フレアワゴンはマツダのトールワゴン型軽自動車。スズキ・スペーシアのOEMモデルである。本稿では2代目MM32S型フレアワゴンに設定された特別仕様車「XSリミテッド」を扱う。
マツダ 2代目・フレアワゴンとは?
2013年7月にフルモデルチェンジし、2代目となったマツダ・フレアワゴン。
マツダの軽自動車は全車スズキからOEM供給を受けているが、「フレアワゴン」はワゴンRのOEMモデルであるフレア(旧称:AZワゴン)よりも背の高いスーパートールワゴンとして2012年6月にパレットのOEM供給を受け初登場。
本稿で扱う2代目はベースモデルのパレットがフルモデルチェンジし、スペーシアに移行後の2ヶ月あとにOEM供給されたモデルである。
スズキではパレットからスペーシアへ名称変更が行われたがマツダ版ではそのまま継続。AZシリーズに変る新世代、フレアシリーズのモアスペース系軽自動車である。
2代目フレアワゴンでは新プラットフォームを採用し、先代よりも室内長(2070→2215m)、室内幅(1280→1320mm)、室内高(1365→1375mm)のすべてを拡張。開放的な空間を確保しつつも最小回転半径は4.2m(※13インチタイヤ装着モデル)におさえ取り回しの良さを両立させた。
デザインはそれまでの個性的な顔から女性受けしやすいファニーよりベーシックかつシンプルな顔つきに変更し、この手のユーザーを意識したものとしている。
便利機能としては電動パワースライドドアにワンアクションパワースライドドアの追加装備(XSグレード)や、スライドドアイージークローザーなどを全グレードで標準装備。便利機能としては後部座席にロールサンシェードをXSグレードに装備するなど安全性や快適性を向上させた。
メカニズムではエネチャージを採用し減速時に回生発電を行うことでエンジンの発電負担を軽減。またアイドリングストップやエコクールも採用して低燃費と快適性を両立した。
2代目フレアワゴン XSリミテッドとは?特別装備
そのフレアワゴンに2014年6月、ディスチャージヘッドライトやエアロパーツ、アルミホイールなどを装着したスタイリッシュなグレードが追加された。それがこの「XSリミテッド」というモデルである。
ちょうど同時期にスズキのスペーシアにも特別仕様車「Xリミテッド」が追加され、これはその兄弟車となる。ベースは「XS」グレードとなり、これにリミテッド専用品のパーツが付く。
XSリミテッドではエクステリアに
- フロントアンダースポイラー
- サイドアンダースポイラー
- リアアンダースポイラー
でカスタムモデルと同じくフルエアロ化。この他
- LEDターンランプ付きドアミラー
- 14インチアルミホイール
- スチールシルバーメタリック塗装のドアアウターハンドル
- ディスチャージヘッドランプ
インテリアでは
- カスタム用のブラックインテリア
- タコメーター付き自発光式2眼メーター
- 専用ファブリックシート&ドアトリム表皮
- シルバー加飾のオーディオガーニッシュ
- シルバー加飾のドアアームレスト
- シルバー加飾のインサイドドアハンドル
- メッキ仕様のシフトノブスイッチ
ボディカラーには「アーバンブラウンパールメタリック」を特別設定。
快適装備としては
- 運転席&助手席シートヒーター
- スーパーUV&IR(赤外線)カットフロントドアガラス
- リアヒーターダクト
- ステアリングオーディオスイッチ
- 後席右側にワンアクション電動スライドドアを
特別装備とし、標準モデルよりも快適性向上とスタイリッシュに仕立てた特別仕様車となっている。
初代スペーシアXリミテッドと2代目フレアワゴンXSリミテッドとの違い
上述の通りフレアワゴンXSリミテッドは初代スペーシアのXリミテッドのOEMモデルだが、一部仕様が異なる。
フロントグリルとメッキバックドアガーニッシュに関してはスズキ版とは異なりノーマルと共通で、非装備。そのためパット見はベースモデルと同じような雰囲気となっている。
また、ボディカラーの「クールカーキパールメタリック」がマツダ版では非設定。
メッキグリルなど一部省略された分安くなったかというとそうではなく、逆にマツダ版が若干高くなる価格設定だった。そのためフレアワゴンのXSリミテッドは若干損した気分になる特別仕様車でもあった(メッキグリルが嫌いな人は逆に嬉しい仕様であるが)。
フレアワゴン XSリミテッドのエクステリア(外装)
フロントデザイン。XSリミテッド仕様としてフロントアンダースポイラーをディスチャージヘッドランプが標準装備となる。
OEM元のスペーシア・Xリミテッドと比較するとメッキグリルが無いため押しが弱いが、逆にギラギラ感は無いので控えめなカスタム仕様となっている。
サイドから。サイドアンダースポイラーと専用の14インチアルミホイールが付いてこちらもちょっとだけスタイリッシュになっている。ミラーはLEDターンランプ付きでドアハンドルはシルバー塗装。
リア。リアにもアンダースポイラーが付いてる。上部にはリアスポイラーが付き、控えめだがトータルではフルエアロ仕様となる。スペーシア・Xリミテッドではリアゲートにメッキバックドアガーニッシュが付いていたが、マツダ版では省略される。コンビランプはノーマルと同じで非クリアータイプ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはR06A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみの設定。
最高出力は52ps(38kW)/6000rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。スズキの特別仕様車にはターボモデルが設定されないことが多いが、このOEMモデルであるフレアワゴン XSリミテッドもターボ仕様が無い点に注意。
ただ、街乗りオンリーであればこの手の軽にしては軽いボディと副変速機付CVTにより加速性能は問題ないレベルである。トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WDだ。
この他、ベースのXSグレード同様に燃費に貢献するエネチャージシステムや安全装備としてレーダーブレーキサポート、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPが備わる。
フレアワゴン XSリミテッドのインテリア(内装)
インパネ。フレアワゴン カスタムスタイルと同じでブラックタイプに変更されている。
ステアリング&スピードメーター。本革巻きステアリングとはならないがステアリングにはオーディオスイッチが備わる。スピードメーターはカスタムと同様でタコメーター付き。
フロントシートはベンチシートタイプ。専用のファブリック表皮でドアトリムもリミテッド専用となっている。
リアシート。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
フレアワゴン XSリミテッドの評価
2代目フレアワゴンのXSリミテッドはノーマルのフレアワゴンの上級グレードとしてスタイリッシュな装備を施された特別仕様車である。
ただ、兄弟車のスペーシア Xリミテッドに比べるとアピール感のある専用メッキグリルが無いなど、ノーマル比で外観での優位性が感じられなく正直微妙なグレードでもある。
かつてのOEMモデルは専用デフォルメなどマツダらしい個性が与えられていたが、最近ではエンブレム違いのみでほぼスズキ版と同じ仕様のモデルが多くなっている。専用品を使わない分コストを欠けずに販売できるので、マツダとしてはメリットがあるが軽自動車としてみると少し残念な部分もある。
もっともマツダとしては自社から軽自動車を買っているマツダ軽自動車ユーザー向け、あるいは普通車ユーザーで新たに軽自動車が欲しいユーザー向けに販売している側面が強く、特別仕様であってもその色が濃い。
中古市場ではこの微妙な立ち位置と元々ベースより売れていないフレアワゴンとあってこのXSリミテッドのタマ数が極端に少ないレア車となっている。
あえてマツダ版を買う理由がほとんど見当たらないが、タント、スペーシア、N BOXなど背の高い軽自動車を探している人は、記憶にとどめておくといいかもしれない。
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