AZワゴンはマツダのワゴン型軽自動車。カスタムスタイルはそのスポーティーモデルで、スズキの初代ワゴンRスティングレーのOEMモデルである。本稿では3代目AZワゴンに設定されていた初代 AZワゴンカスタムスタイルを扱う。
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3代目 マツダ・AZワゴンとは?
初代ワゴンRスティングレーは2007年の2月にデビューしたが、OEMモデルであるAZワゴンカスタムスタイルも同じ頃にデビューした。3代目AZワゴンが発売されて4年半後のことである。
AZワゴンカスタムスタイルはノーマルモデルより個性的なメッキグリル、ディスチャージヘッドランプ内蔵の個性的なヘッドライト、ボンネットを張り出したスタイリング、クリアーテールランプの採用で、RRとは異なるエクステリアを実現。
アルミホイールもカスタムスタイル専用デザインとし、ボディカラーには濃紫系の「ミステリアスバイオレットパール」を新設定。
内装はブラックカラーを基調にカスタムスタイル専用のシート表皮&ドアトリムクロスでワンランク上の上質な室内空間を演出。サンドブラック柄のインパネセンターガーニッシュとドアトリムアームレストで質感を向上。
快適装備としては「アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム」を全車に標準装備。カスタムスタイルDIにはハイグレードサウンドシステムを標準装備。また、カスタムスタイル全グレードでカテキン・エアフィルター付きのオートエアコンも標準装備とした。
エンジンは自然吸気エンジンと直噴ターボエンジンの2種類を設定。後に直噴ではない通常タイプのマイルドターボ(Mターボ)エンジンのカスタムスタイルTグレードを追加設定し3モデルとした。
初代・AZワゴンカスタムスタイルMJ22Sとは?初代ワゴンR・スティングレーMH22Sとの違い
兄弟モデル、マツダ・AZワゴンカスタムスタイル(MJ22S)と初代ワゴンRスティングレー(MH22S)の違いはフロントグリル。
MJ22S型初代AZワゴンカスタムスタイルでは、マツダのアイデンティティでるペンダゴングリルを取り入れたメッキグリルを装着し、初代ワゴンRスティングレーのスケルトンメッキグリルとはイメージが大きく異る顔つきとなる。
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ただし、これ以外はヘッドライト、バンパー、テールランプなど同じ仕様で、エンブレム以外は標準ワゴンRほど差別化はなされない。
ただしボディカラーではスズキに設定のオプション色、「スパークブラックパール」がマツダ版では非設定でボディカラーが少ない。
なお、初代ワゴンRスティングレーにはワゴンRの国内累計販売台数300万台を記念した特別仕様車「ワゴンRスティングレー リミテッド」が登場したが、AZワゴンカスタムスタイル(MJ22S)にはOEMされなかった。
初代・AZワゴンカスタムスタイル(MJ22S)のグレード X,T,DI,特別仕様車の違いなど
初代AZワゴンカスタムスタイルのグレード展開は自然吸気エンジンの上級「カスタムスタイルX」、ターボエンジン搭載の「カスタムスタイルT」、最上級ターボ仕様で直噴ターボエンジンの「カスタムスタイルDI」の3種類。
マツダ版では特別仕様車の設定が無く、基本グレードのみ。
カスタムスタイルX
自然吸気エンジンの上級グレード。ワゴンRスティングレー「スティングレーX」のOEM。
カスタムスタイルとしてはエントリーグレードに位置。装備もTグレードより若干簡略化される。
エクステリアではLEDサイドターンランプ付きドアミラーが非装備。
快適装備のフルオートエアコン、ディスチャージヘッドランプにフォグランプ、キーレススタートシステムは標準装備。
オーディオは6スピーカー仕様だが、オーディオレス仕様となっていた。
スティングレーT
カスタムスタイルXにターボエンジンを搭載したグレード。ワゴンRスティングレー「スティングレーT」のOEM。
ただし64馬力ターボでなく燃費と出力のバランスをとったMターボという60馬力仕様となる。
このほかエクステリアではXで簡略化された切削加工14インチアルミホイール、LEDサイドターンランプ付きドアミラーを標準装備。
見た目がスティングレーXよりも良くなる。
ただしスティングレーXと同じくオーディオレス仕様となっていた。
カスタムスタイルDI
スティングレーに64馬力の直噴ターボエンジンを搭載した最上級グレード。ワゴンRスティングレー「スティングレーDI」のOEM。
装備はカスタムスタイルTに加えてインテリアでハイグレードサウンドシステムを採用。
サブウーハーを含む7スピーカーを採用し、インパネ一体型AM/FMラジオ付きMDプレイヤーも標準装備。豪華で快適な室内空間とした。
エクステリア(外装)
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ベースモデルは「クールフェイス ワゴンR」をデザインコンセプトにシャープさを強調したモデルだったが、マツダへ供給するにあたり、専用のグリルが与えられている。
中央のグリルはスズキ版でクリアーの外枠に段差を付けたグリルだったものがマツダのアイデンティティである5角形をあしらったメッキグリルへと変更された。
フロント変更点はこれとエンブレムだけなのだが、中央部がメッキグリルにより強調されマツダのロゴが目立つシャープなデザインとなった。ベースとの違いも出ておりただこれだけなのに不思議な印象だ。
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横から。ここらへんは特に変更はない。足元はスティングレーと同じ切削加工14インチアルミホイール(タイヤサイズは165/55R14)を標準装備する。
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リア。OEMではおなじみのマツダエンブレムと専用のAZワゴンエンブレムに変更されている。コンビランプはベースモデルと共通だがインナーメッキを使っていないのでキラキラ感の薄い古臭いデザインとなっている。
この点はノーマルのAZワゴン同様にワゴンR用の社外品テールランプを流用できるので心配ない。新品の値段が気になる人はヤフオクあたりで程度のよい中古を探すと良い。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3種類の構成で、3気筒NAの「X」、3気筒Mターボ(60馬力)の「T」、3気筒直噴ターボエンジン(64馬力)の「DI」というグレード構成。「DI」グレードの直噴ターボエンジンはセルボSRでも採用された軽自動車初となるターボエンジン。
カスタムスタイルXの自然吸気エンジンは最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
カスタムスタイルTの最高出力は60ps(44kW)/6000rpm、最大トルク8.5kg・m(83N・m)/3000rpmのM(マイルド)ターボ仕様となる。
カスタムスタイルDIの直噴ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは10.5kg・m(103N・m)/3500rpm。ちなみにスペック上は直噴ターボエンジンも通常のターボエンジンも同じ値となる。
直噴ターボはシリンダー内に高圧のガソリンを直接噴射することでそれまでのターボエンジンよりも燃焼効率がアップし、低燃費に貢献するというもの。実際のところカタログ燃費ではひとつ下のMターボよりもDIターボの方が若干良かった。
ただしコスト面の関係から2代目以降では採用されず、初代カスタムスタイルのみの幻のエンジンとなっている。トランスミッションは全グレードで4ATのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。
安全装備として運転席&助手席エアバッグとEBD付きABSを全グレードに標準装備する。
インテリア(内装)
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インパネ。ここらへんはステアリングのエンブレムがマツダになっているだけで基本的には同じ。AZワゴンRRがベースだが、センターガーニッシュにブラックパネルを用いより上級感を高めている。
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ステアリングは全グレードで本革巻きステアリング。
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スピードメーターはRRや標準AZワゴンと同じ2眼式。左がスピードメーター、右がタコメーター。全グレードで自発光式メーターとなる。
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エアコンは全グレードでフルオートエアコンとなる。
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フロントシートもベンチシートタイプでベースとおなじ。
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リアは移動タイプの可倒式。足元の広さ&ラゲッジルームのスペースを変更できる。これもベースと同じ。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
まとめ
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初代のAZワゴンカスタムスタイルは、初代スティングレーのOEMモデルであるが専用のメッキグリルが装備され見た目がちょっと違って見える不思議な1台。
3代目ワゴンRはよく売れた車で街で見かけることが多いが、マツダに版AZワゴンとなれば話は別で、そのスポーティーモデルともなれば希少な部類に入る。
中古市場ではモデルが現行よりも古いことと、あまり人気のないモデルなので、年式や走行距離のわりに割安で購入できることがある。ただし、ワゴンRよりもマイナーなのでタマ数はかなり少ない。燃費性能では最新モデルに劣るがちょっと個性的なワゴンRということで、満足感のある1台である。
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