キャロルはマツダのハッチバック型軽自動車。スズキ・アルトのOEMモデルである。本稿では5代目・HB24S型の2006年7月マイナーチェンジ時に新設定されたGⅡグレードを扱う。
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マツダ 5代目 キャロルとは?
2004年9月にフルモデルチェンジし、5代目となったマツダ・キャロル。
キャロルは先代の4代目以降からスズキの完全OEMモデルとなり、6代目も同じくスズキ・6代目アルトのOEM供給を受け販売されていた。
コンセプトは「日常の自分の時間に、気軽に使えるお気に入りのクルマ」。主に女性ユーザーをターゲットとし、親しみやすいベーシックな外観、機能的で明るいインテリア、優れた低燃費と安全性能などがウリであった。
5代目キャロルは先代の4代目より全高が50mm、室内高は30mm、シート着座高は25mmアップ。Aピラーの傾斜も少なくして先代よりも運転しやすさがアップした。また、最小回転半径も4.1mと狭いスペースでも運転しやすくしている。
エクステリアは曲線と直線をうまく組み合わせたデザインで、内装でも明るいベージュ色のインパネやドアトリムなどで新鮮さや楽しさを演出。
視認性の高い大型スピードメーターや大型グローブボックス、コンソールボックス、コンビニフック、ドリンクホルダーなどを配置し使い勝手も向上させている。
ボディカラーには「ミントグリーンメタリック」に加え新色の「ココナッツベージュメタリック」、「ムスクブルーメタリック」を含めた全8色を設定。
エンジンは先代に引き続きK6A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンを採用。これに4AT、3AT、5MTのいずれかを組み合わせた。
安全装備として軽量衝撃吸収ボディ、歩行者保護対応、ペダル後退抑制機構、前席シートベルトの性能向上、インテリアなどに採用した衝撃軽減構造とし、Gグレードの4WDモデルと、XグレードにはABSを標準装備とした。
キャロル GⅡとはGグレードとの違いやアルトGⅡとの違いなど
その5代目キャロルに2006年7月。専用シート表皮とボディ同色の電動格納&リモコン式ドアミラーとプライバシーガラスを標準装備し、より女性を意識したスタイリッシュなグレードを追加した。
それがこの「キャロル GⅡ」である。
キャロルGⅡはOEM元の「アルトGⅡ」では特別仕様車という位置づけだったが、マツダ版ではそれまでのGグレード(ベーシックグレード)に代わるカタロググレードとして設定。
マツダブランドと合わせてグレード体系での差別化を行なったモデルとなっていた。
エクステリアではGグレードに非装備だったプライバシーガラスを標準装備し、Gグレードよりもスタイリッシュな外観が特徴。
インテリアでも「GⅡ専用のベージュシート表皮」を採用。
機能装備も
- 電動格納ミラー(4WDモデルはヒーテッドドアミラー)
- キーレス
- パワステ
- エアコン
- パワーウィンドウ
- セキュリティアラーム
などを標準装備。
ボディカラーも「ミルクティーベージュメタリック」、「ブライトレッド2」、「ラベンターメタリック」を含めた6色を設定。
Gグレードよりも内外装で見た目や機能装備を拡充し、使い勝手や質感を高めたモデルとしていた。
アルトGⅡとの違いはフロントデザインで、アルトGⅡでは専用グリルが与えられたのに対し、キャロルGⅡではベースのGグレードと同じグリルのまま。そのためフロントデザインからはGグレードなのかGⅡグレードなのかが少し見分けづらい。
※キャロルGⅡでは電動格納ミラー(ボディ同色塗装)が標準装備となるため、キャロルGグレードと見分ける場合はドアミラーがポイント。

キャロルGⅡの外装(エクステリア)
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フロントデザイン。ベースモデルは最廉価(ベーシック)グレードのG。これにスズキ版のアルトGⅡでは専用グリルでノーマルと差別化を行なっていたが、マツダ版ではそれがなく、外観はノーマルグレードと同じ顔つきだ。
ただし、GⅡの登場が後期型マイナーチェンジの直前だったため前期顔のGⅡと後期顔GⅡの2種類が存在する(台数的には前期ベースは少ない)。
写真は後期型ベースのGⅡでグリル開口部が大きく、ウィンカー球がバンパーに移動している。
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サイドから。GⅡ仕様として電動格納&リモコン式ドアミラーとリアドアにダークティンテッドガラスを標準装備とした。
ベースのGグレードではこれらが非塗装ドアミラーとノーマルガラスだったため、カラードアミラーによる見た目と後部座席のプライバシー保護性がアップした。
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足元は13インチフルホイールキャップ。
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リア。GⅡ仕様としてリアガラスがダークティンテッドガラスを標準装備。Gグレードベースのためリアワイパーは非装着。
エンジン・機能装備・安全装備など
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エンジンはK6A型3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。
最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.2kg・m(61N・m)/4000rpm。ターボの設定は一切なく、自然吸気エンジンのみだ。トランスミッションは3ATまたは5MTの3種類。駆動方式はFFまたは4WDだ。
安全装備として運転席&助手席エアバッグとABSを標準装備する。
キャロルGⅡの内装(インテリア)
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インパネ。シート表皮は専用となるがインパネまわりはベースのGグレードと同じ。こちらはAT仕様のインパネ。
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MT仕様のインパネ。このあたりはベースモデルと同じ。エアコンはマニュアル式エアコンを採用する。またGグレードで非装備の電動格納ミラー(4WDはヒーテッドドアミラー)がついているため、使い勝手も良くなっている。
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スピードメーターも同様。
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フロントシートはセパレートタイプ。GⅡ仕様として専用のシート表皮が与えられ、ノーマルよりも雰囲気がよくなっている。
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リア。Gグレードベースのためヘッドレストは付かない。もちろんリアシートのスライド機構も非装備。
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ラゲッジルーム。リアシートは一体可倒式。
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リアシートを倒した状態。実用性はかなり高い。
まとめ
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5代目キャロルのGⅡグレードは、専用のシート表皮と外観のプラスアルファ的な追加装備で少しだけスタイリッシュに仕立てたグレードである。
スズキ版に比べると専用グリルが付かないなど若干魅力が薄い点があるものの、専用シート表皮やプライバシーガラス、カラードドアミラーなどこの手の軽自動車では省略されがちな部分が標準装備されているので、この点は嬉しい部分である。
中古車市場では比較的安価に買えるモデルで、街乗り用の足車としての需要がありそうな1台。特にスズキではないマツダ版ということで、エンブレム効果による上級感も併せ持つ軽自動車である。
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