AZ-オフロードはマツダのSUV型軽自動車。スズキ・ジムニーのOEMモデルである。ここでは2004年10月のマイナーチェンジ以降モデルを後期型とし、これを扱う。
出典:マツダ認定中古車
概要
1998年10月に登場したマツダのAZオフロード。スズキの軽クロカンである「ジムニー」OEM供給を受けマツダブランドから販売されていた軽自動車である。
マツダは古くからスズキの軽との関係が強く550CC時代から軽ワンボックスのスクラム(ワゴン)、軽トラックのスクラムトラック、排気系が660CCに移行してからはキャロル(当初はプラットフォームを流用しボディを自社生産、後に完全OEM化。
スズキ・アルトのOEM)、AZワゴン(ワゴンR)、スピアーノ(アルトラパン)、ラピュタ(Kei)など幅広い車種をスズキからOEM供給されていた。その中でも最も硬派で趣味性の強いOEMモデルがジムニーのマツダ版となる「AZオフロード」だ。
AZオフロードはジムニーが1998年の軽新規格に対応しフルモデルチェンジしたのとほぼ同時期にOEM供給された。
AZワゴンやキャロル、ラピュタ等に見られたマツダ用のデフォルメは特になく、エンブレムの変更程度となっているのが特徴で、パット見はほぼジムニーである。
また、ジムニーにはマイナーチェンジの際に「ランドベンチャー」や「ワイルドウィンド」など内外装をグレードアップさせた特別仕様車が設定されていたがマツダ版のAZオフロードにはそれが一切なく、最終モデルまで基本グレードのみの設定であった。
趣味性の強いモデルでありながらスズキとほぼ同じ外観でグレード展開は地味という部分もAZオフロードのポイントだ。
スズキ・ジムニーとマツダ・AZオフロードとの違い
そのAZオフロードは2004年10月にベースモデルの3代目ジムニーが5型へとマイナーチェンジしたのに合わせてAZオフロードも同様の改良が施された。これが本稿で扱うAZオフロードの後期型である。
後期型AZオフロードは外観ではフロントグリルとボンネットが一体型のそれまでのデザインに対し、それぞれグリルとボンネットが分離したデザインとし、スタイリッシュに。アルミホイールもデザイン変更されている。
内装ではインパネのデザインを変更し、シート表皮もデザイン、素材、形状が変更された。
さらにCDプレイヤーとLED発行メーターを追加。そしてそれまでレバー式だった4WDの切り替えをインパネ部のスイッチ式に変更。ジムニー同様に内外装で質感が向上した。
AZオフロードのグレード構成
後期型AZオフロードのグレード構成は上級XCグレードのみ設定。
OEM元のジムニーには廉価グレードXGやミドルグレードXLが存在し、かつてはAZオフロードにもミドルグレードXLが存在したが、2002年1月にXLグレードを廃止。以後はXCのみの設定となった。
XCグレードはジムニーのXCと同じ装備内容で、リアのプライバシーガラス、フォグランプ、アルミホイール、ルーフレール、電動格納ミラーなど上級装備を標準装備する
エクステリア
出典:マツダ認定中古車
フロントデザイン。パット味はノーマルのジムニーと同じだが、グリル中央部にマツダエンブレムが用いられ、マツダ仕様であることがわかるデザインとなっている。
なお、同年代のOEMモデル(マツダ・キャロルなど)ではマツダのアイデンティティであるペンタゴングリルをあしらっていたが、AZオフロードでは特に採用されれず、エンブレム以外はまったく同じ外観となる。
出典:マツダ認定中古車
横からのデザインもベースと同じ。ボディカラーもジムニーと同じく3色を設定。
出典:マツダ認定中古車
足元はジムニーXCと同じ16インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは175/80R16。
出典:マツダ認定中古車
リア。このあたりもAZオフロードではほぼベースモデルと同じデザインで、マツダのエンブレムやAZ-オフロードのエンブレムがオリジナルになっている程度である。
出典:マツダ認定中古車
スペアタイヤカバー(ソフトタイプ)はAZオフロード専用品を設定。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:マツダ認定中古車
エンジンはK6A型3気筒DOHCインタークーラー付きのターボエンジンのみ。
最高出力64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは10.5kg・m(103N・m)/3500rpmを発生。トランスミッションは4ATまたは5MTで駆動方式は(4WD切り替え機構付き)パートタイム4WDのみとなる。
安全装備としてABSと運転席&助手席エアバッグを標準装備する。
インテリア
出典:マツダ認定中古車
インパネ。2004年10月のマイナーチェンジで、ジムニー同様にインパネデザインが小変更された。
左右のエアコン吹出口は丸形に変更。中央部はナビを意識したデザインとなり、グローブボックス下には収納スペースが追加。
出典:マツダ認定中古車
スピードメーター。上級感ある2眼メーターへ変更された。
出典:マツダ認定中古車
ステアリング。後期型に伴いデザインが変更された。なお上級グレードのXCではあるが、スズキ同様に本革巻ステアリングホイールではなく通常のウレタンステアリングホイールとなる。
マツダバージョンにはランドベンチャーやワイルドウインドなどの特別仕様車が存在しないため、本革巻ステアリングホイールが標準装備となることは1度もなかった。
出典:マツダ認定中古車
ATのシフトノブ。後期型ではゲート式ATに変更された。これだけでも見た目がちょっとだけ良くなる。
出典:マツダ認定中古車
マニュアルは従来どおりの蛇腹ブーツ。
出典:マツダ認定中古車
4WDの切り替えもスイッチ式に変更になった。
出典:マツダ認定中古車
フロントシートはセパレートタイプ。後期型に伴いシート形状と表皮が変更されている。
出典:マツダ認定中古車
後部座席もシートの表皮とデザインを小変更。
出典:マツダ認定中古車
ラゲッジルーム
出典:マツダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
出典:マツダ認定中古車
AZオフロードのまとめ
AZオフロードの後期型は3代目ジムニーの5型同様にエクステリアとインテリアで改良が施され、見た目がかなり良くなったモデルである。特別仕様車がないものの、ベーシックなマツダ版ジムニーとしてまとまっており、素性の良さがうかがえる1台だ。
なお、当然ながらエンブレムがマツダ版になっている程度なのでジムニーの純正部品を流用したり、ジムニー用のカスタムパーツの取り付けも問題なく、色々と混ぜることも可能だ。カスタムという点ではまったく困らないのもポイント。
ただし最終モデルが2014年3月のため一番新しいモデルでも9型で、一部デジタルメーターを採用した3代目ジムニーの10型に相当するAZオフロードは存在しないため注意が必要。
中古市場ではジムニーに比べると圧倒的少数で非常に珍しいモデルである。ただし価格的にはジムニー人気が派生してOEMモデルといえど大して安くはないので、少し買いづらい部分がある。上級XCグレードがタマ数の大半で、かつ車自体もエンブレム違いな程度でほぼジムニーという点が大きな要因かと。
ジムニーだらけの中で歴代でも唯一のOEMモデルという選択肢もありかもしれない。
AZオフロードの後継モデル・フレアクロスオーバー
なお、AZオフロードのOEM終了後は後継モデルとして、ハスラーのOEMモデル、「フレアクロスオーバー」が2013年12月に登場した。
出典:マツダ認定中古車
AZオフロードほど硬派なモデルでないが、適度に悪路走行に強く、独立した後部座席による使い勝手の良さやマイルドハイブリッドによる加速&燃費の良さなど、かなりできの良いモデルで、AZオフロードよりはよく売れている。
出典:マツダ認定中古車
※画像は2代目フレアクロスオーバー
中古車でもAZオフロードより台数が多く、ハスラーと被りたくない人はフレアクロスオーバーという手も。
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