MRワゴンはスズキのワゴン型軽自動車。「Wit」はそのカスタムモデルである。本稿では2代目MF22S系の2009年6月マイナーチェンジ~2010年12月までを後期型とし、これを扱う。
概要
初代の登場から約6年後の2006年1月にフルモデルチェンジし2代目となったスズキのMRワゴン。
先代のイメージをガラッと変え丸目のヘッドライトにワゴンR寄りのボディラインで子育ての主婦層をターゲットとした「ママワゴン」として誕生した。
特に特徴的だった初代のワンモーションスタイルを廃止し、ワゴンRのようなボディラインに近くなった。これによりワゴンRに近いボディスタイルとなっている。
一方でどこから見ても可愛らしい丸目ヘッドライトに愛嬌あるグリルなど完全に女性を意識したデザインとなり、メーカー曰く
- 「かわいいけど甘すぎない、モダンさと上質さを併せもつデザイン」
- 「ショッピングがもっと楽しくなる、ママに便利な機能と装備の充実」
- 「子どもにやさしい機能と装備の新採用」
を商品特徴とした軽自動車となっている。
便利機能ではではMRワゴンシリーズでは初となるキーレススタートシステムを新採用。
この他買い物時に便利な助手席シートアンダーボックスやインパネスライドボード、大型グローブボックスなど多様な収納スペースを設定。
また、吸音天井やシート表皮を消臭シートとし、天井も消臭タイプとすることで静粛性を向上させかつクリーンな空間を実現した。さらにISO FIXテザータイプのチャイルドシートも新たに装着可能とした。
メカニズムでは同年代の4代目ワゴンRのプラットフォームを採用し、快適な乗り心地と優れた静粛性を実現。
フロントシートのスライド量も180mmから200mmに伸ばし、スライドピッチを15mmから10mmに変更することで体格に合わせたセッティングを可能とした。
さらに電動パワーステアリングのモーター出力を向上させたことで、最小回転半径4.1m(14インチアルミホイール装着車は4.4m)の小回りに加えハンドルの据え切り操舵力を低減させ扱いやすさを向上させた。
ボディは軽量衝突吸収ボディTECTを採用し、ボンネットやフェンダー、ワイパー周辺部などは歩行者傷害軽減ボディを採用。
EBD(電子制御制動力配分システム)も4輪ABSに新採用するなど特に女性向けの機能やメカニズム、デザイン面で強化がなされたフルモデルチェンジとなった。
2代目MRワゴンと2代目MRワゴンWitとの違い
2006年1月にフルモデルチェンジし2代目となったMRワゴンだったが、同年の12月にスポーティな外観をまとった派生モデルが追加された。それがこのMRワゴン ウィット(Wit)である。
エクステリアは専用品となる立体感の強いフロントグリルと前後バンパーを採用。これにサイドアンダースポイラーを標準装備とすることでスタイリッシュなスタイリングとした。
ヘッドライトはグレータイプ。フォグランプも標準装備。足回りはローダウンサスペンションに14インチアルミホイールの組み合わせでスポーツな仕様とした。
インテリアでは黒と茶色を組み合わせた内装色にダブルスティッチ入の黒色シートを採用。
便利装備としてキーレススタートシステム、電動格納式リモコンドアミラーを標準装備。
快適装備としてGSグレードではCDプレイヤーと2スピーカー。XSとTSグレードでは2DINサイズのMD/CDプレーヤーと6スピーカーを標準装備とした。
さらにXSとTSではフルオートエアコンにチルトステアリング、運転席シートリフターも標準装備。
ノーマルのMRワゴンよりも内外装をスタイリッシュに、かつ便利装備や快適装備をプラスしたカスタムモデル的なMRワゴンとなる。
後期型・2代目MRワゴンWitの改良点
そのMRワゴン Witは2009年6月にベースの2代目MRワゴン同様にフロントデザインの変更を伴うマイナーチェンジで後期型となった。
後期型では専用グリル&バンパーがよりスタイリッシュに変更され、ディスチャージヘッドランプと新デザインのアルミホイールを装着。
内装ではベース同様に2色のインパネカラーを設定し、エアコンレジスターリングとインナードアハンドル、シフトボタンをメッキ加飾するなど前期型よりも魅力をアップさせたマイナーチェンジとなっていた。
2代目後期MRワゴンWit(MF22S)のグレード ウィットGX、ウィットXS、ウィットTSの違い、ターボ廃止など
2代目後期MRワゴンのグレード展開は前期と同じで下から順に「ウィットGS」、「ウィットXS」、「ウィットTS」の3種類。このうちターボ仕様車は「ウィットTS」。
後期モデルではターボ車のTグレードがマイナーチェンジから約1年後、2010年5月の一部仕様変更で廃止された。
特別仕様車は後期モデルでは未設定。前期だけの設定だった。
ウィットGS
2代目後期MRワゴンのエントリーグレード。XSよりも装備を簡略化し価格を抑えたベーシックモデル。
エクステリアに14インチアルミホイールを標準装備するが、LEDサイドターンランプ付きドアミラーは非装備。
インテリアではインサイドドアハンドルとエアコンレジスターリングのメッキ加飾が無いかわりにシルバー塗装。
快適装備はマニュアル式エアコンと運転席シートリフター、チルトステアリングを標準装備。キーフリーシステムとオートライトは非装備。
ウィットXS
2代目MRワゴンの上級グレード。XSよりも装備を簡略化し価格を抑えたベーシックモデル。
エクステリアにディスチャージヘッドランプ、フォグランプ、14インチアルミホイール、LEDサイドターンランプ付きドアミラーを標準装備。
インテリアではメッキインサイドドアハンドルとメッキシフトボタンにメッキ調エアコンルーバーリング、運転席&助手席バニティミラーに照明を標準装備。
快適装備はフルオートエアコンで、キーフリーシステムがも標準装備。
ウィットTS
2代目MRワゴンの上級ターボ仕様。XSの装備にターボエンジンを搭載したモデルで、走りが良くなる。
2010年5月に廃止。
エクステリア
フロントデザイン。前期型・MRワゴンウイットでは五角形のグリルに太いメッキパーツのグリルとなっていたが後期型ではこれを変更。ノーマルモデル同様にグリル開口部を細くしかつ両サイドまで引き伸ばしたような形となった。
前期ではベースモデルのイメージを残しつつカスタムモデルとしたようなデザインだったが、後期型ではベースモデルのデザインを取り入れつつもよりスタイリッシュな形状へと進化させた。
加えてバンパーも開口部の格子が1本少なくなりシンプルなデザインとなっている。
なお自然吸気モデルの上級「XS」とターボグレードの「TS」では前期の特別仕様車、「XSリミテッドⅡ」でも採用されていたプロジェクター式のディスチャージヘッドライト(オートライト機能付き)が標準装備となる。
サイド。前期同様にサイドアンダースポイラーを標準装備。XSとTSグレードではLEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。
後期型では14インチアルミホイールのデザインが一新され、スタイリッシュな外観となった。
リア。このあたりは特に変更点は無い。Wit用のリアバンパーに加えターボモデルのTSではリアスポイラーを標準装備。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはK6A型3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付ターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンでは最高出力54ps(40kW)/6500rpm、最大トルク6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
ターボエンジンではマイルドターボ仕様となり最高出力60ps(44kW)/6000rpm、最大トルクは8.5kg・m(83N・m)/3000rpm。
ただしモデル末期の2010年5月マイナーチェンジでグレード体系の大幅見直しが行われ、ターボグレードのTSが消滅。よって後期型2代目MRワゴンWitのTSは実質1年ほどしか生産されなかった希少グレードとなっている。
トランスミッションは全グレードで4ATのみ。駆動方式はFFまたは4WDとなる。
安全装備として運転席&助手席エアバッグ、ABSをWit全グレードで標準装備する。
インテリア
インパネ。後期型では全車チルトステアリングを標準装備。ベースモデル同様に後期型では2種類のインテリアカラーが用意された。白・ベージュ・紺系のボディカラーではベージュインテリア。
紫・濃茶にはブラックインテリアを採用した。また、XSとTSグレードではATシフトノブボタンがメッキ化。チルトステアリングとキーレススタートシステムが全グレードに標準装備。
ステアリングは全グレードでウレタンステアリングホイール。
エアコンは上級のXSとTSグレードでオートエアコンを標準装備する。
スピードメーターはノーマルと同じ。
フロントシートはベンチシートタイプ。後期型では運転席シートリフターが標準化され、インパネ同様にベージュカラーのシートと
ブラックカラーのシートの2種類を設定。同様にドアトリムクロスもベージュorブラックの2色設定となる。加えてXSとTSではインサイドドアハンドルがメッキ化される。
リアシート(ブラック)。
リアシート(ベージュ)。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
まとめ
2代目後期MRワゴンWitの総評
2代目MRワゴンの後期型Witはエレガントにより上品になったフロントデザインにボディカラーに合わせたインテリアカラーを2色設定するなどウイットの魅力を向上させたマイナーチェンジとなっている。
好き好きは別れるところだがフロントデザインは前期よりもダイナミックに変化しているためよりスポーティ感が欲しい人は後期モデルを。よりノーマルに近いスタイリッシュ感が欲しい場合はファニーフェイスよりの前期を選ぶといいだろう。
この後フルモデルチェンジでMRワゴンは3代目へとバトンタッチし遅れて2年半ぶりにウイットが登場するが3代目ベースなためデザインはまったく異なる。
この可愛らしさとスタイリッシュのハイブリッド的なデザインが好きな人は2代目が魅力的に映るだろう。
兄弟車・OEMモデル 日産モコ エアロスタイル(MG22S)
なお、日産には2代目モコとしてOEM供給されるが、Witの設定が無い代わりにオーテックジャパンの「モコ エアロスタイル」が存在する。
ボディ形状はほぼ同じだが専用フロントデザインによりまた違って見えるため2代目MRワゴン Witを検討している人にはこちらもオススメだ。
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