【初代・後期 スティングレーOEM】マツダ フレアカスタムスタイル(MJ34S/MJ44S型) | シン・軽自動車マニア

【初代・後期 スティングレーOEM】マツダ フレアカスタムスタイル(MJ34S/MJ44S型)

フレア カスタムスタイル

フレアはマツダのワゴン型軽自動車。カスタムスタイルはそのスポーティモデルで、スズキ・ワゴンRスティングレーのOEMモデルである。本稿では初代の後期型(2014年8月~)について扱う。

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出典:マツダ認定中古車

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マツダ 初代・フレアとは?

2012年10月に登場したマツダ・フレア。それまでスズキ・ワゴンRのOEM供給で「AZワゴン」という名前で販売されれたいがこの代からは新たな名称「フレア」を採用した。

OEM車種としては珍しく力が入ったモデルで、タレントを起用して大体的にCM放映をするぐらい気合が入っていた。

エクステリア・インテリア・パッケージング概要

エクステリアはシャープな丸目4灯の横長ヘッドライト、ピアノブラック塗装+メッキアンダーラインを組合せた横長グリルのスポーティ&スタイリッシュな顔つきにスタイリッシュな箱型ボディを採用。

出典:ガリバー

インテリアは黒基調にシルバー加飾やピアノブラックパーツを採用し、標準フレアよりも質感の高い室内空間を表現。

パッケージングは室内長2,165mm。前後乗員間距離は1,000mmを確保しAZワゴン時代よりもさらに拡大。最小回転半径も4.4mで取り回しの良さを両立。

機能装備

機能装備は「助手席前倒し機構」、「リアシートワンタッチチルトダウン(分割可倒式)」、「フルフラットシート」で、多彩なシートアレンジを可能とした。

収納スペースは伝統の「助手席シートアンダーボックス」のほか、手提げ袋などを掛ける「ショッピングフック」、箱型ティッシュも置ける「助手席インパネトレイ」豊富な収納スペースを設定。

このほか「アドバンストキーレスエントリー&キーレスプッシュボタンスタートシステム」はカスタムスタイル全グレードで標準装備とした。

メカニズム概要

安全装備は「ヒルホールドコントロール」、「4W-ABS(4輪アンチロック・ブレーキ・システム)&EBD(電子制御制動力配分システム)&ブレーキアシスト」を全グレードに採用した。

メカニズムではそれまでのK6A型に変るR06A型エンジンを新規に採用。加えてカスタムスタイルではターボエンジンと7速マニュアルモード付CVTを設定。

軽自動車としては初となる低燃費技術の「エネチャージ」、「新アイドリングストップシステム」、「エコクール」を全グレードに採用。

ハイテン鋼などで徹底的に軽量化(先代比-70kg)したことで自然吸気エンジンのFFモデルでは28.8km/L(JC0モード)を実現するなど燃費が飛躍的にアップした。

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初代・後期フレアカスタムスタイルの改良点と前期型との違い

その初代フレアカスタムスタイルは2014年8月のマイナーチェンジでフロントデザインの変更を伴い後期型となった。

出典:ダイハツ認定中古車

後期型ではフロントデザインが大幅変更され、内装刷新やマイルドハイブリッドの採用で前期型よりも大チェンジとなった。

S-エネチャージ(マイルドハイブリッド)の採用

後期型の大きな特徴はエネチャージを進化させたS-エネチャージの採用である。

従来のエネチャージではバッテリーとは別の第2の蓄電池を設け、オルタネーターの代わりに蓄電池から電力を供給することで無駄なガソリン消費を抑えるものだったが、S-エネチャージではモーター機能付きのオルタネーターを採用。

発電の他、エンジンのアシスト源(スターターモーター機能とモーターアシスト機能)として使うことでマイルドハイブリッド仕様に進化した。

さらに蓄電池は高効率リチウムイオンバッテリーを採用したことで、充電や給電性能を向上。モータアシストに必要な大電流に対応させた。

これらS-エネチャージを採用したことで燃費性能はさらに向上し、自然吸気エンジンのFFモデルで32.4km/L(JC08モード)。同年代のライバルである5代目ムーヴを大きく引き離す大台を達成。

これ以外でも「S-エネチャージ」化に伴い発電機能付きオルタネーターをエンジンの始動に使うことで、アイドリングストップ時の「キュルキュル音」が皆無で、かつスムーズという特徴もある。同年代のダイハツ車、ホンダ車等にはないスズキだけの特質すべき点だ。

内外装の変更

このほか後期型のエクステリアはスティングレーと同じフロントグリルやバンパーデザインを採用しより存在感のある顔つきとなったほか、インテリアではシルバー加飾&ブラック内装のシート表皮を新デザインに変更。

自動ブレーキの強化、機能装備(クルーズコントロール)の追加など

自動ブレーキでは「後退時左右確認サポート機能」と「自動俯瞰機能」を追加。スマートフォン連携ナビゲーションとセットのオプション設定とした。

装備面ではスティングレーのターボ仕様にクルーズコントロールを追加。最廉価グレード(標準フレアXGのFF車)を除いて運転席シートヒーターを標準装備化。助手席ヒートシーターはオプション設定車を増やした。

初代・後期フレアカスタムスタイルMJ34S/MJ44SとワゴンR・スティングレーMH34S/MJ44Sとの違い

初代・後期フレアカスタムスタイルと3代目ワゴンRスティングレーの違いはほとんどなく、エンブレム類のみである。

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前期モデルでは専用グリルや専用バンパーなどでマツダらしい差別化がなされていたが、後期型カスタムスタイルではスティングレーと同一化。エンブレム以外は同じという平凡なOEMモデルへと変更された。

これ以外は共通で内装やグレード構成は同じ。そのため個性という点では前期型よりも薄くなっている。

【3代目・後期型】スズキ ワゴンR スティングレー(MH34S/MH44S型)

初代・後期型フレアカスタムスタイル グレードの違い

初代フレアカスタムスタイルの後期グレード構成はHSとXTグレードの2種類。

HSグレード

初代フレアカスタムスタイルのエントリーグレード。

前期のXSに置き換わる形で新設定されたS-エネチャージ適用の自然吸気エンジングレード。

14インチアルミホイールなど上級ターボのXTグレードよりも装備が簡略化される。

ただし標準フレアのエントリーグレード、XGよりは豪華で、本革巻きステアリングやアルミホイール、プッシュスタートボタン式エンジンスタート、アドバンストキーシステム、エアロパーツ、LEDターンランプ付きドアミラーなど装備も豪華。

OEM元のワゴンRスティングレーでは「X」グレードに相当する。

XTグレード

初代フレアカスタムスタイルの最上級ターボグレード。初代フレアで唯一のターボエンジンを搭載し、CVTも7速マニュアルモード(パドルシフト)を備える。

このほかXSグレードに追加で専用デザインの15インチアルミホイールを標準装備する。

ボディカラーはXSとXT共通で全6種類。後期モデルではターボ仕様のみにクルーズコントロールなど機能装備が追加されている。

なお、自然吸気エンジンのXSは2014年8月にS-エネチャージ化されたが、ターボ仕様は遅れて1年後の2015年9月にS-エネチャージ化された。そのため個体によっては後期型の外観でもS-エネチャージ搭載でない個体があるので注意。

見分け方は後方のリアゲート左下に「S-ENE-CHARGE」のエンブレムがあれば搭載モデル。付いていなければ非搭載で簡単に見分けが可能だ。

初代・フレアカスタムスタイル(MJ44S)と前期(MJ34S)との違い

MJ34SとMJ44Sの違いは大きく分けてS-エネチャージ搭載か、そうでないかの違いがある。MJ34Sは非搭載のガソリンエンジンモデル。MJ34SはS-エネチャージを搭載したモーターとエンジンのマイルドハイブリッド仕様車。

ひとつ注意点としてはS-エネチャージ(マイルドハイブリッド)の適用グレードがある。2014年8月の時点ではS-エネチャージは自然吸気エンジンのスティングレーのみに適用され、ターボエンジンのXTグレードは未搭載だった。そのため同じ年式でもマイルドハイブリッドが搭載されていない。

ターボ仕様にS-エネチャージ(マイルドハイブリッド)が搭載されたのは遅れて半年後の2015年9月から。型式もここでMJ44Sに変更になっているのでターボ仕様のS-エネチャージ車を中古購入の際には注意が必要だ。

前期ターボでも充分性能は良いのだが、マイルドハイブリッドの追加でさらにそれに磨きがかかり、加速性能のほか燃費性能、クルーズコントロール搭載などで魅力が高くなる。

エクステリア(外観)

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出典:マツダ認定中古車

フロントデザイン。前期型ではAZワゴンの時にみられたマツダ用デフォルメが与えられ、スズキ版と差別化されていたが今回の後期型ではそれを統一し、マツダ用の変更点はエンブレムのみとなった。

デザインは軽自動車としては直線と適度なエッジでシャープさを表現し洗練されたデザインとなっているが、スズキ版とほぼ同じという点は少し残念か。なお、後期の上級グレード(XT)ではスズキ版と同じくグリルまわりのLEDイルミネーションが標準で装備される。

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イルミネーション部分はセンターのグリルの他、ウィンカー隣のサイド部分。TグレードではフォグランプまわりにもLEDが追加された。

グリルやヘッドライト内部はブルーメッキ化され昼間でも前期とはまた違った雰囲気となっている。また後期型ではフォグランプをLED化。省電力に貢献する。

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出典:マツダ認定中古車

サイドから。先代のフォルムを継承し室内空間の確保とデザイン性を両立させたフォルムになっている。

足元はHSが14インチアルミホイール(後期ので新デザインを採用)。タイヤサイズ:155/65R14。

ターボ仕様のXTでは写真の切削加工15インチアルミホイール(タイヤサイズ:165/55R15)となる。

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出典:マツダ認定中古車

リア。前期型や歴代のカスタムモデルと同じくクリアータイプのテールランプを装備している。ストップランプは流行りのLED仕様でキレのある動作が特徴だ。

マツダ仕様に関してはエンブレム以外は同じとなる。

エンジン・機能装備・自動ブレーキなど

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エンジンはR06A型3気筒DOHC自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類。

自然吸気エンジンは最高出力52ps(38kW)/6000rpm、最大トルク6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。

ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク9.7kg・m(95N・m)/3000rpm。

先代のK6A型のターボエンジンとR06Aターボエンジンとでは最大トルクに差があり、K6Aでは3500回転で10.8kgを出してたが、R06Aでは3000回転で9.7kgの最大トルクに達成する。最大トルクそのものは少し下がったが500回転低くなったためより街乗りでは乗りやすいエンジンとなっている。

後期型ではこのエンジンに加えてオルタネーター機能付きのモーター(出力1.6kW)が加わる。ただし、2014年8月マイナーチェンジ当初は自然吸気エンジンのみ、S-エネチャージ仕様となり、ターボエンジン車は2015年8月マイナーチェンジ以降でターボ車もS-エネチャージ仕様になった。

トランスミッションは副変速機付きのCVT。駆動方式はFFか4WDだ。この他MH34系では減速時アイドリングストップシステム、エコクールが全グレードで標準装備となる。

先代よりもボディを軽量化し、さらにエネチャージシステムによるエンジンのロスを軽減したことで、特にターボモデルの走りと燃費は先代以上に良い出来となっている。1.3Lクラスの普通車と同じかそれ以上と言ってもいいだろう。

CVTにより100kmの回転数は2600rpmとこれも優秀だ。また、S-エネチャージではハイブリッド化による走りのモーター感は皆無なものの、登坂時ではモーターのアシストで若干登坂能力が改善されており、特に自然吸気エンジンでは効果が期待できる。

さらに素晴らしいのはアイドリングストップ時の再始動音で、あの独特のエンジンスタート音がとても静かな点。これは確実に軽自動車の質感を向上させるポイントである。

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この他安全装備としてレーダーブレーキサポート、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESP、ヒルスタートアシストを全グレード標準装備。

「後退時左右確認サポート機能」と「自動俯瞰機能」を採用したバックアイカメラはスマートフォン連携ナビゲーションとセットでメーカーオプションに設定。クルーズコントロールシステムはターボ仕様のTグレードに標準装備。

インテリア(内装)

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出典:マツダ認定中古車

インパネ。このあたりは特に変更はない。

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スピードメーター。前期型に若干の変更が加えられている。後期では燃料残量計が完全なデジタル式となりマルチインフォメーションディスプレイとして統合された。

出典:マツダ認定中古車

ステアリングは全グレードで本革巻きステアリング。ターボモデルではステアリングでマニュアルモードを任意変速可能な7速CVTとなる。

エアコンは全グレードでフルオートエアコン。

出典:マツダ認定中古車

フロントシートはセパレートタイプ。後期モデルでは同じブラックカラーだがシート表皮中央部を刷新。柄が変更されより上級な雰囲気となった。

出典:マツダ認定中古車

リアシート。

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出典:マツダ認定中古車

ラゲッジルーム。

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出典:マツダ認定中古車

リアシートを全て倒した状態。リアシートはスライド機構付きで広さを調節可能だ。

初代・後期型フレアカスタムスタイルのまとめ

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出典:マツダ認定中古車

フレア カスタムスタイルの後期型はNAモデルでマイクロハイブリッドを追加するなど軽自動車としては飛躍的に進化したモデルといえる。

その一方で前期型にあったマツダオリジナルの仕様変更は廃止され個性は薄れてしまった感じだ。

スズキのライバルであるダイハツ・ムーヴではスバルにOEM供給するにあたり、専用のデフォルメを行いOEMといえでも見た目に違いを出している点を考慮するとマツダ版・ワゴンRの外観の個性は薄くなっている(※現行モデルではデフォルトを廃止している)。

AZワゴンユーザーならそこまで気にならないが、これから軽自動車を選ぼうとしている人にとっては、スズキもマツダも見た目があまり変わらない点は選択肢の幅を狭めることになるので、そういったユーザー層に対しては残念な仕様となっている。

中古市場では本家ワゴンRよりも少ないレアモデルで、特に初代後期のカスタムモデルはなお少ない。スズキ版と差別化が無くなり、あえてマツダ版を買う理由が無くなったことが要因かもれしれない。

探す場合は少し厳しいが価格的にはプレミアムは付いておらず、同年代のワゴンRと同じ程度。スズキのブランドイメージが嫌いな場合はあえてマツダ版を選んでみるのも面白い。

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