フレアワゴンはマツダのトールワゴン型軽自動車。カスタムスタイルはそのカスタムモデルで、スズキ・スペーシアカスタムのOEMモデルである。本稿では2代目・MM42S系の2015年5月マイナーチェンジ~2017年11月までを後期型とし、これを扱う。
出典:マツダ認定中古車
マツダ 2代目・フレアワゴンとは?
2013年7月に登場したマツダ・フレアワゴン。
マツダの軽自動車は全車スズキからOEM供給を受けているが、「フレアワゴン」はワゴンRのOEMモデルであるフレア(旧称:AZワゴン)よりも背の高いスーパートールワゴンとして2012年6月にパレットのOEM供給を受け初登場。
本稿で扱う2代目はベースモデルのパレットがフルモデルチェンジし、スペーシアに移行後の2ヶ月あとにOEM供給されたモデルだ。
スズキではパレットからスペーシアへ名称変更が行われたがマツダ版ではそのまま継続。AZシリーズに変る新世代、フレアシリーズのモアスペース系軽自動車である。
2代目フレアワゴンでは新プラットフォームを採用し、先代よりも室内長(2070→2215m)、室内幅(1280→1320mm)、室内高(1365→1375mm)のすべてを拡張。
開放的な空間を確保しつつも最小回転半径は4.2m(※13インチタイヤ装着モデル)におさえ取り回しの良さを両立させた。
デザインはそれまでの個性的な顔から女性受けしやすいファニーよりベーシックかつシンプルな顔つきに変更し、この手のユーザーを意識したものとしている。
便利機能としては電動パワースライドドアにワンアクションパワースライドドアの追加装備(XSグレード)や、スライドドアイージークローザーなどを全グレードで標準装備。
便利機能としては後部座席にロールサンシェードをXSグレードに装備するなど安全性や快適性を向上させた。
メカニズムではエネチャージを採用し減速時に回生発電を行うことでエンジンの発電負担を軽減。またアイドリングストップやエコクールも採用して低燃費と快適性を両立した。
2代目フレアワゴン カスタムスタイルとは?
そのカスタムモデルであるフレアワゴンカスタムスタイルは、フレアワゴンに対し専用ヘッドライト、専用グリルに専用バンパー、サイドアンダースカート、リアスポイラーにアルミホイール。内装ではブラックインテリア等の採用でスポーティに仕立てたモデルである。
こちらもスズキ・スペーシアカスタムのOEMモデルとなるが、ベーシックなフレア(ワゴンRのOEMモデル)とは異なりマツダ仕様の変更点はエンブレムのみで、それ以外はまったく同じモデルとなっている。
ただしグレード展開が一部異なり、初代スペーシアカスタムに設定の廉価グレード「GS」が前期フレアワゴンカスタムスタイルには非設定で、上級のXSとターボ仕様XTの2種類のみとなっていた。
また、スペーシアカスタムに設定のオプションカラー「スチールシルバーメタリック」もマツダでは非設定となるなど、一部仕様やグレード展開が異なる。
後期型2代目フレアワゴン カスタムスタイルとは?改良点と前期との違いないど
そしてフレアワゴンカスタムスタイルはスズキ版のスペーシアカスタムと同じく2015年4月マイナーチェンジで後期型に。
後期型ではメッキ加飾付きグリルを採用し、バンパーデザインも変更することでより迫力あるフロントデザインとしたほか、スペーシア同様にエネチャージを進化させたマイルドハイブリッドの「S-エネチャージ」を全グレードで標準搭載。
FFモデルで軽トールワゴンとしては驚異的な30.6km/l(JC08モード)を達成。
このほかステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」をオプション設定。
快適装備としては「ナノイー」搭載のフルオートエアコンをグレード別に標準装備するなど、安全技術でも他社の一歩先を行くマイナーチェンジとなった。
2代目フレアワゴン カスタムスタイルのグレード一覧 XG、XGターボ、XS、XSターボ、XTの違いなど
2代目フレアワゴン カスタムスタイルのグレード展開は自然吸気エンジン・ベーシック「XG」、ターボ搭載・ベーシック「XGターボ」。
自然吸気エンジン・上級「XS」、上級ターボ仕様「XGターボ」の4種類。モデル後半では2種類のターボモデルが統合されて前期の「XT」グレードを復活・再設定した。
特別仕様車の設定は無し。スペーシアカスタムに追加設定された「カスタムZ」はマツダには非設定で、基本グレードのみとなる。
XG
2代目後期・フレアワゴン カスタムスタイルのエントリーグレード。スペーシアカスタム「GS」のOEMモデル。
XGグレードは前期型同様、後部座席のロールサンシェードがオプションで、ステアリングがウレタンステアリングとなるなど一部装備が簡略化される。
ただし前期では後席右側ワンアクションパワースライドドア等が非設定だったが、後期モデルでは
- チルトステアリング
- 運転席シートリフター
- フロントアームレストボックス
- 後席右側ワンアクションパワースライドドア
などとセットで標準装備化された。
このほか14インチアルミホイール、LEDイルミネーションはホワイト色でグリルのみ。
スピーカーは2スピーカー、全方位モニターやナビは選択不可。
XGターボ
GSターボはGSをベースにターボ仕様としたグレード。
XSターボよりも装備を簡略化したお買い得な価格設定で、スペーシアカスタムGSターボのOEMモデル。
2017年1月の一部改良で「XT」に統合となった。
XS
2代目・後期フレアワゴン カスタムスタイルの自然吸気エンジンの上級グレード。スペーシアカスタム「XS」のOEMモデル
XSとXSターボは前期のXS、TSに相当する(※TSグレードは後期で廃止しGSターボとXSターボに分岐)。
エクステリアにはメッキドアハンドル、LEDフォグランプ、LEDイルミネーションはフロントバンパーに加え、ブルー色がフロントグリルにも標準装備となる。アルミホイールは15インチ化の切削加工タイプを標準装備。
インテリアでは運転席&助手席バニティミラーが照明付きとなり、本革巻きステアリング、フロントオーバーヘッドコンソール、を標準装備。
快適装備では後席両側ワンアクションパワースライドドアを標準装備。6スピーカーシステム、ロールサンシェード、ナノイー搭載フルオートエアコンの標準装備に、全方位モニターがオプション選択可となる。
XSターボ
ターボエンジン搭載の最上級グレード。XSにターボエンジンを搭載したモデル。
XSターボでは専用デザインの15インチアルミホイールが標準装備となり、7速マニュアルモード付きパドルシフトとクルーズコントロールも備わる。
2017年1月の一部改良で「XT」に統合となった。
XT
2017年1月の一部改良で復活した上級・ターボグレード。
装備的にはXSターボと同じで15インチアルミホイールや7速マニュアルモード付きパドルシフト、クルーズコントロールを標準装備する上級思考のグレード。
2017年1月の一部改良が適用され、XTグレードには防眩式ルームミラーやバックアイカメラが標準装備となる。
なお、OEM元のスペーシアカスタムではグレード集約はなされずGSターボとXSターボの2本立てで販売されていた。
エクステリア
出典:マツダ認定中古車
フロントデザイン。後期型では前期のスケルトンメッキグリルに加えて、2本の太いメッキグリルを追加。より押しの強い精悍なデザインとなった。
また、バンパーもデザインが変更され、フォグランプまわりでエアロダイナミックなデザインとなっている。
これ以外に前期同様、上級グレード(XSおよびターボ仕様では)フロントバンパーとフロントグリルにLEDイルミネーション、LEDフォグランプが備わり、フロント、フロントクォーター、フロントドアには熱線吸収グリーンガラスおよびトップシェード付フロントガラスが。
これ以外の窓ではUVカット機能付ガラスも備わる。
なお、上級グレードのXSおよびXGターボ、XSターボ、XTではスケルトングリル上部にもうひとつメッキグリルが追加され、かつグリルにはイルミネーションLEDも内蔵され迫力が増したデザインとなる。
マツダ仕様としては中央のロゴエンブレムの変更程度でそれ以外は同じ。
出典:マツダ認定中古車
サイド。このあたりは前期型と同じ。
出典:マツダ認定中古車
フレアワゴンカスタムスタイルでは全グレードでLEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。リヤドア、リヤクォーター、バックドアはスモークガラス仕様。
廉価グレードのXGではスライドドアの両側にスライドドアクローザーを標準装備。かつ後部左側にはワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付き)も搭載した。
上級グレードのXSではそれまでメーカオプションだった右側後部スライドドアにワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付き)を標準装備。
出典:マツダ認定中古車
足元は自然吸気エンジン(XG、XSグレード)が14インチアルミホイール。
出典:マツダ認定中古車
ターボ仕様(XGターボ、XSターボ、XT)が切削加工の15インチアルミホイールとなる。
出典:マツダ認定中古車
リア。このあたりは特に変更点はなく、前期同様クリアータイプのコンビランプを装着。マツダ仕様としてはマツダロゴエンブレムとフレアエンブレムに変更される程度となる。
なお、スペーシアカスタムについている「S-エネチャージ」エンブレムはフレアワゴンには付かず、車名エンブレムのみでパッと見は前期と同じ仕様となる。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:マツダ認定中古車
エンジンは3気筒のR06A型DOHC自然吸気エンジンとターボ仕様の2種類(※ただしターボ仕様+S-エネチャージモデルは自然吸気エンジンより後の2015年8月に登場)。
自然吸気エンジンの最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。
ターボ仕様は最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.7kg・m(95N・m)/3000rpm。
これにモーター機能付発電機(ISG)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となる。トランスミッションは全グレードでCVT(副変速機付き。ただし軽トラのような切り替えはできず内部で自動に切り替わる)。
駆動方式はFFまたは4WDの2種類。S-エネチャージを導入したことでこの手の軽自動車としは初のリッター30を越え、カタログ燃費は自然吸気エンジンのFFモデルで30.6km/lを達成。同4WD仕様でも29.0km/lと、同年式のライバル(タントカスタム、N-BOXカスタム等)大きく引き離している。
安全装備としては前期でオプションまたは一部グレード別設定だった「レーダーブレーキサポート」を進化させ、ステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」をオプション設定。
それまでのレーダーを用いたシステムからスバルのアイサイトと同様の2台のステレオカメラ(デュアルカメラ)を用いたシステムに進化。
約5km/hから約100km/hの速度域で車両や歩行者を検知し、警報や自動ブレーキで衝突の回避、または衝突時の被害軽減を図るシステムで、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能などがセットで備わる。
特に前方衝突警報機能は軽自動車としては異例の100km/h程度でも動作。
2016年5月現在、ライバルであるダイハツのスマートアシスト2は約4km/h~50km/hが作動速度域なためスズキがかなりリードしている。
オプション価格として5万ほどアップとなるが、予算に余裕があるのなら是非とも付けたいオプションだ。
これ以外ではエマージェンシーストップシグナルとESP(車両走行安定補助システム)がメーカーオプション設定(デュアルカメラブレーキサポートオプションではこの2つが含まれる)。ヒルホールドコントロールは全グレード標準装備。
オプションとしてもうひとつホットなのが全方位モニター。フロント、両サイド、バックカメラの4箇所に設置されたカメラで真上から見たような映像を作り出し、駐車時をアシストする。
MM32S型とMM42S型 2代目・フレアワゴン カスタムスタイルの違い
型式MM32S型のフレアワゴンカスタムスタイルとMM42S型との違いは「エネチャージかS-エネチャージ」、「グリル周りのデザイン」、自動ブレーキを選択時は「レーダーブレーキサポート」か「デュアルカメラブレーキサポート」の違いなどがある。
MM32S型は2015年4月以前の2代目フレアワゴンカスタムスタイルで、これを前期型と称することが多い。
一方、MM42S型は2015年5月以降のマイナーチェンジ~のモデルで後期型と呼ばれる(※フレアワゴンカスタムスタイルのターボは少し遅れて2015年8月以降)。
「S-エネチャージ」は2代目スペーシア(3代目フレアワゴン)や2代目ハスラー (フレアクロスオーバー)などでも採用される「マイルドハイブリッド」の一つ前のシステム。
それまでのエネチャージと比べて発電と駆動補助を兼用する「発電機能付きオルタネーター」の採用でエンジンを簡易的にアシストし、ターボ無しモデルでも力強い加速を(一定時間)行えるのが大きな特徴だ。
特に街乗りでの発進加速、登り坂、追い越し加速において効果を発揮しそれ以前のモデルよりも格段に乗りやすくなっている。
自動ブレーキの「デュアルカメラブレーキサポート」はそれまでの「レーダーブレーキサポート」と比べて2つのカメラを用いることにより動作範囲と作動対象物が大幅アップデート。
動作範囲は対車でレーダーブレーキサポートが自車速度約5km/h~約30km/hで走行中対象との速度差が時速15km以下に対し、デュアルカメラブレーキサポートは自車速度約5km/h~約100km/hで走行中対象との速度差が時速50km以下へアップデート。
さらに時速30km以下であれば対歩行者でも機能するようになりかなり実用的な自動ブレーキとなった。
そのため2代目フレアワゴン カスタムスタイルを購入する場合は、加速性能や燃費、自動ブレーキなどの面からも後期型のMM42S型がオススメである。
インテリア
出典:マツダ認定中古車
インパネ。このあたりはスペーシアカスタムとほぼ同じで、マツダ仕様としてはステアリングのオーナメントがマツダマークに変更される程度。
出典:マツダ認定中古車
上級のXSおよびXSターボでは女性に嬉しいナノイー搭載のオートエアコン標準搭載する。
上級グレードのXSおよびXSターボでは本革巻きステアリングホイール。廉価のXGおよびXGターボではウレタンステアリングホイールとなる。
XSターボのみステアリングに7速マニュアルモードが備わる。
出典:マツダ認定中古車
スピードメーター。自発光式メーターで右側にはマルチインフォメーションディスプレイを備える。
エコ運転はメーター全体をグリーン(エコ)やブルー(通常)、ホワイト(エネルギー回生)状態を光りで表示(ステータスインフォメーションランプ)。
S-エネチャージ搭載モデルでは液晶パネルに回生発電やモーターアシストなどの状態を表示する「エネルギーフローインジケーター」が追加された。
出典:マツダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。後期ではシート表皮にアクセントカラー(赤)が施された。
出典:マツダ認定中古車
リアシート。スライド機構を備える。後部窓ガラスに、XSとXSターボではロールサンシェードとプレミアムUV&IRカットガラスを装備。
出典:マツダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:マツダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
2代目フレアワゴンカスタムスタイルの後期型は小変更されたフロントデザインにS-エネチャージシステムの採用によるさらなる燃費アップ、ステレオカメラによる自動ブレーキのグレードアップなどデザイン、燃費、安全技術の3つがアップデートされたマイナーチェンジとなった。
基本的には後期型・スペーシアカスタムと同じ内容でエンブレム程度の違いしか無いが、マツダのエンブレム効果によりスズキ所以の安っぽさが人によっては感じづらいためこの手の軽自動車を探している人はあえてマツダ版を選んでみるのも悪くはないだろう。
クルマ自体はよくできており、同年代のライバルに引けを取らないどころかライバルよりも優れた部分が多いため、素直にオススメできるスーパートールワゴンである。
なお、中古市場ではベースモデルのスペーシアカスタムがN-BOXカスタムやタントカスタム、デイズルークスの影に隠れあまり売れておらず、そのOEM版ということもありタマ数が非常に少ない。ゆえに希少車的なモデルとなっている。
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