ダイハツ・コペンは、ダイハツのオープンカー型軽自動車。本稿では初代のL880K型を扱う。
出典:ガリバー
初代 ダイハツ・コペンとは?
2002年6月に登場した初代コペン。コンセプトは「ACTIVE TOP COMPACT OPEN」で、誰もが気軽に楽しめる本格的オープン・スポーツカーとして開発された。
独特の丸みを帯びたフォルムに丸目ヘッドライト、丸目コンビランプなど愛嬌ある外観に、ダイハツ伝統の4気筒DOHCツインスクロールターボエンジンを搭載。
見た目とは裏腹に走りもそこそこしっかりしておりかつての平成ABCトリオに代わる本格・軽スポーツとしてファンを増やしていった。
なんといっても特徴は、そのフォルム。軽自動車の用途からどうしても室内空間の確保に重点をおくが、この車は完璧なデザイン重視。
座席は完全なツーシーターで長いボンネット、さらには電電動油圧ポンプの開閉式ルーフを装備する本物のオープンスポーツカーである。
名前の由来は、ショーモデル時代は軽オープンカーからとって「K・OPEN」→KをCにもじって「COPEN」。実際の販売モデルではコンパクト(Compact)とオープン(Open car)を組み合わせた造語で「Copen」としている。
主な装備は上述の4気筒ターボエンジンのほか
- 専用サスペンション
- 油圧機構による電動開閉式ルーフ
- プロジェクター式ハロゲンヘッドライト(ロービーム)
- フォグランプ
- アルミホイール
- 専用スポーツシート(ファブリックタイプもしくはオプション設定の本革製)など
走りに特化させた装備で実用性やスペース優先のモデル(ミライースやムーヴ、タントなど)とは180度異なる趣味性の高いモデルとなっている。
トランスミッションには5MTと4ATを採用し、ATモデルではマニュアル変速モードを搭載し、専用セッティングで変速時の応答速度を向上させるなど、スポーツカーらしいフィーリングを実現している。
さらにコペンはダイハツのエキスパートセンター(大阪府 本社(池田)工場内)で生産し、熟練工による最終調整が施されプレミアム感も高いモデルである。
初代コペン(L880K)のグレード アクティブトップ、ディタッチャブルトップ、レザーパッケージ、タンレザーエディション、アルティメットエディションSや特別仕様車の違い
初代コペンのグレードは基本グレードが電動オープン装備の「アクティブトップ」、電動オープン非装備「ディタッチャブルトップ」の2種類。
モデル中盤から終盤には特別仕様車からカタロググレードに昇格した上級「レザーパッケージ」、「タンレザーエディション」、「アルティメットエディションS」などが設定されていた。
これ以外に内外装で質感を高めた特別仕様車が合計6種類、設定されていた。
アクティブトップ
初代コペンの基本グレード。別名ベースグレードとも。初代のデビュー当初からモデル終了まで設定のあったベーシックなグレード。
エクステリアではフォグランプを標準装備。ディスチャージヘッドランプはイモビライザーと2DINステレオ+フロント2スピーカーとセットで「Gパック」としてオプション設定。
デビュー当初はディスチャージヘッドランプをオプション設定としていたが、終盤の2010年8月一部改良でシートヒーターとセットで標準装備化された。
このほか15インチアルミホイール、フロントスタビライザーとリアスタビライザーを標準装備する。リアスポイラーはオプション設定。
インテリアでは3眼式スピードメーターに専用セミバケットシート、チルトステアリングやテレスコピックも基本グレードで標準装備となる。
オプション設定のレザーパックを選択すると、本革製スポーツシート+MOMO製本革巻きステアリング+専用ドアトリムの3点セットがつく。
快適装備ではパワステ、パワーウィンドウ、キーレスエントリーを標準装備する。
ディタッチャブルトップ
初代コペンの初期に設定されていたグレード。ルーフの電動オープン機構を排除し、非オープン仕様としたグレード。
オープン機構を取り除いたことで車重が若干軽くなり、剛性も増加するため走行性能が高くなる特徴がある。販売期間と生産台数が250台程度と少なく、中古車としては超希少グレード。
アクティブトップと比較してルーフスポイラーを標準装備するが、ルーフはアルミ製でなくディタッチャブルトップ専用の樹脂製ルーフとなる。
レザーパッケージ
2007年9月に追加設定されたグレード。従来オプションとなっていた「レザーパック」を標準装備し、通常グレードへと格上げしたモデル。
出典:ガリバー
レザーパッケージはベースグレードの「アクティブトップ」をベースに
- 赤色レザーのシートヒーター付き本革製スポーツシート
- 専用ドアトリム
- MOMO製ウッド&レザーステアリングホイール
を標準装備し、内装をより豪華にした仕様となっている。
タンレザーエディション
2007年9月に特別仕様車からカタロググレードに昇格したグレード。
内外装や装備は特別仕様車の「タンレザーエディション」と同じ。
アルティメットエディションS
2010年8月設定の特別仕様車。特別仕様車の「アルティメットエディションⅡ」と「アルティメットレザーエディション」を統合し、新設定とした上級グレード。
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アルティメットエディションSではそれまでの特別装備である
- 「ブラックメッキフロントグリル」
- 「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」
- 「BBSアルミホイール」
- 「クリアーコンビランプ」
等に加え、
内装で新たにアルティメットエディションⅡの「レカロシートまたは本革製スポーツシート」もしくはアルティメットレザーエディションの「MOMO製本革巻ステアリングホイールまたはMOMO製ウッド&レザーステアリング」から自由に組み合わせ(Select)が出来るようにした。
それまでのコペン特別仕様車が持っていた「持つ喜び」に加えて、「選ぶ喜び」を加えた仕様となっている。ちなみに「アルティメットエディショS」のSはSelect(選択)のSである。
特別仕様車 第1弾・ファーストアニバーサリーエディション
2003年7月設定の特別仕様車。記念すべき第1弾モデル。
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ファーストアニバーサリーエディションでは誕生1週年を記念し、タンレザーシートやモモ製ウッド&レザーステアリングに(※オプション設定の)ミニライト製ゴールドアルミホイールで内外装を欧州オープンカーのような雰囲気に仕立てたモデル。
ファーストアニバーサリーエディションは販売終了後、第2弾のセカンドアニバーサリーエディション登場。後に「タンレザーエディション」として再登場。
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※タンレザーエディション(ファーストアニバーサリーエディションの改名モデル)
タンレザーエディションはのちにカタロググレード化した。
特別仕様車 第2弾・セカンドアニバーサリーエディション
2004年6月設定の特別仕様車。第2弾。
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セカンドアニバーサリーエディションは誕生2周年を記念し、「レッド&ブラックのレカロシート」や「MOMO製本革巻ステアリングホイール」、「ドアトリム表皮」を与えスポーティ感をアップさせたモデル。
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ファーストアニバーサリーエディションに対し、よりスポーティな仕様としているのが特徴で、ノーマルよりも豪華な内装とディスチャージヘッドランプが標準装備となっていた。
特別仕様車 第3弾・アルティメットエディション
2006年6月設定の特別仕様車。
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アルティメットエディションでは「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」や「BBSアルミ」、「レカロシート」を標準装備したモデル。
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このあたりから特別仕様車では内外装以外に足回りで「ビルシュタイン社製ショックアブソーバー」を標準採用したり、「BBS製アルミホイール」もプラスするなど、走りの質感も高めた特別仕様車が登場する。
特別仕様車 第4弾・アルティメットエディションⅡ(メモリアル)
2008年12月設定の特別仕様車。
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アルティメットエディションⅡは前モデル、「アルティメットエディション」をバージョンアップさせ、ダークメッキグリルを追加装備しダイハツの創立100周年記念としたモデル。
「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」や「BBSアルミホイール」の装備はそのままに、アルティメットエディションよりもシックな雰囲気でさらに上級な雰囲気とした。
特別仕様車 第5弾・アルティメットレザーエディション
2009年9月設定の特別仕様車。
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アルティメットレザーエディションはアルティメットエディションⅡの外観にレカロシートではなく、上級なレザーシートを標準装備としたモデル。
ベースモデルは100周年記念の「アルティメットエディションⅡ」。これに加えて外装ではガンメタ塗装BBS製15インチアルミホイールを。
内装では
- ブラックまたはアイボリーの本革製スポーツシート(シートヒーター付)
- ブラックまたはアイボリーの専用ドアトリムクロス
- ブラックシート選択時はMOMO製本革ステアリングホイール
- アイボリーシート選択時はMOMO製ウッド&レザーステアリングホイール
を追加装備とした。
これ以外はアルティメットエディションⅡと共通で、外装に
- 「ブラックメッキフロントグリル」
- 「専用サイドエンブレム」
- 「クリアボディサイドターンランプ」
- 「クリアーコンビランプ」
- 「クリアーハイマウントストップランプ」
- 「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」
を標準装備。
内装では
- 「シャインブラックセンタークラスター」
- 「シャインブラックレジスターベゼルリング」
- 「メッキインナーハンドル」
- 「メッキパーキングブレーキバーボタン」
- 「メッキリング付きホワイトスピードメーター」
- 「シリアルプレート」
を標準装備する特別仕様車。
特別仕様車 第6弾(最終)・10thアニバーサリーエディション
2012年4月設定の特別仕様車。初代最後の特別モデル。
10thアニバーサリーエディションはコペンの10週年を記念したモデル。
外観にビルシュタイン製ショックアブソーバー、BBSアルミにレカロシート(もしくはレザーシート)など走りの面でも強化され初代コペンの中でも人気の特別仕様車。
エクステリア
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フロントデザイン。愛嬌のある丸型ヘッドライトとウィンカーが最大の特徴で、これにメッシュ形状のグリルが組み合わさり、可愛らしさの中にスポーティーな部分を持つデザインとなっている。
長く愛せる愛着感あふれるフロントだ。ヘッドライトはロービームがプロジェクター式となり、オプションでディスチャージヘッドライトを設定。
また、フォグランプも標準装備。なお、2010年8月マイナーチェンジではディスチャージヘッドライトが全グレードで標準装備化された。
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横からのデザイン。近年のスペース優先の軽自動車と比べるとボンネットが長いことがよくわかる。フロントもリヤも全体的に丸みを帯びており、丸目ヘッドライトと合わせて全体的にも可愛らしい。
足元は15インチアルミホイール(タイヤサイズは165/50R15)を標準装備。サスペンションも専用のものが装着される。
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後部は軽自動車初となる電動開閉式ルーフ(※一部グレードを除く)を備え、ボタン一つで気軽にオープンへ移行できる。
かつてダイハツにはリーザ スパイダーという軽オープンカーが存在したが、中途半端だったり構造上の問題点がありほとんど売れなかった。その時の反省点が大きく反映されている。
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リア。ヘッドライト同様に丸目のコンビランプを装着。リアのデザインも可愛らしく、一方でマフラーは二本出しとスポーティーな一面も持つ。「Copen」のエンブレムは斜めに取り付けられこの部分はオシャレだ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは熟成が進んだ4気筒のツインカムターボエンジン(JB-DET型水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ)。
オプティのエアロダウンビークスにも使われていた高性能エンジンでノーマル状態でも150馬力までパワーアップに耐えられるというシロモノ。
最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは11.2kg・m(110N・m)/3200rpmを発生する。この数字は歴代の軽自動車の中で最も高い。
また、本来80馬力程度あるエンジンなのだが、64馬力自主規制にあわせるためにあえて出力を抑えられたデチューンエンジンとなっている。そのため社外ECUなどに交換すると本来の姿を取り戻した楽しい4気筒ターボエンジンに変貌する。
トランスミッションは5MTまたはマニュアルモード付き4AT。駆動方式はFFのみとなる。
安全装備として運転席&助手席エアバッグ、EBD付きABSを標準装備する。
インテリア
インパネ。3眼メーターがスポーティーマインドを掻き立てる。希少なマニュアルもスポーティ感を与えてくれる。写真はベーシックグレードだが、アルティメットエディションなどの特別仕様車とモデル後半に設定された「レザーパッケージ」と「タンレザーエディション」グレードではモモステが標準装備される。
コペンのスピードメーター。左側にタコメーター、真ん中にスピードメーター、右側に水温計と燃料計が分かれた3眼式でとてもスポーティな雰囲気。
ATのシフトノブ。ゲート式を採用し、4ATながらマニュアルモードを備える。これによりATであってもスポーティーな走りを楽しめる。
シートはセミバケットシートタイプ。アルティメットエディションなどの特別仕様車では純正で専用レカロシートが付く。
特別仕様以外ではモデル後半に設定された「レザーパッケージ」グレードで「MOMO製本革ステアリングやシートヒーター付き本革製スポーツシートを標準装備。「タンレザーエディション」グレードではMOMO製ウッド&レザーステアリングに専用色シートを標準装備とした。
トランクルーム。オープン仕様では当然ながらオープン時しか機能しない。パット見広く見えるが高さのある荷物は全然積めないので注意。
まとめ&未だ初代コペン(L880K)が人気な理由とそのワケ
初代コペンは愛嬌あるフォルムに本格的な電動オープン機構、耐久性の高い4気筒ターボエンジン、走りを楽しめる5MTなど、実用性よりも走りに全振りした軽自動車の中でも異色のモデルであった。
初代コペンは10年以上に渡りコアなファンに愛され続けたたものの、残念ながら2012年の8月末で生産終了が決定し、2年2ヶ月後のブランクの後2代目コペンへと受け継がれた。
中古市場では2代目モデルが登場しているにも関わらず、人気が高く中古価格が高い。
その理由としては2代目がコペンの特徴でもあった高性能な4気筒ターボエンジンからエコカーと同じ3気筒ターボエンジンに変更されたため、希少性などから初代コペンにはプレミアム価値が付く傾向がある。
特に高年式車や特別仕様車(上述のアルティメットエディション、アルティメットエディション2、アルティメットレザーエディション、10thアニバーサリーエディション等)の特別仕様車はノーマルでも魅力がかなり高いため中古市場では高値で取引されている。
中古の軽乗用車としては異例の価格帯ではあるがそれほど人気と重要があることの裏返しといえそうだ。
また、2027年には初代コペンの初期モデルがアメリカ輸出可能となり、今後も価値があがり続けると思う。昨今の半導体不足による高騰は異常だが、大きくは値が下がらないので欲しい人は本格的に値上げする前の購入を強くオススメする。
コメント
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とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
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履歴書さん。はじめましてこんばんは。
気に入って頂けで嬉しいです。記事は基本的に土日に更新しています。まだまだ全車種をコンプリートするまで更新し続ける予定です。
これからもよろしくお願いします。
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はじめまして。
最後の10thアニバーサリーコペンユーザーとして嬉しい記事有難う御座います。
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はじめまして。こんにちは。
コペンは軽自動車史上でもかなり良い車だと思います。今年で生産終了になってしまいましたが、次期モデルに期待ですね。
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セカンドアニバーサリーが抜けてんぞ!
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ご指摘ありがとうございます。セカンドアニバーサリーエディションの項目を追記&記事としても新規追加しました。
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2003年6月に入れたレザーパッケージの事も書いて。その時の標準車はシートヒーター無しだったはず・・・