ワゴンRスマイルはスズキのトールワゴン型軽自動車で、ワゴンRの派生モデルである。本稿ではMX91S型に設定された特別仕様車「ハイブリッド Sリミテッド」を扱う。
画像参照元:スズキ認定中古車
スズキ・ワゴンRスマイルとは?
2021年9月に登場したスズキ・ワゴンRスマイル。
ワゴンRスマイルはスペーシアとワゴンRの中間ぐらいの高さのボディに電動パワースライドドアを装備したモデルで、実質的なダイハツ・ムーヴキャンバスの対抗モデルである。
エクステリアはアルトラパンのような愛嬌ある丸目ヘッドライトに四角いボディの組合せでシンプルながら愛着のあるデザインを採用。
インテリアではアイボリーパールとネイビーパールの2種類を設定。艶と潤いを表現したインパネで上級感を演出。
また、革を手縫いしたようなスティッチ風の模様で質感を高め、ルーフはキルティング加工であたたかさを表現。
パッケージングは全高1,695mmに室内長が2,185mm、室内高は1,330mmを確保。
ワゴンRのような使い勝手にスペーシアと同等の600mm開口幅、345mmのリアステップ高のスライドドアの採用で後部座席の利便性を飛躍機に向上。
フロントシートのポジションも意図的に高くし、見晴らしの良い室内空間を実現した。
自動ブレーキではデュアルカメラブレーキサポートを搭載した「スズキ セーフティ サポート」を全車に標準装備。全方向モニター用カメラ装着モデルではすれ違い支援機能をスズキ初採用。
これ以外にヘッドアップディスプレイやマルチインフォメーションディスプレイ、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、標識認識機能などを「セーフティパッケージ」としてセットオプション設定した。
エンジンはR06D型エンジンにマイルドハイブリッドを組合せ自然吸気エンジンながら加速や低燃費を追求。
構造用接着剤や高減衰マスチックシーラーの採用により、操縦安定性、乗り心地を向上させ、遮音材の最適配置で静粛性の高い室内空間とした。
ワゴンRスマイルとスペーシアとの違い
似たようなモデルのスペーシアとの違いは、全高、室内高、車両重量、燃費、加速性能、内外装、ターボエンジンの有無などがある。
この中でも最も違いが大きいのが全高。ワゴンRスマイルの全高は1,695mm。
売れ筋スーパーハイトワゴンのスペーシアは1,795mmでその差は90mm。6代目ワゴンRの全高は1650mmなので、スペーシアの名前を名乗らず、ワゴンRの派生モデルを名乗る理由はここにある。
その分室内高はワゴンRスマイルが1,330mmで、スペーシアが1410mmと、80mmの差が生じ頭上区間の広さが異なるが、これが車両重量、燃費や加速性能に影響してくる。
全高が低くなったワゴンRスマイルの方がその分ガラスの面積やボディ、フレームの面積も小さくなり、車両重量が2WDモデルだと10kg軽い。
※パワースライドドア搭載の上級グレードだと車両重量の差はなくなる
たかが10kgの違いだが非力な軽自動車において10kgの差は大きく、加速性能や燃費性能に大きな影響を及ぼす。
実際、燃費性能もワゴンRスマイルの2WD、マイルドハイブリッド仕様が25.1km/l(WLTCモード燃費)に対し、スペーシアの2WD、マイルドハイブリッド仕様が22.2km/l(WLTCモード燃費)と、ワゴンRスマイルの方が燃費が良くなっている。
※上級グレードでは車両重量が変わらないものの、ワゴンRスマイルの4WD仕様の方が燃費が良くなる。
また全高が高い分空気抵抗も大きくなり、横風はスペーシアの方が若干苦手。室内空間を広く取ったスーパーハイトワゴンの欠点とも言うべき部分を、ワゴンRスマイルでは全高を抑えることで改善したモデルでもある。
これ以外ではワゴンRスマイルにはマイルドハイブリッド&自動ブレーキ非搭載モデルで価格を抑え1,296,900円からのGグレードに対し、スペーシアでは全グレードマイルドハイブリッド&自動ブレーキ非搭載仕様で1,312,300円からのハイブリッドGが設定される。
内外装もワゴンRスマイルは丸目ヘッドライトで全体的に可愛らしい雰囲気が特徴。
対してスペーシアは角目ヘッドライトなどでベーシックな雰囲気が強く、万人受けしやすいデザインを採用する。

2代目スペーシアのインパネ
インテリアもワゴンRスマイルは9代目アルトのような横長のカラーインパネと中央部の収納スペースが特徴的だが、スペーシアではスーツケースをモチーフにした特徴的なインパネデザインを採用する。
なお、スペーシアにはカスタム仕様でターボエンジンの設定があるが、ワゴンRスマイルには非設定で、全て自然吸気エンジン仕様のみとなる。

特別仕様車 ハイブリッド Sリミテッドとは?ハイブリッドSやハイブリッドX、Gグレードとの違いなど
そのワゴンRスマイルに2023年7月12日の一部改良(2型改良)で追加設定された特別仕様車が「ハイブリッド Sリミテッド」である。
ハイブリッド Sリミテッドはミドルグレードの「ハイブリッドS」がベース。
特別装備としてエクステリアでは
- Sリミテッド専用フロントメッキグリル
- 専用14インチフルホイールキャップ(シルバー×ソフトベージュの2トーン塗装)
- LEDヘッドライト
- LEDポジションランプ
- メッキドアハンドル
インテリアでは
- チタニウムグレー色のインパネカラーパネル
- サテンダークシルバーのインパネカラーパネルガーニッシュ
- ダーククロームメッキ調エアコンサイドルーバーガーニッシュ
- メッキインサイドドアハンドル(運転席、助手席)
- サテンダークシルバー色のドアトリムカラーガーニッシュ(運転席、助手席)
を特別装備。ボディカラーもハイブリッドSリミテッド専用色として
- 「モスグレーメタリック」
- 「ウッディブラウンメタリック」
- 「シフォンアイボリーメタリック」
の3色を専用設定。2トーンルーフ仕様もルーフ色をリミテッド専用の「ソフトベージュ」との組み合わせとし
- 「モスグレーメタリック×ソフトベージュ2トーンルーフ」
- 「ウッディブラウンメタリック×ソフトベージュ2トーンルーフ」
- 「シフォンアイボリーメタリック×ソフトベージュ2トーンルーフ」
を含めたモノトーン3色、2トーンルーフ色3色の合計6色とした(※2トーンルーフは有料色で選択時は4万4000円アップ)。
特にモスグレーメタリックは4ナンバー軽バンのスペーシアベースで新採用した専用色で、5ナンバーモデルへの適用はワゴンRスマイルが初となる。この色はリミテッド専用色で、他グレードでは選択不可。

また、ウッディブラウンメタリックもスペーシアギアの女性向け特別仕様車「マイスタイル」に専用設定される特別色でリミテッド専用色。こちらはかなり女性を意識したカラーリングが与えられる。

これら追加装備などでベースモデルよりもわずか5万円アップの新車価格とし、特別感やお買い物感を高めたモデルとなっている。
ワゴンRスマイル ハイブリッドSリミテッドのエクステリア(外装)
ハイブリッド Sリミテッドのフロント
画像参照元:スズキ認定中古車
フロントデザイン。ハイブリッドSリミテッドではハイブリッドSグレードがベースだが、グリルそのものはエントリーのGグレードをベースに中央部をメッキ化。
その他はボディ同色塗装とした専用品を採用。コストを抑えつつ独特のスタイリッシュ感を演出している。
元々Gグレードのグリルはシルバー塗装で少し安っぽい雰囲気もあったが、リミテッドでは真ん中がメッキ化されており、スタイリッシュ感がアップ。本来のハイブリッドSの高級なメッキグリルよりも上級感は失われているが、これはこれで充分カッコよさがある。
このほかハイブリッドSリミテッドではベースモデルには非設定で選択できなかった「LEDヘッドランプ」と「LEDポジションランプ」も標準装備となり省電力化や機能性アップに加え、日暮れなどでのポジションランプ点灯時の見た目も良くなっている。
ただしハイブリッドXのLEDフォグランプは非装備。
ハイブリッド Sリミテッドのサイド
画像参照元:スズキ認定中古車
サイド。ハイブリッドSリミテッド仕様としてアウタードアハンドルをメッキ化。さらに足元のホイールキャップはシルバー×ソフトベージュのリミテッド専用品(14インチ)が付く。
パワースライドドアはハイブリッドSがベースのため
- スライドドアクローザー(後席両側)
- ワンアクションパワースライドドア[挟み込み防止機構付(後席両側)]
- パワースライドドア一時停止機能
- パワースライドドア予約ロック機能[携帯リモコン、リクエストスイッチ(フロントドア、バックドア)]
- 携帯リモコン
- リモート格納機能付き電動格納ドアミラー
など最上級ハイブリッドXと同じ機能が付く。
ハイブリッド Sリミテッドのリア
画像参照元:スズキ認定中古車
リア。このあたりはベースモデルと同じ。リミテッドエンブレムの貼り付けは特に無くベースモデルと同じリアビューとなる。
ワゴンRスマイルの「ハイブリッド Sリミテッド」かそれ以外かを見分ける方法
ハイブリッド Sリミテッドを見分ける場合はフロントグリルが一番わかりやすく、中央がメッキ、上下がボディ同色の専用品がついてればSリミテッド
これ以外では次にボディカラーもわかりやすく、標準スマイルでは非設定の
- 「モスグレーメタリック」
- 「ウッディブラウンメタリック」
の2色か、あるいはこの2色とホワイトベージュを組み合わせた2トーンルーフ3色のいずれかのボディカラーであれば確実に「ハイブリッド Sリミテッド」。
特別仕様車以外の「ハイブリッドX」や「ハイブリッドS」、「G」グレードでは上記2色のボディカラーが選択できないため、これも判断材料となる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジン・駆動方式・安全装備・自動ブレーキなど
エンジンはR06D型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンにマイルドハイブリッド仕様ではWA04C型モーターが組み合わされる。
自然吸気エンジンの最高出力は49ps(36kW)/6500rpm、最大トルクは5.9kg・m(58N・m)/5000rpm。
モータの最高出力は2.6ps(1.9kW)/1500rpm、最大トルクは4.1kg・m(40N・m)/100rpm。
トランスミッションはCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WD。
安全装備としてSRSエアバッグ(運転席+助手席+サイドエアバッグ+カーテンエアバッグ)、EBD付きABS、ハイビームアシスト、エマージェンシーストップシグナル、ヒルホールドコントロールを全グレードに標準装備。
自動ブレーキ類もデュアルカメラブレーキサポート、誤発進抑制機能、後退時ブレーキサポート、リアパーキングセンサー、車線逸脱警報機能、先行車お知らせ機能、ハイビームアシストも全グレードに標準装備する。
ハイブリッドSリミテッドにアダプティブクルーズコントロールなどは非設定
ただし先進安全装備をセットにした「セーフティプラスパッケージ」はハイブリッドSリミテッドに非設定で
- アダプティブクルーズコントロール(ACC)
- 標識認識機能(一時停止、最高速度などを認識)
- ヘッドアップディスプレイ
- マルチインフォメーションディスプレイ
- ステアリングオーディオスイッチ
などはオプション選択できない。
ワゴンRスマイル ハイブリッドSリミテッドのインテリア(内装)
インパネ。ハイブリッドSリミテッドでは特別装備として、専用インパネガーニッシュや加飾などが与えられる。
インパネカラーパネルはチタニウムグレー色に変更され、インパネカラーパネルガーニッシュはサテンダークシルバー色に変更。ドアトリムカラーガーニッシュもサテンダークシルバー色に変更となる。
このほかメッキ調エアコンサイドルーバーガーニッシュはダーククロムメッキ調となり、運転席と助手席にはメッキインサイドドアトリムも付き、落ち着いたボディカラーに合わせて、インテリアも専用品に変更となる。
あとはベースモデルと同じでフルオートエアコンやウレタンステアリングホイールなどが付く。
収納スペースもベースと同じで
- インパネセンターポケット
- インパネトレー
- インパネアンダートレイ
- フロントアームレストボックス
- 助手席シートアンダーボックス
- リアドアペットボトルホルダー
- シートバッグポケット
- シートバッグアッパーポケット&パーソナルテーブル(※ハイブリッドXのみ)
- ショッピングフック
- USB電源ソケット2個(TypeA/TypeC)
など多数設定。
出典:スズキ認定中古車
スピードメーターもベースと同じ。ハスラーのようにシンプルな単眼式スピードメーターとマルチインフォメーションディスプレイを組合せたポップで機能的なデザイン。
ハイブリッドモデルのためスタータスインフォメーションランプを上部に備えエコ運転を支援する。
出典:スズキ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。ハイブリッドSと同じシート表皮。
出典:スズキ認定中古車
リアシート。スライド機構付きで、左右独立にスライドする。
出典:スズキ認定中古車
ハイブリッドXにはパーソナルテーブルが標準装備となるが、ハイブリッドSリミテッドには非装備。
出典:スズキ認定中古車
ラゲッジスペース。
出典:スズキ認定中古車
リアシートは左右分割式で、
出典:スズキ認定中古車
リアシートを全て倒すとフルフラットになる。
ワゴンRスマイル ハイブリッドSリミテッドの評価
ワゴンRスマイルのハイブリッドSリミテッドは専用グリルやLEDヘッドライト、専用ボディカラー、専用インパネ加飾やカラーパネルなどでハイブリッドSよりもスタイリッシュ感や機能性を高めつつ、お買い得にした特別仕様車である。
これら追加装備でベースモデルよりも約5万円アップ程度の新車価格となっており、LEDヘッドライトの追加分だけでも普通は5万円以上するので、プラスしてメッキドアハンドルや専用ボディカラーも選択できるあたりが魅力的なポイント。
またワゴンRスマイルのLEDヘッドライトは本来ハイブリッドXのみの専用品で、ベースモデルのハイブリッドSでは選択できないので、価格を抑えつつLEDヘッドライト付きのワゴンRスマイルが欲しいというニーズにも答えられるようになっている。
その一方ではハイブリッドSでは選択できたアダプティブクルーズコントロール、ヘッドアップディスプレイ、標識認識機能などをセットにした「セーフティプラスパッケージ」が一切選択できないのでこの部分は注意頂きたい。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)は特に高速道路などで有用な機能だが、街乗りメインであれば必須ではないので、棲み分けと行ったところ。
ワゴンRスマイルがライバル視するムーヴキャンバスは2代目モデルにフルモデルチェンジし、販売も好調。スズキは今回の特別仕様車の投入で、テコ入れ的な部分を狙う。

ワゴンRスマイル ハイブリッド Sリミテッドのムーヴキャンバス・ライバルグレードは?
ライバルとなるダイハツ・2代目ムーヴキャンバスにはエントリー「X」、上級「G」、ターボ搭載「Gターボ」の3種類があるが、「ハイブリッドSリミテッド」はこのうち「X」と「G」グレードの中間ぐらいに位置する価格帯。

ムーヴキャンバス・セオリーのXグレード
ムーヴキャンバスのXにはLEDヘッドライトが無く、アウタードアハンドルもシルバー塗装だが、GグレードになるとLEDヘッドライトにLEDフォグランプ、メッキアウターハンドルになるなど、ハイブリッドSリミテッドの外装に近くなる。
価格帯もムーヴキャンバスのXグレード・2WDが1,496,000円(税込)、4WDでは1,622,500円(税込)。
Gグレードでは2WDが1,672,000円(税込)、4WDでは1,798,500(税込)。
これに対してワゴンRスマイル ハイブリッドSリミテッドは2WDが1,586,200、4WDでは1,709,400と、ちょうど中間程度の価格帯。
LEDヘッドライトは人気の装備で、これを標準装備しつつムーヴキャンバスの上級グレードよりもわずかに安い価格帯で、少しだけお得感がある。
オプション設定の2トーンルーフを選択すると4万4000円アップし割高になるが、価格的な競争力は充分ある魅力的な特別仕様車となっている。
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