アトレーワゴンはダイハツのワンボックス型軽自動車。本稿では2代目の前期型(2005年5月~2007年8月まで)に設定された特別仕様車、「ブラックエディション」を扱う。
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2代目 ダイハツ・アトレーワゴンとは?
2005年5月にフルモデルチェンジし2代目となったダイハツのアトレーワゴン。
商用モデルのフルモデルチェンジから10ヶ月遅れの登場となった2代目は、先代同様に基本構造をハイゼットカーゴと共有しつつ外装や内装を乗用モデルとして上級なパーツに変更した軽自動車である。
先代までは乗用モデルはノーマルタイプとカスタムモデルの2本だてだったが、2代目ではスポーティーな外観のカスタムのみの構成となっている。
2代目アトレーワゴンでは優れた居住性と積載性を両立し、圧倒的な室内空間を実現。室内長はクラストップレベルの2015mm(後に2020mmに拡大)を確保。室内幅は1310mm、室内高は1350mmとし、4人が快適に乗りつつ十分な広さのラゲッジルームも同時に確保した。
ユーティリティにおいては大型グローブボックスやアンダーボックス、充実の収納スペースに加え、鉄板の穴あけ加工なしでボルトが取り付けられるユースフルナットとユースフルホールを採用した。
エクステリアは存在感と重厚感のある大型エアロバンパーにメッキグリル、軽ワンボックスとしては初となる4灯式のディスチャージヘッドライトを設定し、商用モデルのハイゼットカーゴと大幅な差別化を図った。
インテリアではメタル調のセンタークラスター、専用ファブリックシートの採用で内装面においても乗用モデルらしい上級感を演出。
加えて液状制振材の採用により、エンジン透過音を大幅に低減すると共に、着力点の剛性も向上。遮音材の最適配置も行い、ハイレベルな静粛性を実現した。
エンジンは先代に引き続き全グレードでEF-DET型のターボエンジンを採用。ボディは衝突安全ボディーのTAFにデュアルSRSエアバック、プリテンショナー&フォースリミッター機構付フロント3点式ELRシートベルトを標準装備。
さらにブレーキアシスト付きのABSも全グレードで標準装備とした。
2代目前期・アトレーワゴン(S320G/S330G)ブラックエディションとは?特別装備とノーマルとの違い
その2代目アトレーワゴンに2006年4月、インパネやシート表皮の内装色をブラック基調とし、加えて専用スポットメタル調クラスターや新意匠メーターの採用、後部左側スライドドアイージークローザーを標準装備とした特別仕様車が設定された。
それがこの「ブラックエディション」である。
ブラックエディションではカスタムターボRとカスタムターボRSがベース。外装はノーマルと同じものの、内装で
- ブラックインパネとブラックシート表皮(フルファブリック)
- 専用スピードメーター
- 専用スポットメタル調メータークラスター
- 用スポットメタル調センタークラスター専
- 用スポットメタル調フロントドアアームレストメ
- ッキエアコンレジスターノブ
を標準装備。
カスタムターボRでは本来オプション設定の「助手席スライドドアイージークローザー」を標準装備とし、ブラック内装や追加専用装備によるシックな特別感を演出していた。
エクステリア
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フロントデザイン。ブラックエディションでは外装面では特に変更はなく、ベースモデルのカスタムターボRとカスタムターボRSと同じ。
先代までのカスタムモデルとはうってかわり、インナーブラックタイプの丸目2灯ハイロー独立タイプを採用。乗用モデル専用に設計されたヘッドライトで、軽ワンボックスカーでは初となるディスチャージヘッドライトをRSグレードで標準装備した。
これに大型のフロントメッキグリルと専用バンパーが組み合わされ、ひと目でカスタムとわかる外観に仕上がっている。先代のカスタムではヘッドライトがノーマルと大差なかったので、この点はかなりの変化だ。
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サイドから。カスタムモデルとうことでサイドアンダースポイラーとアルミホイールを標準装備。ボディフォルムは先代のフロントガラスからボンネットエアダクトにかけての流れるようなデザインから、ボンネットが少し出っ張ったデザインに変更。2代目後期ムーブのようにスタイリッシュとなった。
ホイールベースは先代の2420mmから2450mmへ拡大し、室内幅こそ同じだが室内長は1850mmから2015mm、室内高は1230mmから1350mmへとアップし、先代よりもワンランク広くなっている。
スライドドアは左側のみ設定で、RSグレードではリミテッドパックのオプションとして。Rグレードでは2005年9月マイナーチェンジではイージードアクローザーとしてオプション設定されていたが、ブラックエディションでは左側のイージードアクローザーを標準装備とした。
足元はカスタムターボRブラックエディションが13インチフルホイールキャップ。カスタムターボRSブラックエディションが13インチアルミホイールとなる。サイズは両方とも同じで165/65R13。
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リア。上部にはリアアンダースポイラー、下部はメッキモール付きの専用バンパーとなる。コンビランプも乗用モデル専用品で、商用チックなハイゼットカーゴと比べるとカスタム感のあるデザインとなっている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはEF-EDT型直列3気筒DOHCインタークーラー付きのターボエンジンのみ。
最高出力は64ps(47kW)/5900rpm、最大トルクは10.5kg・m(103N・m)/4000rpm。
これを先代同様フロントシート真下に格納する。トランスミッションは全グレードで4ATのみ、駆動方式はFFまたはフルタイム4WDだ。
安全装備としてはEBD付きABSをRとRSの両グレードに標準装備。SRSエアバッグも全グレードで標準装備する。
ボンネットはご覧のとおり。
2代目アトレーワゴンS320G/S330Gと2代目アトレーワゴンS321GとS331との違い
2代目アトレーワゴンのS320/S330G型とS321G/S331G型との違いはエンジン型式。
下一桁に0が付く型式のものはデビュー当初2005年5月~中期マイナーチェンジ前の2007年8月までのモデルで、EF-DET型エンジンを搭載する。
下一桁に1が付く型式のものは2007年9月のマイナーチェンジ後で新型のKE-DET型エンジンを搭載するアトレーワゴン。S321GはFFのKE-DET型エンジンを搭載するアトレーワゴン。S331Gは4WDでKF-DET型を搭載するアトレーワゴンとなる。
新型のKE-DET型エンジンの方が燃費性能が少し良くなっているので、燃費を気にする人は本稿の前期型ではなく、中期型以降のS321GまたはS331Gを選ぶようにしてほしい。
2代目アトレーワゴン S320GとS330Gとの違い、ハイゼットカーゴの4WD(S330V)との違い
2代目アトレーワゴンS320GとS330Gとの違いは駆動方式。
S320Gは後輪を駆動するFRの2代目アトレーワゴン。S330GはS320Gをベースに前輪を駆動するフルタイム4WDのアトレーワゴン。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFRで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
なお、商用モデルのハイゼットカーゴの4WDとは4WDシステムが異なり、ハイゼットカーゴではスイッチで任意に切り替えて4WDとなるパートタイム4WDに対し(※ただし軽トラのようなデフロックは非装備)、乗用モデルのアトレーワゴンは自動で切り替わるフルタイム4WDとなる。
インテリア
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インパネ。ここからがブラックエディションでの大きな変更点となる。
ブラックエディションでは専用のブラックカラーのインパネを採用。シックな雰囲気とした。
加えてメータークラスターやセンタークラスターをスポットメタル調に変更し特別感も演出している。
このほかエアコンレジスターノブがブラックエディションではメッキタイプとなる。
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ちなみにこちらはベースモデルのインパネ。グレー色のインパネで若干軽貨物のハイゼットカーゴの雰囲気を感じさせるインパネ。
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スピードメーター。ブラックエディションではブラックとブルーを組み合わせたスポーティなタコメーター付きのスピードメーターを採用した。
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こちらはベースモデルのスピードメーター。ハイゼットカーゴ用のものをベースに背景をホワイト化したもの。右下には小さくタコメーターが付く。インパネ同様に商用モデル感が強いデザイン。
ただし、後期型ではインパネが乗用モデル専用となり、スピードメーターもタコメーター独立タイプになるなどテコ入れが行われる。
ATのシフトノブはインパネシフトとなる。ブラックエディションではこのセンタークラスターやメータークラスターもスポットメタル調に変更される。
エアコンはマニュアル式エアコン。
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フロントシートはベンチシートタイプ。ブラックエディションではフルファブリックのブラックシート表皮となる。
座面が横広くベンチシート近い形状となっている。先代同様に乗用モデル用のシートとなっている。
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リアシート。こちらも同じくブラックシートとなる。
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ラゲッジルーム。さすがワンボックスタイプということで荷室はトップクラスの広さ。
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リアシートを倒した状態。
まとめ
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2代目アトレーワゴンの前期に設定された「ブラックエディション」は、内装にブラックインパネやメタル調センタークラスター、メッキエアコンレジスターノブやブラックシート表皮、左側のイージードアクローザーを標準装備とし、内装面や装備面で特別感を演出したモデルである。
特にベースモデルではカスタムでありながら内装はブラックカラーでなく、ムーヴカスタムと比べると若干見劣りするものだったが、ブラックエディションでブラック内装+αを与えたことで男性ユーザーに訴求する特別仕様車だった。
中古市場では2代目前期型アトレーワゴンの全体の中でも1/3がこのブラックエディション仕様で、結構人気だったことがうかがえる。
2代目前期型のアトレーワゴンは年数経過から、中期や後期よりも若干手頃な場合もあり、その中でも内装にこだわりたい人はこの「ブラックエディション」を選ぶと良い。
なお、この後の中期型や後期モデルでは軽貨物(ハイゼットカーゴ)と同じインパネデザインが改善されるのでこのあたりが気に入らない人は最低でも中期モデル、外装もよりスタイリッシュなのがいい人は後期モデルがオススメである。
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