タントはダイハツのトールワゴン型軽自動車。タントカスタムはそのカスタムモデルである。本稿では3代目L600SおよびL610S系の後期に設定された特別仕様車「トップエディションリミテッドSAⅢ」を扱う。
出典:ダイハツ認定中古車
3代目タントカスタムとは?特徴など
2013年10月にデビューした3代目タント。
2代目より採用された電動パワースライドドア(ミラクルオープンドア)を引き続き採用し、2代目モデル後半ではライバルに遅れを取っていた運転席後方のスライドドアも採用したとで3代目では両側スライドドアとなった(グレードにより運転席側後方も電動パワースライドドアとなる)。
さらにスライドドアのスライド幅を10cmアップさせたことで利便性が向上。また、室内空間の再設計により上部空間が12cmほど拡大。さらに軽自動車初となる助手席シートバックレバーを採用したことでさらなる利便性の向上をはかった。
軽量化においてはフロントフェンダー、バックドア、フューエルリッド(給油口蓋)、レールカバーを樹脂化したことで3代目の改良に伴う重量増を相殺。車重は先代とほぼ同じに抑えた。
燃費関係ではボディの空力特性を高め空気抵抗を低減。背の高い軽自動車でありながら、ベーシックなミラと同等の抵抗値に抑えた。
また、エンジンは圧縮率を高め、VVTやCVTサーモコントローラーをターボモデルにも適用したことでターボ仕様でも「平成27年度燃費基準+20%」を達成した。
自動ブレーキにおいては3代目より全グレード(廉価グレード含む)に搭載グレードを設定。エマージェンシーストップシグナルは非スマートアシストグレードでも採用したことで安全性を高めている。
そのカスタムモデルである「タントカスタム」は、初代はデビューからおよそ2年半後に追加設定という形で登場し、以降2代目はノーマルと同時設定。3代目でもノーマルモデルと同時期の登場となった。
タントカスタムでは初代から専用ヘッドライト、専用グリルに専用バンパー。サイドアンダースカートに専用リアコンビランプ、リアスポイラーなど迫力と精悍さアップさせた外観が特徴で、ムーヴカスタムのようにノーマルとは異なる外観が特徴だ。
3代目タントカスタムではそれまで以上に大きなグリルを装着。ノーマルモデルよりもかなりの差別化をはかった外観が与えられてる。
3代目タントカスタム 後期型の改良点と前期との違い、トップエディションの特徴など
3代目タントカスタムは2015年12月に内外装の変更を伴うマイナーチェンジで後期型となった。
後期型タントカスタムではグリルのデザインを変更したほか、バンパーのデザインも変更しより高級感あふれるデザインが特徴だ。
さらに今回扱う最上級グレードの「トップエディション」ではノーマルのタントカスタムよりもさらに上級な内外装を与えた特別モデルである。
「トップエディション」では前期型同様に内装でプレミアムシャインブラックセンタークラスターとプレミアムシャインブラック&専用ファブリックアームレストに加え後期型では新たに外観も差別化。
専用バンパーや専用ダークメッキグルル、フロントLEDイルミネーションランプ、リアメッキガーニッシュを新たに採用した。
これによりフロントデザインは同年代のクラウンやエクスワイアのようなエクステリアでノーマルのタントカスタムよりも差別化がはっきりとなされた。まさに「トップエディション」という名にふさわしい外観となっている。
2016年11月の一部改良では自動ブレーキ面でそれまでの「スマートアシストⅡ」を「スマートアシストⅢ(以下、SAⅢ)」にバージョンアップ。
新たに小型ステレオカメラの採用により衝突回避支援ブレーキ機能が歩行者にも対応した。
さらに作動速度域の拡大を実現したことで、従来よりもさらに安全性を向上している。さらにコーナーセンサーもスマートアシストⅢ搭載車に標準装備するなど自動ブレーキ面での拡充をはかった。
3代目タントカスタム トップエディションリミテッドSAⅢの特別装備とVSとの違い
トップエディションリミテッドSAⅢの特別装備
そして2017年12月。4箇所のカメラによる「パノラマモニター」の採用した一部改良と同時に標準タイプと同じく設定された特別仕様車がこの「カスタムX トップエディションリミテッドSAⅢ(以下、トップエディションリミテッドSAⅢ)」である。
トップエディションリミテッドSAⅢでは上級の「カスタムX トップエディションSA」グレードをベースに本来オプション設定だった「両側パワースライドドア」と「パノラマモニター」を標準装備としつつ、お買い得とした特別仕様車となっている。
リミテッドとVSの違い
2018年12月にはトップエディションに再度、特別仕様車「VS」が「カスタムX トップエディションSAⅢ」に設定された。
このリミテッドとVSでは特別装備が異なり、VSでは両側パワースライドドアが標準装備となるのは同じだが、パノラマモニターではなく、「パノラマモニター対応カメラ」が標準装備となる。
そのためVSではパノラマモニター本体は別途購入する必要があった。
※中古車で出回っているトップエディションVS SAⅢは別途購入のパノラマモニターを装備する個体がほとんどなのでご心配なく
また、VSでは専用ボディカラー「レーザーブルークリスタルシャイン」が設定され、フロントグリルにはオプション設定の「ホワイト色フロントLEDイルミネーショングリル」も標準装備となる。

トップエディションリミテッドSAⅢのエクステリア(外装)
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。後期型ではメッキグリルのデザインを変更した。前期では大きく3段のグリルが並んでいたが後期ではこれを細く細分化。
トップエディションと非トップエディションでは微妙にデザインが異なり、トップエディションでは上に1本メッキグリル。続いて3本のダークメッキグリル。さらにそこからは細い3本のメッキグリルとなりメッキグリルにもアクセントが設けられている。
なお、非トップエディションでは上から4本目までが細いメッキグリル。残りは1本の細いグリルに最後は太いグリルでデザインが差別化されている。
また、トップエディションでは専用の大型エアロバンパーを装着。メッキで特徴的なラインが与えられパット見高級車のような外観が与えれている。軽自動車にしてはやりすぎ感もあるが多種多様なニーズに答えるためのグレード展開といったところ。
ヘッドライトは標準でLED仕様でトップエディションではダークメッキによるインナーブラックタイプとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
トップエディションのフォグランプはLED仕様で、イルミネーションLEDも付く。またバンパーのメッキパーツ内側はつや消しのカーボン調となっとおり、カスタム感あふれる仕様だ。
出典:ダイハツ認定中古車
サイドから。標準でLEDターンランプ付きドアミラーを装着。リアはスモークガラスでフロントガラスはスーパーUV&IRカットガラスにトップシェイドガラスが組み合わされる。
ドアにはイモビライザー付きのキーフリーシステムを搭載し、パワースライドドアも両側装備。
出典:ダイハツ認定中古車
右側パワースライドドアはベースモデルの標準装備のほか、「トップエディションリミテッドSAⅢ」では反対側の左側パワースライドドアを本来オプション設定だったものを標準装備とした。
出典:ダイハツ認定中古車
足元はベースモデルと同じ14インチアルミホイール。
出典:ダイハツ認定中古車
リア。コンビランプがトップエディション専用品となり、ヘッドライト同様にメッキ部分をブラックとした「ダークメッキアクセントリヤコンビランプ」となる。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:ダイハツ認定中古車
エンジンはKF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。
最高出力は52ps(38kW)/6800rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpm。
トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WD。全グレードでVSC&TRCとアイドリングストップ、ABS、エマージェンシーストップシグナル、ヒルホールドシステムが標準装備となる。
2016年11月の小変更では自動ブレーキのスマートアシストⅡがバージョンアップ。ステレオカメラを用いたスマートアシストⅢへと進化した。
スマートアシストⅢではそれまで未対応だった対歩行者の自動ブレーキを可能とし、それ以外でも動作速度域を上げるなどステレオカメラによるパワーアップがなされた。
このほかそれまでの衝突回避支援ブレーキ、衝突警報、車線逸脱警報機能、誤発進抑制機能(前方&後方)、先行車お知らせ機能に加え新たにステレオカメラを用いたハイビームアシストも搭載し、順当なバージョンアップとなっている。
加えて「トップエディションリミテッドSAⅢ」の特別装備としてベースモデルではオプション設定となっていた「パノラマモニター」を標準装備。
4箇所のカメラにより車両の前後左右を映すことで、クルマを真上から見ているような映像をナビ画面に映し出しもの。
街乗りで車庫入れや縦列駐車、幅寄せや路地から広い道にでるシチュエーションなどで効果を発揮し、運転が苦手な女性にも嬉しい機能装備を与えた。
トップエディションリミテッドSAⅢのインテリア(内装)
出典:ダイハツ認定中古車
インパネ。
「トップエディションリミテッドSAⅢ」の特別装備として右側パワースライドドアのスイッチがインパネ右側につく。
出典:ダイハツ認定中古車
トップエディションでは専用の「プレミアムシャインディープブルー」色のセンタークラスターが付く。ステアリングはXグレードベースのためウレタンタイプ。
出典:ダイハツ認定中古車
スピードメーターもタントカスタムと同じ。自発光式メーターで見やすい。
出典:ダイハツ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。アームレストはトップエディション専用品でセンタークラスターと同じくプレミアムシャインディープブルーのファブリックドアアームレストとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシート。スライド機構付き。
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ラゲッジルーム。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。
トップエディションリミテッドSAⅢの評価
出典:ダイハツ認定中古車
タントカスタムのトップエディションリミテッドSAⅢはダークメッキパーツによる標準カスタムとは異なるワンランク上の「カスタムXトップエディションSAⅢ」グレードをベースに本来オプション設定だったパノラマモニターと右側パワースライドドアを標準装備にしつつ価格を抑えたお買い得な特別仕様車である。
この仕様で本来オプションを後付すると8万円アップなところ、わずか3万円アップで2つのオプションが付いてくる特別仕様車となっていた。
標準モデルの「X リミテッドSA」に比べると特別装備が少なくお得感は薄いが、自然吸気エンジン仕様のトップエディションを購入しようと思っている人でパノラマモニターか右側パワースライドドアをオプションで付けようと思っている人にはセットになってお得な特別仕様車といえよう。

中古車としても標準の自然吸気エンジン仕様のトップエディションでは両側パワースライドドアがオプション設定のため、快適装備が嬉しい特別仕様車。加えてパノラマモニターは駐車時に大いに役立つ機能装備も備わっている。
人気のカスタムモデルでかつ両側パワースライドドアを標準装備し、まだまだ高年式ゆえに中古車価格は高く推移している。
3代目後期モデルのタントカスタムは初代から続くカスタムの正当な進化系にあり、デザインも歴代の要素が色濃い。加えてオシの強いデザインで存在感も大きい。この後の4代目前期モデルではデザインが大きく変更されモダンテイスト風になるため、中古車としてみても3代目後期モデルの魅了は色褪せない。

コメント
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ふと気が付いたのですが、ダイハツのセンターメーターはタント以外ではウェイク・ムーヴキャンバスの3車種だけではないでしょうか?
少し前までは、ダイハツは精力的にセンターメーターを採用していたみたいですが、かなり少なくなりましたね。
ムーヴもセンターメーターを止めてしまったのでで、タントもフルモデルチェンジの時には採用しないのでしょうか?
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燃え太郎さん、コメントありがとうございます。
そういえば確かにセンターメーター採用のダイハツ車が少なくなった感じしますね。特にムーヴが良い例ですがウエイクやタントなどはムーヴと異なり普通車でいうとミニバンみたいなモデルなので、多分廃止はしないかと。ムーヴやワゴンRクラスの少し背が低いモデルではどちらを採用するかメーカーも悩みどころかもしれませんね。