ステラはスバルのワゴン型軽自動車。ダイハツ・ムーブのOEMモデルである。本稿では2代目・LA100およびLA110Fのデビュー当初である2011年5月~2012年12月までを前期型とし、これを扱う。
出典:スバル認定中古車
2代目 スバル・ステラとは?
スバルの2代目ステラはダイハツとの業務提携強化発表後、5代目前期ムーヴのOEM供給を受けて2011年5月にデビューした。
2代目ステラのコンセプトは「Smart Active Small」。広い室内空間に扱いやすさ、優れた燃費性能が特徴のモデルとなっている。
モデルが初代とは異なりダイハツ製・5代目ムーヴ(前期型)となったことで室内空間は飛躍的に拡大。室内長は初代ステラの1785mmから2075mmに。
室内幅は1205mmから1350mm。室内高は1295mmから1280mmとわずかにダウンだが、奥行きと横幅の大幅拡大で(この手の軽にしては)初代のちょっと小さめな室内空間から一転。ライバルと同じ巨大な空間へと生まれ変わっている。
メカニズムではOEM供給にあたりスバル伝統の…ではなく、すべてダイハツ製のメカニズムに切り替わった。エンジンは改良型の第2世代KF型エンジンを採用し、トランスミッションも全グレードでCVTを採用。
スバルの軽乗用車では初となるアイドリングストップ(※電動オイルポンプを廃止し、変速制御域の最適化したタイプ)も採用した。
エコ分野ではこれまたスバルの軽乗用車では初めてとなるストップランプのLED化で省電力をアップ。ノーマルステラとステラカスタムの両方でLEDストップランプが標準採用となった。これに上述のエンジンやトランスミッション。アイドリングや省電力化によりFFモデルでは27.0km/L(10.5モード)の低燃費を実現した。
安全面では「セーフティパック」(SRSサイドエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグ、ダブルプリテンショナー&フォースリミッター機能付きフロント3点式ELRシートベルトの3点セット)がムーヴカスタムにオプション設定。
カスタムのRSには「インテリジェントドラインビングアシストパック」(衝突被害軽減ブレーキ、車載カメラを利用した車線逸脱防止支援機能、VSC、全車速対応型レーダークルーズコントロールの4点セット)もオプション設定となっていた。
2代目・前期ステラと5代目・前期ムーヴとの違い
スバル仕様としての変更点は、内外装での違いは無くエンブレム以外はムーヴと同じ。
ただし装備面で違いがあり、ステラではノーマルモデルを含めた全グレードでフロントスタビライザーを標準装備。安心感のある快適な走りを実現した。
また、ベースの5代目ムーヴでは設定のなかった
- 運転席シートリフター
- チルトステアリング
- フロントシートベルトショルダーアジャスター
も全グレードで標準装備とし、最適な運転姿勢が取れるようこだわりが反映されている。
2代目前期・ステラのグレード一覧 L、Lリミテッド アイドリングストップの違いなど
2代目前期ステラのグレード展開はベーシックな「L」と上級「Lリミテッド アイドリングストップ」の2種類のみ。特別仕様車は非設定でターボ仕様はカスタムモデルの「ステラカスタム」のみに設定。
標準タイプはムーヴよりもグレード展開が少なくシンプルな構成となっていた。
L
2代目前期ステラのベーシックグレード。ムーヴ「L」グレードのOEMモデル相当。
LグレードではLリミテッド アイドリングストップと比較してエクステリアでは電動格納ミラーがキーフリー連動のオートタイプとならず、従来タイプ。足元も14インチスチールホイール+ホイールキャップとなる。
インテリアではウレタンステアリングを標準装備で、スピードメーター内のマルチインフォメーションディスプレイやecoドライブモードが省略される。シフトボタンもメッキ加飾の無いベージュ色タイプ。
快適装備ではプッシュエンジンスタートやキーフリーシステム、ナノイーディフューザーが非装備。
安全装備は運転席&助手席エアバッグ、セキュリティアラームにEDB付きABSを標準装備する。
このほかパワステ、パワーウィンドウ、UVカットガラス(フロントウィンドウ&フロントドア)、助手席シートバッグポケットなどは全グレードに標準装備。
ただしスバル仕様として上述の通りベーシックグレードでもフロントスタビライザー、運転席シートリフター、チルトステアリング、フロントシートベルトショルダーアジャスターが標準装備化される。
なお、Lグレードではアイドリングストップ機構は非装備。
Lリミテッド アイドリングストップ
2代目前期ステラの上級グレード。ムーヴ「X」グレードのOEMモデル相当。
Lグレードよりも内外装や快適装備を拡充したグレード。ムーヴのグレードと比較するとXグレードとXリミテッドの中間程度に位置する。
エクステリアでは14インチアルミホイール、リバース連動ドアミラーを標準装備。
インテリアではシフトボタンにメッキ加飾+ブラック色を採用。本革巻きステアリングにスピードメーターにはマルチインフォメーションディスプレイとエコドライブインジケーターが加わる。
快適装備はフルオートエアコンにキーフリーシステム、プッシュエンジンスタートを標準装備する。
スバル仕様として上述の通りベーシックグレードでもフロントスタビライザー、運転席シートリフター、チルトステアリング、フロントシートベルトショルダーアジャスターも標準装備化。
Lリミテッドではアイドリングストップ機構も標準装備する。
2代目前期ステラのエクステリア(外装)
フロントデザイン。斜めに切り込まれたヘッドライトが特徴的だ。偶然にも初代ステラとヘッドライト部分のデザインが少し似ているのでベースとの変更点がエンブレム以外は無いのだが、何も知らない人が聞けば2代目ステラとして不思議でもないデザインとなっている。
サイドから。ベース同様にフロントガラス付近がドームのように湾曲している。居住空間を広く取るための設計だがそれと同時に見た目にこの手の軽自動車の「いかにも感」が出ており、普通車からみると敬遠したくなるデザインだ。ただしこの点は後期型で改善されている。
リア。エンブレム以外は特に変更はない。コンビランプもムーヴと共通品でストップランプがLED仕様となる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはKF型3気筒DOHC自然吸気エンジンのみの設定。ターボモデルはステラカスタムに設定されている。
最大出力は52ps(38kW)/7200rpm、最高出力は6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
トランスミッションは全グレードでCVTのみとなり、駆動方式はFFまたは4WDの2種類。初代ではベーシックグレードに5MTや4ATが設定されていたが2代目では完全廃止となった。これ以外ではXグレードにアイドリングストップを標準搭載。
2011年11月マイナーチェンジではミライースで培った「e:Sテクノロジー」の進化版である「e:Sテクノロジー第2弾」を搭載。エンジンはミライース仕様のKF型エンジンに置き換わり、最高出力は52ps(38kW)/6800rpm。最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpmに変更となった。
さらに新型のアイドリングストップシステム「エコアイドル」とエコ発電制御を採用したことでFFモデルで燃費は24.2km/L(JC08モード)を達成した。
LA100FとLA110F型との違い
LA100FとはLA110F型の違いは駆動方式。LA100FはFFモデルの2代目ステラ。LA110Fは4WD仕様の2代目ステラ。
4WDシステムにはビスカスカップリングを用いたオンデマンドタイプの4WD仕様となる。それぞれダイハツ・5代目ムーヴLA100SとLA110SのOEMモデルとなる。
2代目前期・ステラのインテリア(内装)
インパネ。こちらもステアリングのエンブレム以外は見た目が同じ。ベースと同じくセンターメーター仕様となる。ただし、スバル仕様として運転席シートリフター、チルトステアリングが標準装備となる。
スピードメーター。後期型ではノーマルステラにターボモデルが追加されるが前期では全グレードで自然吸気のみの設定でかつスピードメーターもオーソドックスなタイプのみとなっている。エアコンはフルオートエアコン。ステアリングはウレタンステアリング。
フロントシート。初代ステラによく似たシート形状のベンチシートで、雰囲気はかなり近い。ただしムーヴとは異なりスバル仕様としてフロントシートベルトショルダーアジャスターが標準装備となる。
リア。先代モデルではR2ベースに作られたので若干後部座席が狭かったが、こちらは専用設計されたムーヴがベースなのでかなり広くなっている。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。リアのゲートもベース同様に左右開閉式となる。
2代目前期・ステラの評価
2代目前期型ステラは5代目ムーヴの完全OEMモデルとなり、よく言えばダイハツと同じ。悪く言えば個性のないモデルである。
スバルファンにとっては軽自動車といえどもスバル製であればメカニズムにこだわるユーザーが多かったので、正直エンブレムだけがスバルなムーヴを買う理由が見当たらない残念な1台である。
ただし、軽トールワゴンしてみれば5代目ムーヴがベースなため完成度は非常に高く、かつベースモデルにはないフロントスタビライザーやチルトステアリングなどダイハツ版では省略された装備品も標準化されているため、目に見えない部分でスバルのこだわりが反映されたOEMモデルなのである。
ちなみに3代目になるとノーマルステラでも専用のデフォルメが与えられ、スバルらしいスポーティなエクステリアを与えられるのでスバルらしいステラを買おうと思っている人は2代目は見なかったことにして素直に3代目を見て欲しい。
それ以外のこだわりのないユーザーにとってはマイナーなOEMモデルという位置づけになる。5代目前期ムーヴを探していて気に入ったのがない場合、ほぼ同じな2代目前期ステラという選択肢も出てくるだろう。
マイナーな分、走行距離や年式で同条件でもこちらのステラのほうが若干安い個体もあるので、ちょっとだけ安価に買える5代目ムーヴといったところ。室内空間や使い勝手に関してはムーヴ譲りでぬかりは無い。
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