【前期型 不人気】ダイハツ タントエグゼ・カスタム(L455S/L465S型) グレード一覧・概要解説 | シン・軽自動車マニア

【前期型 不人気】ダイハツ タントエグゼ・カスタム(L455S/L465S型) グレード一覧・概要解説

タントエグゼカスタム

タントエグゼカスタムはダイハツのトールワゴン型軽自動車。タントエグゼのカスタムモデルである。本稿ではデビュー当初の2009年12月~2011年10月までを前期型と定義し、これを扱う。

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ダイハツ・タントエグゼとは?

2009年12月登場のダイハツ・タントエグゼ。当時の売れ筋となった「タント」の派生モデルとして大人がゆったり乗れる軽自動車として開発されたモデルである。

タントの広々とした室内空間はそのままに、スライドドアを廃止しフロントはもとよりリアも上質なシートとしたことで、特にリアシートの座り心地とスペースの広さからくる快適性がウリのモデルであった。

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シャーシーこそ2代目タントと共通であるものの、そのコンセプトから室内空間は異なる。

タントでは居住空間やシートアレンジを優先したため、シート生地が安っぽくなっていたが、タントエクゼではその反対にシート生地が上質なものとなっている。

また、スライドドアを廃止したためタントよりも60kg程度軽量になっているのがベースのタントとは違う特徴だ。

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タントエグゼカスタムとは?

そのカスタムモデルである「タントエグゼカスタム」は、タントエグゼをベースに専用ヘッドライト、専用グリル、専用フォグランプ付きバンパー、アルミホイール、クリアーコンビランプなどスポーティーな専用パーツにより外観を精悍かつスタイリッシュに仕立てたモデルである。

内装でもノーマルに対してブラック系のインパネとシート表皮とすることで上級感を演出。タントエグゼの中でもより男性向けとしたモデルであった。

タントカスタムとタントエグゼカスタムとの違い

タントカスタムとタントエグゼカスタムの最大の違いはスライドドアの有無。

タントカスタム(2代目以降)では助手席側がセンターピラーレスの両側スライドドアを備えるが、タントエグゼカスタムは通常のスイング式ドアとなる。

これはタントエグゼカスタムが「大人4人がくつろいで乗れる軽自動車」を目指して設計されたもので、スライドドアによる利便性よりも後部座席のシートや空間に重点を置いているため。

そのため同年代のタントよりも圧倒的に上級な後部座席シート表皮と、室内高が特徴となっている。

それ以外ではカスタムなのでメッキグリルやフォグランプ、アルミホイール、ハイロー独立式ヘッドライト、ターボエンジンなど構成は似ているものの造形は専用設計で、タントカスタムとは異なるラグジュアリーかつ上質なデザインが特徴だ。

なお、タントエグゼはスライドドア機構を持たないかわりにタントよりも約60kg程度軽量化されており、ハイト系でありながら同年代のタントよりも加速や燃費性能などが若干良くなっている。

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L455S/L465S タントエグゼカスタムのフロントシート

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LA600S/LA610Sタントカスタムのフロントシート

また、フロントシートとリアシートがタントカスタムよりも上質なシートを採用。フロントシートはセパレートタイプを採用し、ホールド性が高くクッションも良くて長距離ドライブでも疲れづらい。

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L455S/L465S タントエグゼカスタムのリアシート

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LA600S/LA610Sタントカスタムのリアシート

特に後部座席のシートは優秀で、リアシートにもサイトサポートが付き、アームレストを備え座面も厚みもかなりある軽自動車では異例のシートが採用されている。

これにより大人4人が快適に乗れる軽自動車となっている。

前期型・タントエグゼカスタムのグレード カスタムX、カスタムG、カスタムS、カスタムRSの違い、おすすめグレード

前期タントエグゼカスタムのグレード構成は自然吸気エンジンでエントリー「カスタムX」、上級「カスタムG」、同4WD仕様「カスタムS」、最上級ターボ仕様「カスタムRS」の4種類。

特別仕様車の設定は無かった。

カスタムX

前期タントエグゼカスタムのエントリーグレード。他のグレードよりも装備を一部簡略化し、価格を抑えたグレード。

カスタムG以上のグレードと比較して「センターアームレスト」、「グローブボックスランプ」、「フロアイルミネーション」、「照明付きバニティミラー(運転席&助手席)」、「アジャスタブルパック(チルトステアリング+運転席シートリフター+アジャスタブルショルダーベルトアンカー)」が非装備となる。

全グレード共通の「カスタム用ディスチャージヘッドランプ」、「フォグランプ」、「メッキグリル」、「エアロバンパー」、「サイドアンダースポイラー」、「リアスポイラー」、「LEDサイドターンランプ」、「クリアーコンビランプ」、「メッキドアモール」、「シルバー塗装アウターハンドル」なども標準装備。

インテリアではブラックインテリアにメッキ加飾が加わるが、ステアリングはウレタンステアリング。

キーフリーシステムはXグレードを含め全グレードに標準装備。

アルミホイールは14インチで2WD(FF)のみの設定。

カスタムG

タントエグゼカスタムの上級グレード。自然吸気エンジン仕様で、Xグレードで非装備の快適装備が加わり、使い勝手が向上する。

エクステリアは同じだが、インテリアが異なりカスタムGでは「センターアームレスト」、「グローブボックスランプ」、「フロアイルミネーション」、

「照明付きバニティミラー(運転席&助手席)」、「アジャスタブルパック(チルトステアリング+運転席シートリフター+アジャスタブルショルダーベルトアンカー)」が標準装備となる。

インテリアではブラックインテリアにメッキ加飾が加わるが、ステアリングはウレタンステアリング。

アルミホイールは14インチで2WD(FF)のみの設定。

カスタムS

カスタムGをベースに4WD仕様としたグレード(※前期タントエグゼカスタムの自然吸気エンジンで4WD仕様はこのカスタムSのみ)。

4WD仕様に伴い電動格納ミラーがヒーテッドドアミラーに変更され、フロントブレーキがベンチレーテッドディスクに変更。リアヒーターダクトと寒冷地仕様が標準装備となる。

カスタムRS

タントエグゼカスタムの上級グレード。ターボエンジンを搭載し、走行性能を向上させた最上級モデル。

エクステリアではカスタムGの装備に加えてアルミホイールが15インチ化。フロントスタビライザーやフロントベンチレーテッドディスクブレーキ、フロントスタビライザーも標準装備。

インテリアではMOMO本革巻きステアリング(モモステ)にオーディオパネルはピアノブラック加飾付き。シートも革調のアクセントを施したRS専用シートを採用し、6スピーカーシステムも標準装備する。

FFのほか4WD仕様も設定され、4WDではヒーテッドドアミラーとリアヒーターダクト、寒冷地仕様が標準装備となる。

タントエグゼカスタムのおすすめグレードはRS

タントエグゼカスタムは、タントほどではなが車重が重たく加速性能が良くない。

自然吸気エンジンだとCVTといえど高速域の加速がもっさりしているので、遠出や高速道路を利用するなら素直にターボエンジンを搭載したRSがおすすめ。

上質な内外装に疲れづらいシートは長距離移動に適しており、ターボエンジンで走りも良くなるため、満足感が高くなる。

特に後部座席に人を載せて移動する場合は車重が増え、加速性能に影響するためパワフルなターボエンジンのRSがおすすめ。

前期タントエグゼカスタムのエクステリア(外装)

フロントデザイン。タントはオーソドックスな顔つきだったが、エクゼでは少し引き締まったフロントフェイスになっている。

フロントは斜め方向に切り込みを入れたハイロー独立式のヘッドライトにメッキグリルのラインで存在感とさりげない高級感を演出している。

タントのカスタムモデルであるタントカスタムでは横方向に長いヘッドライトだがこのタントエグゼカスタムでは縦方向に面積を取ることで差別化されている。

なお、前期型ではメッキグリルが無く、ワンポイントのメッキラインが入るデザイン。前期のほうがカスタム感があまり無く存在感の薄いデザインで、よく言えばさりげないカスタム感。

悪く言えばオシの弱いデザインといったところ。この点は好き好きの別れる点で、あまりコテコテしたデザインが好みじゃない人には嬉しいデザインといえよう。

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なお、後期型ではこのようにグリルが大型化&新デザインのバンパーにより、派生元のタントカスタムに引けを取らないデザインに変更される。

【後期型】ダイハツ タントエグゼカスタム(L455S/L465S型)概要解説

カスタムモデルらしくハイロー独立式の専用ヘッドライト(ローはディスチャージ仕様)とフォグランプを標準装備する。

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サイドから。タントと同じく全高が高いが、ママさん向けではなく大人向けということで電動パワースライドドアは非装備。その分車重は軽くなっている。

カスタムモデルではターンランプ月ドアミラーを標準装備。セキュリティーアラームも全グレード標準装備。

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カスタムでは全グレードでアルミホイールを標準装備。自然吸気エンジンが14インチアルミホイールでタイヤサイズが155/65R14。

RSでは15インチとなり、タイヤサイズが165/55R15となる。

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またリアのデザインもタントはヨコ型のコンビランプだったが、こちらはタテ型のコンビランプだ。

なおカスタムではフロントにメッキグリル、リアはクリアータイプのコンビランプなどスポーティ感が演出されている。

これ以外ではカスタム仕様としてメッキドアモール、ルーフスポイラーを標準装備する。

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後期型ではストップランプがLEDへ変更され中央の赤いレンズもなくなった。デザイン的にも後期型と前期型で差別化される。

エンジン・機能装備・安全装備など

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エンジンはKF-VE型自然吸気エンジンとKF-DET型ターボエンジンの2種類。

自然吸気エンジンは最高出力58ps(43kW)/7200rpm、最大トルク6.6kg・m(65N・m)/4000rpm。

ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.5kg・m(103N・m)/3000rpm。

駆動方式はFFか4WD、ミッションは発売当初はCVTで廉価グレードの「カスタムS」の4WDのみ4ATであったが、2010年10月マイナーチェンジでカスタムSを廃止。全グレードでCVTのみとなった。

安全装備は運転席&助手席エアバッグ、EBD付きABSを標準装備する。

タントエグゼカスタムは燃費が悪い?

タントエグゼカスタムは軽自動車の中でも車重が870kg~970kgとかなりの重量級。

トランスミッションも前期には4ATを採用したグレードがあり、この時代のトルコン式ATは効率が悪く重量も重たい4WD&4ATモデルではさらに燃費が悪くなる傾向がある。

2011年7月以降の一部改良ではCVTを改良。エコアイドルやエコ発電、エンジンも改良型の第2世代エンジンを搭載する関係で燃費が良くなった。

そのためタントエグゼで燃費が気になる場合は、前期モデルでなく、2011年7月以降か、後期モデルの購入をオススメする。

価格の安い前期モデルを購入する場合で燃費が気になる場合は、4ATモデルでなくCVT搭載のグレードを選ぶように。

前期タントエグゼカスタムのインテリア(内装)

インパネ。ブラック系のカラーで上級感を演出。エアコン吹き出し口はメッキ加飾、オーディパネルはピアノブラックで加飾される。

最上級グレードのRSではモモ製本革巻ステアリングホイールを標準装備。

RS以外ではメッキオーナメント付きのウレタンステアリング。

スピードメーター。全グレードでタコメーター付きのスポーティーかつ上級な3眼式メーター(自発光式)。瞬間燃費計も標準で備える。

ATのシフトレバーはコラムシフト。

全グレードでフルオートエアコンを採用。

Xグレード以外には天井にオーバーヘッドコンソールを備える。

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フロントシートはセパレートタイプ。タントエグゼと同様にこだわりのシートが奢られ、体を包み込むようなゆったりとしたシートとなっている。

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このシートはタントエグゼの売りである「4席グラマラスコンフォートシート」と呼ばれるもの。ホールド性を持たせるためにサイドのサポートを多くし、かつ立体的なデザインに仕上がっている。

これだと長時間乗っていても疲れづらいだろう。特に軽自動車では後部座席のシートが簡略化される傾向にあるがタントエグゼカスタムでは後部座席もフロントと同じように良いシートが使われている。

ノーマルモデルではシート生地がベージュ系だったが、カスタムでは高級感を出すために黒系へと変更されている。タントエグゼは男性でも乗れるよう、タントと言いつつもかなりキャラクターが異なっている。

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上述の通りリアシートにはかなりこだわっており、しっかりと人が乗れるようフロントシート並のシート形状をしている。

これにより乗り心地は軽の後ろとは思えないほど快適で、足元の広さとも相まって積極的にリアシートにすわりたくなるほど。

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ラゲッジルーム。

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リアシートを倒した状態。リアシートの厚みがあるため、タントカスタムよりもラゲッジスペースが盛り上がりフルフラットにはならない。ただし全高があるため狭くは無い。

前期タントエグゼカスタムの評価

タントエグゼカスタムの前期型はさりげない上級感とブラック系の内装と上級なインテリア&シートによりノーマルのタントエグゼよりも上級な1台である。

カスタムモデルの割に特有のコテコテ感が無く、それまでのダイハツのカスタムモデルがちょっと苦手な人には嬉しい仕様だ。

逆に派生元の2代目タントカスタムに比べるとデザインにオシが弱いため、もっと個性を求める人には後期型がオススメである。

【後期型】ダイハツ タントエグゼカスタム(L455S/L465S型)概要解説

タントエグゼは特にインテリアにこだわっており、フロントはもちろんリアシートが非常に快適なのでそれまで敬遠しがちだった「軽の後部座席」をメインとして使えるモデル。外観とより内装にだわったまさに「大人のタント」である。

このあとの後期モデルでは大型メッキグリルの追加などでフロントデザインを変更。よりスタイリッシュ感がアップしカスタムらしいオシの強い顔つきに変化する。

【後期型】ダイハツ タントエグゼカスタム(L455S/L465S型)概要解説

タントエグゼが不人気、あまり売れなかった理由…

タントエグゼは2009年12月に登場し、2014年9月に生産終了。翌月の10月には在庫分の販売も終了しその累計販売台数は10万998台であった。

ダイハツの軽自動車の中では比較的短命な方で、ソニカオプティMAXほどではないがスーパーハイトワゴンにしては販売が振るわなかった。

その要因としては

  • スーパーハイトワゴンなのにスライドドアが付いてない
  • デザインが少しブサイク(カスタムでもカッコよくない)

などがあげられる。当時としても既にスライドドア付きのスーパーハイトワゴンが大人気になりつつあり、あえてスライドドアを排除したパッケージングは、当時としても驚異的な販売台数を誇った初代N-BOXカスタムと比較しても魅力が薄かったものと思う。

【初代・前期型】ホンダ N BOX カスタム (JF1/JF2型) 概要解説

またデザインもラグジュアリーを反映させた上級思考の顔つきは逆にこだわりすぎてタントカスタムすら劣る、スタイリッシュ感からは少し遠い位置にあるデザインとなっていた。

後期モデルはこれを改善すべく大型メッキグリルの追加やフォグランプの形状変更などテコ入れが行われたが、スライドドアが無い不利なパッケージングと相まってそこまで販売台数が伸びなかった。

時代は既にスライドドア付きスーパーハイトワゴンにシフトしていたのである。

中古市場での前期タントエグゼカスタムは比較的安価で買いやすいモデル

中古市場ではこの存在感の薄いカスタム顔が不人気なのか、後期型よりも前期型の方が割安となっている。また、ハイト系はスライドドアタイプが人気で、このタントエグゼ系は不人気車だったり、近年は年数経過もあって価格がかなり手頃になってきた。

(スライドドアが付いていないものの)意外と安く買える中古車で、隠れた名車かもしれない。

ちなみにタントエグゼカスタムは当時スバルへ「ルクラカスタム」としてOEM供給された。エンブレムが違う程度だが、変化球的にルクラカスタムでも面白い。

【前期型】スバル ルクラカスタム(L455F/L465F型)

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