タントはダイハツのトールワゴン型軽自動車。本稿では4代目LA650SおよびLA660Sに設定された特別仕様車、Xセレクション/Xターボセレクションを扱う。
出典:ダイハツ認定中古車
4代目タントとは?特徴など
2020年7月にフルモデルチェンジし、4代目となったダイハツ・タント。7年ぶりとなる全面改良では「新時代のライフパートナー」をキーワードにどの世代のニーズにも答えられる良品廉価なモデルとなった。
新型タントは2代目から登場したミラクルオープンドアを発展させた「ミラクルウォークスルーパッケージ」を実現。使い勝手をさらに向上させた。
さらにそれまでの先進安全装備である「スマートアシストⅢ」はバージョンアップし、「次世代スマートアシスト」として登場。
それまでの機能に加え車線逸脱抑制制御機能、アダプティブドライビングビーム、標識認識機能、ブレーキ制御付き誤発進抑制機能が追加された。
さらにオプションで全車速度追従機能付きアダプティブクルーズコントロール、レーンキープコントロール、スマートパノラマパーキングアシスト、サイドビューランプがセットになった「スマートアシストプラス」を追加できるようになった。
①ミラクルウォークスルーパッケージ
4代目タントで新たに導入された「ミラクルウォークスルーパッケージ」は既存のミラクルオープンドアに
・「運転席のロングスライドシート機能」
・「助手席イージークローザー」
・「タッチアンドゴーロック機能」
・「ウェルカムオープン機能」
をプラスしたもので運転席から座ったまま後部座席の子供の世話をしたり荷物を取ったりなど利便性が大幅に向上した。
このほか16mmの低床化、メーターレイアウトの変更、Aピラーの細化、ホールド性とフィット感を高めた新形状のシート、助手席を含めたシートアレンジの拡大。
ラクスマグリップ&ミラクルオープンステップ(※オプション設定)、格納式シートバックテーブル、USBソケット端子などを新たに追加し他社の追従を許さない豪華なパッケージングとなっている。
②「次世代スマートアシスト」と「スマートアシストプラス」
従来のスマートアシストに加えて「アダプティブドライビングビーム」、「標識認識機能」、「ブレーキ制御付き誤発進抑制機能」を追加。
アダプティブドライビングビームはハイビームで走行中に対向車を検知すると自動的に対向車の部分を遮光する(カスタムのみに標準装備でノーマルはオプション設定無し)。
標識認識機能は進入禁止の標識をステレオカメラが検知するとマルチインフォメーションディスプレイ内に表示してお知らせする。
ブレーキ制御付き誤発進抑制機能は誤発進抑制装置にブレーキ機能を加えたものでエンジン性能のほか自動的にブレーキを付加して急発進を抑制する。
さらにオプションで全車速度追従機能付きアダプティブクルーズコントロール、レーンキープコントロールをXターボに設定。
スマートパノラマパーキングアシストはLグレードを除いてオプション設定。サイドビューランプはほぼ全グレードで標準装備とした。
③新開発プラットフォームのDNGAを採用した高い基本性能
4代目タントは親会社であるトヨタのTNGAをダイハツ版に落とし込んだDNGAをベースに新開発のプラットフォームを採用。
乗り心地や操縦安定性を最優先にボディ骨格を最適配置し衝突安全性やボディ強度も大幅向上させた。また、曲げ剛性を30%向上させせつつハイテン材や構造合理化により約40kgの軽量化を実現した。
また、エンジンは従来のKF型を大幅改良。日本初となる複数点火の採用や燃料噴射方法の改良で燃費を向上させた。
さらにCVTも世界初のスプリットギヤのや採用でベルトとギヤのダブル駆動を実現。これにより伝達効率が約8%上昇し、かつよりワイドなギア比となり加速と低燃費をアップし、サスペンションジオメトリも最適化した足回りを採用。
ハイトワゴンでもイメージ通りの動作と乗り心地を両立させつつハイテン材等の採用で足回り全体で約10kgの軽量化も実現した。
足回り以外でも静粛性をあげるためボディ形状を工夫。隙間や段差軽減によりボディそのもので風切り音を低減した。
④洗練されたデザインと福祉対応
4代目タントはデザインにもこだわりが。シンプルさを追求しつつも愛着がもてるようなフロントフェイスに連続したシームレス面で洗練された塊を表現。ただの箱にみえないデザイン性が与えられている。
さらに全グレードでフルLEDヘッドライトを標準装備とするなど順当なアップグレードが施された。またインテリアでは視界の良さを確保すると同時にそれまでのアイデンティティーだったセンターメーターにテコ入れを行い、右寄りのセンターメーターに変更することで視界移動の少ない配置とした。
ボディカラーには新色のマスタードイエローマイカメタリックのほか、ダイハツ・ミゼットを彷彿とさせるアイスグリーンを含めた全9色を設定。
加えてオプションで外装パーツを追加変更できるエアロスタイリッシュとカジュアルパッケージを設定した。
福祉車両仕様である「フレンドシップシリーズ」も引き続き設定。
4代目では助手席に回転機構が備わった「ウェルカムシートリフト」が追加され、「ウェルカムターンシート」、「ウェルカムシートリフト」、「スローパー」の3種類となった。
回転シート車である「タント ウェルカムターンシート」では助手席側に30度の回転角度を設け、補助用のラクスマグリップを使うことにより介護が必要な人に対しその補助や一人での場合でも乗り降りをしやすくした。
さらに「パワークレーン」という車椅子収納用のクレーンをラゲッジルーム上部に接地。力のない女性でもラクラクで車椅子をラゲッジルームに収納可能とした。
降車シート車の「ウェルカムシートリフト」ではシート座面を見直したことにより乗り降りのしやすさが向上。加えて助手席の前後位置を調整するスイッチを運転席側にも追加。
さらにシートの下降位置をより低くしたことで車椅子からの移動のしやすさがアップ。社外への突出量を低減し電動スライド量増加等で回転時の足元スペースを45mm拡大して使いやすさを向上させた。
車椅子移動車の「スローパー」は「リトラクタブルスロープ」というワンタッチでスロープの前倒が可能な収納式のスロープを新開発。
さらにリヤシートロック解除をワンタッチ式に変更。室内車椅子乗車スペース幅を20mm拡大し乗降性がアップした。
なお、ミラクルオープンステップ、ラクスマグリップはこの福祉車両以外のノーマルグレードでもオプションで装着可能とし、気軽に福祉車両のような補助機能を追加できるようにした。
4代目タント・Xセレクション/Xターボセレクションとは?の特徴と他グレードとの違い
その4代目タントに2019年12月。自然吸気エンジンの上級グレード、Xグレードと同ターボ仕様のXターボをベースにXグレードにはコンフォータブルパックを。
Xターボにはコンフォータブルパック、スマートクルーズパックを標準装備としつつ、お買い得としたグレードを使い設定した。それがこの「Xセレクション」と「Xターボセレクション」である。
コンフォータブルパック、スマートクルーズパックは今までオプション扱いの追加装備で、タントの快適性をアップさせるセットオプションである。具体的には…
「コンフォータブルパック」は外装に360°スーパーUV&IRカットガラスを。
内装では
- 格納式シートバックテーブル&シートバックポケット
- 運転席シートリフター(※4WDは既装備で2WDのみ)
- チルトステアリング、運転席&助手席シートリフター
- リアヒーターダクト
を追加装備する。Xセレクションではこれを標準装備化した。
もうひとつの「スマートクルーズパック」は
- アダプティブクルーズコントロール
- レーンキープコントロール
- スマートクルーズ専用ディスプレイ
- ステアリングスイッチ
- 運転席シートリフター
- チルトステアリング
- ETCユニット
- 本革巻きステアリング
- ドライブアシストイルミネーション
を追加装備。Xターボセレクションではこの上記2つのオプションを標準装備化した。
この追加装備にもかかわらず、自然吸気エンジン仕様のXセレクションはベースモデルと同じ価格。
XターボセレクションでのクルーズコントロールやACC専用ディスプレイ、本革巻ステアリングホイールなど豪華装備が付くにも関わらず8万円アップほどの価格設定で大変お買い得なグレードとなっていた。
なお、このあとの2020年12月の一部改良ではXセレクショングレードを無印のXとXターボに統合。Xセレクションの名前が消えてXとXターボに上記の追加装備が標準装備となった。
そのため2020年12月以降のモデルではセレクションの名前が無くともコンフォータブルパックやスマートクルーズパックが標準装備となっている。
エクステリア
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。4代目の顔つきは3代目までのイメージを残しつつ、より精悍さをアップさせた顔つきとなった。その見た目はタントカスタムと見間違うほどで初代から続くファニー路線を転換した印象を受ける。
XセレクションおよびXターボセレクションでは見た目上変更となる外装パーツの装着はなく、外観はベースモデルとまったく同じ。そのため見た目ではXセレクションなのかどうかを見分けるのは難しい。なお、ターボ仕様のXターボセレクションではグリルに穴が空いたターボ用グリルを装着する。
出典:ダイハツ認定中古車
ヘッドライトはハイロー独立式のLEDヘッドライトを標準装備。ポジションランプも全グレードでヘッドライトのまわりを覆うタイプのLEDとなる。
フォグランプは「LEDフォグランプキット」というものがダイハツ純正オプションとしてノーマルタントにも設定された。
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サイド。横からの見た目は先代とほぼ同じように見えるがボンネット先端の角が4代目ではより立って四角くなったのと、リアのクォーターガラスが4代目では少し小さくなった点が異なる。
XセレクションとXターボセレクションでは追加装備としてオプション扱いだった「360°スーパーUV&IRカットガラス」を標準装備。
全ての窓ガラスがスーパーUV&IRカットガラス仕様となり夏場の紫外線対策に効果がある。
出典:ダイハツ認定中古車
助手席側のドアは「ミラクルオープンドア」を引き続き採用。4代目ではこれをさらに発展させた「ミラクルウォークスルーパッケージ」を新たに採用。
出典:ダイハツ認定中古車
具体的には運転席のスライド量を最大540mmにし、かつ助手席のスライドレールを床に内蔵しスライド量を前方向に大幅に拡大。
床をフラットにしたことで運転席から一旦外に降りること無くそのまま後部座席に移動したり、助手席側のドアから乗り降りできるようにした。
これにより子育で中のママが後部座席の子供の世話を座ったまましやすくしたり、後部座席の荷物をとりやすくした。
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足元は全グレードで共通の14インチホイールキャップとなり、アルミホイールの設定はなし。
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リア。3代目タントからコンビランプが縦型に変更されたが、4代目もそれを踏襲。縦方向に少し大きくすることで視認性アップと存在感を大きくさせている。なお、先代同様にブレーキランプはLEDとなる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは大幅改良型のKF型直列3気筒自然吸気エンジンまたは同ターボエンジンの2種類(※先代では途中からノーマルタントにターボグレードが追加設定されたが、4代目ではデビューと同時に標準設定された)。
3代目タントに搭載されていたKF型をベースに(※発表時)日本初となるマルチスパークの採用やフワール噴霧を採用したことで燃焼効率を大幅に向上。
自然吸気エンジンは最高出力52ps(38kW)/6900rpm、最大トルク6.1kg・m(60N・m)/3600rpm。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6400rpm、最大トルク10.2kg・m(100N・m)/3600rpm。
これに新開発のスプリットギヤ(遊星歯車)を採用したD-CVTの採用でFFのJOC08モード燃費は27.2kmを達成した。
また「ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ」、略してDNGAの第1段として設計され軽量化もさることながらサスペンション性能を追求。
乗り心地と運動性能を高次元で両立させた。さらに静粛性もボディのエアロ加工による風切り音の低減と防音材の最適配置等で向上させている。
インテリア
出典:ダイハツ認定中古車
インパネ。 メーターはタント伝統のセンターメーターを引き続き採用しているが運転席寄りのセンターメーターに変更となった。
スピードメーターもデジタル表示でぱっと見での見やすさが向上した。左側には最廉価のLグレードを除きマルチインフォメーションディスプレイが標準装備となり、タコメーター、エコドライブ、オートエアコンステータス、時計などを切り替えられるようになっている。
さらに最左部にはXターボセレクションのみエコドライブアシスト照明付きドライブアシストイルミネーションが標準装備となる。
出典:ダイハツ認定中古車
ステアリング。セレクション仕様としてチルトステアリングを標準装備。
このほかXセレクションはノーマルと同じウレタンステアリングホイールだが、Xターボセレクションではスマートクルーズパックが適用され、メッキオーナメント入の本革巻ステアリングホイールとなる。
さらにXターボセレクションでは全車速追従機能付 ACC、レーンキープコントロール、スマートクルーズ専用ディスプレイ、運転支援用のステアリングスイッチ、ETC ユニット標準装備となる。
出典:ダイハツ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。セレクション仕様として運転席シートリフター、ヒートシーターは運転席&助手席の両方に標準装備となる(※4WD仕様ではヒートシーターはベースに既装備)。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシート。
出典:ダイハツ認定中古車
セレクション仕様として格納式シートバックテーブル&シートバックポケットが標準装備となる。
後部座席が広くて快適なタントに便利なテーブルとバックポケットが備わることでさらなる利便性が向上する。このほかセレクション仕様としてリアヒーターダクトも標準装備。
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ラゲッジルーム。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
出典:ダイハツ認定中古車
4代目タントに追加設定されたXセレクションとXターボセレクションは、上級グレードをベースにそれまでオプション扱いだった快適装備をプラスしつつ、お買い得としたグレードである。
特に自然吸気エンジンではお値段そのまま。ターボ仕様でもクルーズコントロールやETCユニット、本革巻ステアリングホイールなど高速巡航に便利な追加装備されてもわずか8万円アップに収まるお買い得なグレードであった。
その後タントは2020年12月の一部改良でこのセレクショングレードをノーマルに統合。セレクションを廃止して元のXグレードやXターボグレードでこれら快適装備が標準装備となった。
このため2020年12月以降のモデルであれば特に気にすること無く快適装備がプラスされた仕様となる。この点は中古車を検討する時に注意されたい(逆にいうと2020年12月以前のXやXターボにはこれら快適装備は前オーナーがオプション購入してないと付いていない)。
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