ラピュタはマツダのクロスオーバーSUV型軽自動車。スズキ・KeiワークスのOEMモデルである。
概要
1999年3月にスズキ・KeiのOEM供給を受けての販売となったマツダ・ラピュタ。
某有名スタジオの人気アニメのような車名のこの車は、元祖クロスオーバーSUVである「Kei」のマツダバージョン。それまでのセダンタイプとジムニーの中間に位置する全く新しいジャンルの軽自動車として誕生。
アルト(キャロル)よも大きく、ジムニーよりは小ぶりな大径タイヤに、アルトよりも十分高く取った最低地上高により、特に降雪地域での悪路走破性を高めつつ、独立した後部座席を持つパッケージングにより使い勝手も良くしたモデルである。
※Keiは生産終了後、後継モデルの「ハスラー」としてデビュー。マツダにも「フレアクロスオーバー」として再びOEM供給されている。
そのスポーツグレードとして設定されたのがラピュタのSターボ。スズキ版ではKeiスポーツとしてデビューし、名称は「ラピュタスポーツ」とはならなかった。
その後Keiスポーツが生産終了し、本家がKeiワークスに移行したのを期にマツダ版もワークスとほぼ共通化された。ただし名称は「ラピュタワークス」とはならず、さらにシンプルに「ラピュタ S」とした。
マツダ版はKeiワークスと差別化し、マツダらしさを出すためにKeiワークス独特のフロントデザインは採用せず、ベースモデルのグリルにKeiスポーツのバンパーを足したような形のデザインを採用した。
エクステリア
フロントデザイン。ラピュタSではKeiスポーツに似たエアロバンパーを標準装備する。デザインは開口部がマツダ共有デザインの逆五角形とし、マツダエンブレムを貼り付けて人目でマツダ車とわかるデザインとした。これ以外にフォグランプが標準装備となる。
ちなみこちらがベースのKeiワークス。フロントデザインがあきらかに違う。
フロントとエンブレム以外はKeiワークスと共通で、専用レカロシート、大型リアスポイラー、15インチアルミホイールを装備(※写真は社外アルミ)。
純正より15mmローダウンされたサスペンション、FFモデルにはヘリカル型LSDを標準装備している。
リアも大型リアスポイラー(ハイマウントランプ付き)、エアロバンパーでスポーティなエクステリアとした。エンブレム類はMAZDAとラピュタエンブレムが左右に付く。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3気筒のターボ(64PS/6500rpm、10.8kg/3500rpm)のみで、駆動方式はFFまたは4WDで、それぞれに5MTまたは4ATが用意されていた。ここらへんはベースと同様の構成。
安全装備としてABS、運転席&助手席エアバッグを標準装備する。
インテリア
インパネまわりはステアリングオーナメントがマツダマークに変更になる程度でまったく同じ。
フロントシートはKeiワークスと同じレカロシート。
ステアリングは本革巻きステアリングを装備。
リアシートはベース同様、レカロシートの黒系に合わせたシートになっている。ただし足元は狭めでその分ラゲッジルームが広くなっている。
リアシートを倒せば広くなるのはベースと同じ。
まとめ
ラピュタ Sターボは知る人ぞ知る「ラピュタワークス」のような車で、見た目以外は全て「Keiワークス」と同じ車だ。
なぜわかりやすいラピュタワークスにしなかったのか疑問だが、スズキのブランド的に”ワークス“はスズキの物だから他社ブランドで使うことに抵抗があったのだろうか。ただユーザーからにしてみれば、Sターボという普通の名前は少しわかりづらい。
中古市場ではKeiワークスよりも玉数が少なく、かつKeiワークス同様にMT仕様となると高値の傾向にある。ワークス特有のグリルが嫌いな人はオーソドックスなこちらを選ぶといだろう。
ただ注意したいのはワークスが出る前にはKeiスポーツなるグレードがあり、それをベースにしたラピュタ Sターボも存在する。
Keiスポーツをベースにした物はフロントこそ変わらないものの、レカロシートや大型リアスポイラー、FFの5MTにはヘリカルLSDが装備されていないのでここは充分に注意したい。ただ、兄弟車種ということで互換性はあるので、パーツの移植は可能だ。
なお、ラピュタ SはOEM供給が終了する2006年4月にカタログ落ちし、販売終了となった。そのためKeiワークスよりも販売期間が少なく、赤レカロシートが特徴の後期モデルも存在しない。かなり希少かつレアなOEMモデルである。
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