ムーヴはダイハツのワゴン型軽自動車。本稿では4代目・L175SおよびL185S系の前期型（2006年10月～2008年11月まで）に設定された自然吸気エンジン仕様の特別仕様車、「L VS」と「X VS」を扱う。
概要
2006年10月にフルモデルチェンジし、４代目となったダイハツのムーブ。
それまでのイメージを大きく変更しエレガントなフロントデザイン、タマゴ型のワンモーションフォルムの採用、ホイールベース拡大による室内空間のアップ、新開発エンジンの採用など外観も内部もフルモデルチェンジに相応しい内容となった。
外観はそれまで初代から続いていたワゴン型のボディを一新。スズキの初代MRワゴンなどに見られるボンネットからフロントガラス、ルーフにかけて緩やかな曲線を持つワンモーションフォルムとなった。
また、プラットホームを一新し室内空間を新設計としたことで当時の軽自動車としては最長となる2,110mm(2WD)の室内長を確保。また、室内幅も1,350mmとし３代目よりもさらに室内空間を広くした。
インテリアは３代目から劇的に質感が良くなったが、４代目でもこれを踏襲。加えてアーチシェイプインストルメントパネルと呼ばれる立体的かつ躍動感のあるインパネデザインや、ムーヴ史上初のセンターメーターを採用し明るく華やかな室内空間とした。
エンジンは新開発となるKF型エンジンを採用。これはエッセなどで先行していたEF型に替わる新世代エンジンで、低中速域のトルクと燃費性能を両立させたもの。これにグレード別でCVTを組み合わせ23.0km/L(10.5モード）を実現した。
安全装備としては車載カメラを用いた「車線逸脱警報機能」を軽自動車として初めて搭載。また、レーダークルーズコントロールをもグレード別に採用。
このほかABSと横滑り防止装置、トラクションコントロールの３つを合わせたVSCの採用(※カスタムRSの2WD車にインテリジェントドライビングアシスト&セーフティパックとしてメーカーオプション)するなど３代目よりも順当に装備のレベルアップがなされている。
もちろんワンモーションフォルムを採用しつつも衝突安全ボディ、「TAF」の採用により55km/h、前面オフセット 64km/h、側面55km/h、後面55km/hの衝突実験においても優れた安全性を確保。
現実の市場事故実態を考慮し、ダイハツ独自の目標を設定したクルマ対クルマの衝突実験(50km/h前面衝突、50km/h側面衝突)を実施し、十分な生存空間の確保と、高い乗員保護性能を実証している。
４代目・前期型ムーヴ(L175S/L185S)L VS/X VSの特徴と違い
そして2009年9月。各種エアロパーツやアルミホイール、ブラック内装で内外装での質感を高め上級感をアップさせた特別仕様車を設定した。それがこの「VS」グレードである。
VSグレードは３代目でも設定されていたが、概ねそれを踏襲する内容となっている。
外装では１４インチアルミホイールにフォグランプ、サイドストーンガード（サイドアンダースポイラー）、リヤスポイラー、LEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。
内装ではブラックシート表皮とメッキオーナメント付きステアリングホイール、シルバー塗装のドアアウターハンドル、メッキエアコンレジスターノブ、キーフリーシステム（イモビライザー付き）を与え内外装で高級感を与えた特別仕様車となっている。
なお、L VSとX VSの違いはベースモデルで、L VSはエントリーモデルのLグレードがベース。X VSは上級Xグレードがベース。
そのため「L VS」はトランスミッションが4ATでABSがオプション設定。「X VS」はCVTを採用するなど加速や燃費性能、安全装備などが異なる。
エクステリア
フロントデザイン。ベースはベーシックグレード（４AT）のLグレードと、CVTを搭載した上級のXグレードの２種類。共に外観は同じでこれにVS仕様としてフォグランプを標準装備とした。
３代目のVSと比べるとあまり変化がないのだが、高級感や上級感が４代目VSのテーマのためこの点は妥当な部分だろうか。
サイド。VS仕様としてサイドストーンガード（サイドアンダースポイラー）を標準装備。
VS仕様としてLEDターンランプ付きドアミラー、
足元は１４インチアルミホイール。
このほかベースと同じくセキュリティーアラームを標準装備。
リア。VS仕様としてリアスポイラーを標準装備。これ以外はベースと同じで専用エンブレム類はなし。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはKF-VE型直列3気筒DOHC12バルブの自然吸気エンジンのみ。
最高出力58ps(43kW)/7200rpm、最大トルク6.6kg・m(64N・m)/4000rpmを発生。
トランスミッションは4ATとCVTの２種類。Lベースの「L VS」が4AT。Xベースの「X VS」がCVTとなる。
駆動方式はFFまたは４WD。ABSやEDB、ブレーキアシストは「X VS」で標準装備。「L VS」はオプション設定となる。
インテリア
インパネ。VS仕様としてカスタム用のブラック内装を採用。ウレタンステアリングの中央にはメッキオーナメント付き。
スピードメーター。ベースと同じくカスタム用の自発光式メーターとなる。L VSでは１眼式メーターから変更され上級感がプラスとなる。
エアコンは「L VS」ではマニュアル式。「X VS」ではオートエアコンとなる。
「L VS」ではキーフリーシステム（イモビライザー付き）を標準装備(※「X VS」は既装備)。
フロントシートはベンチシートタイプ。VS仕様としてカスタム用のブラックシート表皮とドアトリム表皮が与えられた。
リアシート。スライド機構付き。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
まとめ
４代目・前期型ムーヴに設定された「L VS」と「X VS」は外装にサイドストーンガードやリアスポイラー、フォグランプにターンランプ付きドアミラーやアルミホイールを与え、
内装ではカスタム用のブラックインテリアにステアリングのメッキオーナメントなど内外装で高級感をアップさせた特別仕様車となっている。
先代(３代目ムーヴ)のVSはスポーティ寄りだったが４代目ではベースモデルの上級感をプラスさせた仕様に変更し、(地味ではあるが)カスタムとはまた異なる魅力的な特別仕様車といえよう。
ちなみに、2009年12月のグレード体系変更で上級グレードベースの「X VS」は「X VS Ⅱ」としてカタロググレートに昇格した。仕様としてはまったく同じなため、X VSが見つからない時は「X VS Ⅱ」を探してみるといいだろう。
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