【後期型】ホンダ S660(JW5型)

S660

S660はホンダのオープンカー型軽自動車。本稿では2020年1月マイナーチェンジ~を後期型とし、これを扱う。

画像参照元:ホンダ認定中古車

概要

2015年4月に登場したS660は、軽自動車の売れ筋モデルである箱型とは一線を画する本格的なスポーツカーとして登場。かつてバブル時代に販売してたビートの実質的な後継モデルでありおよそ19年ぶりの本格的軽スポーツカーの復活となった。

先代と同じくエンジンはリアに配置、後輪を駆動するMR方式を採用し、完全開放では無いもののオープンカーに近い開放的なルーフ開放部分(ロールトップ)を備えている。

S660はスポーティーな外観はもちろんのこと、「曲がる」・「走る」・「操る」の3つを追求したモデルでミッドシップレイアウトによる前後重量配分45:55の実現や、ロールセンター高と重心高の最適化、軽自動車初となる電子制御システムの「アジャイルハンドリングアシスト」の採用などで「曲がり」を追求。

新設定のターボチャージャーや軽自動車初の6MTの採用、吸・排気音、タービン音やブローオフバルブ音をあえて出すことでスポーツカーならではのサウンドや脱着式の「ロールトップ」の採用で「走る」を追求。

ドライバーの着座姿勢やヒップポケット、アクセルやブレーキ位置を最適化してまるでゴーカートに乗っているような独特のドライビングポジションを実現した。

ステアリングホイールにはφ350mmの物を採用し、「ミッドモード付フルオート・エアコンディショナー」や昇降式リアセンターガラスを採用し、オープン時でも快適な室内空間の実現で「操る」を追求した。

安全面では直線となめらかな曲線で構成したボディ骨格に万が一の横転対策としてフロントピラーとセンターピラーに補強材を追加し、横転事故での高い乗員保護性能を実現。軽自動車らしからぬ高いボディ剛性と安全性能を実現した。

このほか「運転席i-SRSエアバッグシステム」「助手席用i-SRSエアバッグシステム」に加え、側面衝突時の衝撃を吸収する「i-サイドエアバッグシステム」を標準装備。

横滑り防止装置のVSAやヒルスタートアシスト機能に加えエマージェンシーストップシグナルも全グレードで標準装備、「シティブレーキアクティブシステム」はグレード別で標準装備とした。

後期型S660の改良点と前期との違い

S660は2020年1月にマイナーチェンジを実施し、後期型に。

後期型S660のフロント
前期S660のフロント

後期型ではフロントグリル、ヘッドライト、サブリフレクター、テールランプの色(クリアー化)、アルミホイールのデザインを変更し、Aピラーをボディ同色化。

後期型S660のリア(βグレード)
前期S660のリア

フェンダーウィンカーを廃止しLEDドアミラーウィンカーの採用してスタイリッシュさをアップ。αグレードではアクセサリーライトがバンパー下部に新採用された。

内装ではαグレードでステアリングやシフトノブの一部にアルカンターラを採用。

後期型S660 αグレードのレザーシート

αグレードのシート表皮にはセンターにラインが追加された。

ボディカラーも変更され「アドミラルグレー・メタリック」を廃止。αとβグレードにはそれまでモデューロX専用だった「アラバスターシルバー・メタリック」を入れ替えで新設定。

「Modulo X」には「α」専用色の「カーニバルイエローII」を新設定。

αグレードのみ「ブリティッシュ・グリーン」と入れ替えで「アクティブグリーン・パール」を新設定した。

後期型S660 グレード体系と違い、限定・特別仕様車など

後期S660のグレード構成はエントリーグレードのβ(ベータ)と、上級グレードのα(アルファ)、コンプリートカー「モデューロX」の3種類。

これ以外に特別仕様車で「モデューロX バージョンZ」を設定していた。

β(ベータ)グレード

S660の基本・エントリーグレード。基本性能はアルファと同じだが内外装の装備がアルファに比べるとエントリー仕様となり、豪華さにかける。

また、ボディカラーも「ナイトホークブラック・パール」、「アラバスターシルバー・メタリックアドミラルグレー・メタリック」、「プレミアムスターホワイト・パール」の3色のみ。

快適装備もベータではヒートシーターが非装備で、本革巻きステアリング、シフトノブ、アルミペダルも非装備。シート表皮もファブリックシートで簡素な装備となる。

後期モデルではアルミホイールのデザインがβグレードでも変更されており、前期か後期かを見分けることができる。

α(アルファ)グレード

S660の上級グレード。ベータよりも内外装が豪華になる。

エクステリアでは専用切削加工アルミホイール、クリアーフェンダーウィンカー。

ボディカラーはベータよりも黄色の「カーニバルイエローII」、赤系「フレームレッド」、青系「フレンチブルー・パール」、鮮緑系で新色「アクティブグリーン・パール」の4色が増えた全7色を設定。

内装では本革巻きステアリング、アルミシフトノブ、メッキインナーハンドル、シルバー塗装メーターバイザーリンク、アルミペダル、LEDルームランプを標準装備し、シート表皮もレザーシートで上級な内装となる。

後期ではバンパー下部にLEDのアクセサリーライトが追加されており、前期のαグレードと見分けるポイントともなる。

コンプリートカー モデューロX

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ホンダアクセスが開発したモデューロ専用部品をあしらったコンプリートカー。専用開発のサスペンションや空力特性を活かしたパーツを特別装備したモデルである。

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外装には専用グリル一体型専用フロントバンパー、専用LEDフォグライト、専用カラードドアミラー、ロールトップ、専用アクティブスポイラー(ガーニーフラップ付き)、リアロアバンパー、専用リアエンブレム、フロントにはステルスブラック塗装の15インチアルミホイール、リアにはフロントと同色塗装の16インチアルミホイール。

アルミホイール専用ホイールナット、専用サスペンション(5段階減衰力調整機能付き)、ディスクロータードリルドタイプ、スポーツブレーキパッド、を。

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内装には専用スポーツレザーシート。専用本革巻ステアリングホイール、専用モデューロXロゴ入メーター、専用モデューロXロゴ入りアルミ製コンソールプレート、6MT車にはチタン製シフトノブ&グレーステッチのシフトブーツ、CVT車ではボルドーレッド&ブラックの専用セレクトノブ。

同じくボルドーレッド&ブラックの専用サイドブレーキカバー、ボルドーレッドの専用インパネソフトパッド、専用フロアカーペットマットを特別装備とし、内外装でモデューロXのコンセプトを適用した特別仕様車となっている。

後期モデルではボディカラーが変更され、前期の「アドミラルグレー・メタリック」が廃止され、入れ替えで「カーニバルイエローII」が追加の全4色設定。

特別仕様 モデューロX バージョンZ

2021年3月設定の特別仕様車。S660生産終了に際して、これまでのご愛顧に感謝を込めたS660最後の特別仕様車

画像参照元:ガリバー

バージョンZはコンプリートカーのモデューロXをベースに外装では専用・ブラッククローム調エンブレム、専用・ブラック塗装アクティブスポイラー、ステルスブラック塗装アルミホイールを。

内装ではカーボン調インパネ、スェード調×合皮製のブラック×ボルドーレッド×グレーステッチ仕様ドアライニングパネル、Modulo Xロゴ付専用シートセンターバッグ、専用Version Zロゴ入りアルミ製コンソールプレートを。

ボディカラーには「プレミアムスターホワイト・パール」とバージョンZ専用色として「ソニックグレー・パール」の全2色を設定。CVT仕様の設定がなく、6MTのみの硬派な特別仕様車。

期間限定・台数限定の販売で登場から約2週間後の2021年3月中には完売してしまい、現在ではプレミアム価格が付く希少モデルとなっている。

モデューロX バージョンZについてはこちらから。

エクステリア(外装)

フロント。後期型ではグリルが黒基調に変更され、ヘッドライトも内部がメッキ加飾の部分がインナーブラック仕様となり、黒によるアクセントを強調した顔つきとなった。

また、Aピラーも前期ではブラックだったが、後期ではボディ同色塗装となった。

さらにαグレードではバンパー下部にLEDアクセサリーライトが追加され、ワンポイントアクセント的な要素も追加された。

βグレードではアクセサリーライトは追加されず、よりシンプルな顔つきとなる。

サイド。後期ではフェンダーウィンカーが廃止され、かわってLEDドアミラーウィンカーに置換された。

アルミホイールのデザインもβとαグレードの両方で変更され、βグレードではガンメタ系の穴あきデザイン。

αグレードでは切削加工&ブラック塗装のスタイリッシュなアルミホイールとなる。タイヤサイズは前期と同じでフロントは15インチ:165/55R15。リアは16インチ:195/45R16。

前後でタイヤサイズが異なる。

リア。後期モデルではテールランプとハイマウントストップランプがクリアー化。前期とはイメージが変化している。

なお、速度域に対して自動開閉するオプションの電動スポイラー「アクティブスポイラー」は、モデューロX仕様で標準装備となり、後期ではリップスポイラーも追加された。

エンジン・機能装備・安全装備など

エンジンはS07A型3気筒直列DOHCのターボエンジンのみ。

最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpmを発生する。

エンジンそのものは初代N-BOXと同じエンジンだが、タービンはS660専用品で優れたアクセルレスポンスを実現している。

トランスミッションはCVT(7速マニュアルモード付き)と6MTの2種類。駆動方式はもちろんMR(ミッドシップレイアウト)のみ。

安全装備としてはシティブレーキアクティブシステム(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)はオプション設定(※6MTには非設定)。

これ以外にエマージェンシーストップシグナル、VSA、ヒルスタートアシストは標準装備する。

インテリア(内装)

インパネ。後期モデルではαグレードでシフトノブや本革巻きステアリングにアルカンターラを採用。より質感がアップした。

βグレードでは前期と同じウレタンステアリング。ヘッドライトもオートライト義務化に対応し、走行中は常時点灯仕様に変更されている。

エアコンはフルオートエアコン。

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スピードメーターは前期と同じ。中央にデジタルスピードメーター。その外側にアナログのタコメーターが組み合わされた独特なデザイン。

左右にはマルチインフォメーションディスプレイを2種類備え、温度計やブースト計が左側。燃料残量計や走行距離などは右側に表示する。

後期6MTのシフトノブ。上部にアルカンターラが採用された。

フロントシート。αグレードでは従来のレザーシート中央にホワイトのラインが追加された。さらにαグレードにはシートヒーターが標準装備となり、ドアパネル付近にはシートヒーターのスイッチも追加され使い勝手や冬場の機能性が向上した。

βグレードのフロントシート。こちらはファブリックシート表皮。

後期S660のまとめ

後期型S660はより精悍な顔つきとなったフロントにクリアー化されたリアまわり。新デザインのアルミホイール&新ボディカラーの追加に内装ではアルカンターラ素材の採用など、より上質感をプラスしたマイナーチェンジとなった。

また、足回りも上質なフィーリングに変更されており前期型よりも乗り心地が向上。万人受けしやすいキャラクターに変更されている。前期とはまた違った個性ともいえる部分だ。

S660の生産終了と中古価格高騰の理由

そんなS660だが、2022年3月に生産を終了し現在では絶版モデルとなった。生産終了のアナウンス時には注文が殺到し、買えなかった人向けに追加で650台分が増産されるほどだった。

今後は2シーター、オープン、MR、ターボに6MTという考えられないほどにスポーティ路線に全振りした軽自動車は2度と登場しないと考えられ、プレミアム価値はかなり高い。

そういった独特なキャラクターや個性から今後はますます値上がりしていくと考えられ、投機目的での購入者も中には出てきそうで、少なくとも値下げしていくことは考えづらい。

軽自動車の中でも異色で個性的な軽スポーツとして、生産終了後も人気は続きそうである。

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