N-WGNはホンダのワゴン型軽乗用車。本稿では2代目のJH3およびJH4型の2019年8月~2022年8月までを前期型とし、これを扱う。
2代目 ホンダ・N-WNGとは?特徴など
2019年8月にフルモデルチェンジし、2代目となったN-WGN。2代目のN-WGNの最大の特徴はその外観だ。
初代は同年代のステップワゴンを軽自動車に落とし込んだような顔だったが2代目ではそれを180度路線変更。愛嬌ある丸目ライトで親しみやすさがぐっとアップした。
また、安全装備もワンランクアップしホンダセンシングを標準装備。室内空間もN-BOXと同じセンタータンクレイアウトを採用して広い室内空間と使い勝手の良さを両立させた。
2代目N-WGNのエクステリアはシンプルでオーソドックスかつメリハリあるワゴンボディに特徴的な丸目ヘッドライト、シンプルなグリルを組み合わせて親しみやすさと安心感を表現。
インテリアはブラウンを基調とし、シート表皮にアイボリーを採用。
背面はブラウンとすることこで広さや心地よさを表現した。
安全面ではホンダの運転支援システムシステムである「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備。
初代N-WGNの運転支援システムは時速30km以下における衝突軽減ブレーキと誤発進抑制機能のみだったが、ホンダセンシングではこれにプラスして
- 歩行者事故低減ステアリング
- 先行車発進お知らせ機能
- 標識認識機能
- 渋滞追従機能付きACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
- 後方誤発進抑制機能
- オートハイビーム
- 路外逸脱抑制機能
- LKAS<車線維持支援システム>
の8つを加えた全10機能の運転支援システムとなった。
さらに駐車時に安心感を高める機能としてHondaの軽自動車としては初となる「パーキングセンサーシステム」を搭載。
リアバンパーの4つの超音波センサーで車後方の障害物を検知し、アラーム音とメーターディスプレイでドライバーに通知する。
また、オートブレーキホールド機能も搭載し坂道や信号待ちで停止した際にブレーキペダルを離しても一定時間停止状態を保持する。加えてパーキングブレーキは電子制御式を採用。
スイッチひとつで簡単に動作するようにした。
室内空間はN-BOXと同じ「センタータンクレイアウト」の採用により低床かつ大空間の室内を実現。荷室も低床化しデフォルトでキャリアボードを備え付けて上下2段で積み分け可能とした。
快適装備としては運転席ハイトアジャスターにテレスコピックとチルトステアリング機構を標準装備。ドライバーの体格や運転姿勢にあわせてドライバーポジションをセッティングできるようにした。
また、ドア開口部とフロアとの段差を少なくしたことで足運びしやすくし、運転席シート座面高を工夫し乗降性を高めた。
2代目・N-WGNの一部改良など
2020年7月・仕様変更
ボディカラーに「フレームレッド」を新規追加。
2021年4月・仕様変更
2030年度燃費基準に対応し、自然吸気エンジン・2WD車は「2030年度燃費基準80%達成車」となった。
自然吸気エンジン・4WD車とターボ・2WD車は「2030年度燃費基準75%達成車」。ターボ・4WD車は「2030年度燃費基準70%達成者」となった。
2代目・前期N-WGNのグレード Gホンダセンシング、Lホンダセンシング、L・ターボホンダセンシングの違いなど
2代目前期・N-WGNのグレード展開は自然吸気エンジン・ベーシック「Gホンダセンシング」、自然吸気エンジン・上級「Lホンダセンシング」、上級ターボ仕様「L・ターボホンダセンシング」の3種類。
特別仕様車の設定は前期モデルには無かった。
カスタムモデルのN-WGNカスタムについてはこちらから。
Gホンダセンシング
2代目前期・N-WGNのエントリーグレード。Lグレードよりも装備を一部簡略化し、価格を抑えたグレード。
エクステリアではハロゲンヘッドライト、14インチスチールホイールでベーシックな外観。Gグレードでも以下の装備が標準装備となる。
- UVカット機能付フロントウインドウガラス
- 高熱線吸収機能付フロントドアコーナーガラス
- 高熱線吸収/UVカット機能付フロントドアガラス
- 高熱線吸収/UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア/テールゲート)
- 電動格納式リモコンカラードドアミラー
ボディカラーはモノトーンのみの設定。
インテリアではLグレードに標準装備のシートバッグポケットが非装備。ステアリングやシフトパネルなどのガーニッシュ類の加飾もベーシックタイプとなる。
スピードメーターはタコメター付き3眼式メーターを採用。
快適装備は
- Hondaスマートキーシステム(キー2個付)※4
- テレスコピック&チルトステアリング
- 運転席ハイトアジャスター
- プッシュエンジンスタート/ストップスイッチ
- PM2.5対応高性能集塵フィルター
- リアヒーターダクト[4WD車]
- パワーウインドウ(運転席〈挟み込み防止機構/キーオフオペレーション機構付〉/助手席/リア左右席)
- パワードアロック
- 電気式テールゲートオープンスイッチ
- ワンタッチウインカー
- ヘッドライトオートオフ機能
- フロント2スピーカー
- 電動パワーステアリング
- ライト消し忘れ警告ブザー
などを標準装備。
安全装備は
- 運転席用&助手席用i-SRSエアバッグシステム
- 前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム〈前席/後席対応〉
- VSA(ABS+TCS+横すべり抑制)
- EBD(電子制御制動力配分システム)付ABS
- LEDハイマウント・ストップランプ
- エマージェンシーストップシグナル
- ヒルスタートアシスト機能
- 頚部衝撃緩和フロントシート
- フロント3点式ロードリミッター付プリテンショナーELRシートベルト+運転席/助手席ラッププリテンショナー
- リア3点式ロードリミッター付プリテンショナーELRシートベルト
- 運転席/助手席シートベルト締め忘れ警告ブザー&警告灯
- 後席シートベルト締め忘れ警告灯
- i-Sizeチャイルドシート対応 ISOFIXロアーアンカレッジ(リア左右席)+トップテザーアンカレッジ(リア左右席)
- アジャイルハンドリングアシスト
- アイドリングストップシステム
- ECONスイッチ(ECONモード)
- イモビライザー
- セキュリティーアラーム
を標準装備する。衝突軽減ブレーキなどの安全装備をセットにした、「ホンダセンシング」も標準装備。
Lホンダセンシング
2代目・前期N-WGNの上級グレード。Gグレードよりも装備が良くなる。
エクステリアではGで非設定だった「LEDヘッドライト」をオプション設定。
インテリアではインパネガーニッシュがアイボリー&ベージュに変更。
ボディカラーも2トーンカラーが選択可能となり、2トーンカラー選択時は2トーンカラードホイールキャップとなる。
快適装備では
- ナビ装着用スペシャルパッケージ+ETC車載器〈ナビゲーション連動〉
- 充電用USBジャック(急速充電対応タイプ2個付)
- プラズマクラスター搭載フルオートエアコン
- 2WDモデルにもシートヒーター
- 360° スーパーUV・IRカット パッケージ
●IRカット〈遮熱〉/UVカット機能付フロントウインドウガラス
●IRカット〈遮熱〉/スーパーUVカットガラス(フロントドアコーナー/フロントドア)
●IRカット〈遮熱〉/スーパーUVカットプライバシーガラス(リアドア/テールゲート)
などを追加で標準装備する。
L・ターボホンダセンシング
2代目・前期N-WGNの上級ターボ仕様。ターボエンジンを搭載し走りが良くなる。
装備は上記Lホンダセンシングに追加で「LEDヘッドライト」、「パドルシフト」が標準装備となる。
エクステリア
フロントデザイン。2代目N-WGNはそのキュートかつクラシカルな顔つきが目につく。
ワゴン型軽自動車で丸目ヘッドライトは少数派で、これと同系のキャラクターでいえば過去にあったダイハツのムーヴラテが該当するが、2代目N-WGNは細部の作り込まれていてシンプルでありながら飽きのこないデザインとなっている。
ヘッドライトはただの丸目にするのではなく、その外側を異型台形の外形で多い、インナーブラックとすることで丸目が引き立つようなアクセントを与えている。
ウィンカーはその上部に配置し眉毛のような形状としている。
この部分だけでも生き物のような顔つきなのだがこれにシンプルかつクラシカルなグリルとバンパーを組み合わせることでオーソドックス感も演出。
全体としも非常にできの良い顔となっている。個性的ともいえるが他社のどれ(ワゴンR、ムーヴ、eKワゴン、デイズ等)にも似ていない面白いデザインだ。
なお、ヘッドライトはグレードにより最廉価のGとLグレードがマルチリフレクターハロゲンヘッドライト。LターボがLEDプロジェクター式ヘッドライト。
ただし自然吸気エンジンのLグレードではオプションでターボと同じLEDディスチャージに変更可能となる。
サイド。2代目N-WGNのボディはフロントからドア、リアゲートにかけてハリのあるなめらかな面で作られている。
親しみやすいこれぞワゴンといもいえるオーソドックスな形状となっていて、万人受けするデザインである。
足元はデザインされた14インチフルホイールキャップ。ツートンカラーを選択した場合のみ、ホイールキャップもツートンカラーとなる。なおターボモデルも含め全グレードでこれ1種類のみ。
リア。こちらは初代のデザインが残っている。が、全体的にはボディの曲面、フロントのクラシカルな顔つきに合わせてコンビランプに曲面が与えられており初代よりも角が取れたデザインとなっている。
なお、ブレーキランプはLED仕様となる。エマージェンシーストップシグナルは初代同様に標準装備。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはS07B型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークラー付きターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンは最高出力58ps(43kW)/7300rpm、最大トルク6.6kg・m(65N・m)/4800rpm。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.6kg・m(104N・m)/2600rpm。
先行する2代目N-BOXで新規採用された新型エンジンで、初代N-WGNで採用されていたS07A型エンジンの後継モデルにあたる。
自然吸気エンジンの方はi-VTECを搭載し4000回転付近での出力アップが施され、ターボエンジンに至っては電動ウェイスゲートを採用し理想的な加給を実現。出力を確保しつつ低燃費とレスポンス向上を果たしている。
トランスミッションは全グレードでCVTのみ。燃費はFFモデルでWLTCモード23.2km/L。駆動方式はFFと4WDを設定する。
この他横滑り防止装置とABS、トラクションコントロールを合わせたVSA、エマージェンシーストップシグナル、ヒルスタートアシスト機能、オートライトを標準装備。
安全面では上述のホンダセンシングを全グレードに標準装備。具体的には…
- 衝突軽減ブレーキ
- 誤発進抑制機能
- 歩行者事故低減ステアリング
- 先行車発進お知らせ機能
- 標識認識機能
- 路外逸脱抑制機能
- 渋滞追従機能付ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>
- LKAS<車線維持支援システム>
- 後方誤発進抑制機能
- オートハイビーム
の10機能がセットになったもので、サポカーSワイドに相当する。
衝突軽減ブレーキに至っては初代は時速30km以下で動作するものだったのに対し、2代目では時速100km以下での動作に引き上げられた。
さらにその対象も初代はバイクや自転車を除く車両のみだったが2代目ではレーダーセンサーとカメラの併用でバイクや自転車や歩行者に対しても動作するようになった。
インテリア
インパネ。2代目ではブラウンを基調に運転席と助手席側で非対称のデザインが特徴だ。
ブラウンカラーにより初代よりも雰囲気が上質になり、かつアイボリーのパネルでワンポイントのアクセントも与えている。
ステアリングは全グレードにでウレタンステアリングホイールのみ。ターボ仕様のみパドルシフトが備わる。
最廉価のGグレードではモノトーンだが、LとL・ターボグレーではステアリングがブラウンとプラチナホワイトの2トーンカラーとなる。
この他2代目のウリ機構としてテレスコピックとチルトステアリング機構が全グレードに標準装備となる。
スピードメーターも特徴的で独立した3眼タイプ。
標準のN-WGNでは全グレードで共通となりセンターにシンプルなスピードメーター。左側はタコメーター。右側はマルチインフォメーションディスプレイ。
マルチインフォメーションディスプレイでは先行者発進お知らせのほか、タイヤ角度、燃費、標識認識機能表示など複数のお知らせを表示する。
エアコンは全グレードでオートエアコンが標準となった。なおGグレード以外ではこれにプラズマクラスターが搭載される。
その下にはスマホの充電等に便利なUSBポートを配置。Gグレード以外で標準装備となる。
Gグレード以外ではオプションとして「ナビ装着車スペシャルパッケージ」を設定。
ナビ本体とリアスピーカー、リアカメラがセットになったもので、便利なナビゲーションとバックカメラが使えるようになる。
フロントシートはベンチシートタイプ。シート表皮にアイボリー、背面にブランを採用した2トーン仕様でインパネ同様に広さと心地よさを表現している。
初代はアイボリーのみのモノトーンシートだったのでこの点も目新しい。なお、2代目N-WGNではウリの一つとして全グレードに運転席ハイトアジャスターが標準装備となる。
リアシート。
ラゲッジルーム。2代目N-WGNは最初からラゲッジルーム用の仕切り板が付属する。これにより狭いラゲッジスペースを上下2段に分けて有効利用できるようになった。
リアシートを倒した状態。
まとめ
2代目N-WGNはイメージを完全転換し愛嬌ある顔つきにワゴンらしいオーソドックスなボディ形状、2代目N-BOXと同じ新型エンジンに充実の運転支援システム(ホンダセンシング)、パーキングセンサー、広い室内空間とフルモデルチェンジらしいアップデートが施された。
見た目が特徴すぎるので好き嫌いが分かれるところだが、それ以外では2代目N-BOXゆずりの技術が投入されており同年代のライバルに引けを取らない仕様となった。
ライバルとは一線を画するデザインに2代目N-BOXで培った技術で競争激しい軽ワゴン市場に勝負を挑む1台。
見た目的には女性ウケしそうなモデルだが、ターボモデルもあることからあえて男性が乗るというのもアリである。
コメント