ジムニーはスズキのSUV型軽自動車。ワイルドウインドはその特別仕様車である。本稿では3代目JB23型ジムニーの第5期、6型ワイルドウインドの後期(2007年11月発売モデル)について扱う。
出典:ガリバー
3代目 スズキ・ジムニーとは?
1998年10月にフルモデルチェンジし、3代目となったスズキ・ジムニー。
初代ジムニーは1970年代、まだ排気量が360CCだった時代にジープのような伝統的な四輪駆動車の構成で誕生した。小型で軽量のパートタイム4WD、強度と耐久性のラダーフレーム、サスペンションも前後とも固定軸と、オフロードを走る上で大事な要素を、軽自動車で実現していた。
3代目のJB23W型は伝統のラダーフレームを継承しつつも、新設計による衝撃吸収構造のフレームやサスペンションにより、オンロードでの安定性とオンロードでの走破性の向上を果たした。
グレード展開は簡素なXA(2001年6月マイナーチェンジでXGへ変更)、ベーシックなXL(2001年6月マイナーチェンジで廃止)、充実装備なXCの3種類。
エクステリアはジムニーらしさを引き継ぎながら新世代のクロカンモデルを表現。丸みを帯びたデザインでよりカジュアルなスタイルへと進化した。
ボディサイズは1998年の軽自動車新規格に対応し、ボディサイズは全長で100mm、全幅で80mm拡大。これにともない室内空間は室内長はが100mm小さくなったものの、全幅は30mm、室内高は50mm拡大。横と縦方向に居住性がアップした。
またリアシートを大型化&分割可倒式(※XLとXCグレードのみ)することで後部座席の快適性と利便性もアップさせた。
快適装備としては全グレードでエアコンと電動パワステを標準装備。最上級のXCグレードではパワーウィンドウ、パワードアロック、キーレスエントリー、電動格納ドアミラーも標準装備とした。その一方で先代まであった軽貨物のバンは廃止されている。
エンジンは先代のモデル終盤から採用されたタイミングチェーン仕様&オールアルミ製のK6A型ターボエンジンを採用。最高出力は同じものの最大トルクが0.3kg高められている。
トランスミッションもATでは4速ATを新採用。静粛性と燃費が向上している。
3代目ジムニーワイルドウインド(6型/後期)とは?特徴と違い
3代目ジムニー・6型ワイルドウインド(後期)とは?
その3代目JB23型ジムニーの特別仕様車のひとつであるワイルドウインドは、スズキの創立80周年とジムニー発売30周年を記念するモデルとして3型をベースに初登場。
上級モデルのランドベンチャーに対してオフロードを強く意識したワイルドウインドは、その後もマイナーチェンジの度に追加された(ただし5型を除く)。
6型マイナーチェンジ以降はそれまでの冬の特別仕様車、「FIS フリースタイルワールドカップリミテッド」とバトンタッチする形で投入されたため、これ以降は「ワイルドウインド=冬季限定モデル」のイメージが強くなった。
その6型ワイルドウインドは2007年11月に6型としては最後のマイナーチェンジを行なった。本稿ではこれを6型後期として扱う。
6型ワイルドウインドの特別装備
6型後期のワイルドウインドでは外観に力強強い専用グリルを再び採用したのがポイント。
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エクステリアでは
- 専用フロントグリル(ボディ同色・縦スリットタイプ)
- ブラックカラーのアンダーガーニッシュ
- フォグランプ
- 電動格納式リモコンドアミラー(ヒーテッドドアミラータイプ)
- アルミホイール、「WILD WIND」サイドエンブレム
- ワイルドウインドロゴ入り専用スペアタイヤハウジング
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インテリアでは
- ジムニー初のアルカンターラシート表皮
- 背面メッシュポケット
- 本革巻ステアリングホイール
- 黒木目調センターガーニッシュ
- 「WILD WIND」ロゴ入り専用フロアマット
- 専用ATシフトノブ
- 運転席・助手席シートヒーター
ボディカラーはすべてモノトーンのみで
- 黒系「(ブルーイッシュブラックパール3」
- 白系「(パールホワイト」
- 赤系「(シャイニングレッドパール」
- 金系「ベージュ(クリアベージュメタリック」
の全4色を設定。
それまでのワイルドウインドよりも、さらなる上質な装備が特徴となっている。
以下、詳細を解説する。
エクステリア
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フロントデザイン。前モデルの6型中期ではノーマルと同じベーシックなグリルが付いていたが、6型後期ではこれを専用品へ変更。力強いフロントデザインを表現した。
これに前モデル同様のブラックカラーのアンダーガーニッシュ(フォグランプ付き)を装着。
6型中期ともそれ以前のワイルドウインドとも異なるエクステリアとなっている。個人的には特別仕様車であればやはり専用グリルが欲しいところで、6型ワイルドウインドの中ではこれが好みだ。
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サイドから。このあたりは中期と同じで特に変更点はない。
車体色はすべてモノトーンの黒(ブルーイッシュブラックパール3)、白(パールホワイト)、赤(シャイニングレッドパール)、ベージュ(クリアベージュメタリック)の全4色となる。
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足元は175/80R16の16インチアルミホイールを標準装備。
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6型ワイルドウインド以降では、ルーフ部分に各種アタッチメントを組み合わせることで積載物を載せられるベースキャリアを標準装備している。
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フェンダーにはもちろん専用の「WILD WIND」エンブレム。
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リア。こちらも歴代のワイルドウインド同様、「WILD WIND」のロゴ入り専用スペアタイヤハウジングを採用。6型前期までは「WILD WIND」がデカールだったが、中期モデル以降でエンブレム化された。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはK6A型3気筒DOHCインタークーラー付きのターボエンジンのみ。
最高出力64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは10.5kg・m(103N・m)/3500rpmを発生。
トランスミッションは4ATまたは5MTで駆動方式はパートタイム4WDのみとなる。なお、パートタイム4WDでは5型から採用されたスイッチ式の4WD切り替え機構を備える。
自動ブレーキ等の装備は時代的もあり非装備。運転席&助手席SRSエアバッグやABSは標準装備となる。
インテリア
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インパネ。6型後期ワイルドウインドでは黒木目調の専用センターガーニッシュを採用し、ステアリングは本革巻ステアリングホイールとなる。
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ATのシフトノブは中央がメッキ化された専用品を採用。5型以降のジムニーで4WDの切り替えレバーがスイッチ式に変更されたため、このワイルドウインドでもシフトノブ下にレバーは無い。
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スピードメーターはノーマルと共通。
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フロントシートはセパレートタイプ。6型後期ワイルドウインドではジムニー初となるアルカンターラシート表皮を採用。上質かつ落ち着いた印象とした。
さらに前席の側背面にはメッシュポケットも装備。運転席と助手席にはシートヒーターを標準装備し、ドアミラーもヒーテッドドアミラーとなる。
加えてフロアマットは「WILD WIND」のロゴを入れた専用品が前後に標準装備となる。
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リアシート。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
3代目・6型後期ワイルドウインドの総評
3代目ジムニー・6型後期のワイルドウインドは力強い専用グリルにアルカンターラシートを採用したワイルドウインドの中でもかなり上質なモデルである。
この後の7型ワイルドウインドではこのグリルが標準でメッキ化されさらにフロントが引き締まるが、ボディ同色タイプでも十分存在感があり、SUVモデルとしての個性を強める良い部分である。
メッキ特有のギラギラ感が無いのもポイントで、かつ内装においてもアルカンターラの採用などテコ入れが行われ、それ以前よりも上質なイメージを出している。
中古市場ではジムニーの人気から全体的に価格が高い傾向があるがこの6型後期ワイルドウインドその例外でなく、走行距離の割にかなり割高な1台だ。
気軽に乗れる足車とはいかないが趣味性の高い1台として、あるいは雪国では絶対的な信頼を誇る軽4WDとしてその点を理解しないと高過ぎると感じるモデルでもある。
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