ミラ・ココアはダイハツのハッチバック型軽自動車。ミラジーノの後継モデルで、「ミラココア プラス」はそのカスタムモデルである。本稿では2014年12月マイナーチェンジ~を後期型とし、これを扱う。
出典:ダイハツ認定中古車
ダイハツ・ミラココアとは?
ミラ・ココアは、それまで存在したクラシック風のミラジーノの後継車種として2009年8月に誕生した。
ミラココアでは先代のミラジーノと比較するとレトロ感が薄くなり、よりとっつきやすいボディフォルムが特徴で、これにミラ・ジーノと同じような丸目ヘッドライトとベーシックなバンパーが組み合わされる。
ミラ・ジーノから続くこの手の軽は売れ筋のムーブに比べると広さでは勝てないものの、昔のミラやアルトの雰囲気が残るベーシックなハッチバックタイプの軽自動車で、室内空間よりもスタイリングに重点を置いた設計だ。
軽自動車市場ではかならずしも皆がムーブやワゴンR、タントやN-BOXを買うわけではないので、その需要(特に若い女性)を狙ったものである。
デザインは「あたたかモダン」をコンセプトとし全体的にクラシカルな感じで、デザイン重視の軽自動車である。長方形を基調としながら角は丸く全体的に優しい感じに仕上がり、シンプルでありながら心に残るデザインを実現した。
先代(2代目ミラジーノ)では特有の丸みとバランスとの取れたハッチバックで個性的なボディスタイルだったが、このミラココアでは同年式のライバルとなる2代目アルトラパンに良く似たボディスタイルとなった。
また、インテリアも女性向けを意識し、水平基調のシンプル造形にインパネやドアトリムをらラウンドスクエアとすることで統一感を演出するとともに、親しみやすさや暖かさを表現。
ミラと名が付くものの、まったく異なる内装で上質感も追求した。
快適装備も
- 運転席シートリフター
- チルトステアリング
- アジャスタブルショルダーベルトアンカー
をセットにした「アジャスタブルパック」を全グレードに標準装備。小さな女性の体型に合わせやすい運転席とした。
エンジンはKF-VE型のツインカムDVVT3気筒DOHC自然吸気エンジンのみを採用。「インプットリダクション方式3軸ギヤトレーン構造」を採用したCVTと組み合わせることで優れた燃費性能を実現した。このあたりのメカニズムは同年代のムーヴコンテによく似ている。
出典:ダイハツ認定中古車
そのカスタムモデル的なグレードとして設定されたのが「ミラココア プラス」である。
プラスではその名前の通りミラココアに上級な装備を追加したグレードで、ノーマルに対し外装ではフォグランプとターンランプ付きドアミラー、専用デザインのフルホイールキャップ。
内装ではココアエンブレム付きの上質なスエード調シート表皮(イエローベージュカラーでデオドラント機能付き)やファブリックトノカバーの採用でインパネと統一感あるデザインとし、プラスアルファで上質感をアップさせたグレードとなっている。
「ミラココアプラス」と「ミラココア」との違い
ミラココアプラスとミラココアの違いは外装と内装にある。
プラスではその名前の通りミラココアに上級な装備を追加したグレードで、ノーマルに対し外装では
- フォグランプ
- ガーニッシュ付きバンパー
- LEDターンランプ付きドアミラー
- ルーフレール
- 専用デザインのフルホイールキャップ
でスタイリッシュ感をアップ。
に内装では
- ココアエンブレム付きの上質なスエード調シート表皮
(イエローベージュカラーでデオドラント機能付き) - ファブリックトノカバー
の採用でインパネと統一感あるデザインとし、プラスアルファで上質感をアップさせたグレードとなっている。
また、リアシートもココアプラスは左右分割式。ココアはミラと同じ左右一体可倒式を採用するなど利便性が異なる。
ただしリアシートは2012年4月マイナーチェンジで左右分割式から一体可倒式に変更され、プラスとの違いはヘッドレストの有無となった。
後期型・ミラココア プラスの改良点と中期、前期との違い
そして2014年8月には2回目となる大規模マイナーチェンジを実施し後期型となった。
後期型ではフロントデザイン(フロントグリル&バンパー)を変更したほか、ボディカラーと内装色を大幅追加。その組み合わせは軽自動車では最多となる160通りとなりカラーリングでの個性は随一となっていた。
さらに後期ではスピードメーターのデザインも変更し、自発光式メーターに。よりレトロ感漂う質感の高いデザインに変更し、
シート表皮もアイボリー、ブラウン、ピンクベージュの3色から選択可能とした。加えて後期型ではルームランプに「LEDジュエルランプ」を新設定した。
そして後期モデルでは珍しい地域限定の特別仕様車も細かく設定。選ぶ楽しさを与え地域ごとに細分化することで個性や感性を表現できるようにした。
その他メカニズムでは中期型から採用となった第2世代KFエンジンにイーステクノロジーから新たにクールドi-EGRやCVTサーモコントローラーを適用したことでFFモデルでは29.0km/l(JC08モード)の燃費を実現。
ヘッドライトにココアプラスでは最新のLEDタイプを採用。リアコンビランプには全グレードでエマージェンシーストップシグナルを採用し加えて乗り心地の改善や静粛性の実現などで基本性能を向上させた。
ミラココアの後期型か、中期、前期を見分けるポイントはフロントデザイン、テールランプなどがある。開口部が大きいフロントグリル&バンパーのココアは後期。小さいのは中期または前期。
リアも中期モデル以降はクリアーテールが採用され、前期とは差別化される。クリアーテールでも中期はストップランプが電球タイプ。後期はLEDとなるのでこのあたりが見分けるポイント。
グレード構成はそれまでの最上級Gグレードが廃止され、かわって「プラスXスマートセレクションSN」グレードが追加設定された。
後期型・ミラココアプラスのグレードの違い、X,スマートセレクションSN,Xリミテッドなど
後期型ミラココアプラスのグレードは上級グレード「プラスX」のみ。
このほか特別仕様車に「プラスXスマートセレクションSN」と「プラスXリミテッド」をあわせて全3種類が設定されていた。。
ベーシックな「ココアプラスL」グレードは中期型で廃止され、後期型プラスでは上級グレードのみの設定となる。
標準タイプの「ミラココア」はこちらから。
プラスX
プラスXは後期ココアプラスの中では一番価格が安かったが上級グレードの位置づけ。
ノーマルココアのエントリーグレードには非装備の
- オートエアコン
- LEDヘッドライト&フォグランプ
- メッキグリル
- ルーフレール
- 専用シート表皮(ココアエンブレム入り)
などを標準装備する。
特別仕様車 プラスX スマートセレクションSN
プラスXスマートセレクションSNは後期モデルの特別仕様車で、プラスXに
- スマートフォン連携メモリーナビゲーションシステム
- スーパーUV&IRカットガラス(フロントドア)
- スーパーエアクリーンフィルター
の3点セットを追加装備したモデル。上級グレードに快適装備にをプラスして魅力を高めていた。
プラスXリミテッド
プラスXリミテッドはモデル終盤に上の「プラスXスマートセレクションSN」を改名し、カタロググレードに昇格した最上級グレード。
スマートセレクションSNの上記3点セットが標準装備となる。
後期・ミラココアプラスのエクステリア(外装)
フロント
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。後期型ではフロントグリルとフロントバンパーのデザインが刷新され、かつココアプラスでは大型メッキグリルが加わり精悍さと愛嬌を兼ね備えた顔つきに変化した。
ミラココア後期・LEDヘッドランプ
出典:ダイハツ認定中古車
後期型ではハイロー独立式を採用しロービーム側のヘッドライトをLED化。加えてリング状のLEDクリアランスランプも追加し中期型までと比べると大改良がなされている。
ミラココア後期 LEDフォグランプ
ミラココアとはライトの光り方がかなり異なるため、ここはプラスの大きなセールスポイント。
出典:ダイハツ認定中古車
さらにバンパー部ではメックフロントバンパーガーニッシュとフロントLEDイルミネーションランプを標準装備。中期型まではフォグランプとなっていたが、ダイハツ公式によればこれは「イルミネーションランプ」とのこと。
サイド
出典:ダイハツ認定中古車
サイド。このあたりはデザイン上は同じ。プラスではサイドターンランプ付近に「メッキオーナメント」が加わり、ルーフ部分には「シルバールーフレール」を標準装備。クラシカルな雰囲気を与えている。
ただし、この装備により全高がノーマルよりも30mm高い1560mmとなるため立体駐車場にギリギリ入らない場合が多くなる点に注意。
ミラココア後期 ボディカラー
ボディカラーにおいては後期型で大幅追加となりボディカラーとして「シルキーラベンダーメタリックオパール」とそれまで特別仕様車のスペシャルコーデ専用だった5種類の2トーンカラーをオプションとして。
さらに廃止されいていた「シャイニングレッド」と「ココベージュメタリック」を復活させ全15色のボディカラーを設定した。
ただし、2016年7月に「シルキーラベンダーメタリックオパール」と「マスカットグリーンメタリック」をオーダーストップ&廃止。
同様にこの2色のツートンカラー仕様もオーダーストップ&廃止となり全11色となった。
セキュリティーアラームは引き続き全グレードで標準装備。後期型ではリクエストスイッチ付きのキーフリーシステムを設定した。
ミラココアの純正ホイールキャップ、タイヤサイズ
足元は引き続き14インチスチールホイール+デザインホイールキャップ。タイヤサイズは155/65R14。
リア
出典:ダイハツ認定中古車
リア。後期型では新たにグレード名の“+”をモチーフにしたプラス専用の「ハッピークローバーエンブレム」が加わりワンポイントのアクセントが追加された。
これ以外は中期型と同じでクリアーコンビランプ(ブレーキランプはLED仕様)を標準装備とリアバンパーがメッキコーナーモール付きとなる。さらに後期型では全車にエマージェンシーストップシグナルを標準。
なお、2015年4月マイナーチェンジでバックドア左下の「エコアイドル」エンブレムが廃止され撤去された。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:ダイハツ認定中古車
エンジンは中期型より採用の第2世代KF型3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。
最高出力は52ps(38kW)/6800rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpmとなる。
加えて後期型ではミライースの「イーステクノロジー」からクールドi-EGRやCVTサーモコントローラーを適用し(中期型で採用のエコアイドルとエコ発電制御などと組み合わせることで)中期型よりも燃費がアップ。
FFモデルで29.0km/L(JC08)を達成した。デビュー当初は10.5モードではあるがFFモデルで19.4km/Lだったことを考えると、少なくとも4割以上も向上させたことになる。
その一方で、後期型でもスマートアシストなどの自動ブレーキはムーヴコンテ同様に設定がなく、デザインが良いだけに少し残念なポイントだ。
安全装備として運転席&助手席エアバッグとEBD付きABSを全グレードで標準装備する。
ミラココアは燃費が悪い? 燃費が良くない?
ミラココアの口コミや検索キーワードで「燃費が悪い」、「良くない」という話がある。
実はミラココアの前期モデルの廉価グレード(ココアL、ココアプラスL)では4ATが採用されており、他のCVT搭載グレードと比較して特に街乗りでは燃費が悪い傾向にある。
さらに部品が増え車重や走行抵抗が増える4WDモデルではその傾向が強く、リッター10km付近との報告ももある。
中期モデル以降では4ATが廃止され、全グレードでCVTとなったため燃費は悪くないが、ミラココアで燃費が気になる人は安価な前期モデルのミラココアLとミラココアプラスLを購入する際は注意が必要だ。
また、過走行の固体は点火系(点火プラグやイグニッションコイル)が劣化し燃費悪化を招いている場合もある。CVTモデルでも燃費が極端に悪い場合で走行距離が10万キロを越えている場合は点火系をリフレッシュしてみると燃費が改善するかもしれない。
軽自動車の点火プラグは高回転を多用しがちで負荷がかかりやすく、ノーマルタイプなら1万キロ、長寿命タイプでも5万キロぐらいが限界なので、普通車の半分ぐらいしか持たない。
知らずに使い続けているユーザーも多いためこのあたりを疑って見る価値はある。
後期・ミラココアプラスの内装(インテリア)
インパネ
出典:ダイハツ認定中古車
インパネ。後期型ではデザインは前期や中期と同じ。
一方でプラスではアイボリー、ブラウン、ピンクベージュの3色からインパネカラーを選択可能とした。
エアコンパネル
出典:ダイハツ認定中古車
エアコンは全グレードオートエアコン。後期型ではオートエアコンの液晶パネル付近が変更され、より使いやすくなった。
後期スピードメーター
出典:ダイハツ認定中古車
スピードメーターは後期型でデザインを刷新。自発光3眼メーターとし背景パネルにブラウンをあしらいレトロ感を強くした。
ミラココア後期 フロントシート
出典:ダイハツ認定中古車
フロントシート。プラス用の専用シートで、デオドラント機能付の上質なスエード調シート表皮となっている(写真はピンクベージュ色)。
さらに後期型ではこれをインパネと同じくアイボリー、ブラウン、ピンクベージュの3色からインパネカラーを選択可能とした。
これによりインパネカラーをアイボリー。シートカラーをブラウンといったように組み合わせが可能となり、女性が好む個性や感性に合わせて選択する楽しさもプラスさせている。
これはダイハツ社内の女性社員により発足した「ココかわプロジェクト」によるもので、後期型ではこのカラーリングをプラスしたほか、オプションパーツを含めて外装デザイン、ボディカラー、内装色の組み合せで160通りのバリエーションから選択可能としている。
ミラココア後期 LEDジュエルランプ
さらに後期型ではルームランプに「LEDジュエルランプ」を新設定(Xグレードで標準装備)。ジュエリーボックスをモチーフにした専用デザインで非点灯時の内装のデザイン性を高めた。
リアシート
これと同時に点灯時は高輝度LEDによる宝石のような輝きを放つことで高い実用性を両立している。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシート。スライド機構は非装備。2012年4月マイナーチェンジで左右分割式から一体可倒式に変更されている。
ラゲッジスペース
出典:ダイハツ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。
後期型ミラココアプラスの総評
出典:ダイハツ認定中古車
ミラココア・プラスの後期型は大型メッキグリルやバンパーガーニッシュにより精悍さをアップ。
先進のLEDヘッドライトやLEDイルミネーションによりスタイリッシュ感もプラスさせ、女性に嬉しいボディカラーや内装カラー、オプションパーツなどで細かな自分だけの仕様を選べるようにしたマイナーチェンジとなった。
ライバルのスズキでもここまで細かく仕様をできるようなモデルは存在せず、より女性目線に立ってのマイナーチェンジとなっている。
同年代のモデルに比べると自動ブレーキが無いなど不利な点もあるが、ムーヴコンテと同様にデザイン重視であれば十分魅力的なモデルであり、タントのようなスペースが不要とういう条件下であれば特に女性に嬉しいモデルである。
特に後期モデルではデザインや内装などかなり洗練&熟成されれているのでこれもポイントだ。
なお、後期型では北海道限定の特別仕様車の「ミラココア 雪ミク」や、関東限定の「ミラココア リベンダ」など地域限定モデルが11種類も設定されるなどよりローカル色を強くした特別仕様車も設定された。その中でも初音ミク仕様はメーカー公式の痛車とあって発表当時はかなりの話題性をあつめた。
中古市場ではこの後期型は比較的新しいモデルゆえに価格は高め。前期に比べると割高がかなりあるが、こういった背の低いモデルで、可愛らしいデザインの軽自動車は一定数需要があり、好きな人にはドンピシャでハマるモデル。女性向け軽自動車として候補にしたい1台である。
ミラココアプラスの生産終了とその理由、新型は発売されずムーヴキャンバスとミラトコットへ移行
なお、ミラココアおよびミラココア プラスは2018年2月に生産終了し、3月には完全に販売終了となった。
その理由としては2016年9月に登場したムーヴキャンバスが同じ客層をターゲットとし被ること、ココアが最新の自動ブレーキに対応できないことと、セダンタイプの軽自動車が以前よりもあまり売れないためである。
同じセダンタイプのミラと同時期の販売終了で、以後は丸目ボディにスライドドア搭載の「ムーヴキャンバス」へ統合。次世代モデルへバトンタッチした。
その後はセダンタイプでレトロ調の軽自動車は出ないと思われていたが、2018年6月に「ミラトコット」がデビュー。背の低いセダンタイプの女性向けモデルとして販売されている。
ミラトコットはミラココア+ムーヴコンテを足して2で割ったようなモデルで、レトロ感あるスクエアボディに愛嬌のあるヘッドライト、レトロ調のインテリアでミライースとはまったく異なる内外装が与えられたセダンタイプの軽自動車となっている。
ミラココアにおっさん(オジサン)が乗るのはアリか?
外観がとてもキュートで可愛らしいミラココア。ぱっと見で女性向けモデルとわかる出で立ちで男性、特におじさんが乗るのはかなり敬遠されそうなモデルだが、絶版モデルになってからは超少数派だがおじさんも乗っていたりする。
もちろんノーマルではなく車高を落としたり社外アルミホイールを入れたりとさりげないカスタムで女性が乗るイメージとは少し離れたヤンチャ仕様にする人が多い。
車高調などの社外品もリリースされているので、このあたりはカスタムも少し楽しめる。個人的にはファッションにも拘るオシャレなオジサンとかには全然アリだと思う。
ミラココアのボディカラーには男性でもしっくりくる黒系「ブラックマイカメタリック」や、白系「パールホワイトIII」などがあり、場合によってはオリジナルカラーへの全塗装などオジサン力でオリジナルなミラココアに仕上げる楽しみがある。
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