【2代目 前期型】日産 オッティ(H92W型) 概要解説 | シン・軽自動車マニア

【2代目 前期型】日産 オッティ(H92W型) 概要解説

オッティ

オッティは日産のワゴン型軽自動車。三菱・eKワゴンのOEMモデルである。本稿では2代目H92W系のデビュー当初2006年10月~2008年8月までを前期型とし、これを扱う。

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画像参照元:日産認定中古車

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2代目 日産・オッティとは?特徴など

2006年10月にフルモデルチェンジし2代目となったオッティ初代は2005年の6月にeKワゴンのOEMモデルとして登場しそこからわずか1年半程度での全面改良となった。

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2代目オッティはベースモデルの2代目eKワゴンと同じく、軽自動車史上の中でも異例でキーコンセプトを踏襲し初代とほぼ同じボディスタイルとなった(ただし、ボディは流用ではなくルーフ以外は新設計)。

その中でも大きく変更されたのはヘッドライトとグリル、バンパー、リアコンビランプを刷新。特にリアコンビランプでは軽自動車初となるLEDストップランプを純正で全グレード標準搭載。

内装ではそれまでのコラムシフトからインパネシフトに変更し、新スピードメーターや新シートを採用。

また、乗用タイプの軽自動車としてはこれまた初となる電動パワースライドドアを一部グレードで採用し、初代のイメージはそのままに四角いボディによる飽きのこないデザインとゆとりの室内空間。

加えて視界の良さと立体駐車場にも入る初代と同じ全高1550mmで機能性を両立した。

エンジンは先代からのキャリーオーバーで引き続き3G83型エンジンを採用。トランスミッションも同じで3AT、4AT、5MTの3種類。

このほか安全装備として先代同様、全グレードにEBD付きABSを標準装備とし、これ以外にも前席2ステージロードリミッター付プリテンショナーシートベルト歩行者傷害軽減ボディ、衝突安全強化ボディ、運転席・助手席SRSエアバッグシステムなどを全グレードに標準装備とした。

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2代目オッティ(H92W)と2代目eKワゴン(H82W)との違い

初代同様に、2代目オッティと2代目eKワゴンではフロントのグリルデザインが異なる。

三菱版ではベーシックなデザインに対し、日産版では初代と同じスクエア感を連想させるシカクなグリルとなっており、よりスタイリッシュかつ上品なイメージとしている。

また、リアコのコンビランプも三菱版ではクリアータイプのLEDテールランプに対し、日産版では通常タイプ(赤レンズ)のLEDテールランプにするなど、こちらも上品さやスタイリッシュ感を強調した外観となる。

内装は基本的に同じで、オプションでブラック内装&本革巻ステアリングをセットにした「ブラックインテリアパッケージ」を設定していた。

このほか初代同様、EBD付きABSを標準装備とするなど装備が豪華で、その分eKワゴンよりも新車価格が若干高くなっていた。

前期型・2代目オッティ(H92W) グレード S、S FOUR、M、M FOUR、E、RS、RX、RX FOUR、RM、RZ 、RM FOURの違いなど

2代目前期オッティのグレード展開は標準タイプがエントリー「S」、「S FOUR」、ミドル「E」、スライドドア搭載の上級「M」、「M FOUR」の5種類。

カスタムモデル(eKスポーツOEM)が自然吸気「RS」、「RS FOUR」、ターボ仕様「RX」、「RX、RX FOUR」で4種類。

※FOURが付くグレードは4WD仕様

モデル中盤にはカスタムモデルにもスライドドア機構を追加した「RM」や「RZ」が追加された。

特別仕様車には「ノアールエディション」とオーテックジャパン仕様の「ライダー」を設定。

S

2代目前期オッティのエントリーグレード。eKワゴンのMグレードに相当。Mグレードよりも装備を簡略化し、価格を抑えていた。

Sグレードはスライドドア機構と撥水加工シートが非装備となる。

ただし、eKワゴンとは異なりエントリーグレードでもABSを標準装備する。

快適装備はパワステ、マニュアル式エアコン、パワーウィンドウ、集中ドアロック、電動格納ミラー、キーレスを標準装備。足元は13インチホイールキャップ。

トランスミッションは3ATとオッティで唯一の5MTを設定。3ATのみブラックインテリアが選択可能となる。

S FOUR

上記Sグレードの4WD仕様車。

Sグレードに追加で寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が標準装備される。

E

2代目前期オッティのミドルグレード。

Sの装備に加えてトランスミッションには4ATを採用し、アルミホイールを標準装備。

インテリアでは本革巻きステアリングやブラック内装を用いた「ブラックインテリア」がオプション選択可能となる。

M

2代目前期オッティの上級グレード。

スライドドア機構を搭載し、シートには撥水加工を施すなど、使い勝手がワンランクアップする。

ただしアルミホイールは非装備で、ブラックインテリアも非設定。

M FOUR

上記Mグレードの4WD仕様車。

Mグレードに追加で寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が標準装備される。

RS

2代目前期オッティの自然吸気エンジン・カスタムモデル。eKスポーツのOEMで、三菱版のXグレードに相当。

Rシリーズ専用のヘッドライト(ディスチャージヘッドランプ)、専用スポーツラジエーターグリル、エアロバンパー、13インチアルミホイールやリアスポイラーなどで精悍なエクステリア。

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インテリアでもブラック内装や本革巻きステアリング、アナログタコメーター+デジタルスピードメーターのハイブリッドメーターの採用で上級感がアップする。

このほかカスタムモデルのRSにはリアスタビライザーが標準装備となる。

【2代目・前期型】日産 オッティRX(ターボ) &RS(自然吸気) (H92W型)

RS FOUR

上記RSグレードの4WD仕様車。

RSグレードに追加で寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が標準装備される。

【2代目・前期型】日産 オッティRX(ターボ) &RS(自然吸気) (H92W型)

RX

2代目前期オッティのカスタム最上級ターボグレード。ekスポーツと同じターボエンジンを搭載し、パワフルな走りが特徴。

装備でもRSに加えてアルミホイールが14インチアルミホイールに変更。リアスタビライザーに加えてパフォーマンスロッドが追加され、走りが安定する。また、ブレーキもフロントにベンチレーテッドディスクを採用し、制動力をアップしている。

【2代目・前期型】日産 オッティRX(ターボ) &RS(自然吸気) (H92W型)

RX FOUR

上記RXグレードの4WD仕様車。

RXグレードに追加で寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が標準装備される。

RM

2007年10月に追加されたカスタム・自然吸気エンジンモデルのスライドドア仕様車。

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自然吸気エンジン仕様のRSをベースにスライドドア機構を搭載し、使い勝手を向上させたグレード。

RM FOUR

上記RMグレードの4WD仕様車。

RMグレードに追加で寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が標準装備される。

RZ

2007年10月に追加されたカスタム・ターボモデルのスライドドア仕様車。

ターボ仕様RXをベースにスライドドア機構を搭載し、使い勝手を向上させたグレード。

RZ FOUR

上記RZグレードの4WD仕様車。

RZグレードに追加で寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が標準装備される。

特別仕様車 ノアールエディション

2007年5月に設定された特別仕様車。

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ノアールエディションではSグレードをベースにハイグレードサウンドシステムにMD・CD一体AM/FM電子チューナーラジオを標準搭載。

内装にはブラックインテリアを適用し外装ではアルミホイールとルーフスポイラーを装着。スタイリッシュ感とオーディオにこだわった特別モデル。

【2代目・前期 特別仕様】日産 オッティ ノアールサウンドセレクション(H92W型)

特別仕様車 ライダー

オーテックジャパンによる特別仕様車。

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オッティのカスタムモデル、Rシリーズをベースに専用グリル、専用バンパー、専用アルミホイールなどでライダー仕様としたモデル。

インテリアでも専用のシート表皮やセンタークラスターフィニッシャーを採用。内外装でスポーティなブラックトーンの空間を演出した。

オッティの中でもタマ数が少なく、希少モデルとなっている。

【2代目・カスタムモデル】日産 オッティライダー(AUTECH仕様 H92W型)

エクステリア(外装)

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フロントデザイン。日産版専用デフォルメとして先代のグリルデザイン(左右対称の穴あきグリル)を継承、穴の数を初代の10個から8個に変更しよりグリルが引き立つデザインとした。

さらにワンポイントで上部にメッキのラインが追加されている。ヘッドライトは初代ではスクエア型だったがこれに若干の切り込みを加える事でフロントのイメージチェンジと上質感を出している。

先代と同じくグリルだけの変更点だが、日産らしさは演出されており全体的に見てもより良くなった印象を受ける。

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サイドから。先代とフォルムがほとんど変わってない気がするが実はボディデザインはほぼ同じなのである。

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こちらは先代の初代オッティ。いい意味でコンセプトを受け継ぐモデルチェンジと言えそうだが、これもフルモデルチェンジと謳っている割には異例である。

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2代目デビュー当初はベースモデル(eKワゴン)と異なりスライドドアの設定がなかったが、2006年12月に電動スライドドアを(左側のみ)装備したグレードが追加された。

タントなどに代表される背の高い軽自動車では今や標準装備となった機能だが、当時の軽自動車としては斬新かつ初採用となる事例で話題を呼んだ。

現在でもこの背の高さ(全高1550mm以下)でスライドドアを装備するのは2代目eKワゴンと2代目オッティだけとなっている。なお、パワースライドドアはリモコンボタンによりキーから操作可能だ。

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足元はSグレードとMグレードでは13インチスチールホイール+フルホイールキャップ。タイヤサイズは155/65R13。

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Eグレードなど上級グレードではスポーツグレード(RXやRS)と同じデザインの13インチアルミホイールを標準装備。

リア。コンビランプの位置は同じだが、デザインが変更されストップランプとウィンカー&バックランプの位置が先代と逆転している。

また、ベースとの差別化もされており2代目eKワゴンではクリアータイプのコンビランプだったがOEM先のオッティではノーマルのコンビランプとなっている。

ただし、クリアーか非クリアーかの違いだけで中身は共通でありストップランプは全グレードでLED仕様でこれも当時の軽自動車としては例のない採用例だった(現在では省電力の観点からカスタムグレードだけでなくベーシックグレードに至るまでLEDストップランプを採用する車種が多い)。

モノ自体は互換性があるのでデザインにインパクトが欲しいのならクリアータイプとなっている2代目eKワゴン用テールライトをヤフオクあたりで探すと良い。

エンジン・機能装備・安全装備など

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エンジンは3G83型の3気筒SOHC自然吸気エンジンのみ。

最高出力は50ps(37kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpmを発生。

トランスミッションは3AT、4AT、5MTの3種類が用意される。ただし、5MTは廉価グレードのSグレードのみで、3ATはSとMグレードに。4ATはMと最上級のEグレードに設定される。

駆動方式はFFまたは4WD。スポーツモデルの「RX」ではターボ仕様となるがこのベーシックなS、M、Eグレードではその設定はない。

燃費もオートマが昨今のCVTではないのでMTの方が上となっている。ただしMTモデルでもタコメーターはつかない。

安全装備として運転席&助手席エアバッグ、EBD付きABSを全グレードに標準装備する(※三菱のeKワゴンでは廉価グレードでABSがオプション設定)。

インテリア(内装)

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インパネ。先代と同じくセンターメーターを採用。5MTは従来通りだが、AT仕様ではシフトレバーがコラムシフトからインパネシフトへ変更になっている。

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スライドドア仕様車ではインパネ右側に操作スイッチが加わる。

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スピードメーター。

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こちらは5MTモデル。ただこのミッションも初代からの流用品(8代目ミニカ用)となっている。

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フロントシートはセパレートタイプ。5MTモデルではベンチシートタイプとなる。

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オプション設定の「ブラックインテリアパッケージ」を選択するとシートカラーがブラックになる。

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フロントドアにはドリンクホルダー。前期や初代と同じ装備。

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リアシート。足元はめちゃめちゃ広いわけではないが必要十分といったところ。ただし、タントなどのスーパーハイト系と比べるとどうしても狭く感じる。なお、リアシートのスライド機構は付いていない。

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ラゲッジルーム。

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リアシートを倒した状態。

まとめ

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2代目オッティは初代のイメージをそのままに、さらに上質な感じにしたデザインの軽自動車である。

デビュー当初はなかったものの追加された電動スライドドアも魅力的であり、立体駐車場に入れることを考慮しつつスライドドアがある軽自動車となるとこの2代目オッティかベースの2代目eKワゴンのみなので貴重な車種といえよう。

価格的にも同年代の他の軽自動車よりワンランクも、タマによっては2ランクも値段が安いので安価な中古価格も魅力的だ。

その一方で、ミッションやエンジンを流用したことにより、新開発などの他車と比べるとカタログ燃費的にも劣っており、年式の割に燃費が良くない車種である。購入の際には燃費について十分注意されたい。

なお、次モデルでは供給元の三菱と合弁会社を作り「デイズ(三菱版は3代目eKワゴン)」として生まれ変わっている。

オッティやeKワゴンのアイデンティティであった1550mmという高さを維持するのかとおもいきや、ばっさりと廃止しムーヴやワゴンRときっちり高さを揃えてきた。

実はこの1550mmという高さ、一時期はメーカーが他モデルと違う(立体駐車場に入る)メリットとして設定していたが、現在では旧来のハッチバック型を除いてこの高さのモデルが無い。

それは軽自動車がよく売れる地方都市において立体駐車場を使う機会があまり無いという実情がわかってきたためとである。

地方都市においては街中の狭く、台数も少ない立体駐車場よりも郊外の店舗の広い青空駐車場に止めることがほとんで1550mmに縛られ室内空間が狭くなるよりも、立体駐車場は考慮せず室内高を確保してより広さをキープしたほうがパッケージング的にも有利なのだ。

そのせいもあってか、次期モデルでは真っ向勝負でムーヴワゴンRと同じような高さとなっている。

【初代・後期型】日産 デイズ 概要解説 (DBA-B21W)

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