オッティは日産のワゴン型軽自動車。三菱・eKワゴンのOEMモデルである。本稿では本稿では2代目H92W系の2008年9月マイナーチェンジ~2013年6月までを後期型とし、これを扱う。
概要
2006年10月にフルモデルチェンジし2代目となったオッティ。初代は2005年の6月にeKワゴンのOEMモデルとして登場しそこからわずか1年半程度での全面改良となった。
2代目オッティはベースモデルの2代目eKワゴンと同じく、軽自動車史上の中でも異例でキーコンセプトを踏襲し初代とほぼ同じボディスタイルとなった(ただし、ボディは流用ではなくルーフ以外は新設計)。
その中でも大きく変更されたのはヘッドライトとグリル、バンパー、リアコンビランプを刷新。特にリアコンビランプでは軽自動車初となるLEDストップランプを純正で全グレード標準搭載。
内装ではそれまでのコラムシフトからインパネシフトに変更し、新スピードメーターや新シートを採用。
また、乗用タイプの軽自動車としてはこれまた初となる電動パワースライドドアを一部グレードで採用し、初代のイメージはそのままに四角いボディによる飽きのこないデザインとゆとりの室内空間。
加えて視界の良さと立体駐車場にも入る機能性を両立したフルモデルチェンジとなっている。
エンジンは先代からのキャリーオーバーで引き続き3G83型エンジンを採用。トランスミッションも同じで3AT、4AT、5MTの3種類。
このほか安全装備として先代同様、全グレードにEBD付きABSを標準装備とし、これ以外にも前席2ステージロードリミッター付プリテンショナーシートベルト歩行者傷害軽減ボディ、衝突安全強化ボディ、運転席・助手席SRSエアバッグシステムなどを全グレードに標準装備とした。
2代目オッティ・後期型の改良点と前期との違い、eKワゴン(H82W)との違い
その2代目オッティは2008年8月にフロントデザインの変更を伴うマイナーチェンジで、後期型となった。
後期型では三菱版と同様にフロントグリルのデザインを刷新し上級感と親しみやすさをアップさせたほか、電動パワースライドドア搭載グレード(SスライドおよびEスライド)ではワッフルタイプの新シート生地を。
それ以外のヒンジドア(非スライドドア)モデルではベージュ系のメッシュタイプ生地の採用で内装をリフレッシュした。
さらにボディカラーに「デニムブルーパールメタリック」、「サンフラワーイエロー」、「ミントグリーン」、「シルキーローズ」の計4色を追加。
ユーティリティでは「マップランプ」、「ドアアンロックセキュリティ機構採用」、「コンフォートフラッシャー」、「セキュリティーアラーム」を全グレード標準装備。
外観と内装、および機能面で充実化をはかったマイナーチェンジとなっている。
2代目後期オッティ(H92W)のグレード 違い
2代目後期オッティのグレード展開はエントリーグレード「S」と上級グレード「M」の2種類。
それぞれにスライドドア付き「S スライド」、「E スライド」や4WD仕様「S FOUR」、「M FOUR」、4WDにスライドドア付きの「S FOUR スライドド」、「E FOUR スライドド」を設定する。
前期に設定のあったMグレードは廃止され、Eグレードに統合された。
カスタムモデルでeKスポーツOEMの「Rシリーズ」も同様にエントリーで自然吸気エンジン仕様の「RS」と、ターボ付き上級仕様の「RX」の2種類。
それぞれにスライドドア付きや4WD仕様、4WD+スライドドアのグレードを設定する。
特別仕様車は前期に引き続きオーテックジャパン仕様の「ライダー」を設定していた。
S/S FOUR
2代目後期オッティのエントリーグレード。Mグレードよりも装備を簡略化し、価格を抑えていた。
S/S FOURグレードではスライドドア機構と撥水加工シートが非装備となる。
ただし、eKワゴンとは異なりエントリーグレードでもABSを標準装備する。
快適装備はパワステ、マニュアル式エアコン、パワーウィンドウ、集中ドアロック、電動格納ミラー、キーレスを標準装備。足元は13インチホイールキャップ。後期モデルでは2スピーカーを残してオーディオレス仕様となった。
トランスミッションは3ATとオッティで唯一の5MTを設定。3ATにオプションでブラックインテリアを設定。
4WD仕様の「S FOUR」では寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が追加で標準装備される。
S スライド/S FOUR スライド
SとS FOURグレードをベースにスライドドア機構を追加したグレード。
スライドドア以外に後期ではOTTIロゴを採用した専用シート表皮がプラスされる。
2010年8月一部改良でSグレードのスライドドア仕様を廃止し、カタログ落ちした。
E/E FOUR
2代目後期オッティの上級グレード。
Sの装備に加えてトランスミッションには4ATを採用し、13インチアルミホイールを標準装備。
インテリアでは本革巻きステアリングやブラック内装を用いた「ブラックインテリア」がオプション選択可能となる。
4WD仕様の「S FOUR」では寒冷地仕様(ヒーター付きドアミラー、大型バッテリー、運転席シートヒーター、寒冷地用ヒーター)が追加で標準装備される。
E スライド/E FOUR
EとE FOURグレードをベースにスライドドア機構を追加したグレード。
スライドドア以外に後期ではOTTIロゴを採用した専用シート表皮がプラスされる。
RS/RS FOUR
2代目後期オッティの自然吸気エンジン・カスタムモデル。eKスポーツのOEMで、三菱版のXグレードに相当。
Rシリーズ専用のヘッドライト(ディスチャージヘッドランプ)、専用スポーツラジエーターグリル、エアロバンパー、13インチアルミホイールやリアスポイラーなどで精悍なエクステリア。
インテリアでもブラック内装や本革巻きステアリング、アナログタコメーター+デジタルスピードメーターのハイブリッドメーターの採用で上級感がアップする。
このほかカスタムモデルのRSにはリアスタビライザーが標準装備となる。
RS スライド/RS FOUR スライド
「RS」と「RS FOUR」グレードをベースにスライドドア機構を追加したグレード。
RX/RX FOUR
2代目前期オッティのカスタム最上級ターボグレード。ekスポーツと同じターボエンジンを搭載し、パワフルな走りが特徴。
装備でもRSに加えてアルミホイールが14インチアルミホイールに変更。リアスタビライザーに加えてパフォーマンスロッドが追加され、走りが安定する。
また、ブレーキもフロントにベンチレーテッドディスクを採用し、制動力をアップしている。
2010年8月一部改良でターボ車を廃止。カタログ落ちした。
RX スライド/RX FOUR スライド
「RX」と「RX FOUR」グレードをベースにスライドドア機構を追加したグレード。
2010年8月一部改良でターボ車を廃止。カタログ落ちした。
特別仕様車 ライダー
オーテックジャパンによる特別仕様車。
オッティのカスタムモデル、Rシリーズをベースに専用グリル、専用バンパー、専用アルミホイールなどでライダー仕様としたモデル。
インテリアでも専用のシート表皮やセンタークラスターフィニッシャーを採用。内外装でスポーティなブラックトーンの空間を演出した。
後期モデルではサイドターンランプをクリアー化。専用シートクロスのカラーを変更し、より上質感を高めた。
オッティの中でもタマ数が少なく、希少モデルとなっている。
エクステリア(外装)
フロントデザイン。前期型では初代のイメージをを引き継ぎつつ、初代の10個から四角い穴を左右8個にして穴のサイズを大きくしたデザインだったが、後期型ではさらに減らして穴の数を6個に。
さらに穴は横長に拡大。上下に幅の違うメッキラインを加えて前期よりも上質なデザインとした。これと同時にバンパーも新デザインとした。
三菱版の後期型ではガラリとイメージを替えたがスポーツグレードのRSやRXと同じくオッティでは前期型のイメージを残したデザインとなっている。
サイドから。このあたりは変更点は無い。
前期型に引き続きスライドドア仕様車を設定。キーに設けれたリモコンボタンでスライドドアをオープン可能だ。さらに後期型ではセキュリティーアラームを全グレードで標準装備とした。
足元は13インチスチールホイール+フルホイールキャップ。
リア。このあたりも同じ。コンビランプは前期と同じく非クリアータイプ。三菱版ではクリアータイプなのでコンビランプで差別化がなされる。
また、三菱版では後期で車名エンブレムがデカールにグレードダウンしたが、日産版では引き続きオッティエンブレムを採用。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3G83型の3気筒SOHC自然吸気エンジンのみ(ターボエンジンはスポーツグレードのRXに搭載)。
自然吸気エンジンは最高出力は50ps(37kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpmを発生。
トランスミッションは3AT、4AT、5MTの3種類。5MTと3ATは廉価グレード(Sグレード)のみの設定で、これ以上のグレードでは4ATとなる。駆動方式はFFまたは4WD。
安全装備として運転席&助手席エアバッグとブレーキアシスト付きABSは全グレード標準装備。
フロントデザイン変更直後ではエンジンの改良が無かったが次の2009年7月マイナーチェンジで走行抵抗の低減とFFの4ATモデルでエンジンおよびATの制御見直しで燃費がアップ。FFの4ATモデルと4WDの5MTモデルで「平成22年度燃費基準+15%」を達成した。
インテリア(内装)
インパネ。eKワゴンと同じくデザインやカラーは前期と同じ。後期型ではマップランプが全グレードで標準装備となった。
ステアリングは標準でウレタンステアリングだが、オプションで「ブラックインテリア」を選択すると、本革巻きステアリングが標準装備となった。
スライドドア搭載モデルでは右側に電動パワースライドドアのスイッチが付く。
フロントドアにはドリンクホルダー。前期や初代と同じ装備。
スピードメーターも同じ。タコメーター無しのシンプルな1眼式。
ただしRXやRS、eKスポーツ用のタコメーター付きスピードメーターと互換性があり(※回転数の信号線引き出しなど若干加工の必要あり)、中古品を購入して付けると面白いかも。
5MTのシフトノブ。初代と同じく8代目ミニカより流用して作られたミッション(?)でミニカ感が漂う。ノーマルモデルの2代目オッティ(H92W)にはeKワゴン(H82W)同様にマニュアルの設定があった。
ATはインパネシフト。エアコンは全グレードでマニュアル式エアコン。
フロントシートはベンチシートタイプ(※ただし、5MTのみセパレートタイプ)。
後期型ではシート表皮が刷新され、三菱版と同じくスライドドア搭載モデルでは撥水加工を施した肌触りのよいワッフルタイプの新デザイン生地に(OTTIロゴ入り)。
非スライドドア(ヒンジドア)モデルでは前期型と同じとなる。
さらに5MTモデルではフロントシートはセパレートタイプとなる。
リアシート。前期と同じくスライド機構は非搭載。フロントシートと同じくスライドドア仕様車では新シート表皮となる。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
まとめ
2代目オッティの後期型は日産らしさを強調しつつもよりスタイリッシュとなったフロントデザインにスライドドア仕様車では新しいシート表皮、新ボディカラーなどより三菱版より魅力がアップしたモデルとなっている。
同時期にマイナーチェンジした三菱版では前期とがらりとイメージが変わったが、日産版のオッティではそれがなくほどよくレベルアップしている程度である。
加えてリアのコンビランプに派手さがないため、全体的にはこちらのほうが好みという人が多いかもしれない。
中古市場では一昔前のモデルであまり人気がないため価格は手頃な部類に入る。タマ数も意外と豊富にあり、特にスライドドア仕様では立体駐車場に入る希少なモデルでもあるので、三菱版同様に街乗りで重宝する街乗りモデル。
燃費や質感などは最新モデルに敵わないが、超手頃な中古の価格帯はそれを補うだけの魅力を持っている。台数は少ないが5MTモデルもあり、かつ走行距離の割に安価なのでそちらもオススメだ。
なお、オッティはこの後三菱との合弁会社による後継モデル、デイズとスライドドア搭載のスーパーハイトワゴン、デイズルークスに移行し販売を完全終了した。
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