトロ感を出している。
そしてリアもスズキのロゴマークエンブレムを使わず筆記体のスズキエンブレムとなっている。この点は後のアルトラパンでもロゴエンブレムを用いないデザイン手法は引き継がれている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3気筒の自然吸気エンジンのみの設定。
K6A形直列3気筒DOHC自然吸気エンジンは最高出力54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.2kg・m(61N・m)/4000rpm。
トランスミッションも3ATのみ。駆動方式のみFFまたは4WDとなっていた。トランスミッションも3ATのみ。駆動方式のみFFまたは4WDとなっていた。
アルトC2のインテリア(内装)
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インパネ。基本的にベースと同じだが、センターパネル部付近の色は変更されている。
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スピードメーター。ベースと若干の変更が付け加えられている。アルトC同様にレトロなフォントを用いた専用の1眼メーターとなる
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フロントシートはセパレートタイプ。ブルーのシート表皮を用いた専用品で、サポートはそれほど良くなさそうだが、ベースのアルトと違って少し上質な感じのシートが使われている。
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リアシート。足元はさすがに狭い。なお、ヘッドレストが標準装備される。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。このあたりはベースの6代目アルトと使い勝手は同じである。
アルトC2の総評
アルトC2は5代目後期型アルトに設定されたクラシック(レトロ)モデルで、ベースとはかなり違う外観が特徴の軽自動車だ。
人気のミラジーノと比べると後付感が半端無いが、逆にそこは個性でもあり圧倒的タマ数が多かったノーマルアルトと比べると希少性がかなり高い1台。不人気車だったのでプレミアム価格は付いておらずかなり安価で購入できるが、滅多に中古市場に出てこないので、困難を極めるレア車となっている。
ちなみに6代目アルトの前期型では「アルトC」というアルトC2とは違う顔つきの軽自動車が設定されている。こちらの方がヘッドライトがマルチリフレクターだったり、大型のメッキグリルを用いてさらに個性的な顔つきになっているので、好みによってはこちらという人も居るだろう。気になった人はチェックして欲しい。
アルトC2は人気になりつつあるレトロ軽自動車市場、特にダイハツ・ミラジーノの対向車として登場した車だったが、デザインやパッケージング(ターボ付き)などあらゆる面で勝てずにほとんど売れなかった車種である。そのスズキは反省を活かしてボディを専用設計したアルトラパンで巻き返しをはかることとなる。


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