N-BOX(エヌボックス)はホンダのトールワゴン型軽自動車。本稿では前期型に設定された特別仕様車「G SSパッケージ」と「G ターボSSパッケージ」を扱う。
概要
長く続いたホンダの軽売り上げ不振を払拭すべく、N計画の第1号として2011年12月にデビューしたN-BOX。ライバルのタントやパレットよりも背の高い1.78Mという高さに、ホンダ得意のガソリンタンクを床下に設置するなど、とにかく車内の広さがこの車の売りだ。
またホイールベースも長く立てにも上にもまさにスーパーなワゴンに仕上がっている。タントやパレット(現行はスペーシア)の後出しということで、このあたりは研究しまくったという印象が強いモデルだ。
運転のしやすさも入念に考えられ、ミニバンと同等のアイポイントや死角を減らすサポートミラーの設定など、幅寄せや駐車を容易にした設計。新開発のエンジンの採用や同社初のCVTの採用で、当時としてはクラストップレベルのを実現した低燃費と走行性能、軽量化や効率化を追求した新設計ボディの採用もホット。
使い勝手もセンタータンクレイアウトの採用で低床な室内を活用したシートアレンジを採用。また大開口のテールゲートで長くて大きい荷物の積み下ろし(自転車など)も快適とした。
安全装備としてはVSAとヒルスタートアシストをを全グレードに標準装備。サイドカーテンエアバッグを助手席サイドエアバッグをセットでタイプ別設定した。
初代N-BOX(JF1/JF2)G SSパッケージ/GターボSSパッケージの特徴と違い
その特別仕様車として前期型N-BOXに設定されたのが「G特別仕様車 SSパッケージ」および「G特別仕様車 ターボSSパッケージ」(以下G SSパッケージ、G ターボパッケージと略す)だ。
SSとはSuzuka Special(鈴鹿スペシャル)の略でF1のイメージが強いホンダらしいグレード名となっている。
SSパッケージではG・LパッケージとG・ターボパッケージをベースとし、自然吸気エンジンの「G SSパッケージ」ではリア右側にパワースライドドア、クロームメッキパーツ、シルバー塗装ドリンクホルダー&メーターリング等を装備。
「SSターボパッケージ」ではディスチャージヘッドライト、クロームメッキ・アウタードアハンドル、ブラックインテリアを。
両者共通の装備として運転席ハイトアジャスターが標準装備された特別仕様車となっている。
以下、詳細を解説する。
エクステリア(外装)
フロントデザイン。フロントまわりは専用の変更点は特に無い。ターボ仕様の「ターボSSパッケージ」ではディスチャージヘッドライトが標準装備される。
フロントウィンドウはUVカット機能付ガラスでハーフシェイドタイプ。フロントコーナー/フロントドアでは高熱線吸収/UVカット機能付ガラスとなる。
サイドから。自然吸気エンジンの「SSパッケージ」ではリア右側がパワースライドドア化、G・Lパッケージのリア左側パワースライドドアと合わせて両側がパワースライドドア化(イージークローザー&タッチセンサー/挟み込み防止機構付き)された。
両者ともにアウタードアハンドルはメッキ化されている。なお、2014年5月設定のSSパッケージではボディカラーに2トーンカラースタイルが設定。
ベースのG・Lパッケージ、ターボパッケージ共通装備としてLEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。セキュリティアラームも標準装備。
足元はG・Lパッケージおよびターボパッケージベースで14インチアルミを標準装備。
リア。このあたりはノーマルと共通でLEDブレーキランプにクリアーコンビランプ。エマージェンシーストップシグナルを標準装備。リアドア/リアクォーター/テールゲートは高熱線吸収/UVカット機能付プライバシーガラスとなる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはSSパッケージとしてS07A型3気筒自然吸気エンジンとターボ仕様の2種類を設定。
自然吸気エンジンの最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/3500rpm。
バイク屋のホンダらしいエンジンで、自然吸気エンジンであっても最高出力や最大トルクがかなり高めなのが特徴だ。
ターボエンジンの最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpm
トランスミッションはCVTのみ。駆動方式はFFか4WDで、雪国にはうれしいVSA(横滑り防止装置)とヒルスタートアシストが標準装備となっている。
安全技術としては2014年5月設定のSSパッケージで「あんしんパッケージ」を標準設定。シティブレーキアクティブシステム、サイドカーテンエアバッグシステム、前席用i-サイドエアバッグシステムをひとまとめにしたオプションとなっている。
インテリア(内装)
インパネ。SSパッケージではインパネとシート、ドアトリムクロス、フロアカーペット等などをブラックに変更(ブラックインテリア)。SSパッケージ仕様としてセレクトレバーボタン、エアコンアウトレットノブ、エアコンアウトレットリングがクロームメッキ化されている。
加えて自然吸気エンジンのSSパッケージではドリンクホルダーがシルバー塗装される。ステアリングはターボ仕様車で本革巻き&パドルシフトとなり、両モデル共通でガーニュシュ付きのステアリングホイールとなる。エンジンスタートはプッシュスタート式でイモビライザー付き。
スピードメーター。自然吸気エンジンのSSパッケージ仕様ではメーター周りがシルバー塗装される(シルバー塗装メーターリング)。メーターそのものはノーマルと同じでエコインジケーターを備える。
フロントシートはベンチシートタイプ。自然吸気エンジン、ターボ共通装備としてハイトアジャスター(ラチェット式)が備わる。
デビュー当初はベージュシート表皮だったが、2014年5月モデルでは自然吸気エンジンでもブラックインテリアに変更+4WD仕様で運転席シートヒーターを標準装備化。FFではメーカオプション化される。
チップアップ&ダイブダウン機構付リアシート。2段リクライニング機能付き。
N BOXでは室内高を最大限有効利用できるよう、チップアップという従来の手前に倒れる以外に後ろ側に粗利上げてシートをたたむことが可能。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
初代・前期N-BOX SSパッケージのまとめ
N-BOXのSSパッケージは、上級モデルのG・Lパッケージとターボ付きのG・ターボSSパッケージをベースとし、便利な右側パワースライドドアを追加装備(両側パワースライドドア化)。内装をブラックインテリアとするなど利便性と機能性を高めつつ、値段をお手頃価格としたモデルであった。
N-BOXカスタムのような派手な外観はなく、ベーシックなN-BOXに上記の快適装備が加わったことでより魅力の高いモデルとなっている。特にN-BOXカスタムの特徴的な外観が苦手な人やベーシックな顔つきが好きな人にとってはこの快適装備満載のSSパッケージは魅力的な1台であろう。
なお、N-BOXが後期型にマイナーチェンジした後も再びSSパッケージが設定された。今度は上級思考の後期フロントフェイスに従来通りのSSパッケージが組み合わされる。
ベーシックな顔でより快適装備が欲しい人はこのSSパッケージは必見だ。ただし、後期型SSパッケージではターボモデルが消滅し、自然吸気エンジン仕様のみとなった。この点は注意である。
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