ピクシススペースはトヨタのワゴン型軽自動車。ダイハツ ムーヴコンテのOEMモデルである。
概要
ピクシススペースはダイハツ・ムーヴコンテのOEMモデルとして、2011年9月にデビュー。
ピクシススペースはダイハツとトヨタの軽自動車OEM供給決定後、「ピクシスシリーズ」のトップバッター(第1弾)としての登場だった。
ピクシススペースはダイハツと同じ標準モデルとカスタムモデルの2本立てで登場。
ベーシックで親しみやすいピクシススペースと、スタイリッシュかつスポーティなピクシススペースカスタムに全8色のボディカラーを設定。
エクステリアはスクエア形状のボディスタイルに水平基調のシンプルなインパネ、ウォームグレー色の内装色でモダンで温かみある室内空間を演出。
パッケージングは2,490mmのロングホイールベースに2,000mmの室内長を確保。
室内長や室内幅も十分確保し、大人4人がくつろげる広い室内空間とラゲッジスペースを両立させた。
フロントシートにもこだわり、シート生地から裁縫までこだわって作り込んだソファーのようなフロントシートで快適性や居心地の良い空間を追求。
エンジンは新開発可変バルブタイミング機構を備えたKF型エンジンとカスタムモデルには同インタークーラー付きターボエンジンを設定。
全グレードでCVTを採用し、グレード別でecoIDLEも採用しクラストップレベルの低燃費を実現した。
ピクシススペースL575A/L585A グレードの違い
ピクシススペースのグレードはエントリーグレードのLと上級グレードのXの2種類。
Lグレードはエアコンがマニュアル式エアコンとなり、ホイールキャップは通常の一般的なホイールキャップとなる。
Xグレードではオートエアコンに本革巻きステアリングをオプション設定。EBD付きABSにブレーキアシストが加わり、ホイールキャップがムーヴコンテ専用デザインのオシャレなホイールキャップとなる(マークはトヨタ)。
ピクシススペース(L575A/L585A)とムーヴコンテ(L575S/L585S)の違い
ダイハツ版からの変更点はエンブレムのみ。これ以外はムーヴコンテとまったく同じ。ムーヴコンテには特別仕様車の設定が何度かあったが、トヨタ版では一切なく、基本グレードのみの設定。
ただし、ベースのデザインがシンプルかつ洗練されているので、トヨタエンブレムにつけ変わっただけでも少し印象が変わって見える。
これは他のトヨタの軽でもおなじことなのだが、見慣れたダイハツエンブレムよりも普通車でお馴染みのトヨタエンブレムが新鮮に映り、そのイメージが車全体のイメージまでも変えてしまっている。
デザイン自体はベースと同じく尖ったあるいは挑戦的なデザインが全くなく、古き良き時代(昭和)のデザインを彷彿とさせる角型ヘッドライトにスクエアなボディは誰からでも受け入れやすいデザイン。
ムーヴやムーヴカスタム、タントなどとくらべても特に普通車からの乗り換えでもあまり障壁となりずらい特徴がある。
ピクシススペースのグレード L,Xの違いなど
ピクシスエポックのグレード展開は下から順に「L」、「X」の2種類。すべて自然吸気エンジンのみで、ターボエンジンはカスタムモデル(ピクシススペースカスタム)のみに設定。
トヨタ版にはムーヴコンテに設定の最上級グレード、「G NAVI」が非設定。
特別仕様車の「Xリミテッド」、「X VS」、「X スマートセレクションSN」、「X VSスマートセレクションSN」、「L VSⅡ」なども非設定。基本グレードのみの展開だった。
L
ピクシススペースのエントリーグレード。上級Xグレードよりも装備を簡略化し価格を抑えた安価なグレード。
Xグレードと比較してエクステリアではほぼ同じで、エコアイドルのエンブレムがリアゲートにない程度。
インテリアではシート表皮がウォームグレー(オプションのブラックが非設定)、ステアリングホイールはウレタンのみ、シフトレバーボタンのメッキも非設定。
快適装備ではマニュアル式エアコン、電波式キーレスエントリーのベーシックな装備となる。
全グレード共通で3眼式スピードメーター(タコメーター付き)、ホイールキャップ、パワステ、EDB付きABS、パワーウィンドウ、集中ドアロック、UVカットガラス、プライバシーガラスを標準する。
X
ピクシススペースの上級グレード。Lグレードよりも装備が若干グレードアップする。
エクステリアではLグレードとほぼ同じだが、エコアイドル搭載により「ecoアイドル」エンブレムがリアゲートに付く。
インテリアではLグレードに対してオプションでブラックインテリアと本革巻きステアリング、メッキシフトレバーが選択可能。
快適装備ではフルオートエアコンとキーフリーシステム(イモビライザー付き)が標準装備。このほかXグレードにはLグレード非装備のアイドリングストップ機構(ecoアイドル)も付く。
エクステリア(外装)
フロントデザイン。ベースのムーヴコンテは2011年6月のマイナーチェンジでフロントデザインの変更を行っている。
トヨタへはこのマイナーチェンジ後のムーヴコンテがOEM供給された。そのためピクシススペース初期のグリルではなく、後期のグリルが与えられている。
トヨタ仕様としてはエンブレムがダイハツのDマークから、トヨタマークへ変更となる程度で、それ以外はまったく同じ。ただし、トヨタエンブレムにより若干雰囲気が異なって見えなくもない。
サイドから。ボンネット、キャビン、リアのハッチ部分にかけてほとんどがスクエアで構成されている。シンプルだが他の軽自動車では曲線や傾斜を使う事が多いので個性的なデザインに見える。
足元はLグレードが一般的なホイールキャップ。Xグレードではムーヴコンテ専用デザインのおしゃれなホイールキャップとなる。タイヤサイズは14インチ。
リア。コンビランプはヘッドライトやボディデザインに合わせたスクエア型。デビュー当初はベースと同じくコンビランプが旧来の電球タイプだったが、後期型ではストップランプ部分がLEDタイプのものへ変更されている。
なお、ムーヴコンテ用の社外テールやカスタム用のクリアーテールが流用できるので、純正のデザインが気に入らなかったり、他人と違う個性を出したい人は検討してみよう。
エンジン・機能装備・安全装備
エンジンはKF型の3気筒DOHC自然吸気エンジン。最高出力は52ps(38kW)/7200rpm、最高トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpmとなる。
2012年4月マイナーチェンジでは全グレードで「eco IDLE」が標準装備。さらにエコ発電制御もプラスされたことでFFのLグレードで27.5km/lを達成。
さらに2013年7月マイナーチェンジではこれに加えCVTサーモコントローラーを採用。
FFモデルではエコアイドルの停車前アイドリングストップの車速を9km/h以下にはやめたことでさらに燃費アップ。27.6km/lを達成した。
トランスミッションは全グレードCVTのみ。駆動方式はFFまたは4WD。ABS(ブレーキアシスト付き)とEBD、セキュリティーアラームは標準装備だが、自動ブレーキ等の設定はない。
ピクシススペース L575AとL585A型の違い
ピクシススペースL575AとL585A型との違いは駆動方式。L575A型は前輪を駆動するFFのピクシススペース。
L585AはL575A型をベースに前輪を駆動する4WDのピクシススペース。4WDのシステムにはビスカスカップリングが用いられる。これは普段はFFで走行し、悪路や雪道などで自動的に4WDに切り替わるタイプ。
ジムニーなどのパートタイム4WDとは異なり、タイトコーナーブレーキング現象も起きないため街乗り4WDには多く用いられる。
一方でビスカスカップリングには寿命があり、ダメになるとカーブや駐車場など曲がろうとした際に後輪から異音が発生する。
特に過去のスズキ車でビスカスカップリングの不具合が多く見られたが、過走行なムーヴコンテの場合も購入前に異音がしないか確認することをオススメする。
ちなみにムーヴコンテの型式はL575SとL585S。ピクシススペースは後ろの型式アルファベットがSからAに変更となっている。
インテリア(内装)
インパネ。ピクシススペースは水平基調に真ん中にくぼみを持たせ、太いアクセントカラーでメリハリを与えたインパネデザイン。シンプルだが飽きのこないデザインとなっている。
スピードメーターは全グレードでタコメーターを標準装備する。左側がタコメーター。右側は燃料計とシフトポジション。真ん中はスピードメーターの3眼式。
2013年7月マイナーチェンジ後の後期モデルではインパネのカラーラインがグリーン系に変更になっている。
さらにメーターもデザインが変更になり、5代目ムーヴカスタム 後期モデル用の色違いに変更。
左側にタコメーター、真ん中にスピードメーター、右側に燃料計。左下が走行距離やシフトポジション。右下は燃費計や時計などを表示する3眼式マルチメーターとなる。
特に後期メーターではスピードメーターが大型化されより見やすくなり、液晶が2分割となって一度に表示できる情報量が増えている。
フロントシートはベンチシートタイプ。ピクシススペースこだわりのシートでソファーのようなシート生地から裁縫までこだわって作り込んだシートで快適な室内空間となる。
リアの足元も広い。前期モデルではインパネのレッドラインと同じくシートの縁のラインがレッドとなる。リアシートのスライド機構は無し。
2013年7月マイナーチェンジ以前のモデルはアクセントカラーがインパネ同様、レッドとなる。
なお「ブラックインテリア」のオプションを選択するとカスタムと同じブラック系のシートとなる。
ラゲッジルームは狭め。リアシートは左右分割式。
リアシートを倒した状態。左右分割式で利便性は高いが、ラゲッジスペースとリアシートの間に段差が発生し、完全なフルフラットとはならない。
まとめ
ピクシススペースはトヨタのオーソドックスな軽自動車として魅力ある1台である。
デザインは保守的でかつ万人受けする洗練されたものなので普通車からの乗り換えを視野に出来るモデルである。
カスタムモデルはスポーティでスタイリッシュなのだが、年配の人にとっては目立ちすぎて選び辛いといった部分もあるだろう。
そのような点ではこのノーマルモデルは派手さが無い分、年配の人に受け入れやすいモデルといえそうだ。
トヨタ自身は自社のコンパクトカーと競合してしまうためあまり積極的に売りたくないようだが、車時代のデザインは良くこれにトヨタエンブレムが付くことでダイハツとは違った魅力がみえる1台である。
オーソドックスで普通車っぽいデザインの軽自動車を探している人にオススメな軽自動車である。
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