ミラジーノはダイハツの(クラシック風)ハッチバック型軽自動車。本稿では2代目のL660SおよびL660S型を扱う。
出典:ダイハツ認定中古車
ダイハツ 2代目・ミラジーノとは?
2004年11月にフルモデルチェンジし、2代目となったミラジーノ。2代目ミラジーノの特徴は初代のイメージを引き継ぎつつもボディを専用設計し、他のどのモデルとも似ていないオリジナリティが最大の特徴だ。
また、ボディ自体もひと回り上方向に大きくなったことで居住性が向上。加えて外観の可愛らしさもアップした。
メインターゲットは「友達感覚の仲良し親子(M&D=マザー&ドーター)」で、流行やブランドにとらわれない感性を持ったユーザーの心に響く「こだわりの新上質感」を持つモデルとしている。
エクステリアは、先代のクラシックな雰囲気を保ちつつ、現代的にアレンジしたようなデザインでよりキュートな顔つきに。
大型メッキフロントグリルや丸形ヘッドライトなどアイデンティティを継承しつつ、ポップなイメージで現代風にアレンジした。
インテリアでは丸や楕円をモチーフにやすらぎ感のあるデザインを表現。シートにはベロア調の生地を採用し、肌触りを良くした。また、内装色にはロマンティックローズを採用し、上質感も演出した。
出典:ダイハツ認定中古車
パッケージングは1850mmの室内長、1275mmの室内幅、840mmの前後乗員間距離で初代よりも室内長を130mm、室内高を70mmアップさせ室内空間を拡大。快適性をアップさせた。
また、最小回転半径も4.2mmと取り回しの良さを継続。
メカニズムでは引き続きEF型のエンジンを採用するも先代のターボモデルや5MTを廃止。4ATに一本化し完全な女性向けモデルとなった。
2代目ミラジーノでは自然吸気エンジンにキャラクターをしぼりダブルエフェクトサイレンサーの採用で床上の防音制振などにより静粛性を向上。
さらにスプリングやショックアブソーバーなどを最適にチューンしたサスペンションを採用し、快適な乗り心地を実現した。
快適装備としてはアジャスタブルパック(運転席シートリフターをチルトステアリング)とアジャスタブルショルダーベルトアンカーをグレード別に標準装備またはオプション設定。
プラスイオンとマイナスイオンを車室内に放出する「ピュアコンディショニングパック」、照明付き大型バニティミラー、ドアミラーターンランプも標準装備とした(※Lグレードは非装備)
また、同年代のミラ(L250S系)をベースとした吸音タイプの天井を採用し、吸音プラス遮音の効果を発揮するダブルエフェクトサイレンサー、床上の防音制振などにより静粛性を向上。チューニングしたサスペンションの採用で乗り心地もアップさせている。
安全装備としては運転席&助手席エアバッグ、プリテンショナー&フォースリミッター(運転席可変)機構付フロント3点式ELRシートベルトを全グレードに標準装備。
Lグレードを除いて全グレードにEBD&ブレーキアシスト付のABSも標準装備とした。
初代ミラジーノ(L700S系)と2代目ミラジーノ(L650S系)との違い
初代ミラジーノ(L700S系)と2代目ミラジーノ(L650S系)とでは外観、内装以外にトランスミッションの設定が大きく異る。
出典:ダイハツ認定中古車
※こちらは先代のミラジーノ(前期型)。
初代は5代目ミラ(L700系)をベースとしボディを流用して一部パーツやフロントまわりを専用設計していたが、2代目ではボディそのものを専用設計スタイリングが独特のフォルムとなっている。
出典:Goo-net
また、内装も2代目ではベースのミラとは異なり、完全な差別化がなされる(ただしインパネデザインはムーヴラテと同じタイプ)。
そしてエンジンやトランスミッションの設定にも大きな違いがあり、2代目ではターボエンジンが非設定で、かつマニュアルトランスミッション(5MT)も非設定となっている。
そのため中古市場ではターボ&5MTの組み合わせがある初代ミラジーノが人気で、5MTターボ車は数年前から中古価格が徐々に上昇し、高値で取引されている。
出典:ダイハツ認定中古車
一方で初代で人気だった「ミニライトスペシャル」は2代目でも継続設定される。
ミニライト製アルミホイールやブラック内装&モモステアリングなど初代とほぼ同じ仕様だが、ターボ仕様は非設定でかなり大人しいグレードとなった。
2代目ミラジーノ(L650S/L660S)のグレード L,X,ミニライトの違いなど
2代目ミラジーノのグレード展開は廉価グレード「L」、ミドル「X」、上級「Xリミテッド」、最上級「ミニライト」の4種類。
モデル中盤ではミドルグレードをベースにメッキ加飾などの装備を与えた「プレミアムX」を追加。その後特別仕様車の「プレミアムL」も追加されている。
L
2代目ミラジーノのエントリーグレード。装備を簡略化し価格を抑えたベーシックグレード。
エクステリアではフロントメッキグリルが付くが、13インチスチールホイール+ホイールキャップに、バンパーのメッキモールが非装備。リアのスモークガラスはオプション設定。
インテリアではマニュアル式エアコンを採用。安全装備ではEDB付きABSがオプション設定となっていた。
X
ミラジーノのミドルグレード。Lグレードよりも装備が拡充される。
エクステリアではLEDサイドターンランプ付きドアミラーとスモークガラスを標準装備。タイヤはスチールホイール+ホイールキャップだが、14インチ化される。
インテリアではフルオートエアコンにMDステレオを標準装備する。安全装備のEDB付きABSはXグレード以上で標準装備。
Xリミテッド
Xグレードをベースにメッキパーツやアルミホイール等でドレスアップした上級グレード。
エクステリアでは
- ディスチャージヘッドランプ
- 14インチアルミホイール
- バンパーメッキモール
- アウタードアメッキハンドル
- サイドアンダーメッキガーニッシュ
を標準装備。快適装備では「フルオートエアコン」が標準装備となる。
2005年12月にカタログ落ち。プレミアムXに移行した。
ミニライト
2代目ミラジーノの最上級グレード。専用格子状メッキグリルやミニライト製アルミホイール、専用ブラック内装でカスタムしたドレスアップグレード。
出典:ダイハツ認定中古車
エクステリアではミニライト製アルミホイールに専用グリル、フロントエアロバンパー、サイドアンダースポイラー、リアアンダースポイラー、ディスチャージヘッドライトを標準装備。
内装ではモモ製本革巻ステアリングホイールやメッキ文字2眼メーター、ブラック&チェック柄シートの採用でスポーティーな雰囲気を演出したモデル。
また、足回りにも手が入れられノーマルモデルよりも少し硬めのセッティングで、ミニライトらしい仕様としている。ただし、初代と異なりターボ仕様は非設定。
ミニライトについてはこちらから。
プレミアムX
2005年12月の一部改良時に追加設定された上級グレード。
出典:ガリバー
上級グレードである「X」をベースにエクステリアは
- 14インチアルミホイール
- メッキモール
- メッキアウターハンドル
- LEDターンランプ付きドアミラー
- フォグランプ
でクラシカルな雰囲気にカスタム。 ※ディスチャージヘッドライトはオプション設定に移行
出典:Goo-net
インテリアではベースに
- 本革&スエード調ファブリックシート(タン)
- ウッド調インパネクラスター
- MOMOウッドステアリング
- ウッド調シフトノブ
- タコメーター付きメッキ文字2眼式スピードメーター
を標準装備。
クラシカルさと上質なイメージを向上させたモデルで、「Xリミテッド」の後継グレードとなる。
プレミアムXについてはこちらから。
プレミアムL
ミラジーノ プレミアムLについて
2006年9月の一部改良で追加された特別仕様車。
出典:ガリバー
最廉価のLグレードをベースにメッキバンパーモールやメッキドアアウターハンドル、メッキサイドロッカーモール、アルミホイール、LEDターンランプ付きドアミラー、スモークガラスなど外部をメッキパーツでカスタム。
内装ではウッド調パネル等とMOMOウッドステアリング、ウッドシフトノブでより上質としつつも価格を抑えた特別仕様車。
プレミアムLについてはこちらから。
プレミアムXとプレミアムLとの違い
プレミアムXに比べるとほぼ外観は同じだが、内装ではプレミアムXの本革&スエード調ファブリックシートが省略され、ノーマルのLグレードと同じシート表皮するなど一部省略される部分がある。
さらにプレミアムXにオプション設定のディスチャージヘッドライトはプレミアムLには非設定。
また、エアコンがプレミアムXが「オートエアコン」に対し、プレミアムLは「マニュアル式エアコン」、スピードメーターが「タコメーター付き2眼式メーター」と「タコメーターなし単眼式メーター」などの違いもある。
エクステリア(外装)
フロント
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。2代目ではミラジーノのアイデンティティーであった丸目を踏襲しつつもより大型に。かつ愛嬌ある異型丸型とした。
よく見ると縦方向に楕円形を描いておりこれがフロントデザインにワンポイントの可愛らしさを与えている。初代は主に女性向けだったが、2代目ではそれが濃くなり完全な女性向けモデルへと切り替わっている。
これに加えて先代同様のクラシカルな大型メッキグリルを標準装備。ミラジーノらしさを表現した。
ミニライト専用メッキグリル&ディスチャージヘッドランプ
出典:ダイハツ認定中古車
なお、最上級グレードの「ミニライト」(ミニライトスペシャル後継グレード)では専用のメッシュ形状グリルにヘッドライトがハイロー独立タイプとなり、加えてロービームがディスチャージ化される。
サイド
出典:ダイハツ認定中古車
サイド。2代目ではボディサイズを上方向に拡大。先代のイメージは残しつつも独特のボディフォルムとなっている。
ミラジーノの純正タイヤ
全高は高くなったものの乗用車らしさは表現されており絶妙な高さといえよう。スペース重視の箱型にはない素晴らしい部分だ。
ベーシック(最廉価)なLグレードでは13インチスチールホイール+ホイールキャップ(タイヤサイズは155/65R13)となるが、
上級グレードでは14インチホイールキャップまたは
ミラジーノ純正アルミホイール
14インチアルミホイール(ダイハツオリジナルまたはミニライトアルミ)となる(タイヤサイズは155/65R14)。
ミニライト専用アルミホイール
ミニライトグレードでは先代と同じイギリスのミニライト社製アルミホイールを標準装備。サイズも15インチ化されタイヤサイズは165/55R15。
リア
出典:ダイハツ認定中古車
リア。コンビランプは初代のデザインを踏襲しつつもよりスタイリッシュに進化。マルチリフレクターのキラキラ感もあってより上質な外観となっている。
後部のDピーラー付近は独特の曲線を描いておりここが乗用車チックに見える部分でもある。なお、Lグレード以上のプレミアムXやプレミアムLではバンパーやフェンダーモール等にメッキパーツが装着されより見た目が良くなる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジン
エンジンはEF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は58ps(43kW)/7600rpm、最大トルクは6.5kg・m(64N・m)/4000rpm。
トランスミッションは4ATのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。先代ではターボモデルが存在したが、2代目ではターゲットを女性に絞ったため廃止されている。
安全装備は運転席&助手席エアバッグを標準装備、ABSはLグレードを除いて標準装備する。
初代ミラジーノのターボ仕様はクラシカルなデザインに反する動力性能&MTでコアな男性ユーザーのファンが多かったが、それがターゲットでないとなるといた仕方ない部分か。
2代目は最上級の「ミニライト」でもターボ仕様が非設定となった。
※ちなみにムーヴラテ用のターボエンジンを2代目ミラジーノに移植したメーカー非公式のターボ仕様は存在する
安全装備
安全装備のEDB付きABSは廉価グレードLを除いた全グレードに標準装備。運転席&助手席エアバッグは全グレードに標準装備。
2代目ミラジーノ L650SとL660Sとの違い
2代目ミラジーノのL650SとL660Sとの違いは駆動方式。L650Sは前輪を駆動するFFのミラジーノ。L660SはL650Sをベースに全部のタイヤを駆動する4WDのミラジーノ。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
インテリア(内装)
インパネ
出典:Goo-net
インパネ。ベーシックなLとスタンダートなXグレード、ミニライトグレードでではシンプルにツートンカラーのパネル。
出典:Goo-net
プレミアムXやプレミアムLではウッド調パネルとなる。
ステアリング
出典:Goo-net
ベーシックなグレードではノーマルステアリングだが、
出典:Goo-net
プレミアム系グレードではモモのウッドステアリングとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
ミニライトでは非ウッドのモモ本革巻きステアリングホイール。
スピードメーター
出典:Goo-net
スピードメーター。ベーシックグレードではタコメーター無し。
出典:Goo-net
プレミアムXやプレミアムL、ミニライトではタコメーター付きとなる。
エアコンはL系グレードがマニュアル式エアコン。Xやミニライトではオートエアコンとなる。
シフトレバー
出典:ダイハツ認定中古車
ATはフロアシフト。
フロントシート
出典:ダイハツ認定中古車
フロントシートはセパレートタイプ。L系グレードではベージュ系のシート表皮&ドアトリムクロスで初代のようなレトロな雰囲気とした。
出典:ダイハツ認定中古車
ミニライトでは専用のブラック系シート。
出典:ダイハツ認定中古車
プレミアムXでは専用のハーフレザーシートでレトロに加えて上級な雰囲気とした。
リアシート
出典:ダイハツ認定中古車
リアシート。
ラゲッジスペース
出典:ダイハツ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
2代目ミラジーノの総評
2代目ミラジーノは、初代のデザインをモチーフに6代目ミラのボディスタイルを適用。居住性を向上しつつモダンかつデザインの優れた軽自動車となった。
その一方で初代のようなターボ仕様や5MTが完全廃止され、モデル後半でも搭載されることはなかった。そのためユーザーが完全に女性メインの軽自動車となったのも最大の特徴である。
ライバルは当然ながらスズキのラパンであった。
ターボが無いので街乗り中心となるが、その個性的な顔つきとボディスタイルから黄色ナンバーでなければ軽自動車には見えないコンパクトカー的なモデルである。
2代目ミラジーノのおすすめグレード
ノーマルモデルでは装備が普通なのだが、2005年12月追加のプレミアムXでは初代・後期型ミラジーノのようなメッキバンパーモールに本革&スエード調フルファブリックシートや木目調パネル&モモ製ウッドステアリングを標準装備するためレトロ感あふれる上質な内外装となっている。
より個性や内装にこだわりたい人はプレミアムXがオススメだ。
出典:ダイハツ認定中古車
現在では生産を終了し、後継にミラ・ココア登場したが今でも色褪せないデザインはやはり優秀。中古市場では初代の方が人気があり、この2代目は安い傾向がある。
2代目ミラジーノの生産終了と後継モデル
2代目ミラジーノは2009年4月に生産終了し、2代10年の歴史に幕を下ろすこととなった。その後はミラココアが事実上の後継モデルとして販売。
ミラココアの生産終了後はムーヴキャンバスやミラトコットなどがミラジーノの立ち位置を継承している。
2代目ミラジーノの中古車は安価・割安でかなり買いやすい
2代目ミラジーノの中古車は、初代よりも全体的に安く走行距離の割にかなり買いやすい価格帯となっている。
一方で一番新してくも15年以上経過する古いモデルに突入しているため、2代目モデルといえど経年劣化や故障しそうなところは壊れる前に予備整備するなど、メンテナンスが必要な個体が多いことに注意したい。
後継モデルのミラココアも最近は前期モデルの中古価格が下落してきているので、ミラジーノにこだわりがないのなら故障リスクも含めてミラココアの方が金銭的にも安上がりか。
ただ、ミラココアにはない独特のスタイリングはこちらが優れているので、街乗りユースで日常での足など、価格の割に満足感や所有感を満たしてくれる1台となるはずだ。
初代ミラジーノはアメリカ25年ルールで2024年から初期モデルが輸出可能で中古価格が上昇中?
初代ミラジーノの登場は1999年。アメリカの25年ルールが適用されるのは2024年からで、初代・前期型ミラジーノの初期モデルが輸出可能となる。
アメリカでは現在、ビートやカプチーノ、AZ-1といったスポーツモデルや、軽トラックが人気となっており、個性的な初代ミラジーノも輸出開始となればアメリカで人気が出ると管理人はみている。
軽自動車サイズでありながら優れたデザインは20年以上経過しても衰えておらず、クラシックなデザインが好きなアメリカ人に好まれるはずだ。
特に4AT以外にミニライトスペシャルには5MT&ターボの設定があるため、今後は国内の根強い需要に加え、輸出を見据えたアメリカ需要の潜在的な要因から値段が下がること無く、ゆるやかに上昇していくと思われる。
もし2代目でなく初代のミラジーノが気に入ったのなら本格的に価格上昇する前に購入することを強くオススメする。
ただし初代ミラジーノは年数経過もあり要メンテンナンスや予備整備など、高年式のモデルよりは確実にトラブルや故障のリスクがあることをお忘れなく。
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