ルークスは日産の日産のトールワゴン型軽自動車。ハイウェイスターはそのカスタムモデルである。本稿では3代目となるB44AおよびB47A型のハイウェイスターの2020年3月~2023年5月までを前期型とし、これを扱う。
出典:日産認定中古車
- 3代目ルークス ハイウェイスターとは?特徴など
- ルークス(B4○系)のグレード一覧 ハイウェイスターX、ハイウェイスターGターボ、プロパイロットエディション、アーバンクロムの違いなど
- 三菱eKクロス・スペース(B34A/B35A/B37A/B38A)と日産ルークス・ハイウェイスターB44A/B47A型との違い
- 3代目・前期ルークスハイウェイスターのエクステリア(外装)
- エンジン・機能装備・安全装備など
- 3代目ルークス ハイウェイスター B44A/B45A/B47A/B48A型との違い
- 3代目ルークス ハイウェイスター ターボ車の見分け方
- 3代目・前期ルークスハイウェイスターのインテリア(内装)
- 3代目・前期ルークスハイウェイスターの評価
- 2023年4月マイナーチェンジで後期型に移行
3代目ルークス ハイウェイスターとは?特徴など
2020年3月にフルモデルチェンジし3代目となった日産ルークス。先代はデイズルークスという名前だったが3代目では単純にルークスという初代と同じ名前に先祖返り。
先代のデイズルークス同様に三菱との共同開発は同じだが今度は開発が日産、生産が三菱という真逆の関係での体制となった。
3代目ルークスは先行するデイズの技術をふんだんに取り入れ、エンジン、ボディ、自動ブレーキ等で大幅な改良が加えられた。
本稿で扱うハイウェイスターはそのカスタムモデルで、ノーマルモデルよりも内外装でスタイリッシュに。かつ装備面でも豪華になっているのが特徴だ。
また、ノーマルモデルには無いターボモデルの設定もあり、コンパクトカーに引けを取らない動力性能を持つ。
3代目ルークスは先代や初代同様にノーマルモデルとカスタムモデルの2本立て。本稿で扱うのはカスタムモデルのハイウェイスターとなる。
ボディ形状は三菱のekスペースと同じだがフロントデザインを日産仕様とすることで日産らしさを強調し差別化している。
3代目では日産共通デザインであるVモーショングリルを取り入れかつハイウェイスターでは堂々とより大きく見えるワイド感を演出。ノーマルよりも存在感を高め、ひと目で日産車とわかるデザインとした。
ハイウェイスターのインテリアでは洗練された空間や直感的な使い勝手を追求。細部のディテールにもこだわりクラスを超える室内空間とした。
また、インパネは開放感を与えつつ前方視界を確保。実用性も両立させている。
室内空間は先行するデイズのプラットフォームを採用し、大人4人が乗れるクラストップレベルの室内を実現。
ホイールベースは先代比で65mm延長してこれを実現した。あわせて荷室も延長され675mmの荷室長で48Lスーツケースを同時に4つ積める大きさとした。
後席スライドドアにはセレナでも搭載される「ハンズフリーオートスライドドア」を両側共に設定(※グレード別)。手が塞がっていても足をかざすだけで開閉を可能とした。
自動ブレーキ面では日産の先進安全技術である「プロパイロット」をデイズと同じく全グレードに標準搭載。
高速道路時の渋滞走行や長時間の巡航走行という2大ストレスシーンにおいてアクセルとブレーキ、ステアリング操作を車側で支援することでドライバーの負担を軽減し、軽自動車でのロングドライブを身近にかつ気軽に提供する。
エンジンはデイズに採用している新型のBR06エンジンをルークスに合わせて調整したものを搭載。先代よりもパワフルかつ低燃費なエンジンで扱いやすさが向上。
これにアシスト用のモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドとなる「S-ハイブリッド」を全グレードに標準採用した。
特に発進加速などでアシストを発揮し、自然吸気エンジンでありながら実用的な加速力を得ることに成功した。
また、ターボ仕様ではターボに加えてモーターもをアシストすることで、車重をもろともしないより強力な加速力を実現している。
さらにもしもの事故の際の緊急通報やあおり運転や急病などの緊急事態に通報可能な「SOSコール」は上位グレード(Xグレード)にオプション設定とした。
快適装備のリアシーリングファン、ロールサンシェード、プッシュエンジンスタートなどはセットオプション化。先代よりも組み合わせによるオプション設定が増えている。
ルークス(B4○系)のグレード一覧 ハイウェイスターX、ハイウェイスターGターボ、プロパイロットエディション、アーバンクロムの違いなど
3代目ルークスのハイウェイスター系グレード構成は大きく2つで自然吸気エンジン仕様の「ハイウェイスターX」とターボ仕様の「ハイウェイスターGターボ」。
全グレードでマイルドハイブリッドを採用し、先代よりも燃費や加速性能が改善されている。
「プロパイロットエディション」は「ハイウェイスターX」と「ハイウェイスターGターボ」に設定。日産の運転支援機能「プロパイロット」を搭載したグレードで、渋滞走行でもアクセルやブレーキ、ハンドル操作を車がアシストする機能を搭載する。
軽自動車で運転支援機能があるモデルは他社にはないアドバンテージ。
特別仕様車には「ハイウェイスターX アーバンクロム」を設定。
ハイウェイスター X
ルークスのカスタムモデルのエントリーグレード(自然吸気エンジン仕様)。
ノーマルとは異なる専用メッキVモーショングリルや14インチアルミホイール、専用テールランプ、エアロパーツ、専用内装など内外装が精悍になる。
ただしパワースライドドアは助手席後方のみで、運転席側はオプション設定となる。
先代とは異なりマイルドハイブリッド化されたことにより、加速性能や燃費性能が大幅に改善した。
ハイウェイスター X プロパイロットエディション
上記「ハイウェイスターX」にプロパイロットを標準装備したグレード。
快適装備も豪華になり、パワースライドドアは両側後方に標準装備する。
ハイウェイスター Gターボ
ハイウェイスターXに対してターボエンジンを搭載したグレード。
アルミホイールも15インチアルミホイールにアップグレードされ、走りの質感が高くなる。
ハイウェイスター Gターボ プロパイロットエディション
上記「ハイウェイスターGターボ」にプロパイロットを標準装備したグレード。
快適装備も豪華になり、パワースライドドアは両側後方に標準装備する。
特別仕様車 ハイウェイスター アーバンクロム
カスタムモデルのハイウェイスターをベースに専用のアーバンクロムメッキグリルなどを与えた特別仕様車。
上記ハイウェイスターX、ハイウェイスターXプロパイロット、ハイウェイスターGターボ、ハイウェイスターGターボプロパイロットの全グレードに設定される。
このほかブラック塗装ドアミラーや黒基調の専用耐水コンビシートを採用し、ワンポイントの上質感を与えている。
三菱eKクロス・スペース(B34A/B35A/B37A/B38A)と日産ルークス・ハイウェイスターB44A/B47A型との違い
三菱のeKクロス スペースと3代目ルークス ハイウェイスターとは兄弟モデル。ただし先代のeKスペース カスタム(B11A)とデイズルークス ハイウェイスター(B21A)との関係とは外装や立ち位置が大きく異る。
eKスペース カスタムと先代デイズルークス ハイウェイスターとでは同じカスタムモデルという位置づけで、それぞれ三菱風のカスタムデザイン、日産風のカスタムデザインで差別化がなされていた。
今回のルークス ハイウェイスターは引き続きルークスのカスタムモデルとしての位置づけだが、三菱のeKクロス スペースは、eKスペースのクロスオーバーSUVという位置づけ。そのためカスタムモデルではあるものの、微妙に異なる。
また、ヘッドライトこそ同じだが、フロントデザインはそれぞれ大きく異なり、三菱は「ダイナミックシールド」を採用した三菱のSUVらしいデザイン。
日産はVモーショングリルを取り入れたカスタムデザインなど、共通点が無いほどの違いがある。
また、内装も異なり、eKクロス スペースがキルティングパターンを採用したブラック内装に加え、ブラウン+レッドステッチの「プレミアムインテリアパッケージ」が選択可能。
対してルークス ハイウェイスターではブラックとエボニーを組み合わせたブラック内装に加え、ブラック×モカの「プレミアムグラデーションインテリア」が選択可能となるなど内外装でかなりの差別化がなされている。
3代目・前期ルークスハイウェイスターのエクステリア(外装)
出典:日産認定中古車
フロントデザイン。3代目ルークスの顔つきは日産のアイデンティティーである「Vモーショングリル」を取り入れた日産らしさを強調。
加えてハイウェイスターではVモーショングリルを大型化。ワイド感を与えてカスタムらしい存在感を高めている。
出典:日産認定中古車
サイド。先代よりもボンネットのエッジが立ち、運転席からの見切りが良くなっている。後部のリアクォーターガラスは形状が台形となった。
また、サイドの窓ガラスはフロントからリアにかけて先代よりも小さくなっており、先代はスペースを強調したのっぺりとしたデザインだったのに対し、さきほどのボンネットのエッジと組み合わさってハイトワゴンでありながらスマートなデザインになった。
ハイウェイスターでは横からの見た目はアルミホイールを除いてノーマルモデルとほぼ同じ。
スライドドア関連では両側スライドドアオートクロージャーが標準装備で、ハンズフリーオートスライドドアはプロパイロットエディションは両側標準装備。
非プロパイロットのハイウェイスターXとハイウェイスターGターボでは助手席側のみ標準装備とし、両側はオプション扱い。
出典:日産認定中古車
足元はハイウェイスター専用のアルミで、自然吸気エンジンのハイウェイスターXがブラック塗装の14インチアルミホイール。タイヤサイズは155/65R14。
出典:日産認定中古車
ハイウェイスターGターボが切削加工+ブラック塗装の15インチのアルミホイールとなる。タイヤサイズは165/55R15。
出典:日産認定中古車
リア。コンビランプはノーマルに似ているが、ハイウェイスター仕様としてインナーメッキやクリアー感を強調した専用品となり、ノーマルよりも洗練された見た目となっている。
また、リアゲートにはメッキガーニッシュが付きフロント同様に存在感を高めている。天井にはルーフスポイラーも標準装備となりカスタムらしいリアとなっている。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:日産認定中古車
エンジンは三菱と同じ新開発のBR06型直列3気筒DOHC自然吸気とターボの2種類を設定。
先代は三菱製のショートストローク型エンジンで、上まで回さないとトルクが出なかったが、この世代ではライバルと同じロングストローク型を採用。中速域でトルクが出るようになり、燃費や扱いやすさが向上した。
自然吸気エンジンの最高出力は52ps(38kW)/6400rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/3600rpm。
ターボエンジンは最高出力は64ps(47kW)/5600rpm、最大トルクは10.2kg・m(60N・m)/2400~4000rpm。
加えて3代目ルークス ハイウェイスターではマイルドハイブリッドシステムを採用。モーターはSM21型で最高出力2.0kW(2.7PS)/1200rpm、最大トルク40Nm(4.1kgfm)/100rpmを発生する。
さらに新開発でワイドレシオなCVTの組み合わせ。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。燃費性能はJC08モードでFFが27.2km/リットルとなる。
ほかにデイズ同様、「ヒルスタートアシスト」、「フロントスタビライザー」、「エマージェンシーブレーキ」、「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」、「ABS+EBD(電子制御制動力配分システム)」、「インテリジェント オートライトシステム」を全グレードで標準装備。
VDCの機能の中には「ブレーキLSD」が含まれる。ブレーキLSDは滑りやすい路面でタイヤが空転した際、自動でで空転する駆動輪にブレーキをかけてもう片方の駆動力を確保するもの。
スズキの初代ハスラーあたりから搭載された簡易LSD装置で雪国では頼もしい機能だ(※スズキでは「グリップコントロール」という)。
自動ブレーキとしては、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」に「車線逸脱防止支援機能」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、「ふらつき警報」、「車線逸脱警報システム」、「オートマチックハイビーム」、「先行車発進お知らせ」、「標識検知機能」などが備わる。
なお、「SOSコール」はオプション設定。
3代目ルークス ハイウェイスター B44A/B45A/B47A/B48A型との違い
3代目ルークス ハイウェイスターのB44A/B45A/B47A/B48Aの違いは駆動方式と自然吸気エンジンまたはターボエンジンかの違い。
B44Aは自然吸気エンジンでFF仕様のルークス ハイウェイスター。B47Aは自然吸気エンジンで4WD仕様のルークスハイウェイスター。
B45AはターボエンジンでFF仕様のルークスハイウェイスター。B48Aはターボエンジンで4WD仕様のルークスハイウェイスター。
いずれもマイルドハイブリッド搭載モデルで、モーターが発進や追い越し時にマイルドにエンジンをアシストする。
3代目ルークス ハイウェイスター ターボ車の見分け方
3代目ルークス ハイウェイスターのターボ車か自然吸気エンジンかを見分けるポイントはアルミホイール。
(※純正状態が条件だが)自然吸気エンジンのハイウェイスターXは左のブラック塗装の面積が大きい14インチアルミホイールを履いている。
一方でターボ仕様のハイウェイスターGターボ系グレードでは右のような切削加工にブラック塗装を組み合わせた専用デザインの15インチアルミホイールとなる。この2つの違いが3代目ルークス ハイウェイスターのターボかそうでないかを見分けるポイントとなる。
かつてターボ車といえばボンネットにインタークーラー冷却用のエアダクトが空いていたり、もっと昔はサイドやリアに「TURBO」など、デカールなりエンブレムが貼ってあったが昨今のモデルではダクトもエンブレムも無くなり見分けが付きづらくなっている。
なお、ハイウェイスターではないノーマルの3代目ルークス(B44A/B47A)にはデビュー当初ターボ車が存在しなかったが、2022年9月の一部改良で「Xターボ」が追加設定された。
3代目・前期ルークスハイウェイスターのインテリア(内装)
出典:日産認定中古車
インパネ。ハイウェイスターではブラック(エボニー)を基調とし、上部にはアクセントとなるレザー調パネルが採用されている。
これにより軽自動車でありながらかなり上質な雰囲気となっている。なお、デイズハイウェイスターと基本的には同じデザインだが、左右のエアコン吹出口あたりのデザインや、レザー調パネルの色などがルークスハイウェイスター仕様に変更されている。
ステアリングはターボ仕様が本革巻ステアリングホイール。自然吸気エンジンがウレタンステアリングホイール。オプションでブラウン色の本革巻ステアリングホイールが選択可能だ。
出典:日産認定中古車
スピードメーター。デイズと同じく全グレードでタコメーター付きの2眼タイプにセンターがマルチインフォメーションディスプレイとなる。
出典:日産認定中古車
エアコンはタッチパネル式のオートエアコン。
出典:日産認定中古車
最上級グレードのプロパイロットエディションでは軽自動車では珍しい電動パーキングブレーキが付く。
収納スペースは前モデルでは少なく使い勝手が悪かったが、3代目ルークスではこれを改善。ライバルに引けをとらない収納スペースで使い勝手を良くした。
出典:日産認定中古車
アラウンドビューモニターは標準装備。オプションのナビを購入すると大画面に表示できるほか、切り替えるとルームミラーにも表示可能となる。
出典:日産認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。ハイウェイスターではブラック系(エボニー色)を基調とし、中央部にはダークブルー色を組み合わせたシートとなる。さらに柄もダイアモンド柄となっていて上質感がアップしている。なお、セパレートシートは最上位グレードで選択可能だ。
さらにオプションでブラック&モカを用いたプレミアムグラデーションインテリアも選択可能だ。
プレミアムグラデーションインテリア選択時はシート表皮、ドアトリムもブラック&モカのグラデーションカラーとなる。
出典:日産認定中古車
さらに特別仕様車のアーバンクロムでは専用の黒基調耐水コンビシートを採用する。
出典:日産認定中古車
リアシート。ホイールベースを延長したことにより後部座席の居住空間、特に足元が先代よりも広くなっている。フロントシートに取り付けられた折りたたみ式のパーソナルテーブルはオプション設定。
またテーブル下のUSBソケットもテーブルとセットでオプション設定。選択すれば後部座席でスマホなどの充電が簡単になる。
出典:日産認定中古車
ロールサンシェードはオプション設定。
出典:日産認定中古車
天井サーキュレーター(プラズマクラスター付き)もオプション設定。
出典:日産認定中古車
ラゲッジルーム。この手のハイトワゴンにしては後部座席を一番後ろにしてもラゲッジルームが広く、リアシートを一番前にスライドさせれば48Lのスーツケースを同時に4個積めるとしている。
出典:日産認定中古車
リアシートを倒した状態。
3代目・前期ルークスハイウェイスターの評価
3代目の前期ルークスハイウェイスターはルークスをベースに精悍かつ存在感のあるエクステリア、軽自動車の枠を越えた雰囲気の室内空間、豊富な収納スペース、新開発のエンジンにマイルドハイブリッド、強化された自動ブレーキなどかなりのアップデートを伴ったフルモデルチェンジとなった。
顔つきはどちらかというとギラギラ系であるが、一昔前にあったハイトワゴンのコテコテ感は薄くシンプルかつ大型のVモーショングリルにより日産らしさを表現しつつ、上品な顔になっている。この点はデザインが優秀と言えよう。
またスズキと同じくマイルドハイブリッドを採用したことにより特に自然吸気エンジンでは街乗りにおける出だし加速がかなり改善している。
この手の背が高くて車重もあるハイトワゴンにおいて、ターボ無しの欠点だったが、これがかなり良くなっているので人によっては意外と自然吸気エンジンでも満足行くと思う。ハイトワゴン市場において三菱同様かなりの勝負をしかけてきた1台である。
後期モデルではフロントデザインがよりセレナ寄りになり日産仕様であることが一目でわかるデザインに変更。ミニバンの軽自動車として、スタイリッシュ感がアップ。兄弟モデルのデリカミニともさらに差別化がなされる。
2023年4月マイナーチェンジで後期型に移行
2023年4月のマイナーチェンジで3代目ルークスハイウェイスターはフロントデザインの変更などを実施し後期型に移行した。
後期型ではセレナのような新世代のVモーショングリルを採用し、人目で日産車とわかるデザインとなったほか、室内でもカシス調スティッチを取り入れた専用インパネやレザー調シートの採用するなど、より質感がアップする。
コメント