タントはダイハツのトールワゴン型軽自動車。カスタムはそのスポーティモデルである。本稿では2代目の前期(2007年12月~2010年9月)に設定された特別仕様車、「Vセレクション」および「Vセレクションターボ」を扱う。
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2代目 ダイハツ・タントとは?
2007年12月にフルモデルチェンジし、2代目となったダイハツ・タント。
2代目では先代のイメージを踏襲し、ベーシックでありながら可愛らしい外観となりより女性向け感を強めた。メカニズムでは助手席側後方のセンターピラーレスとスライドドアの初採用(ミラクルオープンドア)で利便性が大幅向上。
特に子供の乗り降りや買い物時の荷物の出し入れなどに大変便利で、タントの人気上昇につながった。
エンジンは初代と異なるKF型の自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類を設定。ただし、初代ではモデル前半でノーマルタントにもターボモデル(タントRS)があったのに対し、2代目ではタントRSを完全廃止。
ターボエンジンはカスタム専用となった。トランスミッションも従来では3ATの設定があったがこれを4ATに置換。また、上級グレードではCVTも設定され燃費向上と巡航時の静粛性アップにつながった。
2代目タントのモデルの構成はベーシックでファニー寄りな顔つきのタントと、スポーティーと上級感あふれるタントカスタムの2本立て。
初代のタントカスタムはモデル中盤から追加設定となったが、2代目タントカスタムではノーマルタントと同時デビューとなった。
タントカスタムは初代と同じくノーマルタントに対し専用ヘッドライト、専用メッキグリル、専用バンパー、専用コンビランプにフルエアロで外観をスポーティーにあしらい、内装でもブラックインテリアと専用シート。
タコメーター付き専用スピードメーター等でノーマルと差別化を行なったグレードである。特に2代目においてはノーマルが女性向けモデルになったため、タントカスタムの方は主に男性向けとされていた。
2代目前期・タントカスタム(L475S/L385S)Vセレクション/Vセレクションターボとは?特徴と違いなど
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その2代目タントのデビューからおよそ1年後の2008年12月。専用アルミホイールにトップシェイドガラス、本革巻ステアリングホイール等の専用パーツを装着し上級感を高めつつ、お買い得とした特別仕様車を設定した。
それがこの「Vセレクション」と「Vセレクションターボ」である。
Vセレクションという名前は初代にあった「VS」に相当する特別仕様車で、初代と同じように自然吸気エンジンの「カスタムL」(※初代のカスタムVSはXグレードがベースで若干異なる)とターボ仕様の「カスタムRS」をベースに特別装備が追加される。
Vセレクションの特別装備
Vセレクションでは外装に
- 専用14インチアルミホイール
- トップシェイドガラス
- サイドストーンガード
を標準装備。
内装では
- 専用革巻ステアリングホイール(プレミアムシャインブラックベゼル付)
- プレミアムシャインブラックセンタークラスター
- オーバーヘッドコンソール(ルーフイルミネーション付)
- メッキレジスターベゼルリング
- 専用フルファブリックシート
を標準装備。
便利機能として
- オートエアコン(プッシュ式)
- キーフリーシステム(イモビライザー機能付)
- スライドドアイージークローザー
- 電動式パワーステアリング
も採用し、ベーシックなLグレードベースながら上級な装備を与えた。
Vセレクションターボの特別装備
一方、VセレクションターボではRSの装備に加えて外装では
- 専用15インチアルミホイール
- トップシェイドガラス
を標準装備。
内装では
- 専用革巻ステアリングホイール(プレミアムシャインブラックベゼル付)
- プレミアムシャインブラックセンタークラスター
- メッキレジスターベゼルリング
- 専用フルファブリックシート
- 6スピーカー(16cm4ドアスピーカー&ツィーター)
を標準装備し、より上級感をアップさせた特別仕様車となっている。
エクステリア
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フロントデザイン。初代のVSグレードでは専用のメッキグリルがバンパーに加えられたが2代目のVセレクションでは特になし。
ノーマルでもデザインの素性が良いためこのあたりは特に必要ないだろうか。Vセレクション&ターボ共通でトップシェイドガラスが標準装備となる。
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ベースと同じくヘッドライトはハイロー独立タイプで、ロービーム側がディスチャージヘッドライトとなる。
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サイド。自然吸気仕様ではベースモデルでオプション設定だったサイドストーンガード(サイドアンダースポイラー)を標準装備。ターボはベースのRSに標準装備なので特に追加装備はなし。
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もちろん、助手席は2代目タントから採用された「ミラクルオープンドア」。非常に開放的な機能で乗り降りや荷物の出し入れなどに便利な機能となる。
Vセレクションではスライドドアイージークローザーを標準装備。Vセレクションターボではベースと同じくスライドドアイージークローザーにパワースライドドアが標準装備となる。
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足元はVセレクションが専用デザインの14インチアルミホイール。初代の「タントVS」では追加装備としてフロントスタビライザーが採用されたが、2代目のVセレクションではそれが省略されている。
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Vセレクションターボでも専用デザインの15インチアルミホイールとなる。RSベースなのでスタビライザーがフロントに標準装備となる。この他ターンランプ付きドアミラーとキーフリーシステム(セキュリティーアラーム付き)はベース同様に標準装備となる。
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リア。このあたりはベースと同じで、専用エンブレム等の装着もなし。
エンジン・機能装備・安全装備など
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エンジンはKF型の3気筒DOHC自然吸気エンジン(Vセレクション)とインタークーラー付きターボ(Vセレクションターボ)の2種類。
自然吸気エンジンでは最高出力58ps(43kW)/7200rpm、最大トルク6.6kg・m(65N・m)/4000rpm。
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ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.5kg・m(103N・m)/3000rpmとなる。
トランスミッションは自然吸気エンジンのVセレクションが4AT。ターボ仕様のVセレクションターボがCVTとなり、駆動方式はFFまたは4WDとなる。
この他Vセレクションターボではベースと同じくABS(EBD&ブレーキアシスト付)を標準装備(Vセレクションではオプション設定)。
インテリア
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インパネ。Vセレクション&ターボ共通でステアリングが(プレミアムシャインブラックベゼル付)本革巻ステアリングホイールに変更。
VセレクションターボでもMOMO製本革巻ステアリングホイールから変更することで価格を抑えている。
さらにエアコン吹き出し口にはVセレクション&ターボ共通で「メッキレジスターベゼルリング」を標準装備。さらにVセレクションターボではスピーカーが6スピーカーに変更される。
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Vセレクション&ターボ共通でセンタークラスターパネルが「プレミアムシャインブラックセンタークラスター」に変更された。プレミアムシャインブラックにより上級感あふれる光沢系のブラックとなっている。
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スピードメーターはベースと同じ。
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フロントシートはベンチシートタイプ。Vセレクションでは専用フルファブリックシートに変更された。Vセレクションターボではベースに標準装備となる。
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リアシート。スライド幅260mmかつ左右独立式のスライド機構付き。
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Vセレクションではベースモデルでオプション設定だった「オーバーヘッドコンソール」を標準装備。Vセレクションターボでは既装備。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
まとめ
2代目タントカスタムの「Vセレクション」はベーシックなLグレードをベースに上級装備をあたえつつ価格を抑えたモデル。「Vセレクションターボ」は上級グレードの装備にプラスアルファとなる専用パーツを与えたことでさらなる魅力をアップさせた特別仕様車である。
共に初代にあった「タントカスタム VS」と「タントカスタム VSターボ」の後継グレードのようなモデルで、自然吸気エンジン仕様は内外装のドレスアップ。ターボ仕様はさらなるアップグレードによりノーマルのタントカスタムよりも上質感あふれる装備が特徴だ。
初代の頃の専用メッキグリルが無かったり、自然吸気エンジンではフロントスタビライザーの追加装備がないなど若干残念な部分もあるが、中古車として見るとノーマルよりも魅力が高い特別仕様車である。
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中古市場ではこの手のジャンルの人気の高さとその王者に君臨するモデルとあって中古車にしては高値がつくモデルとなっている。
初代のタントカスタムVSほど安くは買えないが、2代目のデザインは初代をコンセプトにより上質感をアップさせたような顔つきはまだまだ古さを感じさせなく、その特別仕様車として魅力的なモデルといえよう。
特に3代目・タントカスタムのフロントデザインが好き嫌いが分かれそうなコテコテな感じたのめ、比較的安価な中古車としての需要も高そうな特別仕様車である。
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