KeiはスズキのクロスオーバーSUV型軽乗用車。本稿では中期型(2000年10月~2006年3月)の最終期に設定された特別仕様車、「Aスペシャル」および「Bターボスペシャル」を扱う。
出典:ガリバーミニクル
スズキ・Keiとは?
1998年10月に登場したスズキ・Kei。
軽自動車の中の軽自動車を目指すという意味から「Kei」という名前が付けられたこのクルマはそれまでのアルトをベースに最低地上高をアップし悪路走破性を高めた軽乗用車である。
悪路に強い軽乗用車いといえばスズキには「ジムニー」があったが悪路走破性は非常に高いものの日常生活、特に街乗りあたりでは後部座席の専用ドアを持たない2枚ドアによる不便さ、室内空間の狭さ、乗り心地の悪さなど快適とはいえない部分があった。
そこでジムニーのような悪路走破性をライトに与え同時にアルトやワゴンRなどの室内空間や使い勝手の良さをあわせもつ新ジャンルのクロスオーバーSUVとして誕生したのがKeiである。
Keiは185mmの最低地上高を確保すると同時にシティユースで出くわすであろうタワー式立体駐車場の高さに対応。一部グレードでは異なるが一番低いグレードで1545mmとし、従来のアルトのような使い勝手を実現していた。
メカニズムでは同年代のアルトにあったエポターボと同じF6A型のインタークーラー付きターボ(60馬力仕様のMターボ)、オールアルミ製のK6A型の自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボ(64馬力仕様のハイプレッシャーターボ)の3種類を設定。
ABSはSグレードでとXグレード以外でオプション設定となっていた(※なお、後継モデルのハスラーにあるようなグリップコントロールなどSUV機能的なものは搭載されておらず、生活4WDと同じ仕様となっていた)。
出典:ガリバーミニクル
Keiはその利便性の高さとライトな悪路走破性により雪国での人気が高いモデルであった。
アルトやワゴンRなどの低い最低地上高のクルマでは4WDといえど亀になる場合があったが、それよりも最低地上高が程よく高いKeiはジムニーまではいかないがアプローチアングルがアルトやワゴンRよりも高いがゆえに生活4WDとしては除雪があまり行き届いていない道路(ただし最低地上高よりも積もった雪は除く)での走破性は高かった。
そのKeiは2000年10月マイナーチェンジでフロントデザインの変更を伴い中期型に。中期型ではヘッドライト、フロントグリル、フロントバンパーのデザインを刷新し、ファニーよりの顔つきとした。内装でもシート表皮や内装色をシックな色調とし印象をリフレッシュ。
メカニズムではVVT(可変バルブ構造)を採用した改良型のK6A型自然吸気エンジンを新設定し、5MTと組み合わせることで優れた燃費性能を実現した。
また安全装備もデュアルエアバッグ、ブレーキアシスト、ABS、プリテンショナー&フォースリミッター付きシートベルトを標準装備とした。
Kei Aスペシャル/Bターボスペシャルの特別装備
そして中期型Keiのモデル末期(後期型Keiへの移行前)の2005年5月に設定された特別仕様車が本稿で扱う「Aスペシャル」と「Bターボスペシャル」である。
ベースはそれぞれ自然吸気エンジンの「Aグレード」とターボ仕様の「Bターボ」グレード。
特別仕様車として外装では
- フロントメッキグリルカバー
- 14インチアルミホイール
- メッキドアハンドル
- 電動格納式リモコンドアミラー
- デアイサー(熱線でワイパー部分の氷結を溶かす装備)
- 専用エンブレム
与え、
内装では
- シルバー塗装のインパネセンターガーニッシュ
- シルバー背景のタコメーター付きスピードメーター
- 上級仕様のMD/CDステレオ
を標準装備としつつ、価格を抑えお買い得した特別仕様車となっていた。
エクステリア
出典:ガリバーミニクル
フロントデザイン。スペシャル仕様として純正オプションに設定されていた「フロントメッキグリルカバー」を標準装備とした。
ノーマルではボディと同色のものだったが、メッキによるアクセントでさりげないスタイリッシュ感を与えている。この他フロントガラスはデアイサー(4WD仕様では既装備)が標準装備となる。
出典:ガリバーミニクル
サイド。スペシャル仕様として電動格納式リモコンドアミラーとメッキドアハンドルを標準装備とした。さらにフロントドアには「Limited」エンブレムが付く。
足元は14インチアルミホイールを標準装備とした。メッキグリルと同じく純正オプション設定のアルミホイール。
出典:ガリバーミニクル
リア。このあたりは同じ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはK6A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。それぞれグレード名は「Aスペシャル」と「Bターボスペシャル」となる。自然吸気エンジンでは最高出力54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
ターボエンジンは最高出力は60ps(44kW)/6000rpm、最大トルクは8.5kg・m(83N・m)/3000rpmを発生。トランスミッションは4ATまたた5MTの2種類で、駆動方式はFFまたは4WDとなる(※自然吸気エンジンのAスペシャルはFFのみ)。上述のとおりハスラーにあるようなグリップコントロールなどSUV的メカニズムは一切なく、生活4WDと同じ仕様だ。このほかABSを標準装備。
インテリア
出典:ガリバーミニクル
インパネ。ステアリングはウレタンタイプ。
スペシャル仕様としてインパネセンターガーニッシュをシルバー塗装化。
オプション設定の上級MD/CDステレオを標準装備。
スピードメーターもスペシャル仕様としてシルバー塗装タイプのタコメーター付きとした。このスピードメーターとシルバーのインパネセンターガーニッシュは「Keiワークス」と同じものとなっている。
5MTのシフトノブ。
4ATのシフトノブ。
フロントシートはセパレートタイプ。このあたりはベースと同じ。
リアシート。スライド機構は非装備。Keiはラゲッジルームの使い勝手を優先した設計のため後部座席の足元が新規格の軽乗用車でありながら狭い。
ラゲッジルーム。その分ラゲッジルームが広く確保されている。
リアシートは分割可倒式。
リアシートを倒した状態。フルフラットになって使い勝手が良い。
まとめ
出典:ガリバーアウトレット
Keiの中期型に設定された「Aスペシャル」と「Bターボスペシャル」はオプション設定だったメッキグリルやメッキドアハンドル、アルミホイールなどで外装をスタイリッシュとし、内装でもKeiワークス用のメーターやインパネセンターガーニッシュなどで上級感を与えた特別仕様車となっている。この特別装備でプラス5万円程度の価格差だったためお買い得となっていた。
中古市場では特別仕様車とあってKei全体の中でもさほどタマが無いのだが、中期型Keiの中では一番スタイリッシュなため少しファニーよりの顔つき+メッキパーツの組み合わせが気に入った人にオススメといったとこだろうか(※この後2006年4月の後期型マイナーチェンジではフロントデザインを刷新するためイメージががらりと変化する)。
後継モデルで同ジャンルのハスラーもあるのだが、人気モデルゆえに初代であっても中古は高値になりやすい。雪国に住んでいてグリップコントロールや自動ブレーキなど不要&とにかく安いクロスオーバーSUVの軽乗用車を探している人にも魅力的なモデルとえいよう。
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