ミラジーノは、ダイハツのハッチバック型軽自動車。本稿では2002年8月マイナーチェンジ~2004年10月までを後期型とし、これを扱う。
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初代 ダイハツ・ミラジーノとは?
1999年3月登場のダイハツ・ミラジーノ。初代のミラジーノは先にデビューした5代目ミラをベースにクラシック風の外観と内装をまとわせたモデルである。
ターゲットはクラシック志向層。この手のパイオニア的存在であるスバル・ヴィヴィオ ビストロの大ヒットにより1990年代中盤ではホンダを除くスズキ、ダイハツ、三菱、マツダの各社が後追いする形で既存モデルをベースとしたクラシック風モデルを展開していた。
そこから軽クラシックモデルの需要を見出したダイハツが、1998年10月の軽乗用車新規格後に新たに登場させた本格クラシックテイストの軽乗用車がミラ・ジーノである。
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ミラジーノは5代目ミラをベースに専用設計したボンネットフードとフェンダー、丸型マルチリフレクターヘッドライト、バンパーメッキモル、大型メッキグリル、専用リアコンビランプなどでベースとは異なるクラシックな雰囲気を演出。
内装でもウッドステアリングやウッド調パネル、専用シートに、専用ドアトリムクロスに専用ホワイトメーターなどを与えミラよりも上級かつファッショナブルなミニセダンとなっていた。
メカニズムは5代目ミラと同じくEF型の3気筒自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類を設定。特にターボ仕様(ミラジーノ ターボ)には5MTも設定され、前モデルのミラ・クラシック時代とは異なり、走りを求める男性にも人気のモデルであった。
このほかに衝突安全ボディのTAFを採用し新国内衝突安全基準および新欧州衝突安全基準に余裕をもたせたて対応。
運転席エアバッグの標準装備やブレーキアシスト付きABSのオプション設定など安全面でも順当な進化を果たしていた。
初代・後期型ミラジーノの改良点と前期との違い
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その初代ミラジーノは2002年8月のマイナーチェンジで内外装を一新し後期型となった。
後期型では新デザインのフロントメッキグリルを採用したほか、リヤライセンスガーニッシュにダイハツマークをプラスしより外観をスタイリッシュに。
内装ではフラットタイプの新インパネや2眼ホワイトメーター(電気式)を採用 。
さらにシート表皮をそれまでとは異なるプロテインレザーシートを新規採用しさらなる上級感を与えたマイナーチェンジとなっている。
後期型・初代ミラジーノのグレード ミラジーノ、ミニライトスペシャル、ジーノ・ターボ、ミニライトスペシャルターボの違いなど
初代ミラジーノ後期のグレード展開はベーシックな「ジーノ」、上級「ミニライトスペシャル」、ベーシック・ターボ仕様「ジーノ・ターボ」、最上級「ミニライトスペシャルターボ」の4種類。
ジーノ・ターボとミニライトスペシャルは4ATのみの設定。ジーノとミニライトスペシャルターボは4ATと5MTの2種類を設定していた。
特に後期ミニライトスペシャルターボの5MTは人気モデルで、タマ数も少ないことから中古市場では高値となりやすい。
ジーノ(ベースグレード)
後期ミラジーノのベーシックグレード。
エクステリアはメッキグリルやメッキバンパー、ホイールキャップでベーシックかつレトロな装備。フォグランプやアルミホイールはオプション設定。
インテリアは木目調インパネセンターガーニッシュ&メーターガーニッシュでレトロな雰囲気を与え、オプション設定でウッド×本革巻きステアリングを設定。
シート表皮はベージュのプロテインレザーシートを採用し、レトロ感と上質な雰囲気を演出する。
快適装備はマニュアル式エアコン、パワステ、パワーウィンドウ、電波式キーレスエントリーを標準装備。
安全装備は運転席&助手席エアバッグが標準装備で、ABSはオプション設定。
トランスミッションは4ATのほか、5MTも設定する。
ジーノ・ターボ
上記ジーノにターボエンジンを搭載したグレード。4ATのみの設定だが、加速など走りが良くなるグレード。
ジーノターボではABSを標準装備する。
ミニライトスペシャル
ジーノの上級グレード。
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エクステリアではイギリスのミニライト製アルミホイールやディスチャージヘッドランプ(ハイ&ロービーム)、メッキ電動格納ドアミラー、純正オプションのフォグランプ(ホワイト色)を標準装備。
インテリアではブラック木目調センターガーニッシュやブラックシート表皮の採用で、ジーノよりもスポーティかつ上級感を与えたグレード。
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初代ミラジーノの中でも人気のグレード。4ATのみの設定。
ミニライトスペシャルターボ
上記ミニライトスペシャルにターボエンジンを搭載した最上級ターボ仕様。
自然吸気エンジン仕様のミニライトスペシャルでは4ATのみの設定だったが、ミニライトスペシャルターボでは5TMも設定され、走りを楽しめるグレードだった。
また、ミニライトスペシャルターボにはディスチャージヘッドランプ、本革巻きステアリング、EBD付きABS、2DIN AM/FM付CD/MDステレオ&16cmフロントスピーカーやメッキサイドロッカーモールも標準装備された。
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そのため発売当初から男性ユーザーに人気が高く、現在でも中古市場では人気が衰えない。MTはタマ数も少ないことから「ターボ&5MTモデル」は高値となりやすい。
エクステリア(外装)
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フロントデザイン。後期型ではフロントメッキグリルが大型化された。前期型よりも一番外の縁のラインが太くなり迫力がアップ。
これに伴い中心部の細いラインは6本から5本に変更された(前期型グリルか後期型グリルを見分けるポイントはこの2点)。この変更によりミラジーノのレトロ感がパワーアップし、存在感が大きくなった。
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サイド。このあたりは特に変更はなし。後期型では新ボディカラーとして「スチールグレーメタリック」、「シャンパンメタリックオパール」、「ラベンダーメタリックオパール」(写真色)の3色が追加された。
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足元は引き続き13インチフルホイールキャップ。ミニライトスペシャルではミニライト製アルミホイールが標準装備となる。
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リア。後期型では中期型より採用のライセンスガーニッシュに新たにダイハツマークが加わった。
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これ以外ではバックドア右下にあったミラデカールが、左のGinoエンブレムの上に移動している。
エンジン・機能装備・安全装備など
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エンジンは前期と同じくEF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンとインタークーラー付きターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンは可変バルブタイミング機構(VVT)を搭載し、最高出力は58ps(43kW)/7600rpm、最大トルクは6.5kg・m(63.7N・m)/4000rpm。
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ターボエンジンはインタークーラー付きで最高出力64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは10.9kg・m(106.9N・m)/3600rpm。
ちょうど5代目ミラのターボモデル(ミラ・TR)などと同じ仕様だ。これに5MT、4AT(2WDのターボは電子制御式4速オートマチック(ESAT))の2種類を設定。
なお、2001年10月マイナーチェンジで追加されたCVTは、この後期型で廃止となった。
さらに中期型で一旦消滅していたミニライト仕様ではないノーマルのターボモデルはこの後期型で復活。中期型よりも価格が安くなって良心的となっていた。
安全装備として全グレードで運転席&助手席エアバッグを標準装備。ABSはジーノのみオプション設定。それ以外のグレードでは標準装備する。
ミラジーノL700SとL710Sの違い
L700SとL710Sの違いは駆動方式にある。
L700Sは前輪駆動のFFモデル。L710SはFFベースの4WDモデルとなる。
なお、ベースモデルのミラとは型式がまったく同じで、専用外装や専用内装以外の基本部品は全く同じ仕様となる。
L710Sの4WDシステムにはビスカスカップリングが用いられ、普段はFFで走行し負荷が加わると自動的に4WDに切り替わるタイプ。
ジムニーなどのパートタイム4WDと比べ街乗りでは扱いやすく、タイトコーナーブレーキング現象も起きづらいため街乗り4WDには多く用いられる。
ただし、ビスカスカップリングには寿命があり過走行な4WDミラジーノ(L710S)の場合、ビスカスカップリングが寿命を迎えている場合がある。
カーブや駐車時などハンドルをきり後方から異音がしないか確認することをオススメする。
インテリア(内装)
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インパネ。後期型では右半分のメーター部分が新デザインとなり、前期型や中期型よりもレトロ感や質感がアップした。ノーマルではウッド調パネル。ミニライトスペシャルでは黒系となる。
初代ミラジーノの中でも後期モデルのインパネが最も質感が高く、人気の理由となっている。
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ステアリングも引き続きノーマル系ではウッド&本革巻ステアリングホイール(※オプション設定)となるが、後期型ではデザインが変更された(形状変更とDマークが追加)。
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スピードメーター。後期型ではスピードメーターのデザインを大幅変更。スポーティーかつクラシカルな雰囲気あふれる2眼メーターとなった。さらに燃料計と走行距離などはデジタル表示となる。
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フロントシートはセパレートタイプ。後期型では新たにプロテインレザーシートを新規採用。
ノーマル系では茶色にセンターがファブリック仕様となり、メーター周りとあわせて内装の雰囲気が一気に良くなった。なお、シフトノブまわりは変更がなく、前期型と同じとなる。
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リアシートもプロテインレザーシート。ただし、引き続きスライド機構は非装備。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
まとめ
初代・後期ミラジーノの総評
初代・ミラジーノの後期型は大型化されたフロントグリルにダイハツマークが加えられたライセンスガーニッシュ、内装では2眼メーターにプロテインレザーシートの採用で、初代ミラジーノの中では最も上級感あふれる仕様となっている。
シフトノブまわりはデザインが古臭いのだが、それ以外に関しては年数が経過しても古さを感じない独特の雰囲気を持っており、元々がレトロモデルとあって今なお魅力的な1台である。
そのため初代ミラジーノの中ではこの後期型が一番人気で、中古市場で程度の良い個体が出てくると10年以上も前のモデルにかかわらずいい値段が付く場合がある。
特に最上級の「ミニライトスペシャル」やそのターボ仕様である「ミニライトスペシャルターボ」ではそれが顕著で、ちょっと手頃な足車には向かないぐらい価値が高くなることがある。
この後ミラジーノは2004年11月にフルモデルチェンジし2代目へバトンタッチする。2代目では初代のイメージを引き継ぎつつもより現代風にアレンジした外観となり、さらにターボモデルなしの女性専用モデルにシフトする。
この点からも初代のターボモデル&5MTは希少かつ需要が高く、中古市場では高値となりやすい。
アメリカ25年ルール解禁でミラジーノが2024年に輸出開始 中古価格が上昇中?
初代ミラジーノの登場は1999年。アメリカの25年ルールが適用されるのは2024年からで、初代・前期型ミラジーノの初期モデルが輸出可能となる。
アメリカでは現在、ビートやカプチーノ、AZ-1といったスポーツモデルや、軽トラックが人気となっており、個性的な初代ミラジーノも輸出開始となればアメリカで人気が出ると管理人はみている。
軽自動車サイズでありながら優れたデザインは20年以上経過しても衰えておらず、クラシックなデザインが好きなアメリカ人に好まれるはずだ。
特に4AT以外にミニライトスペシャルには5MT&ターボの設定があるため、今後は国内の根強い需要に加え、輸出を見据えたアメリカ需要の潜在的な要因から値段が下がること無く、ゆるやかに上昇していくと思われる。
もしミラジーノが気に入ったのなら本格的に価格上昇する前に購入することを強くオススメする。
ただし初代ミラジーノは年数経過もあり要メンテンナンスや予備整備など、高年式のモデルよりは確実にトラブルや故障のリスクがあることをお忘れなく。
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