ミラジーノは、ダイハツのハッチバック型軽自動車。本稿では2000年10月マイナーチェンジ~2002年7月までを中期型とし、これを扱う。
初代 ダイハツ・ミラジーノとは?特徴など
1999年3月登場のダイハツ・ミラジーノ。初代のミラジーノは先にデビューした5代目ミラをベースにクラシック風の外観と内装をまとわせたモデルである。
ターゲットはクラシック志向層。この手のパイオニア的存在であるスバル・ヴィヴィオ ビストロの大ヒットにより1999年代中盤ではホンダを除くスズキ、ダイハツ、三菱、マツダの各社が後追いする形で既存モデルをベースとしたクラシック風モデルを展開していた。
そこから軽クラシックモデルの需要を見出したダイハツが、1998年10月の軽乗用車新規格後に新たに登場させた本格クラシックテイストの軽乗用車がミラ・ジーノである。
ミラジーノは5代目ミラをベースに専用設計したボンネットフードとフェンダー、丸型マルチリフレクターヘッドライト、バンパーメッキモル、大型メッキグリル、専用リアコンビランプなどでベースとは異なるクラシックな雰囲気を演出。
内装でもウッドステアリングやウッド調パネル、専用シートに、専用ドアトリムクロスに専用ホワイトメーターなどを与えミラよりも上級かつファッショナブルなミニセダンとなっていた。
メカニズムは5代目ミラと同じくEF型の3気筒自然吸気エンジン(可変バルブタイミング機構付き)とターボエンジンの2種類を設定。
特にターボ仕様(ミラジーノ ターボ)には5MTも設定され、前モデルのミラ・クラシック時代とは異なり、走りを求める男性にも人気のモデルであった。
このほかに衝突安全ボディのTAFを採用し新国内衝突安全基準および新欧州衝突安全基準に余裕をもたせたて対応。
運転席エアバッグの標準装備やブレーキアシスト付きABSのオプション設定など安全面でも順当な進化を果たしていた。
初代ミラジーノ L700SとL710Sの違い
L700SとL710Sの違いは駆動方式にある。
L700Sは前輪駆動のFFモデル。L710SはFFベースの4WDモデルとなる。なお、ベースモデルのミラとは型式がまったく同じで、専用外装や専用内装以外の基本部品は全く同じ仕様となる。
L710Sの4WDには通称:「街乗り4WD」と呼ばれるビスカスカップリングを用いたオンデマンド式の4WDが採用されている。これは普段はFFで走行し、滑ると自動的に4WDに切り替わるシステム。
ジムニーのような本格4WDに採用されるパートタイム4WDに比べて扱いやすく、燃費も良く、タイトコーナーブレーキング現象も起きない特徴がある。
ただし、ビスカスカップリングは過走行の場合寿命となるケースもあり、過走行な4WDのミラジーノを購入する場合は異音がしないかカーブや駐車場でハンドルをきって試乗するなど確認することをオススメする。
初代ミラジーノ(L700S/L710S)中期型の改良点と前期との違い
その初代ミラジーノは2000年10月マイナーチェンジで中期型になった。

初代・前期型ミラジーノのフロント
中期型では新意匠のメッキグリルとリヤライセンスガーニッシュ、リヤコンビランプを採用し、外観を若干リフレッシュ。
メッキグリルは少し横長の楕円形デザインとなり、リアコンビランプにはメッキモールが追加され上質感がアップした。

初代・前期型ミラジーノの内装
内装ではシート表皮とメータースピードのデザインを刷新し、前期型までのイメージを変化させた。
また、ボディカラーにブリティッシュグリーンマイカとレッドの新色2色を追加。
魅力的な新グレードとして3ドアモデル+ターボエンジンの「ミラ ジーノS」やイギリスのアルミホイールブランド、ミニライトとタイアップした特別仕様車の「ミニライトスペシャル」を設定し、よりスポーティーかつクラシックな雰囲気を高めた。
メカニズムでは衝突安全ボディ、TAF(タフ)の性能向上および乗員にやさしい安全インテリア「SOFI(ソフィ)」の採用。
MTモデルでは新たに「クラッチスタートシステム」を標準採用し安全面を強化した。
初代・中期型ミラジーノのグレード ジーノ、ジーノ・ターボ、ミニライトスペシャル、ジーノS、メモリアルエディション、リミテッドの違いなど
初代中期型ミラジーノのグレード展開はベーシックな「ジーノ」、ベーシック・ターボ仕様「ジーノ・ターボ」、3ドアターボ仕様「ジーノS」、上級「ミニライトスペシャル」、上級ターボ「ミニライトスペシャルターボ」の5種類。
この中の「ジーノS」は中期型だけに設定されたモデルで、初代ミラジーノの中でも珍しい3ドアハッチバックボディにターボエンジンを組み合わせたスポーティなグレード。
5MTの設定もあったがタマ数が極端に少なく、ミニライトスペシャルターボよりも高値が付くこともある。
中期型のモデル後半には特別仕様車として「メモリアルエディション」を追加。このほか追加グレードで「リミテッド」や「ハローキティ」が設定された。
ジーノ(ベースグレード)
中期ミラジーノのベーシックグレード。
エクステリアはメッキグリルやメッキバンパー、ホイールキャップでベーシックかつレトロな装備。フォグランプやアルミホイールはオプション設定。
インテリアは木目調インパネセンターガーニッシュ&メーターガーニッシュでレトロな雰囲気を与え、オプション設定でウッド×本革巻きステアリングを設定。
シート表皮は中期モデルでベージュ色+チェック柄を採用し、レトロ感と上質な雰囲気を演出する。
快適装備はマニュアル式エアコン、パワステ、パワーウィンドウ、電波式キーレスエントリーを標準装備。
安全装備は運転席&助手席エアバッグが標準装備で、ABSはオプション設定。
トランスミッションは4ATのほか、5MTも設定する。
ジーノ・ターボ
上記ジーノにターボエンジンを搭載したグレード。4ATのみの設定だが、加速など走りが良くなるグレード。
ジーノ・ターボではABSを標準装備する。
2001年1月の一部改良でカタログ落ちとなっため、中期型のジーノ・ターボはタマ数が少ない。
ミニライトスペシャル
中期型ミラジーノで新設定された上級・カスタムモデル。
エクステリアではイギリスのミニライト製アルミホイールやディスチャージヘッドランプ(ハイロー共通)、純正オプションのフォグランプを標準装備。
インテリアではブラック木目調センターガーニッシュやブラックシート表皮の採用で、ジーノよりもスポーティかつ上級感を与えたグレード。
初代ミラジーノの中でも人気のグレード。4ATのみの設定。

ミニライトスペシャルターボ
2001年10月の一部改良で追加された新グレード。上記「ミニライトスペシャル」にターボエンジンを搭載した上級ターボ仕様のカスタムモデル。
ミニライトスペシャルターボには4ATのほか5TMも設定され、走りも楽しめるグレードだった。
また、ミニライトスペシャルターボにはディスチャージヘッドランプ、本革巻きステアリング、EBD付きABS、2DIN AM/FM付CD/MDステレオ&16cmフロントスピーカーやメッキサイドロッカーモールも標準装備された。
そのため発売当初から男性ユーザーに人気が高く、現在でも中古市場では人気が衰えない。MTはタマ数も少ないことから「ターボ&5MTモデル」は高値となりやすい。

ジーノS
中期型ミラジーノに新設されたスポーツグレード。
初代ミラジーノの中でも珍しい3ドアハッチバックのボディにターボエンジンを組み合わせたグレード。
外装はミニライトスペシャルと同じフォグランプ、ミニライト製アルミ、メッキドアハンドルやメッキドアミラーなど精悍さとスポーティさをアップさせたグレード。
エンジンもEF-DET型水冷直列3気筒DOHC12バルブICターボエンジンのみの設定で、これに5MTまたは4ATを組み合わせ、初代ミラジーノの中でもよりスポーツ志向なホットモデルとしていた。
タマ数が極端に少なく、初代ミラジーノの中でもレア中のレア。

2001年10月の一部改良で廃止。ミニライトスペシャルターボに置き換えられた。
サンリオコラボ ハローキティ
2001年12月発売のコラボ仕様車。サンリオの人気キャラクター、「ハローキティ」とコラボした特別なミラジーノ。
ベースモデルをミニライト社とタイアップした「ミラ・ジーノ ミニライトスペシャル」とし、
外装では
- 専用ハローキティフードマーク
- ハローキティアルミホイールセンターキャップ
- ハローキティサイドデカール
- ハローキティバックドアエンブレム
- ホログラムマーク、メッキドアロックノブ
- マスコットキー
- リアドアとバックドアウィンドウにスモークガラス
を標準装備。
内装ではハローキティ仕様の専用メーターにハローキティマーク付き専用フロントシートを。
快適装備として2DIN CD/MD・AM/FM付ステレオを標準装備。
初代ミラジーノのミニライトスペシャルにハローキティを組み合わせて、内外装で特別感をプラスした特別仕様車。
こちらもジーノSと同じく希少モデルとなっている。

特別仕様車 ジーノ メモリアルエディション/ミニライトスペシャル メモリアルエディション
2001年5月設定の特別仕様車。ジーノとミニライトスペシャルにカロッツェリア製CDオーディオやメッキドアミラーなどを標準装備としつつ、お買い得した特別仕様車。
ともに2DIN CD/MD・AM/FM付きステレオ(カロッツェリア)、メッキ電動格納式ドアミラー、メッキサイドロッカーモールなどを特別装備。
ジーノメモリアルエディションには追加でウッド調センタークラスターが付く。
ボディカラーはベースモデルよりも1色少ない全4色(シルバーメタリック、ブリティッシュグリーンマイカ、ディープブラウンマイカ、パールホワイトI <オプション>)となっていた。
ジーノリミテッド/ミニライトスペシャルリミテッド
上記「メモリアルエディション」をカタロググレードに昇格したグレード。
ジーノリミテッドはジーノメモリアルエディション。
ミニライトスペシャルリミテッドはミニライトスペシャルメモリアルエディションに相当する。
エクステリア(外装)
フロントデザイン。外観では小変更のためほとんど前期型と見分けは付かない。一応、ダイハツ公式アナウンスでは「フロントグリルを新意匠」としているのだが、パット見は前期と同じだ。
前期型と同じくミラジーノではフロントのパーツのほとんどを専用設計。これによりベースのミラとは全く異なる個性的な外観となっている。
具体的には丸型マルチリフレクターヘッドライト、ボンネット、フェンダー、グリル、バンパー、ウィンカー、バンパーメッキモールをミラジーノ専用に新設計。
5代目ミラはオーソドックスなヘッドライト&グリルのベーシックなモデルだったため、その違いが際立つ。デザイン的にも低い全高のミラに良く似合うもので、デビュー当初から大人気のモデルであった。
なお、中期型(2000年10月マイナーチェンジ)以降でターボ仕様のボンネットエアダクトが廃止。これにより外観ではターボなのかNAなのか見分けがつかなくなった。
サイドにかけてはベースのミラとほとんど同じ。中期型での変更点もない。丸目ヘッドライトのせいでボンネットが少し出ており、全体的にはボンネットが少し長く&バランスよく見える。
2001年10月一部改良では青系の新ボディカラーとして「マジョリカブルーマイカメタリック」が追加された。
足元は13インチフルホイールキャップ。タイヤサイズは155/65R13。
中期型で新設定の「ジーノS」と「ミニライトスペシャル」グレードではミニライト製アルミホイールが標準装備となる。
リア。中期型ではコンビランプを小変更。中期型ではウィンカーとバックランプ、ブレーキランプの間にメッキモールを追加し、より洗練されたデザインとした。
加えてナンバープレート上にリヤライセンスガーニッシュを追加。
これによりリアビューが引き締まったデザインに変化した。
特にこのコンビランプはこだわりが感じられる部分で、当時としては軽自動車のテールランプにマルチリフレクターを採用するのがまあり一般的でなかったが、ミラジーノで採用。
インナーメッキが見える完全なマルチリフレクタータイプではないのだが、当時としては質感が高く、リアビューの見た目もベースのミラより良くなかった。
この他は前期と同じくバックドア左下に「Gino」エンブレム。右下に「Mira」デカールが付く。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは前期と同じくEF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンとインタークーラー付きターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンの最高出力は58ps(43kW)/7600rpm、最大トルクは6.5kg・m(63.7N・m)/4000rpm。
ターボエンジンはインタークーラー付きで最高出力64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは10.9kg・m(106.9N・m)/3600rpm。
ちょうど5代目ミラのターボモデル(ミラ・TR)などと同じ仕様だ。
これに5MT、4AT(2WDのターボのみ電子制御式4速オートマチック(ESAT)を新たに採用)、一部4WDグレードで3ATが組み合わせられた。
さらに2001年10月一部改良ではジーノの自然吸気エンジン仕様にCVTが追加。およびターボ仕様は「ジーノS」と「ジーノ・ターボ」と入れ替わる形で「ミニライトスペシャルターボ」を設定した。
駆動方式はFFまたは4WD。安全装備として全グレードの運転席エアバッグに加えて中期型では助手席エアバッグも標準装備化。ABSは引き続きオプション設定。
見た目重視でNAモデルのATを選択できたり、見た目と走りを重視したターボ&5MTを選択できたりと面白い軽自動車だった。
インテリア(内装)
インパネ。中期型では新意匠メータークラスターとなり、右側のエアコン吹き出し口やエアコン操作パネル、スピードメーターのデザインが刷新された。木目調パネルとウッドステアリングは引き続き標準装備。
スピードメーター。3眼タイプだが中期型では中心のカラーがブラックからシルバーに変更。文字盤のフォントも若干変更されイメージが刷新されている。
ターボ仕様では前期型同様に右側がタコメーター。中心がスピードメーターで、左側が燃料計と水温計となる。ただし、中期型では左側の燃料計と水温計の配置が上下が逆さまに変更されている。
シフトノブは変更なし。
フロントシートはセパレートタイプ。シート形状は前期と同じだが、シート表皮を刷新。赤みがかった紫(ワインレッド)系からベージュ+チェック柄となった。ドアトリムクロスもベージュに変更。
リアシート。スライド機構は前期と同じく非装備。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
まとめ
初代・中期型ミラジーノの総評
初代・ミラジーノの中期型は小変更された外観に新メータークラスターと新シート表皮でそれまでのイメージを刷新させたマイナーチェンジとなってる。
特に外観ではリアコンビランプのキラキラ感がアップし、内装ではベージュ系のシート表皮が採用され、前期型のワインレッドよりも中期型のベージュ系のほうが一般受けしやすいデザインとなっている。
特に中期型から登場した特別仕様車の「ミニライトスペシャル」はノーマルでも十分デザインの良い初代ミラジーノをベースにミニライトアルミやブラック系シート&インパネ、丸型フォグランプを採用した特別仕様車で、よりスタイリッシュな外観を特徴としていた。
中古市場では初代ミラジーノの人気は根強く、5MTやターボの設定がある点からタマによっては2代目(L650S/L660S系)よりも高値となりやすい。
特にミニライトスペシャル&ターボ&5MTは超人気でほとんどタマ数が無く、出ててもプレミアム価格がつくほどの高値。
これは初代ミラジーノ・ミニライトスペシャルのような背の低いセダンタイプでレトロモデル&MT&ターボというモデルが新車には存在しないためで、10万キロを越えていてもびっくりする値段の個体も。
それだけ中古車の人気が依然として高い証拠である。
アメリカ25年ルール解禁でミラジーノが2024年に輸出開始 中古価格が上昇中?
初代ミラジーノの登場は1999年。アメリカの25年ルールが適用されるのは2024年からで、初代・前期型ミラジーノの初期モデルが輸出可能となる。
アメリカでは現在、ビートやカプチーノ、AZ-1といったスポーツモデルや、軽トラックが人気となっており、個性的な初代ミラジーノも輸出開始となればアメリカで人気が出ると管理人はみている。
軽自動車サイズでありながら優れたデザインは20年以上経過しても衰えておらず、クラシックなデザインが好きなアメリカ人に好まれるはずだ。
特に4AT以外にミニライトスペシャルには5MT&ターボの設定があるため、今後は国内の根強い需要に加え、輸出を見据えたアメリカ需要の潜在的な要因から値段が下がること無く、ゆるやかに上昇していくと思われる。
もしミラジーノが気に入ったのなら本格的に価格上昇する前に購入することを強くオススメする。
ただし初代ミラジーノは年数経過もあり要メンテンナンスや予備整備など、高年式のモデルよりは確実にトラブルや故障のリスクがあることをお忘れなく。
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