ミライースはダイハツのハッチバック型軽自動車。本稿では初代LA300SおよびL310S型の2013年8月マイナーチェンジ~を後期型と定義し、これを扱う。
出典:ホンダ認定中古車
ダイハツ 初代・ミライースとは?
2011年9月登場のダイハツ・ミライース。それまでのエッセに代わるモデル(後継車)で、ハイブリッドや電気自動車に次ぐ第3のエコカーとしてデビューした。
ハイブリッドや電気自動車などの次世代技術は使わないものの、それまでのガソリンエンジンにおける技術を徹底的に追求し、価格を抑えつつも(それまでの安いガソリンエンジン車でありながら)低燃費車という軽自動車のあるべき姿を具現化したモデルでもある。
その低燃費技術は車体の軽量化にはじまり回生ブレーキ、アイドリングストップ、高圧縮化エンジンの採用、ボディ形状による空力抵抗の低減など持っていた技術を1台にそそぎこむことで当時の軽自動車としては驚異的な32.0km/lを実現。
それでいて一番安いグレードの新車価格はおよそ80万円からと低燃費でありながらハイブリッドや電気自動車よりもはるかに安い価格設定が魅力的であった。
出典:ホンダ認定中古車
エクステリアはミラ系のセダンスタイルを踏襲しつつもシンプルさや合理性を追求。さらにエコのイメージも連想できるようなデザインとした。
サイドは空気抵抗を減らす低く流れるような流線型のボディスタイルにフロントバンパーなどは空気抵抗を減らしつつ立体的なデザインを実現した。
インテリアではシンプルな中にも質感の高さや新世代を感じるデザインを表現。特にインパネはベージュとブラックの2トーンカラーとし、独立したセンタークラスターなど質感を追求している。
また、スピードメーターはデジタル式の自発光式メーターを採用。プリウスのような先進性を感じさせるデザインとなっている。
パッケージングも立体駐車場に入る1,500mmの全高に、1,920mmの室内長。1,350mmの室内幅、前後乗車間距離は930mmとし、大人4人が乗れる十分な室内空間を確保した。
安全装備としては衝突安全ボディTAFの採用にSRSサイドエアバッグをグレード別に標準装備。
運転席にはプリテンショナー&フォースリミッター機構付フロント3点式ELRシートベルトを標準装備とし、衝撃吸収式ステアリングも採用。EBD付きABSは全グレードに標準装備。
横滑り防止装置もグレード別で標準装備とした。
初代・後期型ミライースの改良点と前期との違い
そのミライースは2013年8月のマイナーチェンジでフロントデザイン等の変更を行い後期型となった。
後期型ではグリルが大型化され、かつ開口部を大きくしたバンパーにより存在感とスタイリッシュ感がアップ。ベーシックでありながらより万人受けしやすい顔つきへと変更された。
また、外装には空力のよいボディデザインやタイヤディフレクターを組み合わせた「エアロコーナー」を採用したほか、
FFモデルでは空気抵抗軽減のため10mmダウンのローダウンサスペンションを新たに採用。一方で4WDモデルでは代わりにリアのディファレンシャルギアをを改良し4WD走行時の抵抗を低減。
この他イーステクノロジーをさらに進化させ、エンジンやCVTの改良や最適化を図ることでFFモデルでは燃費が33.4km/Lへと向上。
アイドリングストップもタイミングを時速11km以下にはやめ、エコ発電制御もオルタネーターを発電効率のよいタイプへ変更し燃費を大幅向上させた。
安全装備としては「スマートアシスト」を一部グレードで採用するなど外観に加え燃費向上と安全機能がアップしたマイナーチェンジとなっている。
初代・後期型ミライース グレードの違い D,L,L SA,Lf,X,Xf,X SA,Xf SA,G SA,Gf SAと特別仕様車
初代後期型ミライースのグレード構成は下から順番に廉価「D」、エントリー「L」、エントリー+自動ブレーキ「L SA」、エントリー4WD仕様「Lf」、エントリー4WD仕様+自動ブレーキ「Lf SA」。
上級グレード「X」、上級+自動ブレーキ「X SA」、上級4WD仕様「Xf」、上級4WD+自動ブレーキ「Xf SA」、最上級+自動ブレーキ「G SA」、最上級4WD仕様+自動ブレーキ「Gf SA」の12種類。
SAが付くグレードは自動ブレーキのスマートアシスト搭載グレードである。
なおグレード名に付く小文字の「f」は4WDのfourからとった頭文字で、4WD仕様を示している。
Dグレード
Dグレードは廉価グレードで装備を簡略化し、価格を抑えたグレード。軽バンのような貧素な外観が特徴で、いわゆるベースグレード的な位置づけ。
出典:沖縄ダイハツ
エクステリアは樹脂タイプの手動ミラー、非塗装のアウタードアハンドル、スチールホイール、プライバシーガラス、キーレスエントリーが非装備。オーディオレス仕様でボディカラーもホワイト1色のみ。
それでもパワーステアリング、運転席&助手席エアバッグ、EBD付きABS、マニュアル式エアコン、パワーウィンドウは標準装備のため、最低限の装備はひととおりついている。
※DグレードはFFモデルのみの設定で4WDは非設定。
Lグレード、L SAグレード
LとL SAグレードは初代ミライースのエントリーグレード。Dグレードよりも外観の見た目が良くなり、快適装備も増える。
出典:ダイハツ認定中古車
エクステリアではボディ同色ミラーにボディ同色カラーアウタードアハンドル、ホイールキャップを標準装備。ボディカラーは10色を設定。
快適装備ではDグレードに追加でキーレスエントリー、CD・AM/FMラジオ+フロント2スピーカー、集中パワードアロック、セキュリティーアラーム、メッキオーナメント付きウレタンステアリングなどが標準装備となる(※ただしエアコンはDグレードと同じくマニュアル式エアコン)。
特に白以外のボディカラーが選べるのが特徴だつた。
L SAグレードは後期モデル追加された自動ブレーキのスマートアシストアシスト搭載モデルである。
Lfグレード、Lf SAグレード
Lfグレードは上記Lグレードの4WD仕様版。基本的にはLグレードと同じだが外観ではドアミラーが非塗装の樹脂タイプに変更。アウタードアハンドルはブラック塗装仕様。
出典:ダイハツ認定中古車
快適装備では寒冷地仕様が標準装備。ただし、CD・AM/FMラジオはオプション設定となる。
Lf SAグレードは後期モデル追加された自動ブレーキのスマートアシストアシスト搭載モデルである。
Xグレード、X SAグレード
Xグレードはミライースの上級グレード。
出典:ダイハツ認定中古車
Lグレードに対してメッキグリルとドアミラーが電動格納式ドアミラーが標準装備となり、リアガラスやリアゲートガラスがプライバシーガラス仕様で、アルミホイールを標準装備。
出典:ダイハツ認定中古車
インテリアではインパネカラーが上級の2トーンインパネとなり、リアシートがヘッドレスト付きに変更。メッキインナーハンドル、自発光式メーター、メッキエアコンレジスターノブ、メッキパーキングブレーキボタン、メッキプレート付きシフトノブが標準装備となり、内装が豪華になる。
さらにオプションでブラック内装の「ブラックインテリア」もXグレードから選択可能だった。
X SAグレードは後期モデル追加された自動ブレーキのスマートアシストアシスト搭載モデルである。
Xfグレード、Xf SAグレード
XfグレードはXグレードの4WD仕様版。
出典:ダイハツ認定中古車
基本的にXグレードと同じだが、Lfになかった「電動格納式ヒーテッドドアミラー」が標準装備となる。ただしアルミホイールは標準装備とならず、ホイールキャップ仕様。
Xf SAグレードは後期モデル追加された自動ブレーキのスマートアシストアシスト搭載モデル。
Gグレード、G SAグレード
Gグレードはミライースの最上級グレード。Xグレードに対し便利装備のキーフリー連動・カラードオート格納式ドアミラーを標準装備。さらにドアミラーにはLEDターンランプが付く。
出典:ダイハツ認定中古車
インテリアでは本革巻きステアリングに運転席シートリフター、フルオートエアコン、キーフリーシステム、プッシュスタートボタン、シルバーセンタークラスターも標準装備となり、最も豪華な仕様となる。
G SAグレードは後期モデル追加された自動ブレーキのスマートアシストアシスト搭載モデル。
Gfグレード、Gf SAグレード
GfグレードはGグレードの4WD仕様版。
基本的にはGグレードと同じだが、キーフリー連動・カラードオート格納式ドアミラーが寒冷地仕様のヒーテッドドアミラーに変更。
アルミホイールでなくホイールキャップ仕様となる。
Gf SAグレードは後期モデル追加された自動ブレーキのスマートアシストアシスト搭載モデル。
特別仕様車 リミテッドSA
出典:ダイハツ認定中古車
2015年4月設定の特別仕様車。専用ダークメッキグリル、ブラックインテリアを標準装備した特別仕様。
リミテッドSAの外装にはダークメッキフロントグリル、専用14インチアルミホイール、専用ボディカラーの「フェスタイエロー」を設定。
内装ではブラックシートやピアノブラック調のオーディオパネルを採用。
メーカーオプションにに「2トーンカラー」パックとしてカーボン調ブラックルーフ、メッキドアハンドル、ブラックカラードアミラー、ピラーブラックアウトを設定し、ノーマルよりもスタイリッシュかつ落ち着いた内装に仕上げた特別仕様車。
リミテッドSAについてはこちらから。
特別仕様車 35thアニバーサリーゴールドエディションSA
2015年10月設定の特別仕様車。派生元のミラ生誕35週年を記念する特別モデル。
出典:ダイハツ認定中古車
ゴールドエディションでは最上級グレードのGおよびGfとひとつ下のX及びXfグレードがベース。
これにエクステリアでは専用14インチアルミホイール、ゴールド&ダークメッキフロントグリル、ゴールド塗装ドアアウターハンドル、35thアニバーサーリー記念エンブレムを。
出典:ダイハツ認定中古車
内装ではブラックシート表皮にプレミアムシャインブラック仕様のセンターコンソール付きインパネに変更。
快適装備として専用ゴールドフェイスプレート付きのインテグレートCD・AM/FM付ステレオを標準装備。
自動ブレーキもスマートアシストを標準装備しつつ、35周年を記念しベースモデルよりもわずか1万円アップの超お買い得な価格設定の特別仕様車。
35thアニバーサリーゴールドエディションについてはこちらから。
初代・後期ミライースのエクステリア(外装)
フロントデザイン。前期型ではグリルとバンパーの開口部は小さめだったが、後期ではこれを大型化。存在感に加えスタイリッシュ感をアップさせた。
加えてバンパーも空力形状を意識した新形状(エアロコーナー)とし、フォグランプまわりと開口部をつなげることで全体的にワイドなイメージを与えている。
なお、低価格なDやベーシックなL系グレードでは写真のようにボディカラーと同じグリル。上級グレード(X系やG系)ではメッキグリルが標準装備となる。
サイドから。このあたりは外観上は前期と同じで特に変更点はなし。FFモデルでは低燃費化のためローダウンサスペンションが標準装備となる。このほか低価格グレードのD系では鉄チンホイール。
ベーシックなL系グレードではフルホイールキャップ。
X系やG系グレードではアルミホイールとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
リア。後期型ではリアコンビランプのテールライト部分がクリスタル化された。
さらに2013年8月マイナーチェンジではエマージェンシーストップシグナルが全グレードで標準装備となった。
エンジン・機能・自動ブレーキなど
エンジンは KF型3気筒DOHC・NAエンジンのみの設定。
最高出力は49ps(36kW)/6800rpm、最大トルクは5.8kg・m(57N・m)/5200rpm。
2013年8月のマイナーチェンジで進化した「e:Sテクノロジー」が適用され、CVTサーモコントローラー、気筒別燃焼制御、EGRクーラーなどで燃費性能がアップ。
さらに2014年7月のマイナーチェンジではエンジンの高圧縮化などでさらに燃費が向上。デビュー当初、FFモデルで32.0km/lだったものが、35.2km/lまでアップしている。
トランスミッションはCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。
安全装備としては2013年8月のマイナーチェンジでダイハツおなじみのスマートアシストを搭載したグレードが追加。
このほか、横滑り防止装置のVDCはスマートアシスト搭載グレード(SA)で標準装備される。
初代ミライースLA300SとLA310Sとの違い
LA300SミライースとLA310Sミライースの違い駆動方式。LA300Sはボンネットにエンジンを配置し前輪を駆動するFFのミライース。
LA300SはLA310Sをベースにビスカスカップリングを使って全輪を駆動する4WDのミライースとなる。
※LA300Sはグレード名に小文字が付かないグレード、LA310SはLfやXfのように小文字が付くグレードに該当
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
なお、後期型の初代ミライースでは燃費改善のためFFモデルのみローダウンサスペンションを標準装備。
最低地上高もFFモデルの方が10mm低い140mmとなる。豪雪地帯などではプリウスと同じくスタックしやすくなるため、FFモデルを選択する場合は要注意。
初代ミライースに4ナンバー軽バン(軽貨物)が非設定な理由
初代ミライースはデビュー当初から軽貨物グレードの設定がなく、あっても廉価Dグレードのみの設定だった。
これは同年代の7代目ミラにミラバンが設定されており、あえて開発費をかけて軽貨物仕様を設定する必要がなかったことと、モデル後半には販売台数も低迷し必需性も無くなったことが大きい。
スズキも8代目アルトのアルトバンを最後に需要低迷からセダンタイプでボンネット軽バンの生産を終了しており、9代目アルトには非設定となっている。
ダイハツも2代目ミライースのフルモデルチェンジ時には当然のことながら軽バンを設定せず、すべて5ナンバー乗用モデルのみとしている。
もちろん、荷物がたくさん積めるワンボックスタイプのハイゼットカーゴは従来どおり4ナンバー仕様で販売され続けているため、4ナンバー軽バンはハイゼットカーゴのみにしぼったとみている。
初代・後期ミライースのインテリア(内装)
DグレードとL系グレードインパネ。こちらは前期型と同じ。
X系およびG系グレードのインパネ。インパネの上半分がブラックカラーになり、上級感が与えられている。さらにG系では本革巻ステアリングホイール、それ以外ではウレタンホイールとなる。
エアコンは、G系グレードで液晶パネル付きのフルオートエアコンとなる。
スピードメーターは自発光式メーター。イルミネーション表示(エコドライブアシストディスプレイ)でエコ運転状況などをお知らせする。
フロントシートはセパレートタイプ。標準ではグレー系だが、2014年7月マイナーチェンジで「ブラックインテリアパック」をオプション設定。これによりXグレード以上でブラックシートも選択可能となった。
リアシート。スライド機構は非装備。後部座席のヘッドレストはDとL系では非装備。X系やG系では標準装備となる。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
初代・後期型ミライースの評価
出典:ダイハツ認定中古車
初代・ミライースの後期型はフロントデザインの変更によりデザインが洗練され、かつイーステクノロジーの進化により燃費の向上。加えてスマートアシストの採用で自動ブレーキも備わるなど、かなりの改良が加えれれたモデルとなっている。
デザインに加えてメカニズムも良くなっていることから、特段の理由(安い個体が欲しい)などがなければ素直に前期モデルよりも後期型ミライースをオススメしたい。
特に同年代のライバルのスズキ・アルトはヨーロピアンな7代目。レトロモダンな8代目ともに個性的な部分が強いため、オーソドックスな点でもダイハツは選びやすい車種と言えよう。
中古市場では初代ミライースは年式&走行距離の割に安価で買いやすい
中古市場では年数経過や背の高いスライドドア付きのスーパーハイト系ワゴン(N-BOXやタント、ムーヴキャンバスなど)に比べると全然人気がないため、高年式・低走行の割に比較的安価に購入できるモデルである。
2代目ミライースの方が外観がスタイリッシュかつ洗練され、自動ブレーキなども強化されるため予算に余裕があるのなら素直に2代目をオススメするが、安価で燃費が良いモデルとしては初代の魅力は健在。特に後期モデルは前期よりも見た目が良いので価格的にもお買い得感がある。
OEMモデル スバル・初代プレオプラス/トヨタ・初代ピクシスエポック
なお、初代ミライースはスバルに「初代プレオプラス」として(2012年12月~2017年5月)。
トヨタには「初代ピクシスエポック」として(2012年5月~2017年4月)OEM供給されており、エンブレム等の違いのみだが、若干雰囲気が異なるためミライースを検討している人は合わせてOEM版もチェックされたい。
こちらも2代目モデルへフルモデルチェンジし、初代モデルは若干スタイリッシュ感が薄れるが価格面での優位性はなく、非常に買いやすいモデル。
タマ数は本家よりも少なく特にスバル版はかなりレアだが、ダイハツブランドに抵抗があったり他人と少しでも被りたくない人はOEMモデルもオススメ。
コメント