キャラはスズキのスポーツカー型軽自動車。マツダオートザム・AZ-1のOEMモデルである。
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スズキ・キャラとは?
平成のABCトリオで有名な「AZ-1」がデビューしたのは1992年の10月だったが、それから3ヶ月後の1993年1月にスズキからも販売されることとなった。それがこの「キャラ」。
今でこそ他メーカーから自動車の供給を受けて販売することは一般的となったが、当時としては珍しい例だった。
ただし、OEMといっても元々AZ-1はエンジンやミッションに関してスズキ製のものを使っていたので少し複雑な逆OEMモデルでもあった。
エクステリアではAZ-1と同じく特徴的なスーパーカーのようなデザインにガルウィングを採用。FRP製でスケルトンモノコックという特殊フレームを採用し車体重量も軽量化しわずか720kgを達成。
駆動方式もMRを採用し、2代目アルトワークス譲りのF6A型ツインカムインタークーラー付きターボエンジンを搭載。これに5MTの組み合わせのみで硬派なスポーツモデルとしていた。
AZ-1(PG6SA)とキャラ(PG6SS)の違い
AZ-1とキャラの違いは外観上はフロントのエンブレムとリアの車名デカールが異なる以外は基本同じ。
ただしキャラでは寒冷地仕様の設定がなく、またABSやフェンダミラーのオプション設定も無かった。変わりにフォグランプが標準装備されるなどの違いがあった。
また、AZ-1には販売促進のための特別仕様車(マツダスピードバージョンやM2-1015など)が存在したが、キャラではそれらが一切なく販売終了までベースグレードのみの設定となっていた。
なお、ただでさえ売れなかったAZ-1だが、OEM版のキャラはその上をいく。AZ-1の販売台数は全部で4,392台に対し、キャラはたったの531台。かなり希少かつレアなモデルとなっている。
キャラのエクステリア(外装)
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フロントデザイン。昨今のOEMモデルにあるような専用デフォルメは一切なく、エンブレムがスズキになっている点と、バンパー下部のフォグランプを標準装備している以外はベースのAZ-1と同じだ
。丸目のヘッドライトが特徴的で、ボディサイズとも相まって可愛らしいデザインだ。ちなみにボンネット上のエアダクトはタービン冷却用の穴ではなく、外気循環の取り込み用の穴である。
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サイドから。小さいながらもスーパーカーのようなフォルムをしている。ボディはベースと同じく軽量化のため特殊プラスチックを用いて車重を720kgにおさえてある。
ちなみに写真のリアウィングは社外品でノーマル状態ではウィングレスである。この車の最大との特徴ともいえるのがドア部分だ。
足元の純正は13インチ・スチールホイール。タイヤサイズは155/65R13。
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ガルウィングという上下方向に開閉するタイプのドアを装備。軽自動車ながらもスーパーカーにみえる雰囲気を持っていた。今現在でも純正でガルウィングを備える軽自動車はこのキャラ(AZ-1)だけである。
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リア。変更点は「CARA」というシールと「SUZUKI」のロゴシールのみである(写真の物はAZ-1用のウィングに交換されているが、キャラの純正はウィングレスで、左上にシールが付いている)。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはF6A型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンのみで、カプチーノやアルトワークスでも採用されていたF6Aターボエンジン。
最高出力は64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは8.7kg・m(85.3N・m)/4000rpm。
トランスミッションは5MTのみで、駆動方式はMR(ミッドシップ)となる。カプチーノはATモデルもあったが、キャラはマニュアルのみという硬派なグレード設定だった。
なお前述のとおりエンジンやトランスミッションはスズキ製のものを使っている。ABSはキャラでは非設定。
トルクは最近のモデルに比べると少々物足りない感じもするが、車重が720kgでかつ地を這うような低い車高とミッドシップレイアウトにより独特のドライブフィールを味わえる面白いモデルとなっている。
キャラのインテリア(内装)
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インパネ。右上のブーストメーターや中央部のオーディオは社外品。基本的に中身はまったく同じで、ステアリングのオーナメントがSマークに変更となる程度。
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スピードメーター。こちらもAZ-1と同じスポーティなホワイトパネル。タコメーターも中央タイプで競技思考のデザインを採用している。
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シートはバケットシートタイプ。ボディだけでなくシートも本格的だった。なお、青系のボディカラーを選択するとシートもブルーになっていた。
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マニュアル。革製のシフトブーツが付いており、軽トラのような安っぽさが薄れいている。
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リアはエンジンルームとなっている。
キャラの評価
キャラはAZ-1同様に乗り手やニーズを選ぶ趣味性の強い軽自動車である。
軽自動車の2シーターという時点で既に実用性が無く、加えてリアに重心が偏っていたためハンドリングが難しく、個性の強すぎたモデルだった。逆にそれがマニア心を刺激し、生産終了からもそのプレミアム性から高値で取引されている。
ガルウィングという装備は希少だし、デザインも小さなスーパーカーということで所有欲は満たしてくれる1台。生産からかなりの年数がたっているのでコンディションの良い物を選ぶことが重要なモデルだ。
なお、OEMモデルにありがちなOEM版ゆえの安さはこのキャラには通用せず、AZ-1同様に希少モデルとして高値が付いている。
特にアメリカの25年ルール解禁後は特に高値傾向が続いている。手頃さと快適性であれば近年の2代目コペン、S660に軍配があるが当時のフィーリングやじゃじゃ馬感を味わいたい人にはこのキャラは魅力的に映る一台だろう。
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