フレアワゴンはマツダのトールワゴン型軽自動車。スズキ・スペーシアのOEMモデルである。本稿では2代目・MM42S系の2015年5月マイナーチェンジ~のモデルを後期型とし、これを扱う。
出典:マツダ認定中古車
2代目 マツダ・フレアワゴンとは?
2013年7月に登場したマツダ・フレアワゴン。
マツダの軽自動車は全車スズキからOEM供給を受けているが、「フレアワゴン」はワゴンRのOEMモデルであるフレア(旧称:AZワゴン)よりも背の高いスーパートールワゴンとして、2012年6月にパレットのOEM供給を受け初登場した。
本稿で扱う2代目はベースモデルのパレットがフルモデルチェンジし、スペーシアに移行後の2ヶ月あとにOEM供給されたモデル。
スズキではパレットからスペーシアへ名称変更が行われたがマツダ版ではそのまま継続。AZシリーズに変る新世代、フレアシリーズのモアスペース系、スーパーハイトワゴンタイプの軽自動車である。
2代目フレアワゴンでは新プラットフォームを採用し、先代よりも室内長(2070→2215m)、室内幅(1280→1320mm)、室内高(1365→1375mm)のすべてを拡張。開放的な空間を確保しつつも最小回転半径は4.2m(※13インチタイヤ装着モデル)におさえ取り回しの良さを両立させた。
デザインはそれまでの個性的な顔から女性受けしやすいファニーよりベーシックかつシンプルな顔つきに変更し、この手のユーザーを意識したものとしている。
便利機能としては電動パワースライドドアにワンアクションパワースライドドアの追加装備(XSグレード)や、スライドドアイージークローザーなどを全グレードで標準装備。
便利機能としては後部座席にロールサンシェードをXSグレードに装備するなど安全性や快適性を向上させた。
メカニズムではエネチャージを採用し減速時に回生発電を行うことでエンジンの発電負担を軽減。またアイドリングストップやエコクールも採用して低燃費と快適性を両立した。
後期型2代目フレアワゴンとは?改良点や前期との違いなど
出典:マツダ認定中古車
そしてフレアワゴンはスズキ版のスペーシと同じく2015年4月マイナーチェンジで後期型に。
後期型では標準モデル全グレードでワンポイントのメッキグリルを迫力し精悍なフロントデザインとしたほか、スペーシア同様にエネチャージを進化させたマイルドハイブリッドの「S-エネチャージ」を全グレードで標準搭載。
これによりFFモデルで軽トールワゴンとしては驚異的な30.6km/l(JC08モード)を達成した。
このほかステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」をオプション設定。
快適装備としては「ナノイー」搭載のフルオートエアコンをグレード別に標準装備するなど、安全技術でも他社の一歩先を行くマイナーチェンジとなった。
なおボディカラーが入れ替えられ、モノトーンではオプションカラーの「パールホワイト」が「クリスタルホワイトパール」に変更。
「フォレストアクアメタリック」を廃止して、新色「シフォンアイボリーメタリック」と「フレンチミントパールメタリック」が追加された。
2トーンカラーでも「フォレストアクアメタリック2トーンカラー」を廃止し、入れ替えで「フレンチミントパールメタリック2トーンカラー」が新設定された。
スズキ・初代スペーシアとマツダ・2代目フレアワゴンの違い
初代スペーシアと2代目フレアワゴンの違いはエンブレム程度で、内外装は同じ。エンブレム違いのOEMモデルとなる。
ただし、スズキ版に設定の標準ターボ車「スペーシア T」はマツダ版・フレアワゴンにはOEM供給されず、すべて自然吸気エンジン仕様のみとなる。
またスペーシアの「G」グレードではオプション設定の
- スライドドアイージークロージャー(後席両側)
- チルトステアリング
- フロントアームレストボックス
- 運転席シートリフター
は「XG」グレードで標準装備となる一方でボディカラーは
- 「キャンドルオレンジメタリック」
- 「フィズブルーパールメタリック」
がフレアワゴンには非設定となるなど、機能装備やボディカラーで一部違いがある。
2代目・後期型フレアワゴンのグレード展開 XG、XSグレードの違いなど
2代目・後期フレアワゴンのグレード展開はベーシックな「XG」グレード、上級グレード「XS」の2種類。
それぞれに自動ブレーキを搭載した「デュアルカメラブレーキサポート」はオプション設定としていた。
前期には特別仕様車の設定があったが、後期モデルでは非設定(スペーシアのGリミテッドは非設定)で基本グレードのみとなる。
カスタムモデルのフレアワゴン カスタムについてはこちらから。
XG
後期型・2代目フレアワゴンのエントリーグレード。スペーシアのGグレード相当だが装備はこちらのほうが少し上級となる。
エクステリアでは後期のXグレード以上で新規採用したメッキグリルが非装備。
快適装備は電動パワースライドドアが非装備(手動スライドドア)でオプション設定だが、スライドドアイージークローザーは両側に標準装備。このほか
- チルトステアリング
- フルオートエアコン
- フロントアームレストボックス
- 運転席シートリフター
を採用。安全装備では全方位モニターが非設定。ボディカラーはモノトーンのみ。
XS
後期・2代目フレアワゴンの上級グレード。XGグレードよりも装備を拡充し、快適性を高めたグレード。
エクステリアには後期モデルで新規採用のメッキグリルでスタイリッシュな顔つきに。オプションでディスチャージヘッドランプを設定。
快適装備も左側後方の電動パワースライドドア(ワンアクション電動スライドドア)を標準装備し、後方右側はオプションで選択可能となる。さらに全方位モニターもオプション選択可となる。
ボディカラーもXGグレードに非設定の2トーンルーフ仕様が選択可。
エクステリア
出典:マツダ認定中古車
フロントデザイン。後期型では非カスタムモデルの全グレードでワンポイントのメッキグリルを追加。ヘッドライトやバンパーまわりは同じだがワンポイントのアクセントで少し精悍なイメージを与えた。
出典:マツダ認定中古車
サイド。このあたりは同じ。XSグレードではフロントドアにスーパーUV&IRカットガラスを標準装備。紫外線(UV)を約99%カットや赤外線(IR)カット効果により、乗車時における日焼けやジリジリ感を抑制する。
出典:マツダ認定中古車
スライドドアは両側装備で、XSグレードでは標準で助手席側後方が電動パワースライドドア(ワンアクション電動スライドドア)となる。
オプション設定で運転席側後方のパワースライドドアを設定。
ベーシックなXGグレードではパワースライドドアは非設定で、スライドドアイージークローザーのみ標準装備する。
出典:マツダ認定中古車
足元は14インチフルホイールキャップ。
出典:マツダ認定中古車
リア。このあたりは前期と同じでブレーキランプはLEDタイプ。マツダ仕様としてはマツダロゴエンブレムとフレアエンブレムが付く以外はスペーシアと同じ。
ただし、スペーシアには貼り付けられていた「S-エネチャージ」のエンブレムはなく、前期モデルと同じリアビューとなる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3気筒のR06A型DOHC自然吸気エンジンのみ。
最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。これにモーター機能付発電機(ISG)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となる。
トランスミッションは全グレードでCVT(副変速機付き。ただし軽トラのような切り替えはできず内部で自動に切り替わる)。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。
S-エネチャージを導入したことでこの手の軽自動車としは初のリッター30を越え、カタログ燃費は自然吸気エンジンのFFモデルで30.6km/l(JC08モード)を達成。同4WD仕様でも29.0km/l(JC08モード)と、同年式のライバル(タントカスタム、N-BOXカスタム等)大きく引き離している。
安全装備としては前期でオプションまたは一部グレード別設定だった「レーダーブレーキサポート」を進化させ、ステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」をオプション設定。
それまでのレーダーを用いたシステムからスバルのアイサイトと同様の2台のステレオカメラ(デュアルカメラ)を用いたシステムに進化。約5km/hから約100km/hの速度域で車両や歩行者を検知し、警報や自動ブレーキで衝突の回避、または衝突時の被害軽減を図るシステムで、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能などがセットで備わる。
特に前方衝突警報機能は軽自動車としては異例の100km/h程度でも動作。2016年5月現在、ライバルであるダイハツのスマートアシスト2は約4km/h~50km/hが作動速度域なためスズキがかなりリードしている。
オプション価格として5万ほどアップとなるが、予算に余裕があるのなら是非とも付けたいオプションだ。
これ以外ではエマージェンシーストップシグナルとESP(車両走行安定補助システム)がメーカーオプション設定(デュアルカメラブレーキサポートオプションではこの2つが含まれる)。ヒルホールドコントロールは全グレード標準装備。
ちなみにスズキ版のスペーシアで設定のあった「全方位モニター」はマツダ版では当初非設定だったが、2018年12月の一部改良で「ハイブリッドXS」グレードのアップグレードパッケージ装着車にのみオプション設定された。
インテリア
出典:マツダ認定中古車
インパネ。このあたりも前期と同じで特に変更点はない。マツダ仕様としてはステアリングのロゴの変更程度のみ。上級のXSグレードではベージュカラーでステアリングにチルト機構が備わる。
下位のXGグレードではブラックインパネとなる。共にエアコンはオートエアコンタイプ。
出典:マツダ認定中古車
上級のXSグレードでは後期型マイナーチェンジでパナソニックの「ナノイー」を搭載したオートエアコンとなった。
出典:マツダ認定中古車
スピードメーター。カスタムモデルと共通のタコメーター付き&自発光式メーターで後期モデルでは右側に燃料計をデジタル化し、エネチャージ情報などを表示するマルチインフォメーションディスプレイを備える。
エコ運転時はメーター全体をグリーン(エコ)やブルー(通常)、ホワイト(エネルギー回生)状態を光りで表示する(ステータスインフォメーションランプ)。
出典:マツダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。このあたりは前期と同じ。上級のXSグレードではベージュのシート表皮。
XGグレードではブラック系のシート表皮となる。
出典:マツダ認定中古車
リアシート。スライド機構付き。上級のXSグレードではロールサンシェードを標準装備。
出典:マツダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:マツダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
出典:マツダ認定中古車
2代目フレアワゴンの後期型は小変更された外観にS-エネチャージの採用による燃費向上、オプション設定でデュアルセンサーブレーキサポートによる強力な自動ブレーキを用意するなど前期よりも特にメカニズムで強化されたマイナーチェンジとなった。
基本的にはスズキ・スペーシアと同じ内容で違いはエンブレム程度なのだが、人によってはエンブレム効果により雰囲気が異なるため「軽自動車でもマツダ版がほしい」とか他人と被りづらいマツダ版という選択肢の場合にはうってつけなモデルかもしれない。
クルマ自体は燃費、自動ブレーキなどで同年代のライバル車種(タント、シフォン、N-BOX、eKスペース&デイズルークス)よりも優れいているため素直にオススメできるモデルだ。
中古市場では年数経過や初代N-BOXが中古でも根強い人気なこともあり、2代目後期モデルでも買いやすい価格帯になってきている。
初代フレアワゴン(パレットOEM)と比べると軽量化やS-エネチャージ、副変速機付きCVTの採用で加速や燃費性能がかなり向上しているため、予算があるのなら2代目後期モデルがオススメだ。
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